FGOで世界最強   作:紫道麻璃也

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ハジメ◯◯になる

「倒壊した建物二十二棟、半壊した建物四十四棟、消滅した建物五棟、死亡が確認されたフリートホーフの構成員九十八名、再起不能四十四名、重傷二十八名、行方不明者百十九名……で?何か言い訳はあるかい?」

「………『僕の爆弾とユエの雷龍で簡単に壊れるようなフューレンが悪いと思いました』」

「せ…責任転嫁にもほどがある‼︎」

「『わたしはこれにまけずいいまちになるといいなぁとおもいました』なの‼︎」

「………はぁ~~~~~~~~~」

 

 冒険者ギルドの応接室で、報告書片手にジト目でハジメを睨むイルワだったが、出された茶菓子を膝に載せたミュウと分け合いながらモリモリ食べている姿と反省の欠片もない言葉に激しく脱力する。

 

「まさかと思うけど……メアシュタットの水槽やら壁やらを破壊してリーマンが空を飛んで逃げたという話……関係ないよね?」

「……ミュウ、これも美味しいよ」

「あ~ん」

 

 ハジメは平然とミュウにお菓子を食べさせているが、隣に座るシアの目が一瞬泳いだのをイルワは見逃さなかった。再び、深い、それはもうとても深い溜息を吐く。片手が自然と胃の辺りを撫でさすり、傍らの秘書長ドットが、さり気なく胃薬を渡した。

 

「まぁ、やりすぎ感は否めないけど、私達も裏組織に関しては手を焼いていたからね……今回の件は正直助かったといえば助かったとも言える。彼等は明確な証拠を残さず、表向きはまっとうな商売をしているし、仮に違法な現場を検挙してもトカゲの尻尾切りでね……はっきりいって彼等の根絶なんて夢物語というのが現状だった……ただ、これで裏世界の均衡が大きく崩れたからね……はぁ、保安局と連携して冒険者も色々大変になりそうだよ」

「まぁ、その辺りはフューレンの行政が何とかしてほしいですね。今回は、たまたま身内にまで手を出されそうだったから、反撃したまでですし……」

「反撃で、フューレンにおける裏世界三大組織の一つを半日で殲滅かい?ホント、洒落にならないね」

 

 苦笑いするイルワは、何だか十年くらい一気に年をとったようだ。

 

「まぁ……」

 

 流石に、ちょっと可哀想に感じたハジメは少しイルワに同情してしまったのである提案をした。

 

「一応、そういう犯罪者集団が二度と僕達に手を出さないように、見せしめを兼ねて盛大にやったんです。支部長も、僕達の名前使ってくれていいんですよ?何なら、支部長お抱えの〝金〟だってことにすれば……相当な抑止力になるんじゃないですか?」

「おや、いいのかい?それは凄く助かるのだけど……そういう利用されるようなのは嫌うタイプだろう?」

「構いません、貴方には色々やってもらいましたし…これぐらいは」

「感謝するよハジメ君」

 

 イルワはハジメからの提案を有り難く受け取った。 

 ちなみに、その後、フリートホーフの崩壊に乗じて勢力を伸ばそうと画策した他二つの組織だったが、イルワの「なまはげが来るぞ~」と言わんばかりの効果的なハジメ達の名の使い方のおかげで大きな混乱が起こることはなかった。この件で、ハジメは〝フューレン支部長の懐刀〟とか色々二つ名が付くことになったが……ハジメの知ったことではない。ないったらないのだ。

 大暴れしたハジメ達の処遇については、イルワが関係各所を奔走してくれたおかげと、意外にも治安を守るはずの保安局が、正当防衛的な理由で不問としてくれたので特に問題はなかった。どうやら、保安局としても、一度預かった子どもを、保安署を爆破されて奪われたというのが相当頭に来ていたようだ。

 また、日頃自分達を馬鹿にするように違法行為を続ける裏組織は腹に据えかねていたようで、挨拶に来た還暦を超えているであろう局長は実に男臭い笑みを浮かべて俺達にサムズアップして帰っていった。心なし、足取りが「ランラン、ルンルン」といった感じに軽かったのがその心情を表している。

 

「それで、そのミュウ君についてだけど……」

 

 イルワがはむはむとクッキーを両手で持ってリスのように食べているミュウに視線を向ける。ミュウは、その視線にビクッとなると、また引き離されるのではないかと不安そうにハジメやユエ、シア、ティオ、優花を見た。

 

「こちらで預かって、正規の手続きでエリセンに送還するか、君達に預けて依頼という形で送還してもらうか……二つの方法がある。君達はどっちがいいかな?」

 

 誘拐された海人族の子を、公的機関に預けなくていいのかと首を傾げるハジメに、イルワが説明するところによると、〝金〟と今回の暴れっぷりの原因がミュウの保護だったという点から、任せてもいいということになったらしい。

 

「ハジメさん……私、絶対、この子を守ってみせます。だから、一緒に……お願いします」

「ハジメ、私からもお願い。向こうでは店に来てた子どものお世話とかもしてたから」

 

 シアと優花が、ハジメに頭を下げる。どうしても、ミュウが家に帰るまで一緒にいたいようだ。ユエとティオは、ハジメの判断に任せるようで沈黙したまま見つめている。

 

「お兄ちゃん……一緒……め?」

「まぁ、最初からそうするつもりで助けたから……ここまで情を抱かせておいて、はいさよならなんて真似は流石にしないよ」

「ハジメさん!」

「ハジメ!」

「パパ‼︎」

 

 シアと優花、ミュウは歓喜したがハジメはミュウの発言に脳が一瞬フリーズして身体が硬直した。

 

「……ミュウ。今なんて言った?なんか、聞いてはいけないような単語が聞こえたんだけど……」

 

 ハジメの疑問に、ミュウは平然と返した。

 

「……パパ!」

「………………な、何だって?ごめんミュウ。よく聞こえなかったんだ。もう一度お願い」

「パパ」

「……そ、それはあれか?海人族の言葉で〝お兄ちゃん〟とか〝ハジメ〟という意味?」

「ううん。パパはパパなの」

「………うん、ちょっと待とうか」

 

 ハジメが、目元を手で押さえ揉みほぐしている内に、シアと優花がおずおずとミュウに何故〝パパ〟なのか聞いてみる。すると……

 

「ミュウね、パパいないの……ミュウが生まれる前に神様のところにいっちゃったの……キーちゃんにもルーちゃんにもミーちゃんにもいるのにミュウにはいないの……だからお兄ちゃんがパパなの」

「何となくわかったけど、何が〝だから〟何だとツッコミたい。………ミュウ、頼むからパパは勘弁してくれ。僕は、まだ十七だよ?」

「やっ、パパなの!」

「出会った時のお兄ちゃん呼びにしてくれませんか?!」

「やっーー‼︎パパはミュウのパパなのー‼︎」

 

 その後、あの手この手でミュウの〝パパ〟を撤回させようと試みるが、ミュウ的にはお兄ちゃんよりしっくり来たようで意外なほどの強情さを見せ、結局撤回には至らなかった。

 

「……こうなったら、もう、エリセンに送り届けた時に母親に説得してもらうしかない………か」

 

 ハジメはミュウの説得に出来ないと判断し、奈落を出てから一番ダメージを受けたような表情で引き下がった。 

 イルワとの話し合いを終え宿に戻ってからは、辞退した優花を除く三人は誰がミュウに〝ママ〟と呼ばせるかで紛争が勃発し、取り敢えずハジメは香織にまだ恋人と認められてないのにそんな論争をしてる三人の頭に軽めのデコピンをして黙らせた。

 結局、〝ママ〟は本物のママしかダメらしく、三人とも〝お姉ちゃん〟で落ち着いた。

 そして夜、ミュウたっての希望で全員で川の字になって眠る事になり、ミュウがハジメと誰の間で寝るかで再び揉めて、精神的に疲れきったハジメが強引にミュウを間にして優花を除く三人を縛って、縛った三人・監視のハジメ・ミュウ・優花の順で寝るという出来事があったが、なんとか眠りに付き激動の一日を終えることが出来た。

 この日、ハジメは十七歳でパパになった……これよりしばらくの間子連れの旅が始まったのであった………。

 

~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

──縛った三人とミュウが寝付いた後の一幕──

 

「ねぇ優花…」 

「…ん?」

「もし、香織と再会したら吊るされそうな気がするんだけど?」

「……再会したら私含む四人の女の子を侍らしながら子連れで帰って来る恋人………頑張ってハジメっ!」

「………うん、吊るされるねこれは……」

 

 ハジメは遠い目をしながら窓から見える星空を見上げるのだった。

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