FGOで世界最強   作:紫道麻璃也

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㊗️UA10,000回突破


奈落

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ピチョン………ピチョン………

 

「う、あ……」

 

 微かに聞こえる水の音で目を覚ましたハジメは、ゆっくりと起き上がる。

 

「あの橋から落ちたんだよね……?」

 

 どうやらハジメは落下する途中で地下水脈に落ち、そこから流され続けたようだ。そして運良く陸地に流れ着いたらしい。ハジメが辺りを見回すと、天井の高い空間が広がっている。かなり広い洞窟のようだ。

 

「何処まで落ちたんだろう……。とにかく、今は体を休ませなきゃ」

 

 濡れた服を出来るだけ絞ると、ゆっくりと慎重に歩き始める……その時だった。

 

「…ッ、魔物か」

 

 何か魔物が近くに迫ってくるのを感じたハジメは、近くの岩陰に身を潜め周囲を見ていた。

 そして、やってきた魔物は白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのが見え、長い耳もある。見た目はまんまウサギだった。

 

「ただのウサギ………じゃないよね」

 

 それは、大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っていた。物凄く不気味である。

 

「低く見積もってもベヒモスに近い強さ………」

 

 そんなことを考えながらそのまま、ハジメがウサギを伺っていると……

 

「グルゥア‼︎」

「!」

 

 獣の唸り声と共に、これまた白い毛並みの狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出したのだ。

 その白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。

 どこから現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。

 再び岩陰から顔を覗かせその様子を観察するハジメは、余りの緊張感により背中に冷や汗が流れる。

 時間はかかるかもしれないがここの場所の状況と魔物達の強さを知る為、見ることにしたが勝負は一瞬だった。

 

「キュウ!」

 

 可愛らしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギがその場で飛び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長いウサギ足で二体の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。

 およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させて、ウサギの足が二尾狼の頭部にクリーンヒットした。

 すると、二体の二尾狼が一瞬で頭が肉塊になった。

 

「あれは要注意だな…」

 

 そう認識したハジメは未だ狼を狩りしているウサギに気づかれないようにその場を後にした──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──がそれはできなかった、

 

「キュウ?」

「ッ!」

 

 先程の狼を狩っていたウサギとは別のウサギがハジメの前に現れたからだ。

 

「キュッ!」

「〝錬成〟!」

 

 ウサギはハジメを認識するや否や蹴りを放ってきた。それをハジメは錬成で作った盾で受け流すことで威力を抑えたのだが、腕が少し痺れてしまった。

 

「ここは………逃げるしかないな」

 

 そう結論したハジメは憑依で逃げるため準備を始めたその時──

 

「キュウゥゥゥ⁉︎」

 

 突如ウサギが叫びその場から離れていった。そんなウサギに疑問をハジメは持ったがその疑問は直ぐにわかった。

 

「……グルルル」

 

 凄い圧を感じ、振り返ると巨体の魔物だった。二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。その姿は、たとえるなら熊だった。ただし、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えているベヒモスより凄くい圧だった。

 

「ベヒモスと同等かそれ以上……… でも今は、〝憑依〟『ロビンフッド』」

 

 緑の衣装に身を包んだ痩躯の男、勝つためには手段を選ばず、奇襲や闇討ち、毒矢を得意とするロビンフッドに憑依したハジメは直様スキルで身を隠し魔物──爪熊の認識から逃れることができた。

 そして、距離を取るため少し移動をしていると爪熊が何かを咀嚼していた…それはハジメとは別の所で狩りをしていたウサギとそのウサギに倒された狼だった。

 その光景に一瞬悲鳴を上げそうになったがなんとか耐え、逃げる為に行動を起こした。

 

「〝錬成〟」

 

 爪熊に気づかれないうちに安全を確保するため次々ともたれかかった壁に錬成して穴を掘りそして大分掘った後、ハジメは安心感と疲労感で疲れ尽き寝てしまった。

 

 

 

 

 それからどのくらい時が過ぎただろうか冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に「うっ」と呻き声を上げてハジメは目を覚ました。

 周りは薄暗いが、壁への錬成中に偶然採取した緑光石の発光のおかげで何も見えないほどではない。

 

「上手く…撒けたようだね………魔力もこの石のお陰で早く回復できたし………さて、これからどうすべきか」

 

 もう奈落に落ち、大分経っており、時間の感覚も分からなくなっていた。外には爪熊のように強い魔物がいる。穴を掘っていた先で見つけた図鑑に載っていた神結晶と呼ばれる『魔力の塊で出来ており、どんな傷でも回復出来るが、失った物は治せない』という石もある。そして魔力が回復したということは〝憑依〟も使える。

 

「………爪熊を倒して下へ行くか………約束したからな、『必ず戻る』って」

 

 百階層あるオルクス大迷宮の六十五階層から落ちてきたのだから、上へ行くより魔物は強くなるが早く戻れそうだと考えたハジメは支度を始めることにした──

 

 

 迷宮のとある場所に二尾狼の群れがいた。

 二尾狼は四~六頭くらいの群れで移動する習性がある。単体ではこの階層の魔物の中で最弱であるため群れの連携でそれを補っているのだ。この群れも例に漏れず四頭の群れを形成していた。

 周囲を警戒しながら岩壁に隠れつつ移動し絶好の狩場を探す。二尾狼の基本的な狩りの仕方は待ち伏せであるからだ。

 しばらく彷徨っていた二尾狼達だったが、納得のいく狩場が見つかったのか其々四隅の岩陰に潜んだ。後は獲物が来るのを待つだけだ。その内の一頭が岩と壁の間に体を滑り込ませジッと気配を殺す。これからやって来るだろう獲物に舌舐りしていると、ふと違和感を覚えた。

二尾狼の生存の要が連携であることから、彼らは独自の繋がりを持っている。明確に意思疎通できるようなものではないが、仲間がどこにいて何をしようとしているのかなんとなくわかるのだ。

 その感覚がおかしい。自分達は四頭の群れのはずなのに三頭分の気配しか感じない。反対側の壁際で待機していたはずの一頭が忽然と消えてしまったのだ。

 どういうことだと不審を抱き、伏せていた体を起こそうと力を入れた瞬間、今度は仲間の悲鳴が聞こえた。

 消えた仲間と同じ壁際に潜んでいた一頭から焦燥感が伝わってくる。何かに捕まり脱出しようともがいているようだが中々抜け出せないようだ。

 救援に駆けつけようと反対側の二頭が起き上がる。だが、その時には、もがいていた一頭の気配も消えた。

 混乱するまま、急いで反対側の壁に行き、辺りを確認するがそこには何もなかった。残った二頭が困惑しながらも消えた二頭が潜んでいた場所に鼻を近づけフンフンと嗅ぎ出す。

 その瞬間、地面がいきなりグニャアと凹み、同時に壁が二頭を覆うようにせり出した。

 咄嗟に飛び退こうとするがその時には沈んだ足元が元に戻っており固定されてしまった。もっとも、これくらいなら、二尾狼であれば簡単に粉砕して脱出できる。今まで遭遇したことのない異常事態に混乱していなければ、そもそも捕まることもなかっただろう。

 しかし、ハジメにとってはその混乱も一瞬の硬直も想定したこと。二頭を捕らえるには十分な隙だった。

 

「グルゥア⁉︎」

 

 悲鳴を上げながら壁に呑まれる二頭。そして後には何も残らなかった。

 四頭の二尾狼を捕らえたのはもちろんハジメであった。生きることを決意をした日から神結晶から抽出した神水を飲みながら生きながらえ、魔力が尽きないのをいいことに錬成、魔術の鍛錬をひたすら繰り返した。

 神結晶のある部屋を拠点に鍛錬を積み、少しでも武器を磨かなければならない。その武器は当然、錬成でだ。

 ハジメ『彼』を想像する………浅黒い肌に赤い外套を纏った白髪の男。辿ってきた数奇な人生を語るかのような、その背中が印象的な人物。

 『彼』のように瞬時に武器ができるように………

 

「 さて、悪いけど僕の生きる糧になってもらおうか… 〝憑依〟『エミヤ』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで食べるのに問題はないかな?」

 

 初めての狼の解体、塩や香辛料もないシンプルな調理だったがオカンと呼ばれているエミヤを憑依させ、その技術を使ってなんとか食べれるレベルまで持ってくることができた。

 しかしこれは魔物肉、普通食べたら死ぬ代物である…だがハジメには考えがあった。

 魔物の肉は普通食べたら死ぬ……だがこの神結晶の水──神水を使えば何とかなるかもしれない……

 一か八かの賭けだがハジメは調理された魔物肉に喰らいついた。それは、食えなくもないがマズかった、が神水で流し込んだ。

 すると、ハジメの体に変化が起こった。

 

「ッ⁉︎アガァ‼︎」

 

 突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。壊れた端からすぐ流し込んだ神水で修復していく。その結果、肉体が凄まじい速度で強靭になっていく。

 

「アアァアアアァッ!………………ッ」

 

 だがそれは突如収まった。収まった後ハジメがなんともないかと自身の体を見ていると、体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。

 

「……成功か流石、神水様々だな」

 

 魔物肉を食べて赤黒い線が出てきたことに何の影響もないか確かめるため、ハジメは懐に持っていたステータスプレートを取り出し現状の自分のステータスを確認する。

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:8

 

天職:錬成師・憑依魔術師

 

筋力:250

 

体力:450

 

耐性:300

 

敏捷:280

 

魔力:500

 

魔耐:500

 

技能:錬成[+鉱物鑑定系][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・全属性適性・全属性耐性・物理耐性・剣術[+直剣術][+短剣術][+大剣術][+双剣術][+刀術][+曲刀術]・弓術[+長弓術][+短弓術][+狙撃]・槍術[+短槍術][+双槍術]・騎乗・魔術・暗殺術・狂化・斧術・拳術・格闘術・杖術・盾術・憑依[+英霊]・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解・気配遮断・調理・魔力操作・胃酸強化・纏雷

 

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