3/5のデュエルプレイス   作:鎌足大

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三玖の初デュエルです。


買い物、そしてデュエルスタート

Side大輔

 

 三玖が入院した翌日、無事退院した三玖と俺は病院をあとにした。

 

 あのあと大変だったぜ、一緒にいてほしいからと三玖にせがまれて同じ病室で一泊。結局荷解きは翌日に持ち越しだ。

 

 俺の家に向かう道中、三玖はずっと俺の腕に抱きついていた。

 

「約束、一緒にいてくれるって言った」

 

 さいですか。でも悪い気分ではない。前世ではあり得なかったこんな美少女と腕組んで歩くなんて恐らく宝くじで一億当てるぐらい難しいだろう。

 

 病院が近所と言うこともあって家にはすぐ到着した。

 

 入ってリビングには荷解きの途中だった段ボールが出かけたときのまま取り残されている……はずだったが、段ボール箱が増えている。

 

 よくよく見ると段ボールにこんな書き置きがあった。

 

 

『三玖さんの元の世界の衣類や私物をすべて持ち込みました』

 

 

 あの担当さんここまでやってくれたのか、アフターサービス良いなホント。

 

 とりあえず三玖の新しい服とかをそろえる手間は省けた。

 

 大量に余っている部屋の一つを三玖に宛がった。俺の部屋の隣だ。

 

「荷解き済んだら昼飯ついでに夕飯の買い出しに行くぞ。足りない物はゆっくり揃えていこう」

 

「うん、あの神様に連絡できたらお礼言って」

 

「任された」

 

 各々の部屋に自分の段ボールを運び込んでいざ開封の儀………と言っても簡単な衣服類とスマホとタブレットぐらいだからな。

 

 備え付けのタンスに替えの服を放り込んで昨日貰ったBASICデッキを確認。

 

 基本カードが揃ってはいるがやっぱり火力不足か。火文明には『ボルメテウス』や『エグゼドライブ』、自然文明には『ナチュラル』と『デュアルファング』、水にも『クリラン』や『パラディン』、闇には『デモハン』『バロム』、光には『ホリスパ』に『アルカディアス』は必須。イベントとかで必須S・Tとれれば楽なんだが、デザイン的には最初期のが一番落ち着く。

 

 ふと扉が開くと三玖がのぞき込んできた。

 

「それ、でゅえる・ますたーず?」

 

「そう、少し見るか?」

 

 三玖も座っていくらかカードの束を手にとって眺める。

 

「すごい絵柄、色も沢山ある」

 

「背景ストーリーとかもあるからな。フレーバーテキストなんかも読むと楽しめるぞ」

 

 スマホを操作して現在発行されているパックを確認する。なるほど俺が転生するまでに出ていたのは第二十一弾、OCGで言うところの『E3』の頃までだ。あのあとは資産運ゲーと呼ばれた『DS編』だったから超次元利用のデッキが復帰したからな。

 

 現状発売されているのは転生前の約四分の一、第五弾までだ。募る話『多色系』のカードと『進化V』、『エターナル系呪文』が実装された状態だ。この頃になると後に制限くらうこととなるゲーム環境を荒らせるカードが多い。

 

「ここにあるのは各文明の基本形カードの構築済みデッキだけど、パックなんかのカードで中身を入れ替えればどんどん強化できるんだ」

 

「文明?」

 

 まずそこからか。まぁストーリーに没入するのには一番の基礎中の基礎だからな。

 

「デュエル・マスターズには基本五つの文明がある。熱く速攻攻撃を得意とする『火文明』、高度なテクノロジーと戦略を有する『水文明』、野生のパワーと自然の恵みを持つ『自然文明』、法と鉄壁の守りを持つ『光文明』、破壊と混沌の使者『闇文明』。様々な種族のクリーチャーと呼ばれる生き物に強力な呪文の力。それを駆使して戦い、時には他文明の力さえ取り込んでさらなる力を得る。デュエマをするにはまず自分の好きになれる文明を選び、お気に入りのカードや使ってみたいカードを組み込んだ四十枚のデッキを構築する。ここにあるカード以外にもこんなカードもある」

 

 スマホにとりあえず第一弾の最高レアリティのカードを表示させてみせる。

 

「ふ~ん、色々あるんだね。この青いカードのこれが好きかな」

 

 スマホを覗いてみると、そこに映されていたのは『クリスタル・パラディン』だった。進化クリーチャー最初期のカードにして水文明を代表する一枚だ。

 

「水文明が好きかな?戦略って聞くと武田信玄の『風林火山』を思いつくから」

 

 確かに『風林火山』は戦略という言葉があうな。デュエプレのコラボでも三玖は水文明で『エナジーホール』と『サイバー・N・ワールド』使っていたしな。

 

「私でも出来るかな?」

 

「誰だって最初は初心者だ。ルールもそう難しくはないしデュエマはいつでも初心者大歓迎だ。さてと、そろそろ買い物にでも行くか」

 

「うん!」

 

 

 

Side三玖

 

 町に出てすぐに近くのファミレスでお昼を食べた。ダイスケはハンバーグのプレートで私はシーフードグラタンを食べた。料理が来るまではデュエマの簡単なルール説明も受ける。

 

 お腹がいっぱいになって向かった先はカードショップだ。

 

「大店の店だし構築済みのデッキも売っている。気に入ったのがあれば言ってくれ」

 

「いいの?」

 

「俺がプレゼントしたいんだ。俺もほしいカードあるし」

 

 棚に並んでいるデッキを色々眺めていく。ふと目についたデッキがあった。

 

 

『初心者オススメ 水文明 リキッド・ピープル軍団!!』

 

 

 水文明単体のデッキだ。『りきっど・ぴーぷる』って種族主体のデッキみたい。とりあえずこれにしよう。

 

 デッキの入った箱を持ってダイスケの戻ると、新しいカードを入れでデッキを調整していた。

 

「これなんだけど、良いかな?」

 

「水単体のリキピーデッキか。確かに初心者の三玖には扱いやすいデッキだ。それじゃデッキも選んだし、入門祝いでこのカードもプレゼントするよ」

 

 ダイスケが差し出してくれたカードは四種類のカードだった。『サイバー・ブレイン』『マリン・フラワー』『スパイラル・ゲート』そして、

 

「『クリスタル・パラディン』………いいの!?これすごく綺麗だし高いんじゃ………」

 

「確かに値は張ったけど、好きなカード持っているだけでテンション上がるだろ?それで勝てたなら正にサイコーだ!デュエマは勝ち負けもだけど、まずは楽しまないとな」

 

 楽しむ……そうだよね。楽しまないと損だよね。

 

「とりあえず仮組みしたこのデッキでデュエルしよっか。やるからには実戦経験積まないとな」

 

「うん!」

 

 

No Side

 

 

先攻・霧布田大輔『まだまだ調整中の火自然』

 

           VS

 

後攻・中野三玖『初心者オススメ 水単リキピー軍団』

 

かくして始まった二人のファーストデュエル。

 

 序盤大輔はマナ加速でマナを増強。三ターン目にして五マナが貯まっている。

 

 盤面には『青銅の鎧(ブロンズ・アーム・ドライブ)』がいるが、対する三玖の盤面には『アクア・ガード』がいるためうかつに攻撃が出来ない。

 

「私のターン、ドロー。マナチャージして『アクア・ハルカス』を召喚。登場時能力によってデッキからカードを一枚ドロー」

 

 水文明お得の手札補充カードで手札切れがないようコントロールしていく。

 

「これでターンエンド」

 

三玖

手札4

シールド5

マナ3(水)

フィールド2(アクアガード、アクア・ハルカス)

 

「俺のターンドロー。こっちもマナを一枚チャージ。計六マナでまずは『コッコ・ルピア』を召喚、そして残りのマナで呪文『幻竜砲』を発動。三玖の『アクア・ガード』を破壊。そして『青銅の鎧(ブロンズアーム・ドライブ)』でシードをブレイク!」

 

 守りのなくなった三玖のシールドが一枚破壊される。

 

S・T(シールド・トリガー)発動『サイバー・ブレイン』静かなること林の如く、これでデッキから三枚ドロー」

 

三玖・手札4→7 シールド5→4

 

「流石は一度はP殿堂くらったカードだ。時代によってはぶっ壊れの補充カードだぜ。ターンエンド」

 

大輔

手札0

シールド5

マナ6(火・自然)

フィールド2(青銅の鎧(タップ)、コッコル・ピア)

 

「私のターン、チャージして四マナを使って呪文『ブレイン・チャージャー』発動!デッキからカードを一枚ドロー、そしてチャージャーの効果でマナをチャージ」

 

三玖・マナ3→5 手札8→7

 

「『アクア・ハルカス』の攻撃で『青銅の鎧(ブロンズアーム・ドライブ)』を破壊」

 

 パワーが上のアクア・ハルカスによって青銅の鎧が破壊される。

 

「私はこれでターン終了」     

 

三玖

手札7

シールド4

マナ5(水)

フィールド2(アクア・ハルカス(タップ))

 

「俺のターン、ドロー。コッコ・ルピアの効果でドラゴンを召喚するときのコストを2軽減、手札から『B・D(ボルシャック・ドラゴン)』を4コストで召喚!」

 

 最初期からの人気カードで有り、後に派生カードを数多く輩出した伝説のドラゴンがフィールドに立つ。

 

「ムム、これは強力」

 

S・A(スピードアタッカー)じゃないだけましだろ?ターンエンド」

 

大輔

手札0

シールド5

マナ6(火・自然)

フィールド2(B・D、コッコルピア)

 

「私のターン、マナをチャージして呪文『スパイラル・ゲート』でボルシャックを手札に戻す。残りの4マナで『アクア・ビークル』2体を召喚してハルカスでシールドをブレイク」

 

 破壊されたシールドが大輔の手札になるがトリガーではなかったので何も起こらない。

 

三玖

手札4

シールド4

マナ6(水)

フィールド3(アクア・ハルカス(タップ)、アクア・ビークル二体)

 

「俺のターン。1マナチャージして『強襲者エグゼドライブ』二体召喚、S・Aで速攻攻撃!三玖のシールドを二枚ブレイク!」

 

「来た。S・T(シールド・トリガー)W発動1枚目『アクア・チャージャー』と2枚目『アクア・サーファー』W召喚。サーファーの効果でコッコ・ルピアを手札に戻す」

 

「追撃できなかったかターン終了と同時にエグゼドライブは手札に戻る」

 

三玖

手札4

シールド2

マナ6(水)

フィールド5(アクア・ハルカス、アクア・ビークル二体、アクア・チャージャー、アクア・サーファー)

 

大輔

手札3(エグゼドライブ2枚、コッコ・ルピア)

シールド4

マナ7(火・自然)

フィールド0

 

「これで勝ちはほぼ決まったね。私のクリーチャーは今5体、ダイスケのシールドは4枚。次の攻撃で私の勝ち「本当にそうかな?」えっ?」

 

「デュエマってのは最後のシールド割られるまで油断できないんだ。最後の最後にどんでん返しで逆転。そうなる可能性もある。だからデュエマはやめられないんだ。ギリギリからの一発逆転、そのドキドキがよりいっそう燃えるんだ!」

 

「ならその可能性を覆す。私のターンドロー!勝てる場面だけど、油断せずに詰め切るよ。侵略すること火の如く『アクア・ガード』を召喚、そこから進化!『クリスタル・パラディン』を召喚!!」

 

 この場でダメ出しのクリスタル・パラディン。仮にS・Tが出ても1体ぐらいなら破壊されてもダメージはない。

 

「動くこと雷霆の如し、全クリーチャー総攻撃!!」

 

 まずは2枚のシールドが割られるがトリガーは無し、そして3枚目は、

 

「S・T発動、『幻竜砲』でアクア・サーファーを破壊!」

 

「くっ、でもまだ2体いる。アクア・チャージャーで最後の一枚をブレイク!」

 

 ついに最後の一枚を破壊された。

 

「パラディンでとどめを「来たぜ!」っ!?まさかトリガー……」

 

「S・T発動『ドリル・トラップ』超動!パワー6000以下のクリーチャーを破壊。もちろん破壊するのはクリスタル・パラディンだ!」

 

 本当に起こったどんでん返し、ダメ出しのクリスタル・パラディンもいたのにもかかわらず大輔は三玖の攻撃を防ぎきって見せた。

 

大輔

手札5

シールド0

マナ7(火・自然)

フィールド0

 

「で、でも私のクリーチャーはまだ生き残っている。次のターンが来れば勝てるよ!」

 

 手札にエグゼドライブが二体いるが仮に三体目がいたとしてもマナが足りない。三玖の残りのシールドで受け切れてしまう。

 

「次のターンが来ればな。確かに今の手札とマナじゃこの状況はひっくり返せないが、このドローしだいで俺の勝敗が決まる。この重圧は正に重い!だが俺は引く、勝つ可能性が1%以下でも俺は引き当ててみせるっ!燃やせ俺の熱血デュエ魂!!」

 

 その引いた一枚は、

「俺の切り札、来やがったっ!『不死身男爵ボーグ』を召喚、からの進化『機神装甲ヴァルボーグ』を召喚!シールドを2枚ブレイクできるW・B(ダブル・ブレイカー)を持つ軽量進化クリーチャーだ!更にエグゼドライブを召喚、今度はこっちが一斉攻撃だ!!」

 

 ヴァルボーグが三玖の最後のシールドを破壊する。

 

(スパイラル・ゲートかアクア・サーファーが来れば………)

 

 攻撃をしのげて逆転できるが、トリガーは来なかった。

 

「エグゼドライブでダイレクトアタック。俺の勝ちだ!」

 

 

WIN 霧布田大輔

 

 

 こうして二人の初デュエルは幕を閉じた。

 

 

Side大輔

 

 う~む、勝っちゃったけどちょっと大人げなかったかな?いくら本気のデッキじゃなかったとはいえ、あんな大逆転勝ちしちゃたからな。

 

 俯いていた三玖が顔を上げると。悲しそうな顔ではなくどこか興奮した様子だった。

 

「えっと……三玖さん?」

 

「すごく、すごく楽しかった!負けちゃったんだけど、悔しさより楽しい気持ちがいっぱいで。私、もっと強くなれるよね?」

 

 キラキラさせた目で俺に訴えかけてくる。やめて、可愛すぎてマジで抱きしめたくなるから。

 

「もちろん!仮組みのデッキだったとはいえ初デュエルで経験者の俺をあそこまで追い詰めたんだ。三玖はこれからきっと強くなる。俺だって負けないように強くなる」

 

「私、頑張る!」

 

 なかなかの熱の入れようだ。今後のこともあるが今は三玖にはデュエマを楽しんで貰おう。

 

 店を出る頃にはすでに夕方になっていた。あのあとカードパックをいくらかかったりしたからな。

 

「さてと、夕飯の買い出しするか」

 

「ねえ、今日の夕ご飯、私が作っても良いかな?」

 

「別に良いけど、手伝いぐらいな俺でも「楽しみたいから」えっ?」

 

「ダイスケ言ったよね、まずは楽しもうって。自信がないままじゃ楽しめない、だから少しでも自信をつけたいんだ。だからこれはそのための第一歩。千里の道も一歩から」

 

 あぁ、やっぱり三玖は努力が出来る子なんだ。原作でも勉強を拒否していた四人の中で最初に出てきたのも三玖だった。

 

 三玖が決めたのなら俺は見守ってやろう。躓きそうになったら俺が手をさしのべる。そして立ち上がったなら隣で共に歩む。三玖が進みたい道を俺はずっと見守ってやろう。

 

 ちなみに夕飯は無理せず簡単にしようと言うことで中華風味の肉野菜炒めとなった。少し焦げ目がついたりしているけど、今まで食べてきたどの肉野菜炒めより旨い気がした。

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