マナをこれから『MZ(マナゾーン)』、フィールドを『BZ(バトルゾーン)』に変更します。
あと、4話での勝舞とのデュエルで、一部効果に誤りがあったので修正しました。
こんなトラブルも恐らくこれからも多々あると思うので、生暖かい目で見守ってやってください。
Side三玖
あのあと少しお茶会をしてから私達は次の階層に向かった。
ダイスケは手にカードを持って次のデッキを作っている。
「こいつとこいつ、それとこれは………一応保留で」
まるで遠足が待ち遠しい子供のようにワクワクしながらデッキを組んでいる。そんなダイスケを横目で見ているとつい笑ってしまう。
「本当に彼のことが好きなんですね」
ふと横にいたエレナさんが私の耳元に語りかけてきた。
ダイスケの事が………好き////////!?
「あら?よく隣にいたのですからてっきりそうだと」
好き………好き……。確かに私にもそういった感情はあるけど、ダイスケにとっては私は漫画の登場人物。それに私はその物語で恋をして、そして失恋した。
正直、私がダイスケを好きになって良いのか判らない。でも、もし好きになっても良いのなら私は、ダイスケと一緒にいたい。記憶を失う前の恋よりもずっと素敵な恋をしたい。たとえ自分が漫画の登場人物だとしても、この気持ちを否定したくない。
「エレナさんにも、そんな人がいるんですか?」
私がそう言うと、エレナさんはボッと顔が赤くなった。どうやら図星だ。
「い、いますよ。子供の頃からの幼馴染みで、やんちゃだけど一緒にいると楽しくて、私にとっての太陽なんです」
太陽……それぐらい眩しくて好きなんだろうな。
「よっし、こんな感じか」
こっちの方も次のデュエルの準備が出来たみたい。
「では、この扉の向こうに次の火文明の守護者が待ち受けています」
「火文明……高い火力と速攻で攻めてくるとは思うが、実際闘ってみないと予想がつかないな」
大丈夫、ダイスケなら勝てる。
グッ……ゴウ……ガァァ………
扉を開けようとすると、扉の向こうから何かのうめき声のようなモノが聞こえる。怖くなってとっさにダイスケの背中に隠れてしまった。
「おいおい、まさかトラとかライオンでもいるのか?」
「………はぁ~。ご心配なく、決して害のあるモノではありません」
なぜかエレナさんは呆れながら扉を開ける。扉の向こうには、
「ガ~ッ!グ~ッ!」
赤いジャケットを着て同じような真っ赤な髪の色をした人が大きなクッションを枕にしていびきをかいて寝ていた。
「あのうめき声イビキかよ!?」
「全くこの人は………グレンっ、挑戦者が来たので起きてくださいっ!」
エレンさんがガラにもなく大きな声を出しながら男の人を揺すって起こそうとした。
「………ん?」
「やっと起きましたか。早くデュエルの準備を「あと五分……」してください………って!二度寝しないでください!」
なんかしばらくかかりそうだから、私は自分のリュックに入れていたお弁当を出してダイスケと食べる事にした。ちなみにハムとキュウリのサンドイッチだよ。
「ホントあなたは昔から(ガシッ)――――へっ?」
サンドイッチをもりもり食べているダイスケに飲み物を渡そうとしたら、赤い男の人がエレナさんを引きずり込んで抱き枕にしていた。
「おう大胆」
私も今度あれやってみよう。
「いいいいいいいいい加減に/////////………起なさああぁぁい!!!」
派手にバチンッバチンッと大きな音を鳴らしながら、男の人に往復ビンタが決まった。空中で一回転したけど大丈夫かな?
「ててっ……たくっ、普段と清楚さと違って、相変わらず起こし方が乱暴だなエレナ」
「誰のせいですか誰の//////!?」
「んなことより、お前がここに来たって事は、俺にお鉢が回ってきたって事か。で、例の挑戦者は?」
「ここにいますよ~」
「今お昼中です」
「おっ、旨そうサンドイッチだな。一つ良いか?」
本当はダイスケに食べて貰いたいからあげたくないけど、お腹すかせていたら可哀想だからあげる事にした。
「うん旨ぇな。お前良い彼女と付き合えてラッキーだな」
か、かかかかかかか彼女///////!?
「いや~、本当に努力の出来る良い娘で、俺なんかにはホントもったいなくて」
「そうか、なら絶対に手放すんじゃねぇぞ」
「あんたとは馬が合いそうだ。よろしく頼むぜグレンさん」
「グレンで良い。良いデュエルをしようじゃねぇか」
「はいはい、お二人ともそれぐらいにして、それと大輔さんは三玖さんの介抱をお願いします」
「え、って大丈夫か三玖!?顔真っ赤だぞ……」
ダイスケに揺さぶられて正気に戻った。落ち着くために持ってきた抹茶ソーダを一気飲みする。うっ、炭酸一気はちょっときつい………。
「炭酸飲料の一気飲みはきついって。少しは落ち着いたか?」
「うん、ゴメン………」
「気にすんな。それじゃ行ってくるわ」
「待たせて悪かったな。火の守護者グレン、燃えるような熱いデュエルをしようぜっ!!」
No side
先攻・火の守護者グレン『火・闇の速攻ドレイク』
VS
後攻・霧布田大輔『闇・火・水の妨害と破壊』
守護者とのデュエルはついに第二戦の火の守護者グレンとの対決。
前述通りグレンは火文明を中核とした闇文明混じりの速攻を得意とする種族『ティラノ・ドレイク』のデッキで序盤から攻め立て、大輔はシールドを2枚割られるが、大輔も負けじと火の呪文で除去に努めている。
グレン
手札2
シールド5
MZ3(火・闇)
BZ0
大輔
手札3
シールド3
MZ3(闇・水・火)
BZ0
「俺のターン、マナをチャージしてターンエンド」
グレンはクリーチャーを出さずにマナを貯めるだけでそのターンを終えた。
お互いにフィールドはがら空きだが、グレンはシールドをまだ一枚も割られていない分余裕があった。むしろわざと攻撃を受けて手札を増やしたいとさえ思っている。
「手札はそう簡単にはあげないぜ。俺のターン、マナを一枚チャージして『解体人形ジェニー』を召喚。登場時効果で相手の手札にあるコストが一番高いカードを捨てさせる」
グレン・手札2→1
大輔は速攻の弱点である手札の消耗をつき、ハンデス効果*1でグレンの手札を墓地に送る。
「(手札を消耗させれば、まず速攻は怖くない。ハンデスで手札を奪いつつ攻撃を仕掛けていけば切り抜けられる)ターンエンド」
大輔
手札2
シールド3
MZ4(闇・水・火)
BZ1(ジェニー)
「手札破壊による速攻封じか。まぁ速攻で終わるよりは燃え上がるためにのんびりするのも悪くねぇ。俺のターンはマナをチャージして、呪文『クリムゾン・チャージャー』でジェニーを破壊。チャージャーの効果でこの呪文はマナになる。これでターンエンド」
グレン
手札1
シールド5
MZ5(火・闇)
BZ0
「(自然使わない分、マナ加速が遅いのはしかたない。その分は手数勝負だ)俺のターン。マナをチャージして呪文『ゴースト・タッチ』で手札を破壊。更に呪文『エナジー・ライト』でデッキから二枚ドロー。これでターンエンド」
大輔
手札2
シールド3
MZ5(闇・水・火)
BZ0
両者一進一退の攻防。グレンは手札が0のため次のドローするカードはチャージをするか、もしくは使用するかの二択である。
「俺のターン。………何もせずにターンエンド」
「っ!!?」
ここでまさかのターンエンドで大輔は動揺した。マナをチャージするのでもなく使用するのでもなく何もせずにターンを終了したのだ。
「(何もせずに終了!?………罠か?それとも俺を動揺させるための作戦?何にしても、ここで動くしかない)俺のターン、ドロー!マナをチャージして『白虎の剣皇ダーク・サラマンダス』を召喚。登場時効果で相手の手札を一枚破壊する」
何もしなかったグレンの手札を破壊するが、その時グレンは口をニッと笑って見せた。
「かかった!このカードは相手のターンに手札から捨てられるときに代わりにBZに出せる。『炎竜提督ガウスブレイザー』を召喚っ!登場時能力によりデッキから三枚をめくりティラノ・ドレイクを全て手札に加える」
グレンが引いた三枚のカードは、全てティラノ・ドレイクだった。
「対ハンデスカード……まさか俺がハンデスするのを判ってわざと温存したのか!?」
「そっちの方が手間がいらねぇからな。何よりそっちの方が一番燃えるだろ?」
「くっ……ターンエンド」
大輔
手札1
シールド3
MZ6(闇・水・火)
BZ1(ダーク・サラマンダス)
いよいよ雲行きが怪しくなってきた。
「俺のターン。マナをチャージ、そしてガウスブレイザーを進化っ!『超竜騎神ボルガウルジャック』を召喚っ!!」
そこから更に進化クリーチャー、ボルガウルジャックの能力は、
「シールドを攻撃!ボルガウルジャックは攻撃するときに自分よりパワーの小さい相手クリーチャーを1体破壊する。ダーク・サラマンダスを破壊してシールドをWブレイク!」
クリーチャーを破壊された上にシールドを二枚破壊される。
「シールドチェック。S・T発動『サイバー・ブレイン』でデッキからカードを3枚ドロー!」
大輔 手札1→5 シールド3→1
(手札の補充は嬉しいが、本音を言えばデーモン・ハンドや死の宣告ようなクリーチャー破壊カードがほしかったが、今回はハンデス重視にしたせいで迎撃カードを減らしたのが災いした)
「絶体絶命のピンチだな。でもここから逆転される事も十分あり得る。デュエマってのはそんなカードゲームだ。もっと足掻けよ、もっと抵抗して見せろよ、もっと俺を熱くさせてくれよっ!」
グレンが更に煽ってくる。
「グレン、過度の挑発はルール違反になります」
「こいつは非公式戦だ。そこまで厳しくするな。それにこれから俺たちに手を貸せばこれ以上の重圧がのしかかってくるんだ。それこそ命がけのな。だから試したい、こいつの本気の度合いをな。ターンエンド」
グレン
手札2
シールド5
MZ6(火・闇)
BZ1(ボルガウルジャック)
(探るんだ。手札・MZ・墓地・そしてデッキに眠っているカード。俺が命を預けた選び抜いた40枚のカードを信じて………この危機を乗り越えろ!)
今ある手札を見る。今の手札の中にボルガウルジャックを倒すカードは存在する。しかし速攻を重視するティラノ・ドレイクデッキにあまり時間を与えてはいけない。
切り抜ける策を必死で模索する。
「俺のターン、ドロー!(っ!このカードは……今の俺の手札、そしてこのカード。大分運の要素に賭けた博打になるが、これで勝機を掴むしかねぇ)マナをチャージして計7マナ、コッコ・ルピアを召喚、ルピアの効果でドラゴンを召喚するコストを2軽減、残りの4マナを使って『フレミングジェット・ドラゴン』を召喚っ!こいつはS・Aであると同時にスリリング・スリーの能力を持っている」
「スリリング・スリー?エレナさん、スリリング・スリーってどういう能力なの?」
聞き慣れない能力に三玖はエレナに解説を求める。
「スリリング・スリー。これを持つクリーチャーがBZに出たとき、デッキからカードを三枚めくり、指定されたカードの数だけ能力を使えます。そしてフレミングジェットの能力はめくったカードがドラゴンであれば追加ブレイクが可能。つまりは、召喚時限定で擬似的なQブレイカーになるのです」
Qブレイカー。Tブレイカーの上を行くシールドを一度に4枚破壊する能力。これを持つクリーチャーは超大型かつ数こそ少ないが、4枚のシールドを破壊する点で勝負を決めに行ける。
「ここで何もなければ、次の俺のターンで勝てる。しかしもしもがあれば俺は負ける。俺はこれから起こる事に全ての運命を賭けるっ!」
その目は、覚悟を決めた目。このあとに起こる事全て運に委ねて次のターンを迎えられる事に全てを賭けた。
「何が起こるか判らない。だからデュエマは面白い。小さな波紋が大きな変化に変わり、そこから大逆転っ!グレンの言葉を借りるなら、こっちの方が燃えるだろっ!この三枚にかかる俺の運命は重いっ!だが俺は引く。勝ち目が薄かろうが、確率任せだろうが、俺は自分の選んだカード達を信じる!燃えろ、俺の熱血デュエ魂ッ!!」
このデュエルをい運命づける三枚を引いた、出てきた三枚は、全てドラゴンだった。
「フレミングジェットで攻撃!シールドを4枚ブレイク!」
グレン・シールド5→1
破壊されたシールドがグレンの手元に集まる。シールドをチェックしたグレンは、2枚のカードをBZに出した。
「S・Tクリーチャー『ビルトレイヤル・ドラグーン』を2体召喚!」
天運は、グレンに味方した。本来であれば登場時に相手に自分の自然・光のクリーチャーを選んで破壊させるが、BZに火文明のカードしかない大輔には無意味な能力だ。
「ターンエンド。あとはこの最後のシールドに賭ける」
大輔
手札3
シールド1
MZ7(闇・水・火)
BZ2(コッコ・ルピア、フレミングジェット)
「俺のターン、ドロー。お前の覚悟は見た。仮に負けても俺は合格判を出すぜ。だがここは勝たせて貰うぞ!6マナを使って、手札から『疾風のスウザ』と『ボーンブレイド・ドラグーン』を召喚っ!ボーンブレイドの効果で墓地の『竜音のキラ』を蘇生。更にスウザの効果で俺のティラノ・ドレイクは全てS・Aになる。俺のクリーチャーは計6体、これでデーモン・ハンドとかがが来ても怖くねぇ、ボルガウルジャックで最後のシールドを攻撃!攻撃時効果でフレミングジェットを破壊する」
最後のシールドが大輔の元に来る。
「シールドチェック………信じていたぜ、俺のデッキを!」
引き当てたのはS・Tのカード、そのカードは、
「S・T発動、『地獄スクラッパー』超動っ!!パワー合計5000になるように相手のクリーチャーを破壊する。2体のビルトレイヤルとスウザ、キラの4体を破壊、スウザが破壊された事によってボーンブレイドはS・Aでなくなって攻撃できない!」
首の皮がつながった。迎撃できても1体だけ破壊されるだろうと高をくくったグレンは先にボルガウルジャックで攻撃した。もしこれが他のクリーチャーで先に攻撃していればグレンのるるちであった。
「参ったな、ターンエンド。あの状況からチャンス掴むとは……本当に燃えさせてくれるぜっ!さぁ次はどうする!?俺のデッキにもクリーチャー迎撃用の大型呪文は入っている。S・Aを出して攻撃してもそれが出れば俺の逆転勝ちだぜ」
「慌てんなよグレン。さっき4枚シールドをブレイクできた事であとは運任せで俺のターンが来るのを待った。このターンが来た時点で俺の勝ちだ。ドロー!」
マナをチャージして、最後の総仕上げにかかる。
「前の俺のターンで、なんで俺はわざわざコッコを出してからフレミングジェットを出したと思う?」
「何って、コスト軽減のためじゃ………。いや待てよ、さっきのターンの時点で大輔のマナは7マナ、普通にフレミングジェットを召喚できた。にもかかわらずルピアを出してから召喚するなんて面倒な事をしたのは―――――」
「そう、どのみちボルガウルジャックで1体破壊されるのは目に見えていたからな。あそこでどっちか片方が生き残ってくれるかが賭けだった。どうしてもこのターンでクリーチャーが1体残る事とシールド残り1枚になる状況が最低条件だった。そして俺は賭に勝った。ここで一気に片をつけるぞ!
前のターンでマルドゥクスを出せば最悪自爆でボルガウルジャックだけは破壊できた。しかし前のターンのドローで『崩壊と灼熱の牙』を引き、他のカードを照らし合わせてこの状況を作る事にした。
「くっ……ジャックは破壊したくねぇ。ボーンブレイドを破壊する」
「同時にグレンのシールドと手札を墓地におく。マルドゥクスはS・Aだ、グレンにダイレクトアタック!!」
とどめの攻撃が決まった。
WIN 霧布田大輔
「ふぅ~、危なかった。完全に運任せだったから冷や冷やしたぜ………」
大輔がその場で座り込むと、三玖がリュックの中から抹茶ソーダを出して大輔に渡しに行く。
「お疲れ様」
「サンキュー。本当に今回は焦ったぜ」
保冷剤に包まれていたため、まだ冷たい抹茶ソーダをゴクゴクと飲んでゆく。抹茶の渋みにホンノリと感じる甘さで癒やされていく。
「相手の得意に対して弱点ぶつけてもそれを利用される。今回のデュエルでそれが一番身に染みた」
「俺の方こそ驚いたぜ。あの状況から運だけでひっくり返したんだからな」
グレンが大輔に近づいて手を差し出した。
「火の守護者グレン。さっきも言ったようにお前の事を認め、次の階層に進む事を許可する。次にデュエルするときは、もっと熱いデュエルで勝負だ!」
「望むところだ!」
固い握手をして立ち上がった。
「そういえば次の守護者ってどんな人なんですか?」
「次は自然文明の守護者。あいつもどちらかと言えばお前を肯定している方だ」
「他二人と協力している科学者の方は反対と回答保留で意見が分かれています」
「でも僕は良いと思うよ。だってあんな凄いデュエル出来る人って少ないもん」
「そうだなって………って!?」
振り向けば、民族衣装の格好をした緑の髪の少女がそこにいた。
「チェリンさん!?なんでここに………」
「モニターで見てても臨場感ないから降りてきて隅の方で見てたんだよ!君凄かったよ、グレンの猛攻に耐えきって大逆転するなんてなかなか出来ないよ!」
「えっと…もしかしてこの娘が」
「そうのとーり!僕が自然の守護者チェリン。僕と一緒に楽しいデュエルをしようよ!」