3/5のデュエルプレイス   作:鎌足大

7 / 8
今回は話の都合上、内容を2話に分けます。


大自然の猛攻 チェリンの野生大行進

Side大輔

 

 チェリンに先導されてついた自然文明の部屋は、森と動物園だった。

 

「建物の中に森が、あと動物も沢山………」

 

「まぁ初めて来るヤツは呆気にとられるよな」

 

「うわぁ!この子可愛いよ!」

 

 三玖は自分の足下によってきたウサギを撫でている。くっ、ウサギよりもウサギを愛でる三玖が一番可愛い!!

 

「ここにいる動物のほとんどが保護されたり、ここで生まれてきた子ばかりなんです。大きくなったら動物園などにも寄贈したり、チェリンさんが芸を仕込んでシティでサーカスみたいな事もしているからとても人なつっこいんですよ」

 

「犬猫とか小型の鳥やウサギなんかはペットとして里親に引き取られる事もあるぞ」

 

「ちなみに直ぐ上のエリアには水族館があります」

 

 動物園だけじゃなくて水族館もあるのか。管理とか餌代が大変そうだな。

 

「じゃあデュエルの前にここでデッキを作ってよ」

 

 デッキ?デッキなら一応用意をしてあるが。

 

 チェリンが壁のスイッチを押すと壁が開いた。隠し部屋か?

 

 中に入ると部屋中に沢山のカードが保管されているファイルの棚やコンピューターがあった。

 

「ここはこの階層で保管しているカードの保管庫だよ。ここのカードで好きなデッキ作って良いよ」

 

 おいおいおいおいおい……カード保管庫って事は、ここにあるの全部守護者達が封印してきたカードってことか!?

 

 良いのかよ、俺は全員に認められてから使用しても良いという条件でここに来たんだが………。

 

「平気だよ。ここにあるのだってほんの一部だし、それに僕ももっと強いデッキを相手にデュエルしたいんもん。僕たちだけが良いカード使ってるのだってずるいしさ」

 

 勝負は公平にか。せっかく使って良いと言っているんだしここは甘えさせて貰うか。

 

 デッキ制作に集中したいので、三玖をエレナさん達に預けて早速デッキを組み始めた。

 

 市販で流通しているカードはデュエプレの収録で言えば現状八弾ぐらいまでだが、ここには一部のカードを除けば十一弾までのカードが揃っている。グレンが使っていたティラノ・ドレイクデッキだってそこまで市民に浸透していないから試行錯誤状態。アプリゲームという事前情報があったからこそ対策が打てた。

 

 だけど今度はカードループに差はほぼなし。俺の一番好き勝つ得意なデッキを組もう。

 

 コンピューターでカードを検索してお求めのカードを探り、必要数を取り出して組み込む。いくつか候補も選んで入れ替えては組み込む。デッキ構築は単純に見えて他のカードとの兼ね合いも考えないと行けないから結構頭を使う。

 

「ふぅ、とりあえずは出来たしいったん休憩を《………我を使え》っ!!!?」

 

 突然変な声が俺の中に響いてきた。幻聴か?それともここまでの連戦で少し疲れたのか?

 

《我を使うのだ。さすればお前は煉獄の覇者となる》

 

 また聞こえた。幻聴じゃない、何かが俺を呼んでいる。だが、

 

「断る。俺は自分が信じたカードを組み込むだけだ。何より覇者なんてモンに興味はない。俺のすべきことは、三玖を守り、そしてこの世界で楽しくデュエルがしたいだけだ」

 

《……愚かな。それだけの力を持ちながら平穏を望むとは、あの男は大違いだ。野望を胸に眼前の敵を焼き尽くそうとは思わないのか?》

 

「くどい!俺は俺の道を進むだけだ」

 

《………ますます気に入った。お前が我に飲み込まれぬか試してやる》

 

 さっき組んだ俺のデッキが光りだし、カードが一枚飛び出して別のカードが入った。慌てて確認すると、白紙のカードが一枚デッキに入っている。入れ替えようとするとびりっと静電気のようなモノで妨害された。

 

 仕方がない。害はないとは思うが最悪マナなり墓地に放り込めば良いだろう。

 

 そう気軽に考えながらみんなの元に戻った。

 

 

 

No side

 

 大輔が戻ると皆それぞれ思うように過ごしていた。

 

 エレナは木の陰にレジャーシートを敷いてティータイム。グレンはその横でクッションを枕に昼寝。チェリンはエレナが持ち込んだであろうバスケットの中のクッキーを頬張っている。

 

 ふと三玖がいない事に気付いて周りを見渡すと、近くの水場で先ほどのより増えたウサギや小鳥たちと戯れていた。

 

「あっ、ダイスケお帰り」

 

「ただいま。ずいぶんと動物に人気だな」

 

「なんかこの子が色々連れてきて」

 

 膝の上で鎮座しているウサギを優しく撫でる。

 

「そーか、三玖一人にさせないでくれてサンキューな」

 

 大輔がウサギを撫でようとすると、ウサギが突然跳びだして大急ぎで森に逃げ込んだ。他のウサギや小鳥たちも一斉に離れていく。

 

「何で急に……さっきまで大人しかったのに?」

 

「怯えて逃げたって感じだな(……まさかこいつのせいか?)」

 

 先ほど自分のデッキに突然入り込んできた白紙のカード。あれから出るただならぬモノに脅威を感じたのか。野生の勘は侮れない。

 

「待たせたな」

 

「大丈夫だよ。お菓子もいっぱい食べてたし」

 

「そうかそうか。おかげで良いデッキが組めた。チェリンには感謝しかないな」

 

「僕も凄いデュエルが出来るの楽しみだよ。あと別に負けても僕は君の事認めるよ。エレナとグレンのデュエル見ていたけど、デュエルしているときの君凄く楽しそうだったからきっと僕とのデュエルも楽しめるよ!」

 

「なら全力全開で相手しないとなっ!」

 

「よ~しっ!自然の守護者チェリン、霧布田大輔といざ尋常にデュエルだっ!!」

 

 

 

先攻・霧布田大輔『闇・火・光のドラゴンと正体不明の一枚』

 

            VS

 

後攻・自然の守護者チェリン『マナを支配するモノ』

 

 守護者とのデュエルもついに三戦目の折り返し地点まで到達。

 

 大輔は序盤から『ボーンおどり・チャージャー』と『ロスト・チャージャー』で墓地を肥やしマナを貯める。

 

 対するチェリンも自然文明単色のデッキだが、同じように大量のマナを貯めていく。

 

「『シビレアシダケ』、『幻緑の双月(ドリーミング・ムーンナイフ)』!!僕のクリーチャー大集合!」

 

 マナの大量チャージの他に小型クリーチャーを次々に並べていく。

 

大輔

手札3

シールド5

MZ6(闇・光・火)

BZ0

墓地3(クリーチャー3)

 

 

チェリン

手札2

シールド5

MZ6(自然)

BZ2(シビレアシダケ、幻緑の双月)

 

「俺のターン。マナをチャージ、そして呪文『バースト・ショット』でBZのパワー2000以下のクリーチャーを全て破壊!」

 

 小型除去呪文で一度チェリンのクリーチャーを掃討する。

 

「ありゃりゃ、僕のクリーチャー全滅しちゃった」

 

「小型クリーチャー放置は敗北の要因だからな、ターンエンド」

 

大輔

手札2

シールド5

MZ7(闇・光・火)

BZ0

墓地4(クリーチャー3、呪文1)

 

「よーし僕のターン!マナを一枚チャージして、呪文『再誕の森』で僕の墓地のカードを二枚マナにしてターンエンド!」

 

チェリン

手札1

シールド5

MZ9(自然)

BZ0

 

 更にマナを増強する。

 

「(大量のマナ増強。恐らく大型クリーチャー狙いか、それともキッチリ小・中型を並べての総攻撃か。どのみち警戒する必要はある)俺のターン、マナをチャージして『黒神龍ゾルヴェール』を召喚。登場時能力で山札を一枚墓地に置き、墓地のドラゴンを回収。そして回収した『黒神龍メギラ』を召喚」

 

 闇文明の二体のドラゴン族ブロッカーを召喚した。

 

「これでターンエンド」

 

大輔

手札1

シールド5

MZ8(闇・光・火)

BZ2(ゾルヴェール、メギラ)

墓地4(クリーチャー3、呪文1)

 

「さぁどうする、マナがあっても手札一枚じゃきついんじゃないか?」

 

「心配ご無用!だって僕には、手札を増やせるカードがあるモン」

 

「手札を増やす?自然単体のデッキでずいぶん無茶な事言うな(仮にシャーマン・トーテムが出たとしても良いとこ二枚だろう)」

 

「僕のターン、ドロー!。………これが来るの待っていたんだ。そのためにマナをいっぱい集めたんだよ」

 

(キーカードを引いたか)

 

「僕は『薫風精霊コートニー』を召喚。コートニーがいる限り、僕のマナは全ての文明に塗り変わる」

 

 全ての文明。すなわちチェリンのMZのカードは全ての文明を持ち、あらゆるカードが使用できる状態になった。

 

「まずは最初に手札だよ。水文明の超呪文『インビンシブル・テクノロジー』を超動っ!これで僕は手札を10枚補充だよ!!」

 

「なっ!?(大量のマナブーストとコートニーはこのためかっ!)」

 

 『インビンシブル・テクノロジー』。本来であれば呪文を唱えるのに13マナと言うデュエル・マスターズの中でも屈指のコストを誇るカードであるが、ある条件下でそのコストを6下げて7マナで使用可能となる。その条件とは、自分のマナゾーンのカードが全て水文明である事。

 

 加えて『薫風精霊コートニー』は自分のMZのカードを全ての文明に塗り替えるカード。これほどまでに親和性の高い組み合わせはない。

 

 手札が0だったチェリンは大量ドローによって計10枚の手札を揃えた。

 

「本当ならこのあと水のクリーチャーを出せるんだけど、僕のデッキにはないからそこは省略!ターンエンド」

 

チェリン

手札10

シールド5

MZ9(全文明)

BZ1(コートニー)

 

 手札の上限は10枚。次のドローで1枚墓地に捨てたところであまりダメージにはならない。

 

(次のターンで恐らく大量展開からの総攻撃か。しかもまだコートニーがいる。下手をすれば他のインビンシブル呪文を投入している可能性が高い!)

 

 先ほどの『インビンシブル・テクノロジー』以外にもインビンシブルの名を冠する同系統の呪文は各文明に一枚ずつ存在する。そして今の大量ドローで引き当てている可能性が高い。

 

「下手に時間はかけられない。俺のターン、マナをチャージして。呪文『ボーンおどり・チャージャー』でデッキから2枚カードを墓地に落とし、こいつでたたみ掛ける。メギラ進化、出でよ闇の超龍『超神龍アブゾ・ドルバ』召喚っ!」

 

 そのドラゴンは、かつて切札勝舞を大いに苦しめた最強の闇龍の1体であった。

 

「アブゾ・ドルバは墓地のクリーチャー1体に付きパワー2000アップ。加えてパワード・ブレイカーでパワー6000おきにシールドを更にブレイクできる。さっきのボーンおどり・チャージャーで更に二枚墓地に落として墓地のクリーチャーは計5体すなわちパワー10000アップで今のアブゾ・ドルバのパワーは21000、通常ブレイクに加えて3枚追加ブレイクのQブレイカー状態だ!」

 

 墓地肥やしの真骨頂が発揮された。今のチェリンのBZにはコートニーのみ、十分逆攻撃を仕掛けられる。

 

「アブゾ・ドルバでシールド4枚をブレイク!」

 

チェリン・シールド5→1

 

 四枚のカードがチェリンの元に集まる。チェリンの手札は十枚、S・Tでなければ墓地に行くだけだ。

 

「S・Tトリプル発動!『ナチュラル・トラップ』でゾルヴェールをマナ送り!そしてS・Tクリーチャー『ロイヤル・ドリアン』と『孤高の願(ハイエスト・ブレス)』を召喚。ロイヤル・ドリアンの効果で全ての進化クリーチャーはマナ送りだぞ!」

 

「んなっ!?」

 

 大輔のクリーチャーが全てMZに飛ばされた。

 

大輔・BZ2→0 MZ9→12

 

「そんな………ダイスケのあんなに強いクリーチャーが一瞬で…」

 

「チェリンは子供っぽいところが目立つが、あいつはある種の天才だ」

 

「幼い故の無邪気さ、興味、そしてそれと同時に併せ持つ容赦のなさ。仮に私達が引退したとして、次世代の守護者を率いるのは恐らく彼女でしょう」

 

 それほどまでに高い素質を秘めたチェリン。無邪気・無垢故の容赦のなさと恐ろしいまでのデュエルの才能。大輔から見れば、それはさながら悪に落ちてWとなる前の白凰そのものだった。

 

「……ターンエンド」

 

大輔

手札0

シールド5

MZ12(闇・光・火)

BZ0

墓地6(クリーチャー5、呪文1)

 

(これが才能の差ってヤツか?俺が最も得意とするデッキで挑んでこのざま。負けても認めてくれるとは言ってくれているが………悔しい。ここまでもギリギリだったが、なんとか勝ちに食らいついてきた。でもこのままだと負ける。三玖の前で負けちまう。三玖を、がっかりさせちまう)

 

《ずいぶんとお困りのようだな。やはり我が手を貸そう》

 

(またお前か。いくら負けそうだからって余計な事してくんじゃねぇよ!)

 

《我を使えば勝てるぞ。あの女の前で無様な負け犬になっても良いのか?》

 

(確かに三玖の見ているところで負けたくはねぇが………自分の信じたカード信じないで勝つよりはずっとましだ!)

 

「僕のターン!ドロー――――するけど手札がいっぱいだから墓地において、マナをチャージして計10マナになったところで、『飛翔するウイング・ホーン』を二体出して、ホーン・ビーストが2体以上いるから『式神ブゥ』をG(グラビティ)・ゼロでタダ出し、止めに僕のクリーチャーは6体いるから条件クリアで『統率するレオパルド・ホーン』をG・ゼロ*1で更にタダ出し!

 

 チェリンの場に7体の超獣が勢揃いした。

 

「このまま攻撃しても良いけど、もっと凄いの見せたいからターンエンド!」

 

チェリン

手札5

シールド1

MZ10

BZ7(コートニー、R・D(ロイヤル・ドリアン)、孤高の願、W・H(ウイング・ホーン)×2、ブゥ、レオパルド・ホーン)

 

 3体でも攻撃できたはずなのにターン終了。無邪気とは本当に恐ろしい。

 

「俺のターン、ドロー。………ゾルヴェールを召喚。能力でデッキからカードを一枚墓地へ、更にゾルヴェールを墓地から回収して召喚、そして更に墓地にカードを落としてメギラを回収。出来るのはここまでだ、ターンエンド」

 

大輔

手札1

シールド5

MZ12

BZ2(ゾルヴェール×2)

 

(シールドは幸いな事に無傷。ブロッカーも出せるだけ出した。パワード・ブレイカーのレオパルド・ホーンさえ押さえれば万に一つの勝機がある。この際シールドは全部捨ててS・Tを狙う!)

 

「僕のターン、ドロー!それじゃあ約束通り僕の凄い戦術見せてあげる。ここで僕は勝つぞーっ!全部のマナが自然文明扱いだからコスト6引いて7マナで―――――呪文『インビンシブル・パワー』を超動っ!」

 

「『インビンシブル・パワー』だと!?」

 

「不味いぞあの呪文は………」

 

「どうなるんですか!?」

 

「あの呪文を使うと自分の全てのクリーチャーにパワー+12000とパワード・ブレイカーを付与させるんだ」

 

 チェリンのクリーチャーは7体。つまり全てのクリーチャーがパワー13000越えのTブレイカー持ちの化け物軍団になるのだ。それに加えてレオパルド・ホーンは自身の能力でパワー+13000加えて26000で一撃でシールドを五枚割る事が出来る。

 

「いっけー!一斉攻撃でフィニッシュだっ!!」

 

「ゾルヴェールでブロック!レオパルドだけは抜かせるな!!」

 

 レオパルド・ホーンの一撃粉砕は阻止できたが、それでも他に実質Tブレイカーのクリーチャーが6体も控えているのだ。

 

 1体目はもう1体のそるヴェールでブロックしたが残り5体が押し寄せてくる。

 

 シールドがまず三枚破壊された。

 

「S・T呪文『デーモン・ハンド』で迎撃!」

 

 3体目の攻撃は阻止。そして4体目のクリーチャーで残り二枚のシールドを全て割られる。

 

「トリガーは……来たっ!S・T『ホーリー・スパーク』超動っ!!相手クリーチャーの動きを完全阻止!そしてS・Tクリーチャー『光神龍ベティス』を召喚っ!追加で俺のドラゴンが破壊された事で墓地に眠っていたこいつらを呼び起こす。地獄の底から蘇れ『黒神龍グールジェネレイド』を3体召喚!」

 

 シールドと墓地から更に援軍を呼び出した。チェリンのシールドはあと一枚。このまま行けば勝てる。

 

《なかなか粘るな。あの猛攻を耐えしのげるデュエリストはそうはいない。とどめには我を使え。そしてお前の力を知らしめろ!》

 

「いい加減にしろよ………今のままでも十分に勝てる。これ以上の過剰攻撃は無意味だ!」

 

「どうしたんだ急に?」

 

「独り言………にしては様子が変ですね」

 

 突然叫びだした大輔の周りが動揺する。その中で三玖はどこか不安を感じていた。

 

(何でだろう?凄く嫌な予感がする……。この時点で勝ちは決まっているのに不安しか感じない。お願いダイスケ、無事に戻ってきて!)

 

 見ているだけの三玖はただ祈る事しか出来なかった。

 

《いずれお前はさらなる強敵にぶつかる。この守護者以上のデュエリスト、そして我をかつて操ったあの男にも相まみえる。その時お前はあの娘を守り切れるのか?》

 

「俺は三玖を守る、そう約束した。相手が神だろうが大魔王だろうが関係ねぇ……煉獄の覇者なんぞに興味はみじんもねぇ、俺はただ楽しくデュエルがしたいだけだ!」

 

《なら試してやろう。お前が我に飲まれるのか否かを!!》

 

 声が消えると同時に、大輔は心臓がドクンッ!と大きく高鳴るのを感じた。

 

 身体がどんどん熱くなり、息が荒くなる。

 

《お前の身体を乗っ取る。それに抗ってみよ》

 

「テメェっ……!」

 

 立っているのも限界になりその場で膝をつく。

 

「大輔!」

 

「どうしましたか!?」

 

「ダイスケッ!」

 

「来るなっ!」

 

 心配になって駆け寄ろうとした三人を大輔は制した。

 

「来ないで、くれ……正直どうなるか……俺にも判らない…。出来るなら皆に、危害を……加えたくない………ぐっ!!」

 

《受け入れよ、我に委ねよ、目の前の敵を焼き払え!!》

 

 再び鼓動が高鳴り、大輔の意識は飲み込まれ、別の意識が身体を支配した。

 

 膝立ちの状態から大輔?は立ち上がったが、どこか様子が変であった。

 

 顔を上げた大輔?の目は、元の黒い色から深紅といえるくらい紅い色に変わっていた。

 

「ふふふ………はっはっはっはっはっ!!!ついに………ついに肉体を手に入れたぞ!!あの忌々しいデュエルマスター・アダムの封印から幾星霜。カードになってからはヤエサルにさえも危険と見なされ封印され続けてきたが………これで我は解放された!ザキラもいない!アダムもいない!ヤエサルに至っては死んだ!我を縛り付けるモノは存在しない!」

 

 突然高らかと声を上げる大輔?に全員が動揺を隠せなかった。

 

 だがグレンとエレナはそれ以上にこの大輔?から感じる気配に、どこか覚えがあった。以前にあれと同じ威圧を持つ存在を見た事があるからだ。

 

「まさか………そんなまさか!?」

 

「こちらグレンだ!地下の重要封印保管庫に隔離封印されたカードはちゃんとあるよなっ!?」

 

 グレンが端末で部下に連絡をつけてそれの確認を急がせた。

 

「なんだと………封印していた『ドラゲリオン』が消えているだと!?」

 

『確認したところ、デュエルが始まる少し前に突然消えて………まさかドクターやカイト様の封印を破るなんて』

 

「やっぱ科学の力だけで抑えきれるもんじゃねぇ代物だったって事か………」

 

「グレンさん……あれ何なんですか?ダイスケが……ダイスケが!」

 

「大輔さんは今あるカードに意識を乗っ取られているのです。少し前に異世界に繋がるゲートをめぐった戦いにおいて、ジャマー団側について私達守護者をたった一人で一蹴し、自らの欲望を叶えようとした男――――元ガルドのリーダー・ザキラのエースカード『アポロヌス・ドラゲリオン』によって!」

 

「よく気付いたな光の守護者よ。そうだ、我が名は『超神星アポロヌス・ドラゲリオン』!!全てを焼き尽くし、全てを支配する煉獄の不死鳥!!」

 

 最悪の出来事が正に今起こってしまった。

*1
条件を満たす事でコスト0で召喚や呪文を唱える事が出来る

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