愛が欲しい一番星と愛を知りたい転生者   作:だんご大家族

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 ようやく投稿できますが、ハッキリ言ってクソオブクソ展開です。なんでこんな展開になってんですかねぇ。頭悩ませ続けて知恵熱で寝込みましたよ。(自業自得

 私はただアイ生存の都合の良いハピエンを見たいから書いたんであって、鬱展開なんて1ミリたりとも望んじゃいないってのに……
 それもこれも全部いっちばん初めに変な設定ぶち込んだ作者が悪い! ……私だよちくしょう。



 11/30 タグに「原作改変」を追加しました。


八話

 アイが目を覚ました時、そこは室内だった。

 まだ意識がはっきりしない寝ぼけ眼で見慣れない天井から視線を移す。パンパンに詰められたゴミ袋や無造作に捨てられている缶やカップ麺といったゴミだらけの狭い部屋。その真ん中に敷かれた敷布団の上にアイは寝かされている。

 どこだろ、と起きようと腕を動かそうとして、上手く動かせなかった。見れば、頭の上で両手首を縛られていた。

 少しボーッとしていたが、次第に意識がはっきりしていき、そしてアイは意識が途切れる前の記憶を思い出した。

 

 悠の指示でスタバに向かい、オススメのカスタムをして席に座って悠を待とうとした。そこで声を掛けられたのだ。

 

『見つけたわ。久しぶりね――アイ』

 

 かすかに聞き覚えがある声だった。

 変装しているので無視すればよかったのだが、誰か気になったアイは振り向いてしまった。

 自分に似た髪。自分に似た顔。自分に似た瞳の――

 

『お、母さん……?』

 

 だから、反応してしまった。

 答えてしまったら、もう誤魔化しが効かなかった。ニコッと嘘を張り付けた(・・・・・・・)笑みを浮かべて近寄ってきた。

 

 そこからは母親の独壇場だった。

 捲し立てるように一方的に会話し、店を連れ立って出て行こうとする。後から付いて来ていたのか、さっき悠に近寄ってきた黒服の女性が声を掛けてきたが母親には通用しない。かつての記憶も思い出してきてしまい、母親の言葉に頷くことしかできなかったアイは、母親に連れられ外に出た。

 すぐにタクシーを呼び止め母親は行き先を告げると、

 

『歩いて疲れたでしょう。ほら、お母さんの膝の上で休みなさい』

 

 力づくで膝の上に頭を寝かせ、口と鼻を何か布で塞がれて。しばらくすると瞼が重くなって。

 そこからの記憶はなく、今まさに記憶が繋がったところだった。

 

「あん? おい、もう目を覚ましてんぞ。ちゃんと嗅がせとけよ」

 

 軽薄そうな声。声のした方へ顔を向けると、見たこともない男が明後日の方に声を発していた。人の顔と名前が一致しないことが多いアイだが目の前の男は本当に記憶の底まで思い出しても見つからない。

 

「アンタが指定した容量でキチンと嗅がせたわよ。低級品でも掴まされたんじゃないの?」

「ちっ、つかえねーな」

 

 男と話している声だけはさっきも聞いてわかっていた。

 視線を向ければ、部屋の隅で母親がアイの財布を漁ってるのが見える。

 

「お母さん……どうして……」

「……」

 

 呟いた声が届いたのか、母親は財布から視線をアイへ移す。

 だがそれは一瞬だけだった。すぐに目は娘から財布へ戻り入っていた万札を躊躇いなく抜き取り、財布を捨てて数えだした。

 

(ああ……そっか。お母さんはもう、私なんかよりお金なんだ)

 

 タクシーに乗った時は家族に戻れるかもしれないと、また愛してくれるんじゃないかと心のどこかで期待していた。

 そんな淡い願いは目の前で目を輝かせて万札を数える母の姿で砕け散ってしまったが。

 

(あ~あ……、誕生日だからって、佐藤社長が普段よりたくさん渡してくれたお小遣い全部、財布に入れなきゃよかったな~)

 

 場違いな感想が浮かんでしまうアイ。

 そんなアイへ男が顔を近づけてくる。いつもはしないはずなのに、無意識に顔を背ける。

 

「にしても本当にあのB小町アイがテメェの娘だとはな。おい、本当に娘を好きにしていいんだな?」

「アンタが契約を守るんなら好きにしてちょうだい」

「へへっ、アイドルとは一度ヤッてみたかったが、まさかアイとヤれるなんてついてるぜ。OK、あんな契約安いんもんだ」

 

 下卑た笑みで舌なめずりする男の顔に、アイは本能が悲鳴を上げるが、

 

「えーっと……、ヤるって何をするのかな?」

 

 こんな時でも無意識に嘘の笑顔で男に尋ねる。

 いつもはこうすれば相手は答えてくれる。……いつもであれば。

 

「あ? 黙れ」

「え?」

 

 気付いた時にはパシンと乾いた音が聞こえた。頬が熱をもってジンジンと痛み出す。叩かれたと気付いたのはその後だった。しかし、気にする暇もなく男はアイの胸倉を掴み上げ、

 

「何ヘラヘラしてんだ、あ? 俺の顔が笑えたってか? アアッ!!?

「ひっ、ち、ちが……っ」

「だったら笑ってんじゃねぇよクソガキがッ! わかったか!? わかったなら返事をしろ! 返事ィッ!!」

 

 男性の顔を間近で見るのは悠で慣れているはずなのに。

 怒られるのも壱護から何度も叱られているはずなのに。

 怖かった。ただただ怖くて、真正面からの怒声にアイは震える声ではい、と答えるしかできなかった。

 ふん、と男は胸倉を掴んだまま布団に放り、

 

 ビリィッと力任せにアイが着ている服を引き千切った。

 

「……ぇ……」

 

 何をされたのか、思考が追い付かない。いや、理解はしている。服が引き千切られて下着が露わになってしまっている。だけど、頭ではわかっていてもアイは動けない。

 

「そうそう、その顔だ。その呆然としている顔とかが見たいんだよ俺は」

 

 ニヤついてアイを見下ろす男は近くの机に置いてあったデジカメを手に取ると、躊躇うことなく下着姿を露出させたアイに向かってシャッターを切った。

 シャッター音もフラッシュも何度も経験しているのに、反射的に顔を背けてしまう。

 

「イイね、もっと服をはだけさせてみるか」

 

 アイの下腹部に馬乗りのように跨ぐと、引き千切った服を更に破き、ブラをズラそうと手を伸ばす。

 

「っ……や、やだっ! いやっ、やだよぉ!」

「うおっ」

 

 言葉を失っていたアイは我に返り、男から抜け出そうと藻掻く。

 

「お母さん! お願い! 助けてお母さん!」

「……」

「愛してくれなくてもいい! だから今だけは助けてよぉ……!」

 

 興味を持たれていないとわかっていても、それでも助けを求めた。

 しかし、

 

「うっさいわねぇ……」

「お、かあさん……」

「だいたいアンタアイドルやってんだから、その体で仕事貰ってるんでしょ」

「貰ってない! そんなことしてないっ!」

「あーあー知らない知らない。さっさとあたしのために犯されなさいよ」

「そん、な……」

 

 助けを求めた手は、あっさりと払われた。

 手の中で数え終わった紙幣を全て自分の懐に仕舞い込んだ母親は今度は化粧品等を入れたコスメポーチを漁り始める。中身を見て一喜一憂している母親の姿を見て、今度こそバキリと何かが折れた気がした。アイはそれが母親との繋がりだったんじゃないかと沈む思考のなかで思い至った。

 

「茶番は終わったか? だったら……こっちを無視してんじゃねぇッ!!」

 

 また男の叫び声。それと何かを破壊する音。ゆるゆると顔を向ければ、男の手には金属バッドが握られ、デジカメが置いてあった机に金属バットを叩きつけ破壊していた。そして、その金属バッドを突き刺すように先端を振り落とした。

 叩きつけたのはアイの顔の真横。憤怒の形相を浮かべていた男だったが、アイの顔を見た途端、またすぐにニチャと顔を歪ませる。

 

「ハハッ、ヤるまえからその表情ってことはよほど母親に拒絶させられたのが効いたみたいだな」

 

 金属バッドを放り再びアイに向かってシャッターを切っていく。

 アイはもう顔を背けることもしない。ブラをズラされ、その拍子に胸を触られても反応もしない。

 

(もう、いいや……。嘘をついてたバチがいつか当たるって思ってたけど……そっか、今日だったんだ……)

 

 浴びせられるフラッシュの光とシャッター音から反射的に顔を背けることしかできないまま、アイはされるがままに撮られる。

 

 わかっていたことだった。

 昔から嘘をつくことだけが得意だった。敵を作らないように、誰からも好かれるように嘘をつき続けた。

 アイドルになってからもそれは変わらない。周囲の人間から、もっと大勢のファンたちに増えただけ。

 でも、いつかこの嘘が本物になってほしいと願ってた。

 

 

 ――負けないわよアイ!

 

 ――まったく……こっち来なアイ。

 

 ――くふふ……あらアイちゃん。見ましたね。

 

 

 楽しかった。嬉しかった。三人の前では嘘をあまりつかなくてもよかった。本当のことが言えた。ミネはクールを装った負けず嫌いで、ナベは口は悪いがなんだかんだ面倒見がよかった。ニノは時折おかしくなるが、最近はそれを見るのが怖くとも楽しくなっていた。

 

 

 ――ま、また何かやらかしたのかクソアイドル!? ……仕方ねぇな。

 

 ――どうしましたか? アイさん。

 

 

 いつも迷惑をかけていたのに、壱護はなんだかんだしっかり対応してくれる。ミヤコも壱護と同じように迷惑をかけていたのに、しっかりと意見を聞いて良いか悪いか応えてくれた。似たもの夫婦で、一応養子だったから、冗談でも一度ぐらい父や母と呼べばよかったかもしれない。

 

 そして――

 

「――あら、良いピアス。やっぱり貢がれてたんじゃない」

 

 不意に届いた母親の声。

 見れば、母親が手に取って見ているのは、ついさっき贈られた箱で、

 

 

 

 ――アイ。

 

 

 

 

 それは。

 それだけは!

 

 

「ダメぇええええええッ!!!」

 

 

 腹の底から叫び、今出せる全力で上半身を起こし、馬乗りになっていた男に頭突きを見舞う。突然のアイの行動に男は回避もアイの動きを止めることも出来ずに頭突きを胸にくらい、後方へもんどりうつ。

 それを見届けることなくアイは母親へ跳びかかった。母親もアイの行動と男が引っくり返ったことに驚いて固まっていた。

 

「ちょっ……なに……離れなさい、よっ!」

「んぐっ……!」

 

 縛られている両手で箱を掴み引っ張るアイに、驚きつつも母親は取られまいと抵抗しアイを振りほどく。振りほどかれた勢いでアイはベランダへ続く引き戸まで吹き飛ばされる。

 

「いきなりなによ、まったく……」

 

 悪態をつくが、すぐに箱の中からピアスが無くなってることに気付いた。吹き飛ばしたアイを見れば祈るように両手を握り合わせていて、母親はアイがピアスを取り返すために飛びかかったのだと理解した。

 同時に、財布や化粧品は目を向けずピアスだけを取り戻したということは、あのピアスは相当高価な物だと判断した。

 

「アイ、そのピアスを――」

 

 渡しなさいと言おうとした。

 その声は、

 

「やりやがったなクソガキャアッ!!」

 

 男の絶叫に搔き消されたが。

 男にとって女は都合の良い存在だ。そんな相手に頭突きをされただけでなくひっくり返されたのだ。怒りは先程までの比ではない。

 (うずくま)っているアイを視界に捉えるや、大股で近づき、その勢いのまま蹴る。

 蹴る。蹴る。蹴る。

 アイは痛みに呻いたり声を上げるが、決して握り合わせた両手だけは開かなかった。

 

「ちょっとやり過ぎよ! 死んじゃったらどうすんのよ!」

「ハァ……ハァ……るっせぇ。黙ってろババァ」

「バッ!?」

「ヤってから風俗にでも堕としてやろうと思ってたが気が変わった。舐めた真似するガキなんざ、ヤり壊してそこらの浮浪者に二束三文で売り付けてやらぁッ!」

 

 少し遠くなったような男と母親の声を聞きながら、アイは握り合わせた手を少しだけ緩めた。カーテンの隙間から僅かに漏れる光をピアスが反射して鈍く輝く。これだけはどんな目にあっても手放さない。ああ、でも。

 

「……けて」

 

 もうここから逃げることは諦めている。それでも、唇は小さく戦慄いた。アイに向かって近づいてきた男が、頭を掴んで押さえつけ、ズボンに手を伸ばしてくる。両手を握り合わせ、目を閉じながらアイは今はもう唯一の家族の名前を囁いた。

 

 

 

 

「助けて――ハルカ」

 

 

 

 

 その時だった。

 先程男が発していた怒号よりも凄まじい音が部屋に轟いた。次いで、何かが壁に叩きつけられるような音がする。

 アイは自分の体に誰も触れていないことに、恐る恐る目を開けた。夕日を背に、他の誰でもない自分自身だけを見つめる家族に、ふわりと自然と顔を緩めることができた。

 ――ああ、やっぱりあなたは、

 

「いつも私を見つけてくれる」

 

 

 

 

 辿り着いた古く安そうなアパートの一室の前で、自分は一呼吸吐いて拳を握り締め、ノックする(ぶん殴る)

 

「――二連釘パンチ(・・・・・・)

 

 打ち込んだ一撃が蝶番を壊して扉を外し、釘のように続けて打ち込まれた二撃目で扉をぶち壊し、奥の壁に叩きつけられる。ノックはしたのだ、挨拶もなく自分は部屋の中に土足のまま上がり込んだ。部屋はゴミだらけで、部屋の隅にはアイに似た年嵩の女。ベランダへ続く引き戸の近くには何かを押さえて自分に向かって叫んでいる男と。

 それと。

 服を引き裂かれ柔肌が露わになって、

 暗くて見ずらいが、けれど露出した肌が赤く腫れて、

 蹲っている……押さえつけられているアイの姿が、そこにはあった。

 

 

 

 

 

『――あら、とうとうバレちゃった』

 

 

 

 

 

 不意に前世の記憶がフラッシュバックする。

 違う。やめろ、キミとアイは違う。そう否定するが嫌でも記憶は引きずり出される。ブレる視界でアイの姿がぼやける。

 だけど、

 

 

 

 

「いつも私を見つけてくれる」

 

 

 

 

「――ぁぁ

 

 不意に聞こえた小さな囁き。その言葉がブレる視界を正常に引き戻していき、次第にアイの姿がハッキリとして――

 

 アイは……笑っていた。

 頬を殴られたのか赤く腫れていて痛むはずなのに、嬉しそうに微笑んでいた。

 

 ああ、君は信じてくれたのか? こんな目に合わせてしまった俺を。探すのに時間が掛かって、君がそんなになるまで追いつくことができなかった俺を。

 視界が少し滲むが無視してアイの元へゆっくりと近づく。途中、何か叫んでいる男が間に挟まってきたし横からアイに似た女も叫んでいる。だが、そんな声は耳に聞こえないし、何より邪魔だ。男が伸ばしてきた手を掴んで後ろへ放り投げる。女――恐らくアイの母親だろうか――は威圧を込めて睨みつけた。アイの元へ辿り着き、外の光を遮っているカーテンとアイの手首を縛っている紐を引き千切り、アイを抱き上げてカーテンで肌を隠す。汚いかもしれないが我慢してくれ。

 

「ハルカ……」

ごめん。ごめん、アイ……

「どうして謝るの?」

俺がアイを一人にさせたからこんなことになったんだ。あのまま話を聞いておけばよかったんだ……

「声がガラガラ。それに……泣いてるの?」

 

 アイの手が俺の頬に触れる。自分では気づかなかったが視界が滲んでいたのは泣いていたからだったようだ。

 

「……みたいだ

「……ハルカが泣いてるとこ初めて見たかも。きゃわ~」

こんな時まで嘘を……いやいい、少しだけ待っててくれ。すぐに終わらせるから

 

 アイが頷いたのを見て、俺は引き戸にアイをもたれさせる。

 涙を拭い、もう一度息を吐く。

 

 ――もう、いいよな。

 これまで何年も感情を抑えてきた。でも、ここ数日は感情を揺さぶられることが多すぎたし、トドメにこれだ。

 

 だから、これ以上もう――抑え込まなくてもいいよな

 

 

 

 

  ★★★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

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