愛が欲しい一番星と愛を知りたい転生者   作:だんご大家族

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十二話

「それで? 何故いるはずのないあなたがこの場にいるんでしょうか? 社長」

「それは俺も聞きてぇよ……朝方、事務所を出たら、急に薙切家の黒服に囲まれて、あれよあれよと言う間に連れてこられたんだよ。──で、ここどこ?」

 

 ──あれから。

 えりなさんの側近へ誤解を解き、わたくしを見てから取り繕う社長を無理矢理一人用の椅子に座らせて、どうにか場の鎮静化を図る。

 確かに知り合い、というか雇い主ですが、ここにいるなんて想定できませんって。

 会場ではイベントが始まり仙左衛門様による開会の宣言がされているが、お兄さんの姿は見えない。

 

「遠月学園、名前ぐらいは知ってるでしょう。──仕事の方は大丈夫なんですか?」

「ああ。ギリギリでミヤコやスタッフたちに引き継がせることができたし、今日は俺がいなくても問題なく回る案件だけだからな。──マジか、ここがあの有名な遠月学園……敷地、広すぎだろ」

「ウチの事務所、万倍に増やしても土地が余りますよ、きっと。流石にこの件は仙左衛門様に苦情の一つも申し上げておくべきですね……」

「ヤメテ!? 食の魔王に文句なんて言ってみろ、ウチみたいな事務所、あっという間に吹き飛んじまう!」

「申し訳ありませんニノさん。黒服の無茶な連行は、おじい様には報告しておきますので」

「……あのぅニノさん? つかぬ事をお聞きしますが、そちらのお嬢さんはもしかしなくとも?」

「もしかしなくとも、食の魔王のお孫様です」

「……。……、……大変申し訳ありませんでしたっ」

 

 流石に幼いとはいえ、付き人がいるので無礼な言葉で聞かなかった。仙左衛門様の孫とわかった途端、土下座しようとしないでほしいが。えりなさんも、

 

「い、いつも通りでかまわないわ」

 

 とちょっと引きながらもフォローしてくれる。

 溜め息を吐きながら、社長を無理矢理起き上がらせ、わたくしが間に入り、互いに相手を紹介する。えりなさんの方は、苺プロの社長と知ると、あなたが、なんて呟いていた。こんな人ですみません。真面目な時は頼りになる方なんですよ?

 

「来てしまった以上、仕方がありません。社長、ここは開き直って楽しんでください」

 

 側近に飲み物を頼み、すぐに運ばれてくるソフトドリンクを社長に手渡す。私はともかく10に満たない子どもがいるんです、アルコールは我慢してほしい。

 

「緊張で楽しめねぇって……そもそも、何のイベントなんだ?」

「それも聞いてないんですか?」

「両脇を黒服に挟まれて怖くて何も聞けなかった……」

「はぁ……。ああ、ごめんなさいね、えりなさん。聞きたいことがあったでしょうに」

「い、いえ! 元はといえば薙切の者の伝達不足ですので」

「ほら、社長。あなたの半分にも満たない幼子が堂々としているんです。もっとシャキッとしてください」

 

 話を切って、ひとまず今度はえりなさんとB小町について話す。どうやらえりなさんはアイちゃん推しで、後ろに控える側近の新戸緋沙子はナベちゃん推しみたいだ。わたくしの推しじゃないのは少しモヤッとしないわけではないが、アイちゃん推しならヨシッ、ですね。ついでに側近にナベちゃん推しの理由を聞いてみれば、B小町四人の中で一番サポート役が多いが、どのサポートも他のメンバーを目立たせるよう動く姿に感銘を受け、是非自分もそんな風にえりなさんを支えたいとのこと。もちろん、センターで歌う姿にも惹かれたみたいだが、なかなか珍しい視点からの推し方だった。

 それからさっき見せていたアイちゃんのサイン入り扇子を見せる。口数は少なかったが、瞳にバッチリ「いーなー欲しいなー」なんて書いてあったのは年相応の少女でした。今度、アイちゃんにお願いして一本プレゼントしてあげてもよさそうですね。わたくしみたいに堂々と使うことはないでしょうが。

 

「……あ、悠お兄様」

 

 話が弾んでいると、不意にえりなさんが呟く。珍しくコックコートを着ているが、間違いない。お兄さんだ。それにしてもえりなさんもお兄様呼びではややこしいことになりそうですね。えりなさんの前では悠さんと呼んでおきましょう。

 

「やっぱ悠絡みかぁ……」

「説明を途中ですっぽかしてましたね……とはいえ、わたくしも詳しくは知らないんですが。おそらく仙左衛門様と悠さんの間で話し合いが行われ、それが食戟……を知らない社長に簡単に説明するなら、料理対決に発展したのだと思いますが」

「ほぼニノさんの予想通りです」

 

 というか、ここからではお兄さんの声が聞こえないんですが。困ってると、側近が気を利かせてモニターを起動させ、モニターからお兄さんの声が聞こえてくる。

 

『ごちゃごちゃと鬱陶しい。後にやることが詰まってるんだ。やるのか? やらないのか? はっきりさせろ。やらないのならさっさと辞退しやがれ。不戦敗したところでお前らに損はないだろ。……名前に傷が付く程度だ

 

「ああもう、あの馬鹿たれが……なんでケンカ腰なのかねぇ!?」

「悠お兄様は、子どもや身内以外にはああ(・・)ではないの?」

あいつ、そんな風に呼ばれてんのな……まさか。相手によって変えるが、基本あいつは、初対面なら猫被って礼儀正しい青年で通してますよ」

「初めてお会いした時、おじい様含めて分家の長やシェフたちにも同じ態度だったわ」

「ホント何しちゃってんの!?」

 

 お兄さんの話題でえりなさんと社長の会話が成り立っている。間に立つのが少なくなってホッと息をこぼす。

 そうこうしている間に話が進み、食戟が始まろうとしている。向き合うよう配置された移動式の調理場にお兄さんが立つ。向かいの調理場には五人立っている。

 

「なぁニノ。さっき言ってた食戟っつー料理対決はあれか? 悠が一人で作った料理と並んだ五人が力合わせて作る一品のどっちが美味いかってことでいいのか?」

「……順に答えるならば、人数はノー。味比べはイエスですね。本来であれば複数人同士、それぞれ一対一での勝負が基本です。ですが悠さんはただ一人。なので、一人で五品作り競うということになります。もっと言えば……今回、悠さんが戦うのは五十人。一度の人数は少ないですが、五十食作ることになりますね」

「……んな無茶苦茶な。なんで悠はそんな無謀なことを受けたんだ……!」

「受けたのではありません。食戟は、悠お兄様からお爺様へ申し込み、対戦方法も、賭けるものも全て、悠お兄様が決めました。イベントの段取りはお爺様ですが」

 

 えりなさんの言葉に、社長はもちろん流石のわたくしも驚く。

 食戟の開始の合図を背景に、えりなさんの口から事のあらましを説明してもらうのだった。

 

『連隊食戟1st BOUT──開戦です!!』

 

 

 

 

  ★☆☆☆

 

 

 

 

 それは悠が仙左衛門に食戟を申し込んだ時のこと──

 

『儂と食戟、だと……? 』

『ああ。それが一番手っ取り早いし、反対するアンタの部下も黙らせられる』

『……だが、儂は料理人ではない』

『確かに爺さんは料理人じゃない。だから実際に食戟するのは爺さんじゃない』

『では……いや、遠月の生徒か』

『大正解。アンタの思想、主義、その他諸々を学園というカタチで取り込んでいる遠月生徒と戦わせろ』

 

 

『……仮に受けたとしよう。誰と食戟をするのだ?』

『誰と、じゃない。一人相手にしたところで納得すると思うか』

『……思わんの』

『だろ。なら、やることなんて集団戦しかないわけだ。あっただろ? 食戟の集団戦』

『連隊食戟まで調べておったか。ここ数年は遠月でも憶えている者は久しいというのに』

『十傑評議会? は全員参加として、そうだな……四、五十人ぐらいぶちのめせば文句も出てこないだろ』

『十傑に挑むつもりか……!』

『学園の頂点が遠月十傑評議会なんだろ。当たり前だ』

 

 

『そこまで調べ上げているならば、食戟に必要な条件も知っておるな』

『認定員と奇数名の判定者。対戦者……自分と爺さん両名による勝負に関する合意』

『そして、互いに敗北した際に差し出さなければならぬ対価。悠、お主は儂に何を望む?』

『そうだな……薙切家当主が行使できる権限の一部。さしずめ当主代行権、そんな権力(ちから)を』

『ならばそれに見合う対価はどうする。生半可な物では対価にはならんぞ』

『……ある。食の魔王が飛びつくとびっきりの食材(もの)が』

『なに……?』

『そうさな、手頃に、レベル20の──。まずはこんな物だな』

『レベル?……タッパーの中に切り分けられた……林檎? この林檎が対価、だと?』

『食べてみてくれ。毒見が必要なら先に食べるが』

『いや、食べよう。……──、──ッ!!』

 

『……ただの林檎で、おじい様がおはだけを!?』

 

『馬鹿な、……林檎の王様と呼ばれるサンふじという品種がある。更にその中から選び抜かれた最高品質の林檎、飛馬(ひうま)ふじを軽々と超える美味、だと……!? 』

『……』

『この林檎をどこで……!』

『林檎だけじゃない。自分は何十と、アンタが知らない食材を知っている』

『馬鹿な……ありえん』

『それを薙切仙左衛門、あなたが存命の限り、その全てを提供し続けよう。これが自分が出せる最大の対価だ』

『……』

『生憎とこの身を全て差し出すことは出来ないが、今の私生活を維持させてくれるのなら、爺さんの好きなように傘下に置き、この身と食材を使い潰せばいい。──対価として如何に?』

『…………、……よかろう』

 

 

『──こんな感じで、開催するのはどうだ? 外から人を呼べば、長共がいても不自然はない』

『模擬連隊食戟か。それならばよかろう。だが、何故生徒が敗北した際の代償を求めない』

『負けても何も失わず、勝つだけで戦利品を獲られる状況の方が喰いつきやすいものだ。そもそもの話、生徒には本来関わりないことで、ある意味迷惑(こうむ)るんだ。付けないのが普通だろ? あと、アフターフォローもしとけよ』

『……そういった優しさは、未那譲りか

『なにか言ったか?』

『いいや。後のことは儂が執り行う。日時が決まり次第、連絡しよう。──当日を楽しみにしておる。大言壮語を言い放ったのだ、決して無様な姿を晒すでないぞ我が孫よ』

『はっ──上等だ、首洗って待っていろクソジジィ』

 

 

 

 

  ★☆☆☆

 

 

 

 

「さて──どう見る? 仙左衛門」

 

 過去を思い返していると、隣に座る麟之助が聞いてくる。

 主語はないが、聞いてきたのは今し方、調理を終えて審査が行われている悠の料理の実力に付いてだろう。

 

「五人相手に制限時間内に調理を終えた以上、腕は悪くはない。しかし……」

「あまりに普通すぎる──そう言いたいのであろう」

 

 彼が言うであろう言葉を引き継いで口にすれば、麟之助はうむと頷く。

 対戦中の調理の様子は、全ての調理台に取り付けたカメラを通じてモニター越しに観客全員に見れるようにしている。五人の学園生徒はもちろん、悠の調理の風景も鮮明に映し出されていた。確かに本来一品作る時間で五品を作れるのであれば、上々とも言える。しかし、調理の腕、選択した料理、どれも普通なのだ。

 

『判定が出ました! 1st BOUT第一カード、勝者──挑戦者、薙切悠!!』

 

 ──だが、なんだこの違和感は。

 そう感じたのは仙左衛門や麟之助だけではなかった。十傑含む一部の生徒・来賓もそう感じていた。料理を給仕(サーブ)し終え、気負った様子もなく佇む悠に特に何か変わったところがあるわけではない。審査員の前に出された料理も至って普通の見た目。こんなものか、と審査員含めて誰もが思った。

 

「五品作り終えた後だというのに、汗すらかいてないとは……」

「だが、調理は時間いっぱいかかっていた。到底、余裕だとは……」

 

『第二カード、勝者──挑戦者、薙切悠!!』

 

『第三カード、勝者──薙切悠!!』

『第四カード、勝者──薙切悠!!』

 

 なのに、悠の料理を口に入れた途端、審査員の誰もが言葉を失い、口々に美味いと称賛し、

 

『だ、第五カード並びに1st BOUT、勝者──薙切悠!!』

 

 誰一人、悠以外の料理に票を入れることはなく、五品全ての判定は3―0と表示される。観客のざわめきが広がる中、悠は特に感情を浮かべることなく、1st BOUTの終了を告げられた。

 

 

 

 

「……ふぅ、どうにか勝ったか。なぁニノ。食戟ってのは調理時間が終わるまでは審査しないルールなのか?」

 

 緊張が解けたように息をこぼしソファにもたれる社長。見ている間、ずっと心配そうにハラハラしてましたからね。

 聞かれた疑問に答えるために口を開く。

 

「わたくしも詳しくは……えりなさん」

「いいえ。調理が完了次第、審査員へ給仕しても構いません。もちろん、反対に時間ギリギリまで調理することも可能です。……ですが、何故?」

「いやね、さっきの調理はやけにゆっくりだなぁと思ってな。いつも作る時はもっと早いんですよ、あいつ」

「……ゆっくり?」

 

 お兄さんが勝ったことで調子を取り戻してきたのか、えりなさんの質問に敬語も多少外れ、いつもの調子で答えた。

 そういえばそうでしたね。お兄さんであればもう少し早く調理し終えたはずでしょうに。

 えりなさんは社長の言葉を聞いて、オウム返しのように呟く。

 

「ゆっくり……ゆっくり!? どういうことですかそれ!」

「うひゃい!?」

「え、えりな様、落ち着いてください! さ、斎藤殿! あなたの言葉が確かなら、今見せた悠様の調理は本気ではなかったと?」

「あ、ああ。本気かどうかまではわからんが、家ではもっと早い調理は何度も見てるんで」

「……本当ですか? ニノさん」

「そうですね……」

 

 ああ、そうか。

 後方から見ていたから観客たちの様子も見えていたが、一部の方々は戸惑ったような表情を浮かべていたのだ。どうしてかはわからなかったが、社長の疑問とえりなさんの驚きでなんとなくわかった気がした。

 

「様子見を兼ねて、本来よりも遅いスピードで調理しましたね、あの人」

 

 例えばだが、本来の動きよりも遅くしようと動こうとしても、普段のような動きをしてしまいそうになり、どこかで動きに乱れが生じてぎこちない動きをしてしまう。それと同じで、相手に合わせるように作業を遅くしたり、時間を延ばそうとして、それが一部の方々には違和感に感じたのだろう。真意に気付けたのは、この中でもっともお兄さんの料理する姿を見ていた社長がいた、この部屋の人間のみ。

 

「あの調理速度で手加減……」

『えー、これから一時間の休憩に入ります! その後、2nd BOU……』

『必要ない。このまま二回戦に入ってくれ』

 

 えりなさんが驚いている間に、司会役が進めようとしたが、お兄さんがそれを遮る。

 

『へ、で、ですが、生徒側はともかく薙切選手は連続になります。それでは……』

『問題ない。それと──学園総帥!

 

 中立的な立場で司会役はお兄さんを心配するが、お兄さんは切って捨てるように言い放ち、仙左衛門様に向かって叫ぶ。

 

『さっきも言ったが、この後も予定が詰まってる。それに五人程度では相手にならない。てっとり早く次の試合──十五人出してくれ』

 

 お兄さんの要望に観客のざわめきがここまで伝わってくる。特に違和感……手加減(・・・)に気付かなかった生徒たちの非難の声が強い。だが、違和感に気付けたであろう少数は無言を貫いているし、

 

『──よかろう!』

 

少数派に属している仙左衛門様も、お兄さんの言葉を受けて準備するよう指示を出す。とはいえ、急な変更のため、十五分の準備時間をお兄さんに認めさせたが。

 えりなさんは三倍の人数に心配そうにしているし、社長はまた頭を抱えて唸っている。

 それにしても、後に予定が詰まっているって言ってますけど、何でしょう。現在のアイちゃんの状況的に社長が仕事を押し付けているわけではなさそうですが。

 気になったので、社長を呼び、えりなさんたちに聞かれないよう部屋の隅に移動する。

 すると……、

 

「小鳥遊さんから連絡があって……アイは昨日の夜に産気づいたそうだ」

「……はぁ? つまりなんですか、お兄さんは出産するアイちゃんを放ってこちらに来たと!? という昨日今日だったんですか!?」

 

 信じられない情報に開いた口が塞がらなかった。くっ、お爺様が最終課題を今日にしなければ、今頃見届けられたものを。

 しかし、社長は首を横に振り、

 

「あのバカ娘、周りの人間に口裏合わせるよう頼み込んで、悠にだけ予定日をズラして教えてたらしいんだよ。だから、悠はアイが出産中だって知らないんだ。予定が詰まってるってのも間違いなく出産に立ち会うためだろうよ」

「……あの子は本当に」

 

 何か理由があったのだろう。ですが、これは後日、説教が必要なようですね。お兄さんにも、もちろんアイちゃんにも。ああそれと、わたくしの側近にも。

 互いに溜め息をついて席へ戻る。お兄さんには言いたいことが山ほどあるが、今はもう時間が残されていない。この試合が終われば流石に休憩は取るだろうし、そこで文句を言ってやりましょう。

 予定の時間が経過し、舞台や出場者の準備も整ったことで、

 

『では、模擬連隊食戟2nd BOUT──開戦です!!』

 

 新たな戦いの火蓋が切って落とされるのだった。




Tips『織崎麟之助』:
 織崎家現当主であり店の名と同じ“にしき”の継承者。日本料理界を牛耳る薙切仙左衛門に劣らない影響力を有し、西日本、特に京都・奈良では圧倒的に上。
 趣味は近所の子どもとメンコやベーゴマで遊ぶこと、肉体の鍛錬。服の上からではわからないが、老齢とは思えない逞しい肉体の持ち主である。男性版、着痩せするタイプ。
 仙左衛門とは若い頃からの知り合いで、立場や料理への主義から会うことは少ないが、互いに数少ない本音を語れる友人と認めている。会うたびに己の肉体を魅せつけ合うのは彼らなりの挨拶。漢に挨拶などいらぬ。漢ならば肉体で語れ――的な若い頃からのノリが抜けきらないらしい。

 “にしき”とは織崎家初代“にしき”となった青年が、当時の天皇から頂いた称号。
 日ノ本一の菓子職であると(当時の)国の頂点が認めた証。流石に権力などの力はありはせず、あくまで名誉的な称号とされ、しばらくは一番の菓子職に継承されていったが、いつの頃からか織崎家当主を引き継い者が“にしき”を受け継ぎ、家元や雅号のような意味合いで代々名乗ることとなり現代までに至る。


Tips『普通の料理』:
 テーマの材料を使った特に変わった工夫の見られない見た目一般的な料理。
 ただし、食材・調味料・調理工程の全てが食義や直観によってミリ間隔、コンマ単位で調整されているため、美味さは段違い。様子見のため、制限時間いっぱいまでかかるように無理矢理作ったため、味のランクが少し落ちているが、特に問題なく全て3―0という評価で勝利した。

 子どもの草野球に大人のプロ野球選手をぶち込むような理不尽な食戟であるが、
「権力で追い込んだり、理不尽な横暴が罷り通ったとしても、美味い物さえ出せれば良いんだろ? なら自分の能力(ズル)も問題ないな。悪いのは爺さんだ、ヨシ」
 杜撰な体制の遠月学園に加え、自分たちが日々誰かに対してやってきたことなのだ。それが今日、自分たちに降りかかるだけ。誰も文句は言えない。
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