愛が欲しい一番星と愛を知りたい転生者   作:だんご大家族

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八話

 時間はほんの少し遡る。

 ベビーベッドに入れられたルビーとアクアは、食事の準備を始めた大人たちを眺めながら小声で会話していた。

 

「ねぇお兄ちゃん。さっき社長がお爺ちゃんに頭ペコペコしてたけど、私たちのお爺ちゃんってそんなに偉い人なの?」

 

 会話の内容は自分たちの曾祖父のこと。

 

「社長は事務所内のカーストは低いけど、それでも父さんとアイ含めて皆が信頼している人なんだ。誰かれ構わず頭を下げることなんてしない。だから、あそこまで頭を下げて低い姿勢を取るってことは、僕らの爺さんはかなり立場の上の人間なんだと思う」

「それってどれくらい?」

「うーん……。薙切って苗字、どっかで聞いたことあったから結構有名だと思うんだけど……」

「じゃあ、病院の先生たちで例えたらどれくらい?」

「まだ予想でしかないけど……爺さんが院長で社長が研修医か新人の先生ぐらいかな」

「そんなに違うの!? 私たちのお爺ちゃんヤバッ!」

 

 実際にはもっと格差はあるだろうが、それを双子が知る由もない。

 

「ってことは、実はパパって凄い家の子ってこと? おーそーじって奴とか」

「大掃除? ……ああ、御曹司ね。孫だからちょっと違うけど、あながち間違ってないと思う……。父さんの関係だと、薙切……料理……遠月──あ、思い出した」

 

 もう一度考えた末に、アクアは悠関係のことでとある名前を思い出し、ぽつりと呟いた。

 遠月──遠月学園。

 前世の頃、アクア──雨宮吾郎は東京の医科大学に通っていた。その頃から、一握りの生徒以外卒業できないが卒業者は世界でも名を馳せる料理人しかいないという、とんでもない教育方針の料理学校があると大学の友人から話を聞いたことがあった。そんな料理学校を経営しているのが薙切という一族の当主ということも。つまり悠はその一族の人間なのだろう。

 前世の経歴をぼかしながら、遠月学園のことをルビーに話すと、

 

「と、東京にはそんな学校があるんだ、ヤバぁ……。でも、たかが学校の校長先生をしてるだけでしょ? それだけなら……」

「いや、だんだん思い出してきた。爺さんはそれだけじゃない。というかもっとヤバい」

 

 記憶から引っ張り出したことで色々思い出してきたアクアは話を続ける。

 薙切家当主──つまり仙左衛門は学園総帥だけでなく日本料理界も牛耳る存在であり、その影響力は料理界に留まらず色んな業界にも顔が利くという。

 その見た目と存在から、“食の魔王”なんて呼ばれているとか。

 

「魔王って……まあ? 傷とかあって見た目的には私も怖かったけどさ。意外と優しかったよね」

「魔王でも身内には甘いってことだよ、きっと」

「でもすっごいなぁ。もしかしてパパが料理上手なのも遺伝ってやつ?」

「料理の腕は遺伝じゃないと思うなぁ」

 

 ルビーに説明した話も、噂話で聞いたことをわかりやすく言い換えただけなので、アクアも噂の真偽は知りようがなかった。ただ、壱護があそこまで頭を下げるのなら噂は間違っていないのだろう。その後の壱護さんの姿がカッコいいと思ったのは内緒だ。

 

 話している間に準備が終わり、悠がスープが入ったグルメケースのフタを開け、一緒に持ってきた何かを振りかける。

 すると、スープの上にオーロラが発生するではないか。

 

「……すっげぇ」

「わぁ……!」

 

 大人たちが驚き見惚れたように、アクアとルビーも言葉少なくオーロラに目を奪われる。見上げすぎて、ころんと引っくり返ってしまっても気にせず見続けてしまうぐらいに。

 

「ぴゃっ!?」

 

 母親(アイ)の短い悲鳴を聞き、意識がオーロラから引き戻される。

 なんだ、と見れば、

 

「……ねぇお兄ちゃん」

「みなまで言わなくていい。──さっきの爺さんの話の続きだけど、食の魔王の一族は美味しい料理を食べると服が脱げるらしい。……ちょうどあんな感じに」

「えぇ……」

 

 服が脱げた曾祖父の姿とアクアの説明にドン引きのルビー。

 

「え、じゃあもしかしてパパも?」

「そうだと思うけど……あれ、でも父さんが脱げたとこは見たとこないな。ルビーは?」

「私も見たことない」

「……個人差があるのかも?」

 

 オーロラが消えて、唱和の声と共に食べ始める。口々に美味しいという声や表情を浮かべているのを見て、

 

「……うぅ」

「どうしたルビー? オムツか?」

「美味しそう……私も食べたい」

 

 ルビーは我慢できなくなってしまったようだ。慌てて止めるアクア。

 

「待て待て。離乳食もまだなのに、僕らには食べられないって」

「なに? お兄ちゃんだって食べたいってお腹が鳴ってるじゃん」

「なんで聞こえてんの? いや、待つんだルビー」

「お肉や魚じゃなくてスープなんだからいいでしょ!」

「ちょ、まっ、さり……っ、ルビー!」

 

 アクアの説得もむなしく、ルビーはベッドを囲んでいる柵に掴まり、ベッドの上で立ち上がると、

 

「ぱぁぱ! ぱぁぱ!」

 

 悠を呼ぶのだった。

 

 

 

 

  ☆☆☆☆

 

 

 

 

 瑠美衣に呼ばれ振り向くと、瑠美衣が柵に掴まりながらも立っていることに驚く。転生者といえど肉体は赤子だ、ハイハイはともかく立てるとは思っていなかった。

 

「ルビー……もう立てるようになったのか?」

「えっ……あ、ホントだ! ルビーが立ってる!」

 

 自分の声にアイが気付き、驚きつつも喜んで椅子から立ちあがり、ルビーに近付く。

 

「ハルカ、ハルカ! 写真写真!」

「はいはい」

 

 アイの要望に、ポケットからデジカメを取り出す。藍久愛海と瑠美衣の決定的な瞬間をいつでも撮れるよう必ず持ち歩ているのだ。

 パシャリと撮り声を掛けると、アイは瑠美衣を抱き上げる。ひとりぼっちにさせないよう、撮り終えたデジカメをしまい、自分が藍久愛海を抱き上げて席に戻る。

 

「どうしたのルビー? パパに何か用事だった?」

「まぁま! あれ! あれ!」

 

 瑠美衣が指差したのはスープの入った皿。

 

「もしかして……ルビーもスープが飲みたいの?」

「だう!」

「……どうしようハルカ」

「……困ったな」

 

 瑠美衣の要望にアイと二人で頭を悩ませる。

 スープ自体はまだグルメケースに残っているので出せないことはないが、二人はまだ母乳や粉ミルクだけで離乳食までいっていない。加えて、普段通りに作ったスープなので、赤ん坊の双子には味や塩分が濃いはずだ。確か、離乳食として出す料理は薄めにしなければいけないと本に書いてあったはず。アイも一緒に本を読んで知っていたからこそ、自分に訊いてきたのだろう。

 たぶん大丈夫だろうが、できれば諦めてもらいたい。しかし、アイに抱かれている瑠美衣の目はずっとスープを捉えて離さない。おそらく頭ごなしに駄目と告げても駄々をこねるのは予想できた。いや本当に困った。

 

「えっとな、ルビー」

「……(キラキラ)」

「……」

 

 どーしよ。

 以前、斎藤家で出した時はオーロラが消えた後だったから、壱護さんやミヤコさんが美味しいと言っても特に反応がなかったのに、オーロラ見てからの瑠美衣の圧というかキラキラがすごい。このお願いする時のキラキラ感はアイにそっくりだ。

 

「名桐が言い淀んでる。珍しいこともあるものね」

「最後には折れるとしても、アイにだってちゃんと言うのに。ウケる」

「──」

「ニノは手を止めなさい」

 

 うるさいぞ、そこ。

 ……嫌われるが、仕方ない。母親(アイ)に任せるわけにはいかないし、なにより子どもに嫌われるのは慣れている。

 

「そのスープは大人用で……」

「……(キラキラ)」

 

 嫌われ役は慣れて、いる……。

 

「だから……」

「……(キラ)」

「……、…………っ、………………ほんの少しだけだよ」

「あい!(キラキラキラ)」

 

 ──はず、だったんだけどなぁ。

 ちゃんと説明するはずだったのに、無言の末に自分の口から出たのは妥協の言葉だった。

 

「ハルカが折れた!?」

「食事には割と真面目なあの名桐が!?」

「明日は洗濯、部屋干しにしとこ」

「お兄さんでも子どもには勝てませんか」

「ばぶ」

 

 散々な言われように顔をそむける。抱いた藍久愛海もぺちぺちと腕を叩いて抗議している。「何言ってんだよ父さん」みたいなことでも言っているんだろうな。

 言葉にしていないが、壱護さんとミヤコさんも同じ気持ちだったみたいで口を開いて驚いていた。それとナベ、今週はずっと晴天だから外に干しとけ。あと、ニノはこんな時にだけ我に返るな、スープに夢中になってろ。

 

「だ、大丈夫かなぁ……」

「すまない……」

「うぅん、謝らないで。それにハルカって本当にダメな時は迷ってもしっかりダメって言うし。大丈夫な理由がハルカの中ではあるんでしょ?」

「信頼が重いな。……ああ。一応あるよ」

 

 アクアを抱き直し、片手で準備をする。

 とはいえ、アイの言った通り二人がスープを飲んでも支障はないと予想している。藍久愛海と瑠美衣がスープを飲んでも大丈夫な理由は、出掛ける前の問題とあまり変わらない。粉ミルクと同様、この世界の食材で作った料理なら二人の害にはならないという理由だ。もちろん、何杯も飲ませたり多量の塩分を含ませれば影響は出てくるかもしれないだろうが。

 そう考えると、これからの食事の食材も考えないといけないな。最初はアイとグルメ食材を食べ始めた頃のようにしばらくは普通の食材を基本として、グルメ食材は時々といった感じを予定していたが、はじめからグルメ食材を使う回数は増やした方がよさそうだ。

 

 用意できたスープを並べ、スプーンも新しいのを用意する。もちろん、瑠美衣に飲ませるのだから、藍久愛海の分も用意した。瑠美衣を抱えたアイが椅子を動かして、自分の横に座る。

 一滴手の甲に落として温度を確認する。うん、スープも冷ます必要がない温度だ。

 

「アクア、ルビー。一口だけだからね」

 

 ほんの少し掬い、口元に近付ける。

 それぞれ近付けたスプーンを瑠美衣は勢いよく、藍久愛海は「いいのかなぁ」と最後まで不安がりながらおそるおそるといった様子で唇に挟むように咥えスープを飲んだ。そんな表情は飲んだ瞬間には消え去ったのだが。

 

「──、まう~……」

 

 しっかり飲み込んだ後、藍久愛海は締まりのない笑みを浮かべながら呟く。

 アイと二人で藍久愛海の顔を見て微笑む。

 

 ──ここまでは何も問題はなかった。

 問題は──ここからだった。

 

「アク──んぶっ?」

 

 悦に浸る藍久愛海に声を掛けようとした瞬間、自分の顔に何か柔らかいものがぶつかった。視界が青一色になる。

 なんだ? 手に取り広げて確認すれば、小さな服だった。ちょうど藍久愛海や瑠美衣ぐらいの体に合うサイズの──服?

 

「……え?」

「あ、アクア……?」

「……ばぶ?」

 

 アイの戸惑う声に藍久愛海に視線を戻せば、腕の中の藍久愛海は、

 

()ばぶぅううううっ(なんじゃこりゃぁあああっ)!!?」

 

 オムツを付けただけのすっぽんぽんになってしまっていた。藍久愛海も自分の姿に気付いて叫び声を上げている。

 さっきまで優しい表情で見ていたのに、一瞬で誰もが驚きに染まっていた。

 この現象は間違いなくアレだ。

 

「おはだけ……!」

「馬鹿な、早すぎる……!」

「ば、ばぶぁ!?」

「あ、ああ。寒いよな、すぐに着せるから」

 

 スプーンを置いて脱げた服を拾い上げて手早く着せる。

 自分自身が生まれてこの方一度もおはだけしたことがなかったため、てっきり薙切から外れたことでおはだけはしない普通の肉体(?)になっていると考えていた。まさか自分を飛び越して藍久愛海に受け継がれているなんて想定外だ。

 ──ちょっと待った。

 同時に警鐘が鳴る。直観じゃない。

 藍久愛海がそうだったのだ。じゃあ双子の瑠美衣は──?

 ハッとして瑠美衣を見る。飲んでから静かだったあの子は、

 

「あへぇ、ごくらくじょーど~──……」

 

 あ、大丈夫そうだ。藍久愛海以上に悦に浸って喋ってるが、あれは普通だわ。

 具体的に言えば、東京に戻ってすぐの頃、アイに授乳された後だったり、ミネたち四人から甘やかされた時とか、聞いただけだがお風呂にアイが入れてあげた後の表情がこんな感じらしい。

 けどね瑠美衣。お母さん(アイ)にもたれて体ごと溶けてる恰好はともかく、そのゆるっゆるに崩れた表情は女の子がしちゃいけないとお父さん思うな。

 でもよかった。それだけだ。瑠美衣に薙切の体質はまだ覚醒してないか、あるいは受け継がれなかったようだ。

 ほぅ、と息を吐き、

 

「まさか……神の舌──……!?」

 

 椅子から立ち上がり驚愕の声をあげる爺さん。

 そんな、とえりなちゃんは口を両手で隠して顔を青くしている。

 だけどなんでいきなり神の舌認定?

 ……ああ、そうか。自分やアイは瑠美衣が喋るのを知っているし、苺プロの面々はそういう子だとわかってるから特に気にしないが、薙切側からすれば赤ん坊が食事で喋るということは神の舌を持つ可能性に行きつくのか。

 

 その後、どうにか爺さんとえりなちゃんを落ち着かせ、瑠美衣の言葉はYouTubeやニノの真似して言っているだけだと*1、問題ないことを伝える。だが、と渋られたので神の舌かどうかはもう少し成長して普通の料理を食べられるようになったら調べると言って、この場ではそこで終わることができた。

 

 途中で慌ただしくなってしまったが、スープを食べ終わり、最後にと、

 

「それじゃあ撮るぞ。──はい、チーズ」

 

 カシャリ、とデジカメで並んでいるアイたち八人を撮る。床にペタリと座っている藍久愛海と瑠美衣を後ろから支えるようにえりなちゃんと緋沙子ちゃんが片膝を付いてもらい、二人の隣に推しであるアイとナベ。後ろにミネとニノが並んでいるといった構図だ。あと、瑠美衣は正気に返ってる。流石にあの顔を写真に残すのは可哀そうだろう。

 

「……ん、しっかり撮れてる。それじゃあ出来上がったら直接渡しに行くか、花邑に頼むからそれまで待っててね」

「はい……お兄様。今日はこのような機会を与えてくださり、本当にありがとうございました。(わたくし)は今日という日を絶対に、絶対に忘れまふぇむ……!?」

「何言ってんかね、えりなちゃんは」

 

 まるでもう二度と会えない空気を出しているえりなちゃんの両頬を摘まんでタコチュー顔にしてやる。

 えりなちゃんの背後から緋沙子ちゃんが文句を言いたそうな顔を向けているが無視だ無視。手を離し、目線をえりなちゃんに合わせしゃがむ。

 

「今度は(うち)に遊びにおいで」

「え……でも」

「自分たちも仕事があるからいつでもって訳にはいかないけど、遊びに来るなら歓迎するよ」

「……い、いいんですか? (わたくし)には薙切家としてのお役目があるのに……」

「名家の宿命だとか神の舌だとか、ぐちゃぐちゃ言って子どもに頼らないと回らない仕事なんざクソ喰らえだ」

 

 ぐっと息の詰まる音が近くで聞こえたが、気にせず続ける。

 

「大きくなったら嫌でもやらないといけなくなるんだ。子どもの内は手伝いの延長ぐらいでいいんだよ」

「手伝いの延長……」

「それでも納得できないなら──自分からえりなちゃんに仕事の依頼をしたい」

「い、依頼ですか?」

「時々でいいから家に遊びに来てアクアとルビーの遊び相手になってあげてくれないか? えりなちゃんなら二人の存在がマスコミにバレたらいけないってのはなんとなくわかるよね?」

 

 質問にえりなちゃんは神妙に頷く。

 可能な限り存在を隠さないといけないため、基本的に二人を外へ連れていくことは少ない。今日みたいにバレる心配がない、もしくはバレても対処が可能といったこの施設ぐらいだ。爺さんに認知してもらえたので、自分の子どもとして多少の外出は可能になったが、それでもほぼ家の中で過ごしてもらわなければいけないだろう。

 

「──だから、何の心配もいらないえりなちゃんたちが遊びに来てくれるとすごく助かるし、アクアとルビーも喜ぶと思うんだ」

「……」

「どうかな?」

 

 えりなちゃんはすぐには答えられず、爺さんの方を向いた。爺さんは優しい眼差しで、

 

「えりな。悠の言う通りだ。いくら神の舌にしかできない仕事とはいえ、十に満たないお前に儂らは負担を強いてきた」

「おじい様……」

「全ては無理だが、味見役の仕事はしばらく減らそう。その空いた時間で悠からの依頼を受けてはくれまいか?」

「……はい!」

 

 爺さんの頼みにえりなちゃんは頷き、

 

「お兄様、その依頼、受けます」

「うん、ありがとう」

「こちらこそ──ありがとうございます!」

 

 嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

 後日、出来上がった写真をえりなちゃんと緋沙子ちゃんに渡した。

 サプライズで色紙に貼り付け、アイたちB小町四人の直筆サインが入ったものにした写真を見て、二人は顔を見合わせ、今この時以上の花が綻ぶように笑みを浮かべるのだった。

*1
帰りの車内で「なんでわたくしなんです!?」と突っ込まれた。お前が一番言いそうなんだよ、アイのことになれば特に。




Tips『アクア&ルビー』:
 容姿が怖いだけで優しいお爺ちゃんだと思っていたが、世間では食の魔王なんて呼ばれてることに実際にそんな人がいるんだと驚く。ついでに美味しいものを食べると服が脱げることにちょっと引き気味な双子。
 アクアはセンチュリースープ(合作)を飲んだことで薙切の血が覚醒、おはだけするようになってしまった。
 ルビーは神の舌に間違われる以外は特に変化なし……?
 ちなみにグルメ食材以外の料理なら食べても害はない。ただし、まだ歯が生えていないため固形物は噛めないので無理。


Tips『薙切仙左衛門』:
 食の魔王と恐れられる傑物でも曾孫という不意打ちには対処できなかった。ついでに義理の孫になる(まだ未定? イヤイヤ)アイの呼び方は仙左衛門にとって新鮮だった。
 孫が長い年月掛けて辿り着いた必殺料理(スペシャリテ)を飲むことができて、ご満悦の様子。ただ、曾孫のルビーが神の舌を持ってるかもしれないとちょっと心配。


Tips『薙切えりな』:
 推しに会えると喜んでいたら、兄が子どもを連れてきた。
 目の前で推しを見れて興奮していたら、弟分・妹分の母親が推しだった。
 お願いされて推しを姉と呼んだら、本当に姉になってしまった。
 等々、半日足らずで詰め込まれた情報量に、えりなは帰宅してから数日の間、プライベートな時間に思い出したり、貰ったサインの色紙を見るたびに表情がゆるっゆるになるのを抑えきれなかった。なお、その顔を使用人に見られ、噂になってしまったらしいが。


Tips『新戸緋沙子』:
 えりなと一緒にライブを見て、推し本人から直接サインをもらったりと最高の一日であったが、
「えりな様のご様子がおかしいと聞く。緋沙子、何か知らないかい?」
「えーっと……、その……、わかりません……」
 数日後、父親相手に、慣れない嘘を言うのに四苦八苦したそうな。
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