愛が欲しい一番星と愛を知りたい転生者   作:だんご大家族

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 ここ最近、推しの子界隈? が燃え上が……賑わってますねぇ。まあ、あんな展開になってしまった以上、無理もないかと。
 え? お前はジャンプラ勢なのに何で知ってんだ、ですか?
 HAHAHAHA──SNS等々で流れ弾に当たったからだよぉ! 本誌で掲載されてるからってみんなすぐに画像載せるんだから~……ジャンプラで一週遅く見る人もいるんだゾ。
 まったくもう──許さねぇからな、Xぅ……!

 まあ見てしまった以上、あるいは原作がああなってしまった以上、私がやれることなんて、思いつける愛されアクルビ話を頑張って更に量産するだけです。
 というわけで、予定では幕間書いたら1~2歳頃編(仮称)を書くつもりでしたが、今章、短編で申し訳ありませんが乳児編延長します。


十四話

〈ミニライブのその後〉

 

 

『ばぶばぶばぶばぶ! ばぶばぶばぶばぶ──!!』

 

「なになに……双子の赤ちゃんがヲタ芸をするという異常事態に思わず個レスしてしまうアイドルグループ」

「二十二万リツイート。転載動画も多い上に二、三百万再生……赤ちゃんコンテンツはバズりやすいけど、これは流石に……」

 

 各々に変化のあったミニライブの翌日。

 部屋に集まったミネたち三人とミヤコはスマホでSNSを覗き込んでいた。ミネたちは苦笑や笑顔で。ミヤコは不安そうな顔で。さらにその後ろではアイと壱護、悠が様子を窺っている。

 表示されている投稿ページにはミネが呟いた言葉と双子の赤ん坊が両手にサイリウムを握り締めてヲタ芸を披露している動画が挙げられている。言わずもがなアクアとルビーだ。

 当の二人はニコニコ顔のアイに抱かれてはいたが、バツが悪そうな表情を浮かべている。

 

「悠……弁明は?」

「悪いとは思ってる。けど反省も後悔もない。藍久愛海と瑠美衣が楽しんでたからヨシ」

「そうかそうか、ちょっとこい。……って、クソ重ぇ! 体重何キロあんだよ、自分で歩け!」

「前回計った時は85キロあったな」

「太ってねぇのになんだその体重」

「筋肉」

「筋肉モリモリマッチョマンか。いいからこいっ」

 

 素直に応じて、リビングから出て行く壱護と悠。

 そんな二人に女性陣は目もくれない。

 

「しかもこれ、アクアとルビーだけじゃなく名桐の顔も出してるわね」

 

 モラルとかどうなってんのよ、と自分のスマホでも検索したナベが見せてくる。ミヤコが見ていた投稿とは別の投稿に、悠の笑顔を盗撮した画像が添付されていた。当然、黒線やモザイクなど一切付けられていない。加えて悠の見目も良いので、リツイート数やコメントも思った以上に多い。

 

 ──すっごいイケメンパパ。この人どこの芸能人?

 ──遺伝子の暴力。赤ちゃんの人生勝ち組すぎる

 ──卒業した学校で見たことあるかも。でもそいつ陰キャだったから違うか

 ──イケメンの笑顔から得られない栄養がある

 

「……むむ」

「はいはい、匿名にまで嫉妬しないの。まあ、これなら双子とアイを繋げることはなさそうね」

「アクアとルビーの髪が悠と同じ色なのも功を奏したわ。これでアイ……だけじゃない、あなたたちと似た髪色だったら邪推する輩もいたかもしれないし」

 

 ミヤコの言葉通り、現在表示している投稿の二種類を見る限り、悠とアクア、ルビーを繋げたコメントは多いが、アイたちB小町と繋げるようなコメントは見受けられない。

 アイも自分のスマホで関連投稿を探していると、ふと、ある投稿が目に入った。

 

 ──そうだよ! これだよ!! これ!!!

 

「……へぇ」

「ん? なんか見つけたの? アイ」

「この前言った、レッスン前に見た呟きと同じ人の呟き」

「どれどれ……」

 

 これこれ、と見せてくるアイのスマホをミネたちが見る。

 アイから聞いていた言葉からは手のひらを返したような投稿に、

 

「これがいいんだって」

「……あ~」

「ふふ、憶えちゃったぞ~♪」

 

 楽し気にアイが呟く。そんなアイを見て、三人は確信する。

 アイドルとしてのアイがまた次のステージに昇ったと。

 並び立ちたい目標がまた遠ざかったと。推しの輝きがさらに増したと。

 

「……敢えて聞くけど。あの(・・)顔は使わないの?」

 

 廊下に目をやり、小声で訊くナベ。

 ミネとニノはわかっているが、あの場にいなかったミヤコは何のことか首を傾げている。

 

「あー……うん。あれは使わないよ」

「理由を聞いてもいい?」

「上手く調律できないってのが一つ。アイドルとして見せたい表情じゃないってのが一つ」

 

 それと、と続けて、そこでアイはほんの少しだけ言葉に迷い、視線を逸らし、

 

「……事情を知ってるミネちゃんたち以外に見せるのは、ちょっと恥ずかしい」

 

 ほんのりと頬を桜色に染め、照れた様子で呟く。

 事情を知ってるミネたちはちょっかいを掛けたくなるのを我慢する。

 一方、事情を知らないアクアとルビー、ミヤコはといえば、

 

(推しの照れ顔かわいい)

(ママが照れてる!? しかもアイドルの照れじゃない、マジの照れ!? か、かわ~!)

「アイ、あなた……ふふ、そう。よかったわね」

 

 アクアはスンと感情を抑えているが、推し(アイ)の表情に内心で喜び、ルビーはあまりの可愛さに声は出さなくてもキラキラと目を輝かせて胸の中でアイを凝視していた。

 この中で一番人生経験が豊富なミヤコは、アイの様子を見てなんとなく理由が予想でき、アイの年頃の少女らしい感情に、深く聞くことはせずに微笑みを浮かべアイの頭を撫でるのだった。

 

「さて、と。問題が一段落したところで、アタシ、アクアとルビーに聞きたいことがあるのよね」

 

 アイの腕の中にいたアクアとルビーを順に床に下ろし、二人の前に座り直すミネ。

 改まってなんだろうと内心ドキドキしている二人に、ミネは聞く。

 

「昨日のヲタ芸……どうしてアタシのサイリウム振ってくれなかったの?」

「あう?」 「う?」

「え、それ聞くの?」

「これを聞かずして何を聞くってのよ!」

 

 くわっと目を見開く。

 

「ねぇ? アクア、ルビー。昨日はサイリウムを忘れたからよね? パパが会場でママのサイリウム買ってくれたから振ってたのよね? 自分の持ってきていたら、アタシのサイリウム振ってくれたよね? ……ね?」

「いや、赤ん坊に圧向けんな」

「「……」」

 

 ──どうしよう、お兄ちゃん。

 ──どうもこうも……。

 

 顔を見合わせ、お互いになんとなく相手の言いたいことが予想できていたため、仕方なくアクアがハイハイで会場で振り回していたサイリウムを二本持ってきて、

 

「おとさん」

 

 その内の一本を軽く振って父さん(おとさん)──悠を呼ぶ。

 会場で悠が買ってくれた物だと暗に伝え、

 

「ぼくの」

 

 残った一本は女性陣が前に渡してくれた物だと赤ん坊らしく伝えてみた。

 つまり、自分で選んで持って来たと。

 アクアが伝えたいであろう意味がわかったミネは、

 

「……くふぅ」

 

 呻き声を上げて床にうつ伏せで倒れる。

 アイたちはもちろん、アクアとルビーも倒れたミネになんて言ったらいいかわからず、無言が続いていると、

 

「……わかってた、わかってたわよぉ。アクアとルビーがママ大好きなアイ推しだってことぐらい。でも、それでも、アタシのサイリウム振ってほしかったのよぉ……」

「え、もしかしてミネ、アンタ……泣いてる?」

 

 ゆっくりと手足をジタジタさせて否定するミネに、ええ……、とドン引きするナベ。

 

「泣いてなんかないもん!」

「いや泣いてんじゃん。涙流してなくても内心泣いてんじゃん。もんって普段アンタ言わないでしょ。うわぁ……」

「ドン引きな! 余計に泣きたくなるでしょ!」

 

 何て言ったらいいかわからずにアイたちが苦笑を浮かべる中、ルビーはハイハイで寝そべっているミネに近付き、

 

「ミネちゃ」

「ルビー……?」

「よしよし」

 

 ちっちゃなおててでぽんぽんと頭を叩くように撫でる。可愛いと全員の脳内意見が一致した。

 撫でられたミネは腕を伸ばしルビーの腰を掴んで引き寄せ、お腹に顔をうずめる。

 

「りゅびぃ……!」

「うみゅう……なぁに?」

「あーホント可愛いなぁこの子……。ルビィ、うちの妹になってぇ……?」

「ちょっとミネちゃん? 私の子だよ? それと絵面があんまりよくないよ」

「やぁや」

「ぐふぅ……じゃあアクアは? ミネ……みほろお姉ちゃんの弟にならない?」

「んーん」

「かふっ、お姉ちゃんショック!」

 

 迷うことなく否定の声と共に首を横に振られ、今度こそ寝たまま崩れ落ちるミネ。

 そんな様子を見てルビーが仕方ないなぁと言った様子で呟く。

 

「……ミネおねちゃ」

「……、ルビー!」

「むぎゅう」

「ルビー……良い子!」

 

 嫌だと言いながらもお姉ちゃん呼びしてくれるルビーに、ミネは感極まって寝ころんだまま抱き締める。ルビーは少しだけ苦しそうな呟きをしたが、抱きしめられたその顔は満更でもなかった。

 アイもアイでルビーの行動に感動している。

 そんな様子を一番後ろで見守っていたニノは扇子の裏で微笑みを浮かべていたが、

 

 ──カシャ

 

 シャッター音が耳に入り、そちらへ視線を向ける。

 

「……」

 

 視線の先には、わずかに開けた扉の隙間からカメラ越しにこちらを覗き込む輩が一人。

 うつ伏せから仰向けに向きを変えたミネにたかいたかいされて喜ぶルビーや、床に座っていたのをアイによってミネのお腹に乗せられているアクアという光景をカシャカシャと撮りまくってる。ちなみにアイはニノがシャッター音に気付く前に気付いていたので、二人を撮ってもらおうとアクアを移動させた模様。

 ニノは通報してやりましょうかと一瞬迷ったが、こちらの視線に気付いた輩が──言わずもがな悠なのだが──無言でサムズアップ。そのまま撮り続けようとしたのだろうが、後ろから引きずられて撮れずにドタバタうるさく廊下に消えていく。なお、その騒音で何かがあったと気付いていたであろうアイとニノ以外の女性陣だったが、廊下の方には一切顔を向けずアクアとルビーに構っていた。

 

(アイちゃんだけじゃなく、お兄さんも何か変化があったみたいな……)

 

 なんて考えたが、今はどうでもいいかと頭を振って盗撮野郎のことは忘れ、目の前の光景で和むことにするのだった。




Tips『ミネ』:
 本名「高峰みほろ」(原作では高峯。名前は未登場なためオリジナル)。アイドルという点を除けば、ごく普通の両親の間に産まれた一人娘として育ったごく普通の少女。ただし、壱護にスカウトされB小町として活躍しているため、ごく普通とは言えなくなった。悠と同い年で現在は大学に在籍中。ただ、近頃忙しくなってきているので一年後、二年後の状況を目処に留年するかどうか家族会議の真っ最中。

 ひとりっ子だったので弟や妹に憧れており、秘密を共有する中で一番アクアとルビーを猫可愛がりしている。最近一番興奮したことは双子のヲタ芸。最近一番嬉しかったことはルビーがお姉ちゃんと呼んでくれたこと。最近決めた目標はアクアとルビーにいつか自分のサイリウムを振ってもらうこと。
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