愛が欲しい一番星と愛を知りたい転生者 作:だんご大家族
元々の遅筆やPCの不調だったりで執筆が余計に遅れてしまいました。申し訳ありませんが、あとがきのTipsも今回は無しでお願いします。
一応これで今度こそ今章は終了です。
次章はPCの不調もあったりでさらに遅くなってしまいそうなので気長にお待ちください。
それでは今年一年、本作をお読みくださりありがとうございました。
来年2025年もどうぞよろしくお願いします。それでは、よいお年を。
「──よっと、角度はこんな感じでどう?」
「うん、バッチリ!」
アルファベットの配置に、確認のために振り向いたナベに親指を突き上げてサムズアップするアイ。
飾り付けられたアルファベットは意味を持ち、こう記されている。
そう、今日は藍久愛海と瑠美衣の1歳の誕生日。
二人に気付かれないよう前々から準備をしており、当日の今日、二人がいない間にB小町四人で部屋の飾りつけをしていた。自分は時々飾りつけを手伝いながら、誕生パーティーに出す料理を作っている。
ちなみに最初はアクアのアルファベットは『AQUAMARINE』まで作る予定だったが、文字数的に合わせた方がいいと言われ、仕方なく『AQUA』までにした。
藍久愛海と瑠美衣は現在、部屋にいない。B小町と自分の全員が仕事なため、壱護さんとミヤコさんに預けられている──という理由を作って離れてもらっていた。事前の打ち合わせた通りに予定が進んでいるなら、もうそろそろ壱護さんとミヤコさんが二人を我が家に連れてきてくれる手筈となっている。
パーティーに参加するのは主役の子どもたちと親である自分とアイを除けば、ミネたちB小町三人と斎藤夫婦の五人。えりなちゃんと緋沙子ちゃんには声を掛けていたが、残念ながら外せない仕事が詰まっていたため、泣く泣く参加を断念していた。
──日を改めて必ずお祝いします!
と意気込んでいたが、ほどほどにね。緋沙子ちゃんのストッパーに期待しよう。
「部屋の飾りつけはこんなもんでいいしょ。名桐、そっちは?」
「盛り付けや仕上げ以外は完了した。いつ帰ってきても大丈夫だ」
返事を返しながらリビングに戻る。
この一年で藍久愛海と瑠美衣は母乳から離乳食、そして出来る限り柔らかく、塩味や味付けを薄めにすれば普通の料理を食べられるようになった。歯も徐々に生えてきており──初めて生えた歯を見つけた時のアイは二人が初めて立ち上がった時と同じくらいはしゃいでいた──少し早いかもしれないが、ここ最近は少しずつ食感を楽しんでもらえるように料理を柔らかさを抑えた料理を出す機会も増えている。
ちなみに今日子どもたちに作ったのは、
豆腐にひき肉、ペーストしたほうれん草で作ったミニハンバーグ。
柔めに茹でたにゅうめんで代用して作ったなんちゃってナポリタン。
スープには少量だがセンチュリースープというお子様ランチ風を意識した献立となっている。
そして、忘れてはいけない誕生日ケーキ。
流石に普通に作ったケーキはまだ早いので、スポンジケーキの代わりにビスキュイ*1を土台に豆乳やヨーグルトで作った甘さ控えめなクリームでコーティングし、イチゴを飾り付けた、幼児でも食べられるショートケーキを作ってみた。気に入ってくれるといいんだが。
もちろん、大人向けの料理の調理も完了している。ニノの料理だけ一度麻婆豆腐を出してツッコミでも入れてもらおうかと思ったが、主役が藍久愛海と瑠美衣のため今回は自制した。
飾り付けの方は壁だけでなく、部屋のあちこちにラッピングされた風船や花が並び、中央に置き直したソファの両隣には超ビッグサイズのクマとうさぎのぬいぐるみがもたれ掛けられていた。購入したものではなく、ミネがこの日のためにわざわざ実家に置いていた物を持ってきてくれたのだ。丁寧に扱ってきたのだろう、古いといった感じはまったくない。
それに加えて、各々藍久愛海と瑠美衣に誕生日プレゼントも用意してくれていた。
まったく本当に──
「本当に──みんな、ありがとう」
自分と同じ気持ちだったのか、アイがミネたちを見てお礼を言う。
「なによ、改まって。アクアとルビーの誕生日なんだから当然でしょ」
「うぅん、今日の準備だけじゃなくって。受け入れてくれたあの日から今日までずっと」
アイの言葉にミネたちが手を止めて視線を向ける。
「みんなに妊娠とか子づくりを隠していたら私とハルカ、おとーさんとミヤコさんだけで大変だったかもしれない。アクアマリンとルビーに我慢ばっかりさせてたかもしれない。みんなが手伝ってくれたからアイドル活動と母親、二つを両立できた。そう思えて、改めてお礼が言いたいなって」
「アイ……」
えへへ、と頬を掻くアイ。
ミネたちは互いに顔を見合わせ、苦笑するように表情を緩ませると、
「改まって何を言うかと思えば」
「ふぃ、ふぃねちゃん?」
代表してミネがアイに近付き両頬を摘まみタコチュー顔にする。
「あのねアイ。セッ……こほん。え、えっち……なことを聞いた時に言ったけど」
「相変わらず耐性なさすぎ。いい加減慣れなよ、ウブなミネンネ」
「うっさい! ……あと名前と合わせてポケモンみたいな名前で呼ぶんじゃないわよ。ちょっと考える時間作っちゃったじゃない」
「ひゃふんね」
後ろから煽られてうがーと吠える。ちなみにその間も手はアイの顔をタコチューにしたまま。せめて手だけは離してからツッコミは返せよ。
ああもう! とミネは頭を振って視線をアイに戻す。
「話を戻すけど、あの時アタシが言ったことは今も変わんないわ。アタシたちは友達の夢を応援して、ちょっと協力してるだけ。それ以外は全部アンタ自身が頑張ったことよ」
「そう、なのかな……?」
「そうなの。それにあの子たちがいたからこそ、アンタは更に上のステージに上がった。超えるべき星は遠くなったけど、おかげでアタシもまだ更に上を目指せるってわかったし、ライバルとしてもわるくない結果なのよ。今の状況は」
「……」
「だから自信を持ちなさい。──アンタはしっかりあの子たちの母親をやれてるって」
もちろんアンタもよパパさん、と自分に向かって言う。
ナベとニノも肩を竦めたり、扇子で口元を隠し微笑んでいる。
自分とアイは顔を見合わせ、自然と笑みを浮かべた。
「……ありがと、ミネちゃん」
「それでも感謝はさせてくれ。ミネ、ナベ、ニノ──ありがとう」
「ん、まあ受け取っとくわ。さて……っと、ナイスタイミングで社長から連絡がきたじゃない。さ、アイ。主役を出迎る準備をするわよ!」
「うん!」
壱護さんからのメールを見て、準備していたクラッカー(手作り)をそれぞれ手元に置いて子どもたちが連れられてくるのを今か今かと待つ。
そして──ガチャリと玄関の扉が開かれる音が聞こえた。
アイと共にミネたちに合図を送り、配置について、
壱護さんとミヤコさんに抱っこされてリビングに入ってきた二人に、
『アクアマリン! ルビー! ハッピーバースデー!!』
クラッカーと祝いの言葉と送るのだった。
☆☆☆☆
パーティーも終わり、部屋は先程までの賑やかさから一転して静かな空間になっていた。
主役の藍久愛海と瑠美衣が寝入ってから解散となり、ミネたちはミヤコさんが家まで送り届けている。壱護さん? あの人は酒を飲んで酔い潰れてる。明日はミヤコさんの説教なんだろうな、きっと。こういったとこがなければ壱護さんの株も上がりっぱなしなんだろうが……まあ、壱護さんらしいといえば壱護さんらしいのだが。
「これで……うん、向きもオッケー。ちゃんと撮れてるよ」
「じゃあ二人を連れてこようか」
ビデオカメラ代わりにスマホをスタンドにセットし録画をスタートさせて頷いたアイの言葉に、自分はソファから立ち上がり、すやすやと眠っている藍久愛海と瑠美衣を起こさないよう、自分とアイで一人ずつ抱き上げてソファに座る。
「こういうのやってみたかったんだよね。いつか二人が大きくなったら一緒に見れたらいいなぁって」
「そうか。具体的には何歳ぐらいで見る?」
「そうだな~……大人になって一緒にお酒を飲みながらでもいいけど、やっぱり16歳かな」
16歳はアイにとって様々な意味を持っている。時期としてはいいかもしれない。
同意するように言葉を返す。
「どっちから言う?」
「お母さんからどうぞ」
「そう? それじゃあ──」
こほん、と一呼吸おいてカメラの方を見る。
「アクアマリン。ルビー。これを見る頃、二人はどんな風に成長しているかな? もしかしたら二人共、アイドルや料理人になってるかもね。私とハルカの子だからありえない未来じゃないし」
アイドルや料理人か……。料理人はともかくアイドルは確かになくもない未来だ。二人共アイの容姿を受け継いでいるし、特に瑠美衣はアイみたいなアイドルになるなんて言いそうだ。藍久愛海はそうだな。一見真面目そうな雰囲気な優等生、だけど中身はドルオタ──なんて風になるかもしれない。あくまで予想や妄想の類でしかないが、想像の中の二人の将来はいくらでも湧いて出てくる。
「なんにせよさ、アイドルや料理人、あるいは斜め上の将来を目指していたとしても……元気に育ってください。母親として二人にお願いすることはそれだけかな」
柔らかな表情で藍久愛海と瑠美衣の髪を撫でて告げる母親の願い。
髪から手を離すと、
「じゃあ今度はパパの番だよ!」
こちらに向けていつもと変わらない笑みを浮かべて言う。
短く返事を返し、アイのようにカメラに視線を向ける。
「そうだな……お父さんの願いもお母さんとそんなに変わらない。健やかに……幸せに育ってください。二人がそうなれるなら、お父さんとお母さんはいくらでも頑張れるから」
「もちろん! ママも頑張るからね」
後はそうだな、と少し考え、
「それから、これを見ている未来の自分へ。愛を知ることはできたか? できたのなら、それはよかった。まだだったら……いや、これは意味ないな。どうか、未来の自分が愛を知ることができていることを願っている」
未来の自分にも言葉を残す。
自分へ言葉を残すと、アイもじゃあ私も、と前置きをして、
「未来の私もどうかな? 愛してるって言えたかな? 言えてるといいな。それと
そう、未来の自分へメッセージを残した。最後はちょっと投げやり感があったが。
あっち、というのが何を意味しているのかはわからないが、きっとアイにとって大切なことなのだろう。
「これぐらいでいいかな?」
「うん。じゃあ最後は一緒に──」
自分の耳に口を近づけ、小声で囁く。
タイミングを合わせてカメラに向けて、将来これを見る家族に向けて言葉を贈るのだった。
「「
「「自分たち/私たちのもとに産まれてきてくれて──ありがとう」」