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「だ・か・ら!俺の前にコイツが割り込んできたんだって!」
「はぁ!?お前がトロトロ走ってたから追い抜きしただけだろうが!」
「まぁまぁ...二人とも落ち着いて...」
樋口が喧嘩する二人の男を宥める。概要はただの交通事故だが、どうやら港付近でかなり大きめの事件があったらしくほとんどの警察官が出払っているため、我々が応援として対応する事になったのだが....。
「だからポリはいつ来るんだよ!」
我々はあくまで憲兵隊。交通事故の事故検証などできるはずもなく、ただ交通課が来るまで時間を稼ぐしかないのだ。
あー良かった。一番面倒くさい仲裁役を樋口に押し付けておいて。なおかつ俺は車などほとんど来ない道路で交通誘導するというめっちゃ楽な仕事ができて...まぁ突っ立てるのも暇すぎるがな...。
「お」
そんな事を思っていると、遠方から赤色灯をつけたパトカーが接近している事に気がつく。俺は笛を鳴らし、パトを事故現場まで誘導する。
「お疲れ様です。到着が遅れて申し訳ありません。」
「いえ。現状負傷者等もおらず、こちらの判断で片道一車線を規制しております。引き継ぎよろしくお願いします。」
俺は駆けつけた警察官に引き継ぎをし、樋口を呼ぶ。
「や、やっと帰れる...」
疲れ果てた樋口と一緒に車両に戻ろうとした瞬間、先ほどの警察官がこちらに走り寄ってくる。
「ど、どうされましたか?」
何か嫌な予感を悟ったのか樋口は引きつった笑顔で要件を聞く。
「例の港の事件で海軍憲兵隊に応援要請です。」
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「なんで憲兵隊の僕らがこんな事件に対応しなければならないんですか!」
先ほどの交通事故の件もあってか車内で愚痴が止まらない樋口。
「まぁ人手が足りないんだろ...。」
「だからって警察の管轄内の事案は警察が担当するべきで....それに遺体はもう引き上げられてるんですよね?」
さっきからうるさいなコイツ。だが俺も引っかかる所がある。
どうやら港で女の子の水死体が発見されたらしい。それに遺体も引き上げられてるらしく、正直行って俺たちが向かった所で何かできる事がある訳でもない。何か嫌な予感がする。
「まぁ野次馬とかの整理じゃねぇの?」
だがそんな希望は現場についてすぐに打ち砕かれる事になった。
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「海軍憲兵隊の者です。」
俺は警察官に身分証を見せ規制線の中に入る。
現場には刑事課の車両や救急隊の車両がすでに到着していた。
「刑事課の者です。憲兵隊の方には一度遺体を見ていただきたくて....」
刑事の言葉に樋口はえぇ...と嫌な顔をする。そりゃ女の子の遺体なんて俺でも見たくないわ。
「....わかりました」
だがこれも仕事だ。そう言って割り切る事にした。
だが女の子の遺体を見た瞬間、すぐにわかった。
いや実際には着用している服装を見てわかった。
「艦娘か....」
「もう亡くなっているのでしょうか?」
刑事の質問に俺は首を横に振る。艦娘に死ぬという概念はない、轟沈や沈没といった表現はあるが、生命として亡くなると言った表現はないのだ。
「つまり生きていると」
刑事の表現は正しくないが、まぁいいだろう。
「ではすぐに救急搬送の準...無駄ですよ」
救急要請をした警察官を止める。
「人間の医療では艦娘は回復しません。外傷などは治りますが根本的な損傷は修復材を使わなければなりません。」
「では近くの鎮守府に」
「一体何時間かかると言うんだ!」
「一旦病院に搬送するのはどうでしょう?」
「そもそも艦娘の搬送を受け入れる病院はあるのか!」
俺の言葉に現場はパニックになる。当たり前だ。艦娘がこのような形で発見されたのは誰も経験した事がないからだ。
「どうします?一旦本部に指示を仰ぎますか?」
「いや...」
樋口の提案を拒否する。
俺はこの艦娘の制服を見た途端にすでに決めていた。
「この艦娘をこちらで保護します」
これが後に起こる出来事のターニングポイントなのである。
続く