男女比が狂った世界の美少女堕天使、VTuberになる 作:霧夢龍人
「あぁーーー!暇だぁーーーー!!」
何も無いように見える白い空間。そこでぐーたらと食っちゃ寝している者が居た。
白く大きな六対の翼と、この世のものとは思えない端正な顔。そして豊満なバストが、緩い服を押し上げ主張する。
頭上には天使の輪っかがクルクルと回転し、ゴロゴロと寝そべっているにも関わらず後光が差している。
どんな姿でも美女は絵になるというが、この女にもそれは適用されている・・・はずだろう、きっと。
「天界暇すぎて草って神様に送り付けてやろうかな」
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その女が持っているのは、いわゆるスマホ。
しかも旧世代のためかなり処理速度が遅く、バキバキにひび割れたAn○roid製であるため、より遅くなっていた。
ちなみに、オンボロイドと馬鹿にしたらめちゃくちゃキレる。
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「あ、返信帰ってきた。なになに・・・?って、はぁ!?誰がヒキニートじゃい!!」
帰ってきた返信から察するに、図星である模様。意外と(?)短気な女はバキバキに割れたスマホを更にバキバキにし、ポイッと投げ捨てた。
女は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の神を殺らねばならぬと決意した。そうと決まれば即実行とばかりに六対の羽を広げ、何もない空間へと飛び立たったのだ。
そして白い空間に苛立たしげに蹴りを入れたかと思うと、凄まじい音ともに空間にヒビが入った。まるで誰かが投げ捨てたスマホのようにバキバキである。
「私はヒキニートじゃねぇーー!ぶっ○すぞこのクソ神がぁーー!」
そのまま怒髪天を衝く勢いで、ギリシャのパルテノン神殿と似たような場所まで飛翔した。
とても耳に耐えない言葉を口走りながら、奥へと続く階段を歩いていく。
「てかさっきからぺちゃくちゃナレーターみたいなことしやがって!そもそも私はヒキニートじゃありませーん。ハンっ!ごめんなさいねぇ!」
とてもウザイ。
わざわざ言わなくても分かるだろうが、これがこの女の本性である。整った容姿に騙され告白した者が、あまりのヒキニートっぷりにドン引くくらいである。
やはり人は見た目では判断してはいけないと、この女を見るとそう思う。
「ぬぁんですってーー!?お前表出ろよ今すぐ!ほら、ハリーハリー!」
額に青筋を立てながら階段を上り続ける女は、とても滑稽に思えるほど喚き散らしていた。
これが結婚できない理由である。
「ッ!!うるせぇなぁ!お前もいい加減外出やがれクソ神がぁ!」
やがて女は、階段の先にある最奥の扉までたどり着く。
そして、ぎぃぎぃと建付けの悪い音を立てながら、ゆっくりと扉が開かれた。
その女の視線の先には・・・。
「やだ、最近の
顔とスタイルだけは良い目の前の女を煽り散らかす僕がいた。ちなみに今までの
「お前が言うかクソ神が・・・ったく、折角暇を持て余し・・・じゃなくて仕事をしていた最中だったのに。邪魔するのは良くないと思います」
「
「・・・告げ口したやつ、誰です?」
「うーん、ミカなんとかさん」
「ミカエルの奴か。よし、後で殺そう」
何とも野蛮な天使である。
これが僕の存在に最も近い
・・・まぁ、こんな茶番はさておきだ。僕はこの世で一番偉い神なので、頭もキレる。つまり天才ということだ。
なのでその場でしっかりと切り替えが出来てしまう・・・ふっ、これが大人なのだよ。と、目の前の見た目にしか能がない天使に神としての格の違いを見せつけ、僕は早速本題に入った。
「ところで君さ、VTuberって・・・知ってる?」
彼女の蒼色に澄んだ瞳を覗き込みながら、僕はそう問いかけた───瞬間。
「は?そんなの知ってるに決まってますよ。
「ふっ」
キモイくらいの早口で、彼女はVTuberについて語り出した。
・・・僕はその内容を聞いて思わず嘲笑をあげる。
「な、何ですかその反応!まさか貴方も・・・ッ!?」
甘い、甘いね甘すぎる。
僕は既に8000周はしてるし、グッズは迷惑にならない範囲で一人二桁以上ずつで全て買い漁ってるし、なんなら今もASMRしながら話してる。マシュマロ?君みたいにキモコメ連打なんてしてないよ?スパチャ金額はもう13桁に到達したし・・・まだまだだね。
「負けた・・・私、こんなロリっ娘ボクっ娘低身長巨乳駄女神に敗北したの?」
「黙れ見た目詐欺。ともかく、僕が君を呼び出したのはとある要件があるからだ。それは・・・」
「ゴクリ・・・」
「VTuberになって♡」
「・・・はい?」
「手続きはもう済ませてるから!堕天して地上に降りて、VTuberとして僕を楽しませてね♡」
「はっ?え、堕天ってどういうことですか!?ち、ちょっとま」
「ばいばーい」
絶望したような表情をした彼女を尻目に、僕は笑みを浮かべてさよならを告げた。僕を楽しませるという任務を遂行させて彼女が帰ってくるのは、きっと何年も先の話になる。
しかし永遠に地上に戻れないなんてことはないはず・・・多分。
「こ、このクソ神がァァァーーー!!」
「目一杯楽しませてね!───堕天使ルシファーちゃん」
六対十二枚の羽がはらりと消え、くるくると回転する輪も明滅し、天使から堕天使へと作り替えられていく。
彼女の真下には透明な膜が貼られており、立ち並ぶ高層ビル群が見える。
そして彼女は───。
「ぜってぇ滅ぼしてやるッ!!覚えとけよォーーーッ!!」
という断末魔と共に、眼下の街へ“堕ちた”。