野蛮な騎士   作:鴨凹

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なんか書けてしまったため投稿します。あとフィッシュルの技名ムズすぎ


皇女

 

エミside

 

私は幼いころから浮いていた存在だと思う。

私は「フィッシュル皇女物語」が大好きでいつしか彼女を私に投影してしまっていた。そんな私を友人たちはよくからかってきた

そしてある日二人の男の子が私の元にやってきた

 

「コイツ、また変な本よんでるぞ!」

「変!?...コホン。違うわこれは選ばれた者にしか読めない聖書!私は貴方達と違って皇女として忙しいの。ほっといてくれるかしら?」

「「プ、アハハハハハ!」」

「な、なによ!?」

「聖書!?こんな本が聖書なわけないじゃん!」

「それに皇女ってなんだよ!そらっ!」

「きゃ!何をするの!?返しなさい!」

 

すると一人の男の子が私の本を奪ってしまった

 

「んん~、”幽夜浄土”ってなんだよ、アハハ!馬鹿みてぇ!」

「はやく、返しなさい!それは選ばれた者しか...」

「やーだよ!!!」

「あ!待って!!」

 

二人の男の子は本を持って走り出してしまった。私も必死に二人を追いかけたけど小さいころの私は運動が得意ではなかったから追いつくことができなかった。そして二人は広場の噴水前で足を止めた

 

「やめて!なにをするつもり!」

「俺たちが目を覚まさせてやるよ!!」

「へへ、感謝しろよな!!」

「お願い、やめて」

 

そんな私の声もむなしく男の子たちは私の本を噴水に投げ込こもうとした時

 

「ぐへぇ!!!」

「いてぇ!」

「何をやってんだ、お前ら」

 

一人の赤髪の男の子が二人を殴り、本を手にしていた。

 

「「カ、カルト!!」」

「...カルト」

 

当時カルトは子どもたちの中心メンバーの一人で関わったことがなかった私の耳にも噂は入ってきていた

 

「おい」

「は、はい!」

「ほらこれお前の本だろ?」

「うん、ありがとう」

「大事な本なら外に持ってこないほうがいいぞ」

 

カルトはそういい私に本を差し出してきた

 

「そんでお前らなんであんなことしたんだよ?」

「コイツ、変なんだ!自分のことを”皇女”とかなんとか言ってるんだ!!」

「それに”幽夜浄土”とかありもしない場所の話ばっかするんだ!!」

「へぇー、だからこんなことをしたのか。おい、お前」

「え?」

「その本俺にも見せてくんね?」

「え、なんで?」

「ちょっと興味が湧いた」

 

私はそう言われカルトに本を渡した。彼は私の本を簡単にではあるが読み進めていった

 

「”幽夜浄土”、”皇女”、”夜の鴉”ね」

「ほら!コイツ変だろ?」

「”幽夜浄土”なんてあるわけないのにコイツずっと絶対あるって言うんだぜ!?」

「...ッ」

 

この時私は怖かった。私を助けてくれたカルトも二人と同じように私を馬鹿にしてくるのではないかって でも

 

「じゃあ逆に聞くけど絶対にないってどうしていえるんだ?」

「は?」

「なんでお前らは絶対にないってわかるんだ?」

「だってそれは物語の中の...」

「だからその場所がないっていう証拠がどこにあるんだよ?」

「そ、それは」

「確かに俺もこの本に出てくる場所なんて聞いたことない」

「だろ!?」

「でも、俺たちはモンドの外を見たことがないだろ?まだ発見されてないだけでもしかしたら実在するかもしれねぇぞ」

「それにそういった本には大体モデルとなった場所があるはずだよ」

 

カルトが二人と話しているときエメラルドグリーン色の髪の少年が近づいてきた。そうその少年こそがエルタ。カルトの親友だった男の子

 

「おせぇぞ、エルタ」

「ごめん、ごめん。ベネットのケガを治療してたんだよ」

「アイツ、またケガしたのか」

「うん。だから今日はベネット家で遊ぶことに変更ね」

「ああ、わかった」

「まぁ何があったかは後で話すとして、君たちどんな理由があったとしても人の大事なものを粗末にしてはいけないよ」

 

エルタに優しく諭されると二人は何も言えなくなってしまった

 

「てかお前らこの前ベネットのことも馬鹿にしてたよな」

「ああ、なんか見覚えある顔だと思ってたけど、なるほどね」

 

二人はその言葉に体びくっとさせていた

 

「いや、そんな俺たちは」

「そうそう人違いなんじゃねぇかな?」

「エルタ」

「はぁ、あまりやりすぎないようにね」

「「に、逃げろ!!!」」

「待てや!コラァ!!!」

 

二人の男の子は逃げていきそんな彼らをカルトは鬼の形相で追いかけていった

 

「大丈夫かい?」

「...うん」

「...よかったらその本の物語を僕たちにも聞かせてくれないかな?」

「え?」

「この後ベネットって子の家で遊ぶんだけどよかったら君も来ない?」

「...」

「大丈夫。僕もカルトもベネットも君を馬鹿になんかしないよ、むしろそういう物語は僕たちの大好物だからね」

「お、なんだ?メンバー追加か?」

 

エルタと話しているとカルトが戻ってきた

 

「うん。あともちろんだけどやりすぎてないよね?」

「ああ、一発ずつデコピンで済ませてやったよ」

「おお、偉いね」

「撫でんな!ほらそろそろ向かおうぜ」

「え、え!?」

「ほら行こうぜ」

 

ちょっと無理やりで乱暴だったけどカルトは笑顔で私の手を引いた

 

「ふ、ふん!いいわ。この”断罪の皇女”の偉業を聞かせてあげる!光栄に思いなさい!」

「ああ、楽しみにしてる」

 

この日から私はカルトたちと一緒に過ごすことになる。この日々は楽しくて永遠に続くものだと私は信じていた。でもそんな私の思いは一瞬で消えてしまうことになる

 

 

「魔物だぁああああ!!!」

「きゃああああ!!誰か誰か!!」

「騎士団は!?騎士団は何をしてるんだ!!」

「もうみんなやられちまったよ!!」

 

カルトたちと一緒に過ごすこと数年後、突如として魔物たちが城内に侵入してきた。

 

「これはまずいね、騎士団が後手に回ってしまっている...!」

「とにかく逃げるぞ!いまはとにかく足を動かせ!」

「おう!」

「うん!」

 

私たちは迫りくる魔物からひたすら逃げた。けれど私はそこで

 

「きゃ!」

「エミ!」

 

私はそこで大きく転倒してしまった。しかも転んだときに足を挫いてしまった

 

「エミ!今行く!」

「ベネット、だめだ!」

「でも...!」

「エルタ、ベネット連れて先行ってろ!!」

「待つんだ!カルト!死にに行くつもりか!?」

「gugiiiiiiiiii!!!」

 

カルトが私に駆け寄ってきてくれたが私と魔物たちの距離は数センチもなく私は迫りくる痛みを覚悟して目を閉じた。けれど何秒経っても痛みは襲ってこなかった。

恐る恐る目を開けて後ろを振り返り私が見たのは魔物の死骸と返り血を浴びたカルトの姿だった

 

「カ...ルト?」

「..........」

 

そしてこの出来事から私たちの日常は変わった

カルトは魔物襲撃から町を守った英雄として本来扱われるはずだった。けれど当時の騎士団の上層部が彼の力を恐れて彼をモンドの危険因子と公表し今回の襲撃もカルトの手によるものだとした。

これによりカルトは町の人々に石を投げられ、家族もいなくなり孤独になってしまった。しかも騎士団はカルトを処刑するために彼を連行してしまった。そこで私、エルタ、ベネットの3人はなんとかしてカルトを助けようとした。けれど私たちの行動は騎士団の怒りを買ってしまい私たちも騎士団に連行されかけてしまった。

 

「二人は、僕に操られていただけだ!連れていくのなら僕だけを連れていけ!」

 

でもエルタは私たちの身代わりになってしまい、その数日後亡くなってしまった。それと同時にカルトもモンドから姿を消してしまった。

この出来事から私は考えてしまう。”もし、私があの時転んでいなかったら?” ”もし、あの時私に力があれば?” と

そして2年後、現西風騎士団団長のファルカさんによってカルトの身柄は保護され、エルタの慰霊碑が建てられた。カルトはファルカさんの推薦で西風騎士になり様々な武勲をあげていった。

けれど、どんどん力をつけていく彼をモンドの人々は恐れ、いつしか”モンドの災害”と呼ぶようになった。そしてカルトは私たちから距離を取るようになってしまっていた。

 

「アイツが俺たちにどういった感情を抱いているかわからないけど俺はまたアイツと一緒に笑いあいたい」

「私もよ。でもカルトが私たちに怒りを抱いていると思うと私は...!」

 

怖かった、カルトは私のせいで人生を狂ったといっても過言ではない。しかも親友のエルタも殺されてしまった。

 

「俺も正直怖い。それでも俺はアイツと一緒にいたい!そのためには強くなるしかなんだよ、今度は俺たちがアイツを助けられるように...!」

「...ベネット。うん、私も強くなる。強くなって今度は私がカルトを支えるの!」

 

私たちは冒険者協会に所属してから着実に強くなっていった。二度と大切なものを失わないためにそしてカルトと再び笑いあえるように。でも結局私は強くなんてなっていなかった

 

「あの時と同じよう貴方には何もできない。カルトさんと並んで戦える?はっ、勘違いも甚だしい。貴方はただ彼のお荷物になりに来ただけでしょう!」

「お荷物だ?お前何もわかってないんだな?」

 

私の前にカルトは立ち、迫りくる斬撃を剣を使わず腕で弾いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人称side

 

「カ..ルト」

「ふぅー、エミ万歳しろ」

「...?」

「いいから」

「は、はい!」

 

エミはいわれた通り万歳をした

 

「よし、くらえ!」

「ヒョウ!?」

 

エミはカルトの脇腹をつつかれ、ぺたんと座り込んでしまう

 

「ああ、やっぱり変わってないないんだなその弱点。」

「い、いきなり何をするの!?」

「いや、なんかセンチになってたから...」

「だからって脇腹をつつくなんて!」

「よし、これでメンタルは元に戻ったな?」

「...!」

「俺を援護してくれるんだろ?」

「でも...私の力は通じない」

「お前、なんで肝心な時に自信無くすんだよ。昔っからそうだあの時だって」

 

エミは先ほどまでの戦闘でギーグに自分の力が通じないとわかり自分の力を信じられなくなってしまった

 

「うん。そうだよ貴方のために強くなったつもりが結局は貴方に守られるだけ...私はもう何もできない...!」

「...宝盗団と騎士(現代で言うドロケイ)って覚えてるか?」

「...え」

「ガキの頃よく遊んだよな、すげぇよく覚えてる」

「うん、私も覚えてるよ」

「そんである日俺とエルタが騎士で残りがお前とベネットだけだった時、俺たちお前の作戦にまんまと嵌められて負けちまったんだよ。あれはすげぇ悔しかったな」

「...そんなことがあったね」

「そん時な俺は素直にお前のことをすげぇなと思ったんだ。」

 

カルトはそういいエミに視線を合わせる

 

「まぁあなんだ俺が何を言いてぇかっていうとな俺はお前をお荷物とか足手まといとか思ったことなんて一度もねぇぞ。」

「...!」

「むしろ感謝してるんだ。あの時俺のために動いてくれたこと」

「でも結局貴方を助けられなかった...!貴方は私のせいで...!」

 

エミの目に涙を浮かばせていた。だがそんな涙をカルトは優しく手で拭いた

 

「確かに俺はあの時色々なものを失ったでもお前たちは俺から離れていかなかった。それがなによりも嬉しかったんだよな俺。俺は一人じゃないって感じられたんだよ」

「...カルト」

「もし今お前が自分の力を信じられなくなっているのなら、俺が信じるお前を信じてくれねぇか?」

「カルトが信じる私?」

「ああ、さっきも言ったけどお前はすごいやつなんだ。信じてるぜ」

 

そう言いカルトはエミから離れていった

 

「...カルトが信じる私」

「お嬢様」

「オズ?」

「私もカルト様の言う通りかと思います。貴方はご自分が思っている以上にすごいお方なのですよ」

「私が...?」

「そしてカルト様は貴方様を信じているとおっしゃいました。その信頼に応えるためにどうか立ってください。」

「ええ!」

「今こそお嬢様とカルト様の運命が再び交わる時なのです!」

 

エミはオズと部分的に一体化し、背中に鴉の羽を生やし空中へと飛んだ

 

「オズ、貴方の力を貸しなさい!かの者を断罪する!!」

「仰せのままに!」

 

エミが弓を引くと目の前に鴉が描かれている巨大な魔方陣が展開された

 

「あの元素量はまずい!」

「おっと、行かせねぇよ!お前の相手は俺だろうが」

「くっ...!」

 

ギーグはエミから発せられる大量の雷元素を見て危機感を覚えたためエミに襲い掛かろうとするが道をカルトに塞がれそのまま蹴り落された

 

「なんだ?あれだけエミのことをお荷物だとか、足手まといとか言っといてそれか。みっともねぇな!!」

「くっ、ハァああああ!!」

 

ギーグは叫びながらカルトに襲い掛かるがカルトは攻撃を最小限の動きで防いでいた

 

「ほらほらどうした?動きが鈍ってるぜ!」

「ごはぁ!!」」

 

カルトはギーグの腹に重い一撃を与え胸を砕いただがすぐにその傷も再生してしまった

 

「ぐううううううう、うおおおおおおお!!!」

(やっぱりそうだ)

 

ギーグは先ほどと同じように癇癪を起しそのままカルトに攻撃をするが全て防がれていた。そしてカルトはギーグの腕を掴みそのまま背負い投げを決めた。この時カルトはある確信を得ていた

 

「かはっ!!」

「お前、その力馴染んでないだろ?」

「な、なんだと?」

「お前傷を再生するたび精神がひどく乱れてんぞ」

「ぐっ」

「そりゃそうだ、龍の力を簡単に掌握できるわけがねぇ」

「だまr...!」

「人の話を最後まで聞け馬鹿」

 

カルトはギーグが何かを発する前に顔の下半分を蹴りで砕いてしまった

 

「!!!」

「確かにお前は強くなったがもうわかんだろ?無駄なんだよ無駄。お前じゃ俺には勝てねぇ」

「だ、だまれ、だまれえええええええ!!!」

 

ギーグは再びカルトに襲い掛かるがカルトはギーグの拳をがっしりと片手で受け止めた

 

「ほらな」

「く、くぅうう!!!」

「そしてどうやらエミの方も準備が整ったらしい」

「な!?これは!」

 

ギーグが上を見ると先ほど展開された魔方陣が5つになっていた

 

「これで決着だ。エミ、いいぞ!」

「でも、このままじゃカルトも...!」

「俺はお前を信てる。だからお前も俺を信じろ!!」

「...わかった。」

 

エミは魔方陣目掛けて雷元素を纏わせた矢を放った。矢は1つ目の魔方陣を貫通すると矢が纏う雷が巨大で強力なものに変化した。

 

「くっ、これはまずい!」

「逃がすか!」

「グハァ!貴様ぁ!!」

 

ギーグはワープを展開し回避しようとするがカルトはギーグを上空へと蹴り上げた。そして矢は5つ目の魔方陣を通過していた。その時の矢の大きさは先ほどの何百倍の大きさになっていた

 

「汝に断罪を与える、ジャッジメント・レイ!!!」

「ぐああああああああ!!!そ、そんなぁあああああ」

「くっ、コイツは想像以上だ...!」

 

ギーグは断末魔をあげながら光に飲み込まれた。

光が収まるとギーグの姿はなく、体の一部だけが焦げているカルトの姿があった。

 

「はぁ~、よかった...」

 

カルトの姿を見たエミは力が抜け地面に落ちていってしまう

 

「あぶねぇ!!!ギリギリセーフ!」

 

だが地面にぶつかる前にカルトはなんとかエミをキャッチすることができた。だがエミは息が絶え絶えで矢を放った方の手は大やけどを負っていた

 

「エミ、これは」

「”ジャッジメント・レイ”はねまだ未完成で...一回使うと一日動けなくなってしまうし、オズも3日間顕現できなくなってしまうの...」

「そうか」

「ねぇ...」

「ん?」

「私、貴方を助けることができたかな?」

「ああ、助かった。ありがとうな」

「...そっか、よかった。本当によかった...!」

「おいおい、泣くなよ。たくっ泣き虫は変わってないんだな」

「だってぇええええええ」

「なぁ、エミ...」

「ぐす、なに?」

「俺さ...!?」

「きゃ!」

 

カルトがエミにあることを伝えようとした時、後ろから気配を感じたためエミを投げ飛ばしなんとかエミを攻撃から守ることはできたがカルトは剣で貫かれてしまっていた

 

「カルト!」

「てめぇ...!一体どうやって。それに、その変わりようは」

「本当に危なかった。消滅する寸前に脳みそを摘出しました、そしてその脳みそに全力で結界を張りました。しかし残ったのは本当に一片だけ、あともう少しでも威力が高かったら私は間違いなく消滅していたでしょう」

「クソが...残ったのが一片だけだったから気配がギリギリまで感じ取れなかったのか...!」

 

カルトの五感確かに常人とは比較にならないほど優れているが脳みその一片といった小さな気配は感じ取ることができなかった。そのためカルトはギリギリまでギーグの攻撃に気づくことができなかった。

 

「脳みそのたった一欠片からでも再生できるなんて...!」

「そしてこの姿は私のあの方への忠誠心の現れ!私の全てです!」

「はぁ、はぁ、上等だ...!」

「さぁあ!ごらんなさい!私の覚悟を!!!!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ギーグのイラストはAIイラストを使わせていただきました

読んでくださりありがとうございました。少しずつではありますがこっちの作品の感を取り戻し投稿できたらなと思います。
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