「はぁ、はぁ、はぁ、」
「おめでとう、ギーグ。これで君の体内にはトワリンの力が宿った」
「はぁ、はぁ、で、殿下」
ギーグは殿下と呼ばれる男の前に跪く
「ああ、別にいいよ楽にして。よく頑張ったね」
「ありがたきお言葉」
「でも力が定着したからと言って決して無茶な使い方をしない方がいい。体と精神が耐え切れなくなるからね」
「はっ」
「今日はもう休むんだ。例の調査はこっちで進めておくから」
「お待ちください、殿下」
「ん?」
「お願いがございます」
ギーグは立ち上がり男に近づく
「先日のドゥリンの血液。あれを私に打ち込んではいただけませんか」
「...なに?」
「此度の戦は大変重要なもの。そのため絶対に勝たなければなりません」
「うん、だから君にトワリンの力を..」
「ですがつい先日モンド民は見事に風魔龍を鎮めてみせました。正直この力を得ても一抹の不安を抱いているというのが正直な気持ちです」
「...」
「そのためこの戦を絶対なものにするためにどうかドゥリンの血液を私に...!」
「だめだ。」
「殿下、なぜ」
「それをすれば君は確実に死ぬ。仮に耐えきれたところでドゥリンの力を使えば最後、君は塵一つ残らず消滅する」
「ええ」
「ねぇ、ギーグ」
男はギーグの腕優しく掴んだ
「君は俺にとってただの部下じゃないんだ。とても大切で弟のようだと思ってるんだ。そんな君を俺はみすみす死に追いやりたくない」
「...殿下」
「話は終わりだ。今日はもう休むんだ」
男はギーグのもとから立ち去ろうとしたときギーグは再び男の前で跪いた
「ギーグ、何度話しても同じだ。君の提案は受け入れられない」
「私は過去の記憶はなくし彷徨っているところ拾ってくださったときから私はただ貴方の役に立ちたく今日まで生きてきました。」
「...うん、わかってる」
「恩人の貴方様が家族のように接してくださった、これより幸せなことなど他にございましょうか」
そう言いながらギーグは涙を流していた
「私が貴方の弟だというのならお願いします。一度でいい、どうかこの愚弟の願いを聞いてくださいませんでしょうか」
「...わかった。その忠誠心と初めてのわがままに免じてドゥリンの血液を渡そう」
「...!ありがとうございます!」
「その代わり必ず勝つんだ。いいね絶対だよ」
「は!お約束いたします」
これはギーグがモンド侵攻の前日にあった出来事である。そしていまギーグは
「さぁあ!ごらんなさい!私の覚悟を!!!!!」
死して恩人の理想を叶えるために最後の戦いに挑む
「エミ...お前はなんとかして後ろ..まで下がれ...嵐はもうねぇんだ。ここにいちゃ確実に死ぬ...!」
「でも、カルトは...!」
「俺は...コイツと決着をつける。じゃねぇと全員死ぬ」
「そんな、無茶だよ。そんなボロボロで...!」
「俺を信じろエミ、絶対勝ってみせるから」
「でも」
「いけぇ!!!!」
「!わかった。絶対、絶対に生きて帰ってきて!」
そういいエミはフラフラになりながらも後ろへと下がっていったがギーグはそれを見逃さなかった
「私は愚かにも貴方のことを軽く見ていた。それは誤りだった、故に全力で確実に殺す!!」
「クソっ..!させるか」
ギーグが飛行する3本の剣に力を込めると切っ先に紫色の光が集まっていった
「”イブリース”」
「くっ、オラァアアアア....!!!!」
「...!まったく貴方は正真正銘の化け物ですね」
「へへ、こんなもんかよ。たいしてパワーアップはしてねぇみてぇだな」
カルトはエミに向かっていった光線を受け止めそれを上空に弾くことに成功する。だが
「あ?ぐっああ...!なんだこれ...」
「残念これで貴方の死はより確実なものになりました。」
「んだと...!」
「私の姿が変わった理由は毒龍ドゥリンの血液によるものです」
「!なるほどな、つまりてめぇの攻撃すべてが毒が追加されるわけか」
「その通りそれに貴方は今の攻撃のほかに私の剣に貫かれました。つまり貴方の体はすでに毒に侵されてしまっている。さらに、ハァアアアアアアアア!!!」
ギーグは力を込めると体中が紫色の光が駆け巡る
「”毒龍の重鎧”これで私に近づく者、攻撃するものは即座に毒に侵されます。そして貴方はおそらくあと数分で完全に毒が周り死に至る。いくら超人体質といえドゥリンの毒には耐えられない」
「なるほどな、こりゃ確かにやべぇな」
「貴方の回収に生死は問わないと言われています。貴方を殺した後モンドを壊滅させます」
「俺の回収だと?」
「ああ、そういえば私たちの目的をまだ話していなかったですね」
ギーグはカルトに指を指し告げる
「私たちの目的はモンドの壊滅及びカルト・スカーレット、貴方の身柄回収です」
「なんだと、」
「あー、そうだった。私も勝負を急がなければならないのでした」
ギーグの体は自壊が始まっており右手の小指が塵となってしまった
「再生が追いつくうちに勝負を急がせていただきます。”イブリース”」
「くっ!」
ギーグは先ほどの光線をカルトに打ち込むがカルトはそれを剣で防いだ
「やはり避けませんか。しかしその行動は貴方の死期をより早めるだけですよ!」
「グハァ!!」
「安心して死んでください。すぐに貴方の大事な人全てを貴方の元へと送って差し上げますから!」
「...!拳撃・赫!!!!」
「ぐっ、毒を食らってもなおこの威力...!だが」
カルトは光線の対処をしている途中でギーグに上空へ蹴り上げられ、さらなる追撃を食らいそうになるが拳撃・赫で逆にギーグを地面へと叩きつけた
「かはっ!!、グゥアアアア!!!」
「言ったでしょう、私に触れれば毒は即座に貴方を蝕むと。はっきりいいましょうかもう貴方に勝ち目は...ぐぁあ!!」
「勝ち目が何だよ?最後まで...言ってみやがれ」
「わかっているのか、それは自殺行為に他ならない。もう無駄なんですよ貴方の死はもう決定した」
「ハハ、だからなんだよ。どうせ俺はもう死ぬんだろ、だったらてめぇぐらい道ずれにしてやんよ!!!」
カルトはギーグに勢いよく突っ込んでいきそのまま拳を連続で打ち込む。打ち込む度にカルトあ血反吐を吐いていたが確実にダメージを与えていた
「ぐはぁああ、この死にぞこないがぁ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、ぐっ...!」
「ようやく膝をつきましたね」
ギーグは左手を天に掲げると手のひらに巨大な紫色の竜巻を作り出した
「貴方は本当によく戦った、敵とはいえ尊敬してしまうほどに。ですがこれで決着です」
「....」
「この竜巻にももちろん毒素が含んでいます、そしてこの竜巻はモンド全域にまで広がる。そうモンドにいる全ての生命体が毒に侵され死に至る」
「ぐっ...!そんなことさせるわけねぇだろ」
「立ち上がりますか...ですが今のあなたになにができる、貴方の神器で竜巻を吸収したところで毒素が広がるほうが早い!確実にこの戦場にいる者は全員死ぬ」
ギーグの言っていることに間違いはなかった仮に竜巻を神器で吸収したところで毒の広がりは止められない。被害は抑えられてもジンや蛍は全員毒に侵されてしまうことになる
「はぁ、はぁ、はぁ、」
「さようなら、モンドの小さき勇敢な戦士よ」
そしてギーグは左手を下ろし竜巻をカルトにぶつけようとした
「ふぅー」
だがカルトは大きく深呼吸をしそのまま思いっきり息を吸い込んだ
「な、まさか!あの竜巻を全て吸い込むつもりか!?」
「シュウウウゥ!!!!」
「ならばもう一発放つだけ....ぐっ!」
ギーグはカルトが竜巻を吸い込む様子を見てもう一個竜巻を作ろうとするが膝をついてしまう
「これは私の体も限界に近いということか...!」
「シュウウウゥ!!!!」
そしてカルトは竜巻を全て飲み込んでしまった。そしてそのままギーグに近づいていった
「な、しまっ!!!」
「うおああああああ!!!絶拳・修羅!!!!!」
カルト渾身の一撃はギーグの頭に炸裂した。その威力は拳を振るっただけで土煙が発生し周りの川全体が波をたてるほどだった
「は...!今のは」
「間違いないカルトの”絶拳”だ」
土煙が晴れ、エミとジンは確かにカルトの拳がギーグの頭を貫いているのを見た
「......」
「......」
「.......」
「.....本当に貴方は尊敬に値する人だ」
ギーグはそういいカルトの首を掴み地面に叩きつけた
「お願い、やめて!やめて!!」
「.....うあぁ!」
「どうか安らかに...」
ギーグは飛行する剣を掴み、そのままカルトに突き刺した
「が.....はぁ」
「馬鹿な...!」
「いやだ...いやだ!!!!!」
カルトはピクリとも動かなくなってしまった
「GUOOOOOOOOOOOO!!!!!」
そして一体の巨大なヒルチャールがジンとエミに襲いかかる。
「...邪魔だ」
だがジンはただ静かにヒルチャールを木っ端微塵にした。そしてものすごいスピードでカルトの元へ駆けていった
「....カルト」
「あとは貴方達小石だけですね!」
ギーグはジン襲い掛かるが剣を振るった瞬間ジンとカルトは目の前から消えていた
「なに...」
「ああ、カルト。こんなに傷だらけになって」
ジンはギーグの背後をとり、カルトを抱き抱え涙を流し顔を優しくなでる
「よく頑張ったな、本当に。」
ジンはカルトの体に回復魔法をかけ毒を完全にではないが摘出した
「無駄ですよ、いくら毒をなくそうとその方の命の灯は完全に消えた」
「...黙れ」
「現実を逃避するために私に怒りをぶつけますか。なんと滑稽な」
「....黙れと言っているのが聞こえなかったのか」
「....!」
ギーグはジンから発せられる威圧感に素直に驚いていた
「死なせてなるものか...!」
ジンは一瞬のうちにエミの場所までカルトを抱きかかえながら移動した
「エミ、」
「ジンさん...」
「彼を頼む。微かだがまだ息がある」
「え!?」
エミはカルトの胸に耳を当てると本当に微かにだが心臓が動いていた
「彼の毒は触っても問題ないほどには消しただからあとはバーバラに任せる。安心しろ彼女の癒しの力は私以上だ」
「ふん、例え毒を何とかしたところであの傷だ。もう助からない」
「あまり私の家族を舐めないことだ。バーバラ必ず彼を治すしカルトは必ず這い上がる」
ジンは剣をギーグに向け高らかにそう告げ、エミはカルトを支えながらゆっくりと後方に下がっていく
「貴方も多少やるようですが先ほどのカルトさんほどではない。そんな貴方が私に勝てるとでも」
「いや、無理だろうな」
「は?」
「私はおそらく貴様にダメージを与えることができるかどうかも疑わしい」
「ほう、ではどうするとたった数秒の時間稼ぎのために自らの命を差し出すと?」
「そうなるだろうな、だがな」
「私たちとなれば話は変わってくる」
「!?」
ジンの背後から炎の鳥と氷の鳥がギーグに襲い掛かる
「...これは」
「俺たちならお前を倒すことは十分に可能だ」
「先ほどと言い僕は彼に借りがある。その借りを返す機会をお前のようなやつの消させしない」
「ガイア、先輩」
「俺たちはこの戦いで今のところいいとこなしだからな、ここいらで少しかっこつけさせてもらうぜ」
「...癪だが同感だ。ここで少しでもいいところがなければ大人として面目丸つぶれだ」」
「なるほど貴方達3人で私を打ち倒すと。いいでしょうなら思い知るといい小石がいくら集まろうとも何の意味もないということを!!!」
「行くぞ二人とも!!奴を必ずここで打ち倒す!!!」
「了解だ」
「ああ」
「待っててねカルト、今バーバラのところに連れていくから」
「.................」
ギーグによって命の危機に瀕したカルト、彼の運命は一体どうなってしまうのだろうか。
そしてこの戦いは終幕に向かっている
「あの者の運命だと、そんなものはとうに決まっている。これはもう避けようのない絶対的な未来なのだから」
カルトは一時離脱して、ギーグはジン、ガイア、ディルックの3人で戦うことになります。正直この”モンド侵攻編”で一番書きたかったシーンなので気合入れていきます!!
読んでくださりありがとうございました!!