それではスタートです
「あの時は俺が選択を間違わなければいや...この世界に俺たちが来なければ彼らは...」
お兄ちゃん?
「あ、どうしたの?眠れない?」
ううん。ただお兄ちゃんがとても苦しそうだったから心配で
「...ごめん。俺は大丈夫、だからほら今日はもう遅いから寝よう。明日も歩くからね」
でも
「ごめん、失望したでしょ?君たちの王子はこんなにも弱いだなんて」
ううん。ただお兄ちゃんは...その...
「ん?」
どうしていつもそんな悲しそうな目をしているのかなって...
「...■■■、こっちに来てくれる?」
え。じゃあ隣座るね。わぁ、どうしたの?やっぱりどこか調子が悪いの?
「うん。だから今は■■■の肩を貸してほしい」
もちろん!それでお兄ちゃんが元気になるならいつでも。それに僕はお兄ちゃんに助けられてから一つの夢ができたんだ
「夢?」
うん!僕の夢はね...................
「私はいつか必ず幽夜浄土を見つけて見せるわ!」
「俺はいつか親父たちみたいな立派な冒険者になる!」
「僕はそうだな...このまま勉強して僕を育ててくれたリサ先生ひいてはモンドの役に立つ魔法使いになりたいな」
「「「カルトは?」」」
俺の夢はあのヴァネッサを超える英雄になることだ!
「おお!でっかい夢だな!」
だろ?この夢だけは絶対に叶えてやる
「でも一体どうやって?」
それはな...そうだなエミ、お前の大切なものってなんだ?
「う~ん、やっぱり”フィッシュル皇女物語”かしら?それとママにパパ」
じゃあお前とその大切なものを俺は全部護る!それにお前のママさん、パパさんの大切なものもな
「え...」
それにベネット、エルタお前たちの大切なものも全部護る!
「それって...」
ああ、俺はな...................
お兄ちゃんを助けられる
俺に繋がってるもん全部守れる
「はぁあああああああ!!!」
「うおおおおおおおお!!!」
二人の拳は衝突しその数秒後お互い後方へと弾かれる。だがギーグは即座に行動し風元素を纏った蹴りをカルトの脇腹に浴びせた
「っ...!」
「やっぱりだ。君、まだ万全じゃないだろ?さっきまでの君なら今の攻撃を簡単にかわすなり止めるなりできたはずだ」
バーバラとウェンティによって峠は越え立ち上がるまで回復した。だがそれでも重症には変わりなく今のカルトは立っているだけで精いっぱい。しかも今の蹴りで先ほどの傷口が開き血が流れてきている
「そんな状態で僕に勝てると思う?」
「はっ、余裕だね」
「へぇ~、それは見ものだね!」
ギーグはダメ押しとしてカルトに連撃を叩きこみダメージを与えカルトの返り血を浴びる。血だらけになり呼吸も荒くなっているカルトだが依然余裕の笑みを浮かべていた。そのことがギーグにとって不愉快でありその怒りをぶつけるようにギーグは再び連続で拳を浴びせる
「なぜ立ち続ける!?君はこの国に迫害され何もかも奪われただろうが!」
「......」
「友も夢も居場所も家族も全部だ!なのになんでこの国の為に戦える!?」
「.....」
「なんで....!」
(僕と違ってそんな...!)
「仕方ねぇだろ」
「.....!」
カルトはそう言いギーグの拳を受け止める
「大好きなアイツらがこの国を大好きだって言いやがる。だからこんな酒臭くて騒がしくて俺から色々奪った国であっても守りたいって思っちまう」
「たったそれだけの理由で君はいま、立っているのか」
「ああ。俺にとってそれが全てだ」
モンドはあまりにもカルトから奪いすぎた。だが彼が大好きで大切なエミやベネット、ジンたちがこのモンドを好きだと言う。彼はそんな者たちの居場所や思い、大切なものを全てを守るためにいまここに立っている
「だから俺はお前を倒しこのモンドを守る!大好きなアイツらが笑って過ごせるように!」
「ぐっ...!」
カルトはギーグを殴りそのまま後ろへと吹き飛ばしそのまま追撃し連続で攻撃を浴びせる。そしてその一撃一撃は先ほどの戦いのものより速く強力なものになっていた
「うおおおおおお!!!」
「......僕だって!」
ギーグは迫りくる攻撃を避けカウンターを浴びせる
「僕だって負けられない!約束したんだ、絶対勝つって!」
「チッ!」
「この国を滅びしアビス教団の宿願を果たす!全ては僕を救ってくれたお兄ちゃんのために!」
「そんなことさせねぇって言ってんだよ!」
二人は自分が背負うもの全てを拳に込め相手に叩き込む。何度拳を入れられようがどれだけ血を吐こうが二人の勢いがやむことはなくむしろ傷つくたびに攻撃の速度と威力が増していき二人の動きの軌跡は飛び散る血でしか確認できなかった
「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」
逆転に次ぐ逆転、二人のぶつかり合いの均衡はついに崩れることになる
「だらぁ!」
「........」
カルト渾身の拳が入りギーグは後ずさる
役立たず........
クズ.........
そんな言葉たちがギーグの頭の中で響く。そんな中ギーグは自分を救ってくれた人物の顔を思い出す
(お兄ちゃん.....)
その人がくれた言葉、時間そのすべてが自身を支えてくれている感覚をギーグは覚える
(まだだ。まだ僕は負けてない。あの人と過ごした時間、言葉が僕を支えてくれている。今度は僕がお兄ちゃんを助けるんだ)
「がぁあああああ.....ああああああああああああああああああ!」
ギーグを雄叫びをあげると全身から膨大な風元素を放出する。その風は周りの山や川に影響を与えるほどでギーグ自身も耐えられていないのか全身に数多くの裂傷ができる。その様子をカルトはただ黙って見ていた。しばらくすると膨大な風元素はギーグの拳に宿る
「僕の命をこの一撃に乗せる」
ギーグが力むとその拳は赤く輝き始める。その輝きはギーグの命を象徴しているようだった
「お前も色々背負ってるのはわかった。多分だけど俺とお前は少し似てるよ」
「僕もそう感じてたよ。出会い方が違えばきっと気の合う友人になってたかもしれないね」
「それはないな。だって俺、ヒステリック嫌いだし」
「そっか、残念だな」
二人は感じ取っていた。目の前にいる相手は自分と同じで自分を支え愛してくれた人の為に戦っていると。だからこそ負けられない、負けたら約束を破ることになるから。負けたら大好きな奴らも何もかも失ってしまうから。だから.....だから
「「ここで死んでくれ」」
ギーグはカルトに鬼気迫る表情で近づく。それに対しカルトは拳を全力で握り跳躍する
「エターナル・アイリス!」
「絶拳奥義・残夢葬送!」
二人の全身全霊を込めた拳がぶつかりあう。その衝撃はモンド全体を包み込む。地は揺れ、風は荒れ、湖は波立ち、二人を中心に天変地異が起こる
「うおおおおおおおお!」
「....!、負け...ない!この...戦いだけは...」
「貫けぇえええええええええええええ」
カルトの拳はギーグの拳を破壊していきそのまま胸に風穴を空けた
「ごめんなさいお兄ちゃん....約束守れなかった」
そう言いギーグは仰向けになり倒れた
「ねぇ...」
「なんだよ」
「もし、生まれた順番が逆で君と僕の立場が逆だったら君は僕のようになっていたかい?」
「........」
「僕がもし君の立場だったら僕は君のようになれていたと思うかい?」
ギーグの問いにカルトは頭を掻く
「知らねぇよ、そんなの。......でもまぁあれだ、お前は人の為に戦える奴だからもしかしたら西風騎士団に入っていたかもな。そしてファルカあたりに振り回される」
「アハハ...それは勘弁だな...」
ギーグは乾いた笑い声をあげる
「結局僕は両親たちの言う通り役立たずだったってことか...お兄ちゃんとの約束も果たせなかったし」
「.....何を約束してたか知らねぇけどお前は役に立ったと思うぜ」
「慰めはいらないよ。なに、同情?」
「事実だよ。少なくとも街の復興やけが人の治療とかでこの国の奴らはしばらく酒が飲めなくなる」
「は?」
ギーグは頭に?マークを浮かべる
「モンド人にとって酒は命だ。風神サマですらな」
「....はぁ、人生最後の話し相手が君で本当に残念だよ。............でも少し楽しいかな」
笑顔を浮かべ、ギーグは目をつぶる
「今回は僕たちの負けだけどアビス教団は...お兄ちゃんは必ず君たちを倒し宿願を果たす...!」
「...........」
「君がお兄ちゃんに無様に負けるところをあの世から拝むのを楽しみにしてるよ。だから...」
「だからなんだよ?」
「..........それまで死ぬなよ」
そう言いギーグは光の粒となって消えていった。そしてカルトの目の前には灰色に濁った神の目しか残らなかった
「うるせぇ、ブラコン野郎」
カルトはそう言いながら腕を天高く掲げた。その数秒後、彼はうつぶせに倒れそのまま意識を失ってしまう。
モンド城正門の戦い、勝者...........カルト
モンド防衛成功
読んでくださりありがとうございました!やっっっっと決着!まさかここまで長くなると思っていませんでした。今後はオリジナル展開絶対減らします!..........多分