うちはの呪術師   作:狼ルプス

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アンケートの結果、螺旋丸は有りにに決定しました!

ご協力ありがとうございます!


硝子と閃凪

 

『人、いっぱいだな』

 

 

あれは、いつだっただろうか……小さい時、ある神社であった夏祭りの日、人が多くて父さんと母さんと逸れてしまってた。

 

 

『父さん達…いるかな』

 

もし迷子になった時の集合場所に向かっている時だった。途中狐のお面を見つけ買って人気のない場所に気配がし気になって足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒック……ううっ。はなれてよぉ』

 

1人の女の子がその場で蹲って泣いていた。そしてそばには少女の髪を引っ張っている化け物が憑いており離れる気配がなかった。本来なら放っても問題ない奴もいるがそうもいかなかった。

 

『どうしたのキミ?」

 

『ヒック、この変なお化けが……離れてくれないの』

 

『◾️◾️◾️◾️◾️ーーー』

 

『…もしかして、キミも見えるの?後ろに憑いてる奴』

 

『え、君も見えるの?このお化け…』

 

『うん、見えてるよ』

 

『◾️◾️◾️◾️◾️ーーー』

 

お化け…否、呪霊は何か言っているが放っておけば確実にこの子に害を及ぼすだろう。

 

 

 

『消えろ…』

 

呪霊を睨みつけると体を震わせながら女の子から離れる。俺は逃す事なく近くにあった石ころを拾い、呪力を纏わせ、呪霊に向け投げ飛ばし祓う。この目のおかげで急所はわかるし、地面には小さな穴が空いたが問題はないだろう。

 

 

『あのお化けはもういない、怪我はないか?』

 

『うん、だいじょう……眼が』

 

『眼?…っ⁈(しまった。写輪眼から戻すのを忘れて…)『キレイ!』…え』

 

周りも暗く、仮面越しの目から赤く光るせいか巴紋の形も良く見えていた。それに…この子は今なんて

 

『赤いお月様みたい!』

 

『………』

 

この眼、写輪眼のことを知らなかった当時は、周りの人に見られると気味悪がられたり、気持ち悪いと言われ続けた。詳細を知りこの眼を見たものは写輪眼にの眼に関する記憶を消した。

 

『ハハっ!変な子だねキミ』

 

思わず仮面越しから笑いが出たのをよく覚えてる。目の前の女の子は純粋に俺の眼の事を綺麗だと言ってくれた。

 

 

『しょーこ!何処にいるの!!』

 

『お母さんだ!あっ、ねぇ!お名前なんて言う…あれ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『赤いお月様かぁ…この眼の何処に月の要素があったんだろう』

 

俺はあの後女の子の母親らしき人の声を聞いた後その場から離れ改めて集合場所に向かう。その後無事に親とも合流でき少しだけだ叱られたのもいい思い出だ。

 

今思えば…これが俺の初恋だったのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、んんぅ」

 

 

おぼろげな意識を、如何にか覚醒させようと思って目を開ける。

 

「懐かしい夢だったな…」

 

 

天井を見ながら意識がゆっくりと覚醒してゆく。

 

「そっか、そう言えば桃鉄やってて俺が寝落ちたんだったな」

 

 

眠気も完全になくなったころ、誰か別の人間の体温を感じ、自身の左側へと視点をやる。そこには

 

 

「は」

 

 

思わず変な声が出た。どうして俺の隣で?一番最初に寝落ちたのは家入だった。それがどうして彼女が隣に?しかもガッチリホールドされており動けない。

 

一先ず彼女を起こすことにした。

 

「(もう少し警戒したらどうだ)家入、起きろ」

 

 

「………んぅ」

 

未だ熟睡中でどうしたものかと考える。あまり大きな声を出すと隣にも聞こえるし、特に悟や傑にこの場面を見られたら間違いなく面倒臭い事になるし変な勘違いをされるのが目に見える。

 

「しょうがない」

 

 

取り敢えず抜け出る、これに限る。そうと決まれば直ぐにでも行動しようそう思って家入の手に触れホールドしていた腕を解こうとすると布団に叩きつけられるのではなく、首を腕で抑えこまれ、そのまま布団に叩きつけられた形だ。

 

「ぐえっ!ちょ…家入」

 

「動くと叫ぶぞ」

 

 

それに対して家入は脅しを含め俺を離そうとはしない、ここは従った方が賢明か

 

 

「起きてたのか…」

 

「起きたのは今さっき。んで、なんか言うことがあるんじゃないの?」

 

「……おはよう」

 

「ん、おはよう」

 

 

挨拶を済ませると家入は俺の胸に頭を近づける。

 

「お、おい…」

 

「内葉の心臓の音がする」

 

「そりぁ聞こえるだろ」

 

「この音、なんだか落ち着く」

 

「そう言うものか?」

 

「気づけよ鈍感」

 

「ご、ごめん」

 

何故か怒られた。気まずい、そばから見れば仲のいい恋人が抱き合って寝てる構図だが…俺たちは付き合ってもいなければそう言う仲でもない。

 

 

「……なぁ、家入」

 

「なに?」

 

 

 

 

 

 

 

「俺達、昔何処かで会ったことがあるか?」

 

あの買い物の一件からずっと気になっていた。その後はお互い任務が入り時間も中々取れず聞けずにいたが…2人もまだ寝ている今、もしかして、と言う期待もあり聞いてみる。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「家入?」

 

家入は顔を埋めたまま無言になる。どうしようと思ったら家入はガバッと顔を上げる。

 

 

 

「………あの、さ」

 

「あ、ああ」

 

 

「私さ、閃凪の事…好きなんだよ」

 

 

 

「……え」

 

「私らしくもないかもしれないけど、一目惚れだったのかもしれないな…あの時も、別の時にも助けてもらって」

 

 

 

「ちょっと待て、別の時?俺はあの祭りの時以外で助けた記憶はないぞ?」

 

「やっぱ気づいてなかったか…ほら、一昨年くらい団扇の紋が描かれた狐面をつけて呪詛師から助けてくれた時あったろ?」

 

 

 

「一昨年…呪詛師」

 

 

 

 

 

 

◇二年前…

 

 

 

 

『ここが呪詛師が拠点にしてる廃墟か…』

 

 

二年前の真夜中…電柱から廃墟見渡す。師匠からの依頼で呪詛師の捕縛…或いは抹殺を頼まれた。

 

『(まったく…あの人もあの人だ。何処にも所属してない術師にやらせるか普通。何が(ちょうどいい内容だから受けてこいだ!)」

 

内心愚痴を吐きながらも建物に近づく。外の見張りは誰もいないところを見ると数はそこまでは多くないだろう。

 

 

気配を殺しバレないよう目標を探すと、明かりが見えギリギリの所まで近づき、耳を澄ませる。

 

 

 

『おい、こいつらどうするんだ?』

 

『あ?そんなもん決まってんだろ?ヤった後は用無し』

 

『アハハ!すまんすまん!野暮なこと聞いたわ』

 

『しかし今回は豊作だな』

 

『ああ…今回はどんな声して泣くのか楽しみだなぁ。ははははははっ!!』

 

 

 

 

「ひっ…」

 

「ううっ…お母さん、お父さん」

 

「うっ…ううっ」

 

「誰かぁ…」

 

 

「……………………」

 

 

 

 

 

『(誘拐犯の呪詛師が6人…誘拐された被害者が5人…)』

 

 

男達は笑っていた。顔がバレるのを防ぐ為のマスクを着用して顔を隠している。人数は6人。部屋には蝋燭やランタンを置いて光を確保している。正直警戒心もなさすぎる。この場所にいますよって教えてるようなものだ。

 

そんな状況を、縄で捕縛されている少女達は涙を流したり助けを求めたりしていた。しかし1人だけ冷静で誘拐犯らしき男達を見ていた者がいた。

 

『(…さて、お仕事開始だ)』

 

懐から暗器の一つクナイを取り出し構え、1人、仲間から離れたのを狙い接近する。

 

 

 

 

『⁈」

 

『動くな…変な事をするなら命はない』

 

物分かりがいいのか呪詛師の1人は抵抗する事なく俺の言葉に従う。

 

 

『俺の目を見ろ』

 

写輪眼に変化させ、呪詛師に目を見るように促すと呪詛師は俺の目を見た途端ボーッとし始める。

 

 

 

『人質の人数、他の仲間の持つ術式に関する事を言え…』

 

『人、質は、あそこに居る5人だけだ…術式は…1人は透明になれる術式が使える…後はわからない』

 

俺の言葉に呪詛師は答える。写輪眼の瞳術の一つ…幻術、これにかかった者はこの様に尋問したり、幻覚を見せる事が出来る。

 

 

『成る程、なら終わるまで寝ていろ』

 

呪詛師を眠らせる。後は一気に制圧するだけ、手裏剣を投げランタンを破壊し蝋燭の火を消す。

 

 

 

『……──────ッ!?敵──────』

 

『騒ぐな。……あと4人』

 

『だ、誰?』

 

『一応助けに来た。死にたくなかったら目瞑ってろ』

 

攫われた女性にも声をかけた後。呪詛師を手刀で気絶させそのまま一気に畳み掛ける…どうやら呪力が使えるだけの砂利ばかりで大したことなく無力化は簡単だ。

 

 

 

 

 

 

『くそっ!一体な…』

 

呪詛師は声を上げようとしたが、背後に接近しそのまま気絶させ。

 

『なんななんだ!一体誰が…』

 

『土遁・加重岩の術』

 

『ゲベッ⁈か、から、だが…』

 

『コイツ!』

 

土遁の術の一つ、触れた呪詛師を重くし、地面にはいつかせ行動不能にし、もう1人はナイフに呪力を込め不意を吐こうと攻撃を仕掛けるが…しゃがむ事で避けて足で払いのける様に蹴り宙に浮いたナイフをキャッチし太もも数回刺して行動不能にさせる。

 

 

そして最後の1人に目を向ける。

 

 

『術式展開─────』

 

すると残った呪詛師は体が透けて透明となる。

 

『…確かに透明人間…触れた対象物も透明化も可能、これなら人攫いも簡単だな』

 

 本来なら見えない相手を倒すのは骨が折れるかもしれないけど、今回は相手が悪かったな。

 

『火遁・豪火球の術』

 

 

 

『な、なにぃ⁉︎』

 

次の瞬間、俺は印を結び口から巨大な火球を呪詛師を捉える。呪詛師は回避が出来ずモロにくらった。

 

 

 

 

 

『ば……馬鹿な!?何故……俺の居場所を……!?俺の術式は誰も捉えられな……き、貴様、その眼はいったい⁈』

 

 

何も無い所から呪詛師は姿を現し、体中火傷がひどく服も燃えていた。そして呪詛師もようやく気づいたみたいだ。俺の瞳が暗闇の中赤く発光している事に。倒れながら狼狽える呪詛師に俺は説明する。

 

『お前の術式は、お仲間が教えてくれた様に『透明人間になる』、触れた対象も透明化可能な術式、確かに普通なら捉えられないかもしれないが…俺の眼は誤魔化せない』

 

 

『この、こんなガキ相手…に』

 

『悪いが眠って貰うぞ…』

 

最後に幻術をかけ眠らせる。これで制圧は完了だ。呪詛師を対術師専用の縄で縛り拘束する。普通の拘束具では呪術を扱える者では簡単に解かれてしまうからだ。その後は人質の安否を確認し、縄を解いた後、携帯で任務完了の報告をする。

 

 

『もしもし、こっちは無事終わりました。はい、人質も全員無事です。はい…は?事情は話してるから後始末は高専の人に任せてすぐに戻ってこい?……切られた』

 

 

連絡相手は俺の師匠だ。言うだけ言って切られてため息を吐くしか出来なかった。

 

 

『えっと、取り敢えずもうすぐしたら高専の人が来るからその人達の指示に従ってくれ…』

 

人質だった女性に後からくる高専の人に従う様促すと外から車の音が聞こえ始める。

 

 

 

『俺はこれで失礼する』

 

それを最後に俺は瞳術を使いその場で吸い込まれる様に去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの眼…やっぱり、あれ幻じゃなかったんだな…』

 

人質の中にいた少女は何やら確信じみた事を言っていた事を聞くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初に会った時は、神社の神様かなんかだと思ったけど。あの時また助けられて実在してる人間だって確信したんだ」

 

「あの時人質の中にいたのか…と言うか、俺の事人間じゃないって思ってたのか…」

 

「仕方ないだろ?突然消えた上にあの時はまだ幼かったんだ…あの後また会えるのを期待して神社に行ったりとか私なりに探したんだぞ?そしたらどうだ、まさか高専に入って同級生として再開するなんて誰が予想できたと思う?」

 

「俺だってまさか昔会った女の子が家入とは思わなかったさ。それとさっきの問い、肯定として捉えてもいいんだな?」

 

「ああ、改めて久しぶりだな、赤目の狐さん」

 

 

「そう言えば狐のお面をつけてたな…」

 

 

まさか昔気になっていた子が目の前にいたことに驚きを隠せず戸惑いがあるし気まずい。

 

 

 

 

 

「話戻すけど、内葉がよかったら付き合おうよ」

 

「……けど……俺達は」

 

「『呪術師だからいつ死ぬか分からない』……って言いたいんでしょ?」

 

「…心読むなよ」

 

「案外わかりやすい時もあるからな」

 

「わかりやすいのか…俺」

 

 

そんなにわかりやすいか…顔には出さない性格とは思ったが、家入の指摘通りそう言う時があるのだろう。

 

 

 

「……本当に俺でいいのか?下手したら明日…死んでる可能性だって…」

 

「はぁぁぁ、だからさぁ~……」

 

 

「にゅっ⁉︎にゃ、にゃ…にをしゅ」

 

突然両頬を引っ張られ上手く言葉が発せられなかった。

 

 

 

「私は、内葉じゃ…閃凪じゃなきゃ嫌だから言ってんでしょ」

 

「……絶対死なないとは約束は出来ない。それをわかってもか?」

 

「承知の上だ。この業界だし、戦いの最前線に立つお前やクズ共よりは、私は確実に死に辛いけどな。私ヒーラーだし」

 

 

 

これは…腹括るしかないな…

 

 

 

「……そうか……俺なんかで良ければ……よろしく頼む。家入……いや、硝子」

 

それを聞いた途端硝子が上に跨り、見下ろし、俺が見上げる形になる。

 

 

 

 

 

 

「あ、あの硝子…何を」

 

「やる事は一つしかないだろ?」

 

 

 

 

硝子は笑みを浮かべながら俺の顔に触れてそのまま唇を重ね合わせた。

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