あれから時が経ち俺達は2年になった。その間も変わらず呪霊を祓ったり、学業に励んだりバカやったりと面白おかしく日常を過ごしていた。まぁ呪術界はクソと言うのは変わりないが…
硝子との関係も良好、任務で数週間会えなかった時もあったがうまくやっている。
そして2年になると言う事は俺達にも後輩ができると言う事、そして新たに一年には2人の後輩が入学した。
1人は七海建人、真面目でしっかり者。
もう1人は灰原雄、元気で明るく陽キャと呼ぶにふさわしい性格の持ち主だ。
2人とも一般出の術師でありスカウトされ高専の入学を決めた。夜蛾先生曰く物凄くいい子と評価している。まぁ、俺達と比べてしまうと負担は減るだろう。
「歌姫先輩と冥さんの2人と連絡がつかない?」
「そっ。任務先でトラブってると思うんだよね」
お茶を買った後教室で悟から知らされる。教室には悟以外に傑と硝子の2人も居た。
俺は傑に訊く。
「その任務確か歌姫先輩の一級昇格が懸かってる任務だよな?2人が行って確か二日くらい経ってるはずだ」
「ああ。歌姫先輩はともかく、冥さんが音信不通は流石に変だ」
「今、自然な流れで歌姫先輩をディスったな傑?2年になっても変わらないな」
「五条はともかく、クズ2号がこんななのはいつもの事でしょ?あ、閃凪はそのままでいてくれよな」
そう言いながら俺にくっついてくる硝子、最近は定位置になってしまっている。けど悪い気はしないしこう甘えてくるのも信用してくれているのだと思うと嬉しいし俺も安心する。
「俺はともかくってなんだよ硝子⁉︎後イチャつくんじゃねぇよ!!」
「悟、この2人はこれが平常運転だ。言っても無駄だよ。後さりげなく二号に名前変えたね硝子?」
硝子の毒舌に悟はツッコみ、俺はは3人の考えを察した。
「2人を助けに行くのか?」
「一応ね。歌姫雑魚だけどアレでも先輩だし?」
「歌姫先輩が聞いたら間違いなく怒鳴り散らされるぞ?」
「「だって歌姫だし?/歌姫先輩だし?」」
「お前ら……」
こう言う時は意気投合する2人を見て頭を抱える。
まあ、それはそれとして。素の戦闘力が高い冥さんと比べて劣るが、歌姫先輩の安否も気になる。面倒見が良いし初対面の時は本当気を遣ってくれたりと相談とかにも乗ってもらった。交際のことを報告したら嬉しそうに祝福してくれたりと本当にいい先輩だ。
ただ両肩をすごい力で置かれ『あの2人みたいには絶対にならないで』とすごい剣幕で言われた。
悟と傑と言う大の問題児たちのせいで一番のストレス原因となっているが、悟はマジで嫌われていると言う自覚が全くない。
「当然お前も来るだろ、閃凪?」
「そうだな。聞いた以上何もしないわけにもいかないしな。硝子はどうする?」
「いくよ。先輩が無事だったら私も役に立つし、閃凪の反転術式じゃ心許ないからな」
「確かにな…」
俺の反転術式は切傷程度は治せるようになり他者にもかけられるが硝子程重傷者を治せる技術には及ばない。
何かまだ何が足りない…そんな感じだ。そんなこんなで、2年全員で歌姫先輩と冥さんの任務先へ向かった。
「結界…これは呪霊の結界術か?」
先輩の勤務先に行くとそこには廃墟と化した建物があり建物からは呪いの気配が感じられた。
「みたいだな。しかもこの結界、時間もしかして外と違って結界内はそんな時間は経ってないんじゃないのか?」
「おっ、閃凪も気づいた?」
「まぁな…んでどうする?俺が中に入って救出する手もあるが?」
「いや、めんどくせーしぶち抜いていいか?」
「……壁に穴あける程度にしとけよ。万が一があったら俺が入って救出するからな?」
「はいはい、術式順転・蒼」
悟が呪力を解放し、術式を発動する。悟の蒼により建物の一部が圧縮し、形を保てなくなった結界は崩壊していき建物そのものまで壊してしまっている。
「やりすぎだ。先輩達大丈夫か?」
感知に切り替え探していると、建物の残骸の所に座り込む女性と余裕そうに立っている女性を見つけた。
「助けにきたよ〜歌姫……泣いてる?」
座り込む巫女服の女性を高所から見下すように煽る悟。
「泣いてねぇよ!後敬語!!」
悟の煽りにキレながらツッコんでるのは俺達の先輩である庵歌姫さん。呪術師ながら割とまともな先輩だ。
「泣いたら慰めてくれるのかな?」
悟に質問するのは立っている水色髪のポニーテールの女性、1級術師でありお金を払えば何でもしてくれるという守銭奴冥冥さんだ。
悟が蒼で結界をぶっ壊したというのに特に驚いた様子もなく飄々としていた。
「冥さんは泣かないでしょ?だって強いもん」
煽り散らかされかつ弱い認定され完全にキレた歌姫先輩は指を悟に向けながら叫ぶ。
「五条!私はねぇ!助けなんていら」
叫ぶ歌姫先輩の背後の瓦礫から今回の騒動の呪霊が飛び出し歌姫先輩に襲いかかろうとするが、次瞬間その呪霊を丸呑みするように地面から呪霊が飛び出した。
「飲み込むなよ。後で取り込む」
丸呑みしようとしてる呪霊は傑が使役している呪霊だ。傑はポケットに手を突っ込みながら歌姫の近くに歩いていく。
「悟、弱い者いじめは良くないよ」
「強い奴イジめるバカがどこにいんだよ」
「君の方がナチュラルに煽っているよ夏油くん」
「あっ」
「夏油ォ!!」
歌姫先輩の顔がどんどん歪んでいく。
「歌姫センパ〜イ無事ですか〜?」
「歌姫先輩、無事でなによりです」
「硝子〜!!閃凪〜!!」
俺と硝子が歌姫先輩に安否確認をする。そうすると歌姫先輩の顔が明るくなり駆け寄ると硝子に抱きつく。
「硝子〜閃凪〜あんたらはあの二人みたいになっちゃダメよ!」
「あはは、なりませんよあんなクズ共」
「あはは、本当に無事でよかった。怪我とかはありませんか?」
「大丈夫よ。擦り傷程度だがら心配ないわ」
「治すんでじっとしててください。今の俺の反転ならそのくらいは直ぐに治せます」
「…ありがとう閃凪」
俺は歌姫先輩に反転術式をかけ傷を治す
「2日も連絡無かったので心配しましたよ」
そう硝子が言うと歌姫先輩は驚いたような顔で
「えっ、2日!?」
「やはり結界内は時間はそこまで進んでいないみたいですね。そっちの感覚だとどのくらいの時間が経ってましたか?」
「だいたい1時間ちょっとくらいだと思うけど…」
「珍しいけど偶にあるよね。冥さんが居るのにおかしいと思ったんだよ」
「その様だね。それはそうと君達…帳は?」
「「「「あっ」」」」
そんなことを話していると冥冥さんがふと口を開く。
「この中に、帳は自分で下ろすからと補助監督を置き去りにした挙句帳を忘れた奴がいるな。名乗り出ろ」
正座で説教を受ける俺たちの前に青筋をたてながら座っている強面の男は夜蛾正道先生、俺たち2年生担当の教師だ。
そして傑と硝子は悟を指差す。元々帳を下ろすと言ったのは悟でありそれをド忘れていたのだ。俺にも責任はあるが自ら帳を下ろすと言った悟が全面的に悪い。
「せんせー!犯人探しは辞めませんか!」
だんまりを決め込んでいた悟が唐突に言葉を発する、それはもはや自白してるようなものである。
その様子に当然夜蛾先生も察したようで
「…悟だな」
といい、悟にげんこつ指導をお見舞いしていた。相変わらず痛そうな音。この馬鹿にはこのくらいの指導が丁度いいのかもしれないな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
説教が終わったあと俺達は体育館でバスケをしている。
「閃凪ー、そこからシュートしてよ」
「構わないが、素人だから期待はするなよ」
硝子からボールをパスされた俺はコートの真ん中からシュートをうち綺麗な軌道を描きながらゴールに向かう。ボールはリングに当たるものネットに入りしっかりゴールする。
「ナイスシュート」
「なんとか入ったが。決まってよかった」
するとさっき教育的指導を受けた悟が
「そもそもさぁ、帳ってそこまで必要?に
と不満げに話始める。それに対して傑は冷静に正論で返す
「駄目に決まってるだろ、呪霊の発生を抑制するのは何より人々の心の平穏だ。そのためにも目に見えない脅威は極力秘匿しなければならないのさ」
「分かった分かった。弱い奴等に気を遣うのは疲れるよ、ホント」
「弱者生存…それがあるべき社会の姿さ。いいかい悟、呪術は非術師を守る為にある」
「それ正論? 俺正論嫌いなんだよね」
「……何?」
「逃げろー一閃凪あとよろしく〜」
「了解…」
このままだと喧嘩が始まると察した硝子は体育館から逃げ出す。巻き添えを食らったらただじゃ済まない上、この2人は周りなんてお構いなしにおっ始めるためタチが悪い。
「呪術に理由とか責任を乗っけんのはさ、それこそ弱者のすることだろ」
悟は足元に転がってきたボールを放り投げ、ゴールリングに綺麗に決まる。
「ポジショントークで気持ちよくなってんじゃねーよ。オ”ッエー」
その言葉が決めてとなったのか傑が呪霊を出す。
「外で話そうか、悟」
それに対して悟も受けて立つ構えで
「寂しんぼか?1人で行けよ」
と煽り返す。その二人に俺は
「このウスラトンカチ共…良い加減にしろ」
俺も写輪眼に右手に蒼い雷を纏わせいつでも動けるように準備する。
「因みに閃凪、君はどう思う?」
「何がだ?」
「呪術の在り方についての話だよ。聞いてなかったのかい?」
「聞いていた」
「閃凪は俺側でしょ?
「……呪術の在り方か…」
一般人非術師への配慮。まぁ…このくらいなら言っても問題ないか
「守れるなら守った方がいいとは思うが、ただ俺は手の届く範囲でしかできない」
「!悟、どうやら閃凪もこちら側みたいだね」
「はぁあ~?マジで言ってんのかよ!?てっきり閃凪も俺側だと思ってたんだけど?」
「だが、傑。確かに考え方はお前に寄ってるが、呪術師が助けるのは善良な人間だけではない。救う価値すらない、醜悪で醜い人達を俺は師匠と見てきた。そういった者は他人の死さえきっと笑う事も出来てしまう。そう言う奴らをこの手で殺したいと思ってしまうこともあったさ」
「それを理由に見殺し、殺すなんて事はしてはいけないだろう?」
「それをしてしまえば呪詛師以前にただの人殺し、ソイツらと同じになってしまう。俺は別に傑のやってる事を否定しているわけじゃない。ただお前は少し真面目過ぎるところがある。俺達呪術師はこの先非術師、呪詛師、呪術師、腐った上層部共も関係なく人間の腐ったところをいやでも知る。その場を目の当たりにした時…お前はどうする傑?」
「……それは」
「答えを出す必要は今はない。さっきのは頭の隅に入れておいてくれ。お前は優しいから、絶対難しく考えそうだしな」
すると体育館の扉がが開く、俺は振り向くと夜蛾先生が立っていた。
「いつまで遊んでいる?硝子はどうした?」
「さぁ?」
「便所でしょ」
「お前ら、デリカシーのデの字もわからないのか?」
デリカシー皆無なことを言う2人、そんなんだから硝子にクズ共とか言われるんだぞ…
「はぁ……まぁいい。今回は悟と傑、閃凪に指名任務だ」
「俺達3人にですか?」
そう夜蛾先生が言うとさっきまで喧嘩をする気満々だった2人は不満タラタラの嫌そうな顔をする。
「なんだその面は」
「「いや別に」」
「正直荷が重いと思うが天元様のご指名だ」
「「「!!」」」
「依頼は2つ、“星漿体”天元様との適合者、その少女の護衛と抹消だ」
夜蛾先生の言葉に悟が首を傾げる。
「ガキンチョの護衛と抹消ォ??」
「そうだ」
真顔で頷く夜蛾先生に悟はヒソヒソと呟く。
「遂にボケたか」
「春だしね。次期学長ってんで浮かれてるのさ」
「………」
それを聞き俺は何も言わない。師匠から星漿体の内容を知ってる為余りいい気分にはなれない。
「?なにソレ」
「「「…………」」」
実験室に入り、本気で知らなそうな悟の為に夜蛾先生が説明する。
「天元様は不死の術式を持っているが、不老ではない。ただ老いる分には問題無いが、一定以上の老化を終えると術式が肉体を創り変えようとする。進化人でなくなり、より高次の存在と成る」
「じゃあ良いじゃん。カックい〜〜」
「天元様曰く、その段階の存在には意思と言うものが無いらしい。天元様が天元様でなくなってしまう」
「そもそも、高専各校や呪術界の拠点となる結界や補助監督の結界術の全てが天元様の力で強度を上げてるから、天元様に何かあった場合その恩恵が受けられなくなるんだ。まあ、それだけならまだ良いけど……最悪、進化した天元様が俺達人類の敵になり得るかもしれないって事だ」
「だから500年に一度、星漿体と呼ばれる天元様と適合する人間が同化し、肉体の情報を書き換える。肉体が一新すれば術式効果も振り出しに戻る。つまり進化は起きない」
傑の補足説明を聞いた悟は納得する様に頷く。
「成程。メタルグレイモンに進化する分には良いけど、スカルグレイモンになると困る。だからコロモンからやり直すって話ね」
悟はデジモンで例え始めた。
「ええ、まぁいいやそれで」
「いいのかそれで…」
グダグダし始めた俺達に夜蛾先生が続く。
「話を続けるぞ。その星漿体の少女の所在が漏れてしまった。今、少女の命を狙っている輩は大きく分けて2つ!!天元様の暴走による現呪術界の転覆を目論む、呪詛師集団Q!!天元様を信仰、崇拝する宗教団体…盤星教・時の器の会!!」
そして夜蛾先生は謎のポーズをする。なんだそのポーズは?と言うのは内心で突っ込んでおく。
「天元様と星漿体の同化は2日後の満月!!それまで少女を護衛し、天元様の元まで送り届けるのだ!!失敗すればその影響は一般社会にまで及ぶ。心してかかれ!!」
今回の任務の難易度は恐らく特級案件に相当するだろう。間違いなく雇われた呪詛師も襲いかかるだろうが俺達三人ならなんとかやれるだろう。
しかし、この任務が俺達の大きな分岐点になるとは、誰も予想は出来なかった。
仙術について(六道も含め)
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有り
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無し