そして、今回はいつもより少しだけ時間をかけました。
アニメの方はクリスマス会編突入だというのにこちとらやっと小説の2巻突入ですよ。
俺は今、体育館裏に来ていた。
「それで、用ってなにかな?」
目の前にいる女の子は声をかける。
「あ、あの、わたし……柳くんのこと好きなの!よかったらわたしと付き合ってくれないかな?」
「ごめん、俺よく君のこと知らないから恋愛感情はないよ」
「……そっか、残念だな」
そう言い残し彼女は立ち去った。
葉山、三浦VS奉仕部のテニス勝負から一週間がたった。
そのときの俺のとんでもプレーがたちまち学校中の話題となり、今や俺の知名度は葉山並だ。
元々、不良を殴ったやら、いきなり大声で叫びだしたやら、シスコンらしいとかいろいろ噂はあったんだけどな。いや、噂じゃなくてほぼ事実か。
「おう、戻ったのか。」
教室に戻ってきた俺の席になぜか速水が座っていた。
「なんでおれの席座ってんだよ……」
仕方ないので俺は速水の席に座る。
「っでどうだった?」
「結構可愛い子だったけどフった」
「またかよ……。今週で何人目だ?」
「5人かな」
「死ね」
「目が本気じゃねーか」
「あーなんでお前みたいなやつがモテんだよ……」
速水がそう言いながら机に突っ伏す。
そう、あのテニス勝負からもう一つ俺の周りの状況に変化ができたのだ。
一言で言うと『モテキ』というものがきた。いや、芸人で言う『大ブレイク』と言った方が近いのかもしれない。
何かのきっかけ、話題で人気が出るというあれだ。
多分、俺に告白してきた子たちは「私、今話題の人と付き合ってます!」というステータスが欲しかったのであろう。その証拠に俺は100%初対面の状態で告白をされてきた。
それが分かっていてOKするほど飢えていないので今ところは断っている。
まぁこんなこと初めてだから飛び上がるほどうれしいんだけどな。今飛んだら宇宙行っちゃうレベルで。
「あの時、俺も結構目立ったはずなのになぁ、なんでこいつばっかりなんだろうなぁ」
そう言ってる速水は遠い目をしていた。
「そういや、お前職場見学どーすんの?」
放っておいたらどこかへ行ってしまいそうだったのでまともな話題に戻す。
そうしたら顔を上げた速水が口を開く。
「あ?まぁ適当にだろ、お前は?」
「俺も別にやりたいことことねぇしなぁ」
椅子にもたれて、ため息をつく。特に将来の夢などはないので今回の職場見学はあまり乗り気じゃない。学校の行事なんて大体乗り気じゃないけどな。
「……暇だね」
「まだ俺らが部室来て10分しか経ってないけどね」
放課後、依頼が来なければなにもできない奉仕部は由比ヶ浜さんが言う通り暇をしていた。
雪ノ下さんは本読んでるし……。
「てかヒッキー遅くない?」
「なんか平塚先生に連れてかれてったよ」
またなんか変な事やったんだろう。あいつのことだし。
「へぇーそうなんだ……」
「暇なら、探しに行ってたら?」
「う、うん!行ってくる!」
そう言って、由比ヶ浜さんが小走り部室を出て行く。ほんと、比企谷くんのこと好きなんだな。本当に彼女みたいに一途な恋をしている女の子は希少なのではないだろうか。
「そういや、昼休みの戸塚の練習まだやってんの?」
聞いてなかったなと思い、雪ノ下さんに聞いてみる。
「戸塚くんが自分で頑張るって言っていたから、それを尊重したわ」
「まぁそれが一番だよなぁ」
あんなことがあったら戸塚も気を使うだろうしな。
「あなた、テニスやっていたの?」
今度は雪ノ下さんが俺に質問をする。
「中学ん時の体育でちょっとだけだよ」
「そう」
俺も解に対してどうも雪ノ下さんは納得いってないみたいだ。
まぁ実際の試合結果は知らんがあんな状況だったら気持ち的にも負けに等しいだろう。ほんと負けず嫌いだな。
「あれだよ、あんなのは技術じゃないしもう一回やれと言われても絶対できないよ」
「その割にはあの時は自信満々な気がしたのだけど」
「いやいや、あーでも言わないと雪ノ下さんに選手交代認めてもらえないと思っただけ」
「……今回は私の負けでいいわ。」
俺の言葉に明らかにムッとした雪ノ下さんが諦めたように言う。
「じゃあ遠慮なく勝ちってことで」
「でも、次は負けないわ」
「あの、部長僕たち奉仕部って一応仲間なんじゃ……」
「冗談よ」
絶対嘘だ、目が本気だもん。
いや、本来俺たちって競わなくていいはずだよね。こうなったのは俺が悪いんだけどさ。
「うーっす」
「ただいまー」
突然開かれたドアの方を見てみるとそこには比企谷くんと由比ヶ浜さんが立っていた。
「おー、ちゃんと合流できたんだ」
「ちゃんとじゃないよー。すっごく大変だったんだからね」
「あぁ……」
大体想像はつく。学校のどこかにいる比企谷くんを見つけるなんて森の中のカメレオンを捕まえる並みの難易度になるだろう。それを10分足らずで見つけてくるとはさすが由比ヶ浜さん!これが愛の力ってやつだね!
「おい、柳、今とんでもなく失礼なこと考えてないか?」
「気のせいだよ、気のせい」
「そうだ、やなぎん!ケータイ教えて!さっきヒッキーとは交換したんだけどそういえばやなぎんのも知らならなかったなって……」
「いいよ、赤外線でいい?」
そう言ってケータイを取り出す。そういえば俺って奉仕部の誰の連絡先も持ってなかったな。この際だから二人にも聞いておこう。
「あ、二人もあとで教えてね」
「「由比ヶ浜(さん)に送ってもらって(くれ)」」
……面倒くさがりすぎだろ。ちょっと傷つくぞ。
「これでよしっと」
そんなこと言ってるうちに俺と由比ヶ浜さんの赤外線通信が終わった。いやぁ日本の技術ってすごいなぁ。
「それじゃあ由比ヶ浜さん、二人の連絡先送ってくれる?」
「わかった!二人ともいいかな?」
「あぁ……」
「かまわないわ」
こうやって再度確認をとるところも彼女のいいところなのかもしれない。当たり前のことが当たり前にできない人間が多くなっているこの世の中で由比ヶ浜さんみたいな人間が幸せになるべきなのかもしないな。
なんて、誰目線なんだ?っていうツッコミを入れられてはおかしくなことを考えながら俺はケータイを見る。
『新着メール2件』
画面にはこう表示されていた。
2件?1件は由比ヶ浜さんからだとしてあと1件はなんだ?いつもの迷惑メールか?とりあえず見てみるか。
俺は謎の1件の方を開いた。差出人不明のそのメールにはこう書かれていた。
『戸部は稲毛のカラーギャングの仲間でゲーセンで西高狩りをしていた』
『大和は三股かけてる最低の屑野郎』
『大岡は練習試合で相手校のエースを潰すためにラフプレーをした』
だとか他にも色々ある。最初の行に『5人以上にこのメールを回してください。さもなければ不幸になります」と書いてあるのから察するに、どうやらこれはチェーンメールってやつみたいだ。
つか、戸部って確か葉山の金魚の糞みたいなやつだよな。どう考えてもただのバカにしか見えないぞ……。
同じく大和ってやつもそんな三股もできるようなやつには見えない。モテなさそうだし。
大岡は……知らん!
「どう考えても嘘だよなぁ……」
そう呟くと、由比ヶ浜さんが小声で俺に言う。
「やなぎんにも届いたの?」
「ん?これのこと?」
俺は由比ヶ浜さんにケータイの画面を見せる。
「あ、やっぱり……。最近そういうの多いんだよね」
へー、俺来たの初めてだったけどな。
「どうかしたの?」
俺たちの様子が気になったのか雪ノ下さんが訪ねてきた。
「え、あ、ちょっと変なメールが来たから……」
「柳くん、今すぐ自首しに行きなさい」
おかしい、なんで真っ先に俺なんだ……。
「ちょっと待て、俺を疑うより先に比企谷くんを疑うよりべきだ!」
「それもそうね、ごめんなさい私が軽率だったわ」
「お前らのやりとりに俺を生贄にするの、やめてくんない?」
「っでなにがあったの?」
比企谷くんを完全にスルーした雪ノ下さんに、由比ヶ浜さんが大まかな説明をする。
その間俺は再度チェーンメールを確認する。
流し目で読んでいると『柳』という文字が見えたので操作していた手を止める。
そこに書かれていることに俺はとてつもない怒りを発してしまった。
『柳の妹は援助交際をしているビッチ』
正直チェーンメール全然興味がなかった。もちろん、こんなことが嘘だということはわかっている。
しかし妹を侮辱された以上黙っているわけにもいかなくなった。誰であろうと半殺しにしてやる、半なだけありがたいと思え。
あらら、柳くんのシスコンスイッチ入っちゃった。
これからどうしたものか……。
感想などお待ちしてます!