では本編をどうぞ。
詳しい話をするため、三人で部屋に戻っていく。
その間も天内はにらみつけてきたので俺もガンを飛ばし返しておく。
黒井さんもあきらめたのか、呆れた様子は見せるものの注意してくることはなかった。
やっと部屋に戻ってきた。計5分くらいの出来事だったのだが、物凄く疲れた。
特に心が。
「さて、ではちゃんと話をしましょうか。くれぐれも話の腰を折るようなことは
しないでくださいね?」
黒井さんが天内に視線を送る。
さっきの対応といい、天内が暴走するのは珍しいことではないようだ。
黒井さんも苦労しているらしい。
というかこいつをお嬢様って呼ぶとか正気か?まあ確かに、黙ってれば美じn
ハッ! 俺はいったい何を考えていたんだ、こんな性格「汚」嬢様に。
「おいお前、今、妾を見て失礼なことを考えなかったか?」
「い、いや気のせいじゃないか?」
「...」
天内が不信がるようにこちらを見てくる。
危ない危ない、表情でバレるところだった。なんだこいつ読心術でも使えるのか?
「星影様、今回の護衛の内容、天内様に話してもらってはいただけないでしょうか?」
黒井さんが話しかけてくる。だが、
「あれ?そちらにも内容は伝わっていたと思うのですが...」
「ああ、それは...なんと言いますか...」
すると少し困ったような表情をした黒井さんが事情を説明してくれた。要約すれば、
「黒井以外の護衛なんかいらないもん!他の護衛のことなんて知らない!」
と言い訳をした天内が話を聞こうとせず、何の情報も知らずに今日を迎えてしまったらしい。
つまり
「お前のわがままのせいじゃねえか。」
「ぐぅ...仕方ないじゃろ!聞きたくなかったんじゃから!」
ぐうの音が出てんじゃねえか。
まあ一旦そのことは置いといて、
「じゃあ最初から説明するぞ。」
このお嬢様(笑)のために一から説明しなければ。
「まず、俺は呪術界上層部の命令によってお前の護衛をすることになった。」
「なぜじゃ!今までは黒井だけでなんとかなっていたじゃろう!」
「話は最後まで聞け。簡単にいえば、最近この屋敷の周辺で呪霊が発生することが増えてきた。
幸いまだ屋敷の人間に被害は出ていないが被害が出るのも時間の問題だ」
「私も一応戦えますが術式は持っていないので、理子様を守り切れる自信が無く...」
黒井さんは術式を持っていない。確かに呪力の扱いや体術は鍛えているらしいが、
それが有効なのは人間相手の話、呪霊相手では二級以上には歯が立たないだろう。
「一応、俺は準一級術師だからな、特級呪霊でも来ない限りは守ってやる。」
ここで呪術師と呪霊の階級について説明しておこう。
この二者にはお互い四級、三級、準二級、二級、準一級、一級、特級という階級がある。
この二者の分類にはいろいろと細かいルールがあるのだが一番大切なのは、
呪術師は同じ階級の呪霊を「確実」に祓えるという点だ。
実際に俺は準一級呪霊と戦って勝っている。
一級相手だときついかもしれないが天内が逃げるための時間を稼ぐくらいならできる。
だが問題は「特級呪霊」だ。
あれはダメだ。
俺は一度だけ一級術師との合同任務で特級と会ったことがある
その呪力を感じた瞬間に体中の細胞が「逃げろ」と危険信号を出した。
俺ともう一人の術師はすぐにその場から逃亡し事なきを得た。
あの特級呪霊が地縛霊のように土地に縛られていなければ俺は確実にあそこで死んでいた。
少し話がずれたが、つまり、
「例え呪霊が襲ってきてもほぼ確実にお前を守ることが出来るほどの実力を持ち
前線から抜けてもあまり損失がないって所で俺が選ばれたんだと思うぞ。」
「ほう...だが別にお前のような子供の術師じゃなくてもよかったんじゃないのか?」
ぐ、痛いところを突いてきやがった。
別に話してもいいんだが、うーん...
「まあ簡単に言うと...」
「もったい付けず早く言わんか。」
「...同じ年ごろの人間が護衛になるほうがストレスが少ないと判断したらしい。」
「いや、もうすでにストレスになっとるんじゃが!?」
「奇遇だな、俺もだよ。」
はあ...全く、上層部の人たちも護衛対象がこんな性格なら先に言っといて欲しかったなぁ
そうすれば、どうにか言い訳して断ったのに。いや本当に。
「まあそんなこと言ってもしょうがないだろ、汚嬢様。」
「なんか発音に悪意があった気がするが...まあいいだろう。極力、妾に近づくんじゃないぞ。」
「いや、無理。俺今日からここに住むし。」
部屋の中の時間が一瞬止まる。
「...すまんよく聞こえなかった。も、もう一度言ってくれるか?」
天内の頬が引きつる。
「だから、今日からここに住むんだよ、俺が。」
「...」
天内がシャットダウンしてからジャスト10秒
「い、嫌じゃぁぁぁぁ!!!」
天内が頭を抱えて叫びだす。うるせえ。
「黒井ぃぃ!どうにかならんのか!」
「だからちゃんと話は聞くようにって言ったじゃないですか、まったく...」
「そういうわけだから今日からよろしくお・嬢・様。」
半泣きで黒井さんに泣きつく天内に俺は、ニコニコの笑顔を送ってやった。
自業自得だよバカ。
豆知識
・星影は実は結構強い