完全に体調崩してましたスミマセン...
今日からまた頑張ります。
では本編をどうぞ。
星に乗り森の上を飛んでいく。
まだ夕日が明るく周りを見渡すことが出来るが、それもあとわずかだろう。
人工物の光がないこの森では夜になると真っ暗になってしまうし、今日は新月なので月明りも期待できない。日が沈む前に早く帰らなくては。
星影は屋敷の方向へと速度を上げるのであった。
結局、日が沈むのと星影が屋敷に到着するのはほぼ同時だった。どこを飛んでもほとんど景色が変わらなかったので内心焦っていたの秘密だ。
屋敷の中に入り靴を履き替えていると、使用人に話をされる。どうやら俺の到着と初仕事を祝って宴会の準備をしてくれているらしい。まだ時間がかかるようなので先に風呂で汗を流しておくことにする。
部屋に戻り荷物を置き、風呂場へと向かう、寝巻は屋敷で用意してくれているらしい。普通のパジャマだと正直浮きそうだったので助かる。
今日の仕事の内容などを話し歩いていると風呂場にたどり着く。
「星影様、こちらが大浴場となっております。」
「...これって、まさか温泉だったりしますかね?」
「はい。源泉かけ流しの温泉です。外には露天風呂もありますのでぜひお使いください。」
...いや、確かにすごい屋敷だなとは思ったよ。でもまさか温泉もあるとは思わないだろ!本格的に旅館じゃねぇか。
あまりの豪華絢爛具合にため息をつきながらも服を脱ぎ風呂に入る。
やはり仕事終わりの風呂は最高だった。今日一日溜まった疲労が洗い流されるようだ。宴会の準備がいつ終わるかわからないし、早めに湯船からあがっておこう。次は露天風呂に行ってみてもいいかもしれない。天気によっては星もよく見えそうだ。
タオルで体を拭き、寝巻に着替える。寝巻の正体は青海波の模様があしらわれた浴衣だった。布の質がいいのか、かなり着心地がいい。...もう9割方旅館じゃねえか。
着替えも終わり、目的の宴会が行われる大広間へと向かった。大きなふすまを開けると数十人の大人たちが宴会の準備なり、雑談なりをして思い思いの時間を過ごしていた。そして俺は使用人に連れられ、自分の席へと向かう。だが、なんとそこには...
「ゲッ」
「人の顔を見た第一声がそれかよ。失礼だな。」
「貴様が妾にした仕打ちの方が失礼じゃろ!というかなんでお前が妾の隣の席なんじゃ!」
「俺が聞きてぇよ。まったく...俺が何をしたっていうんだ。」
「あ?貴様それはどういう意味じゃ?」
「そのままの意味に決まってんだろ。馬鹿かお前は。」
「あ?」
「あ?」
そう、なんと俺の席の隣には天内が座っていたのだ。どうやら使用人たちの気遣いで隣にされたらしい。昼間に「あれ」を見ておきながら何を考えているんだろうか
そうして天内とヤンキーばりにガンを飛ばしあっていると、部屋の奥から黒井さんがやってくる。
「まったく、お二人とも会って早々また喧嘩してるんですか...?」
「「いや、全部こいつが悪い。...あ?」」
「息ピッタリじゃないですか。喧嘩するほど仲がいいってやつですね。」
「「そんなこと」」「ない!」「ありません!」
「ほら、ピッタリじゃないですか。」
「「ぐっ、ぐう...」」
くそっ、何も言い返せねぇ。
「そうだ、星影様、呪霊退治お疲れ様です。屋敷でも話題になってましたよ。やっと呪術師が来てくれたって。」
「いえ、仕事ですから。褒められるようなことではありませんよ。」
「ハッ、当たり前のことをして何を得意になっておるのだ。やはりまだまだ子供じゃのぉ。」
「だから、お前も同い年だっつってんだろ。任務同行させるぞ。」
「あ?」
「あ?」
「...もういいや。暴れたりはしないでくださいね。」
そういうと黒井さんは部屋の奥に戻っていってしまった。どうやら準備で忙しいらしい。
その後も天内と互いに手を出さない冷戦状態が続き、気づくと宴会の準備が終わっていた。
俺の前にお膳に乗った料理が運ばれてくる。お膳にすでにたくさんの料理が並べられている会席料理スタイルで、きれいに盛り付けられた刺身やてんぷらなどはまさに絵にかいたような豪華な食事だった。ここまでの食事はこの屋敷でもめったに出ないらしく天内も目を輝かせている。
「さて、全員に料理が届いたようだね。」
いつの間に来ていたのか、当主様がそう言い放つと賑やかだった大広間が水を打ったように静かになる。その低く落ち着いた声はカリスマ性にあふれていて部屋中によく響き渡った。
「では準備も終わったところだし、乾杯の音頭は星影君にやってもらおうかな。」
...ファ!?なんすかそれ!聞いてませんよ!先に言っといてくれないと困るって...
こんな大勢の前で話をするとなるとさすがに緊張する。そりゃ確かに俺のために開いてくれた宴会なんだから俺が話すのは当たり前なんだけどさぁ...
あと俺のテンパり具合を見てニヤニヤしてるお前。後で処す。
だが紹介されてしまった以上、話さなければなるまい。俺は席から立ち上がり周りを見渡す。この大広間にいる全員の目線が俺に集まる。少し離れたところから黒井さんが憐れむような目で見てくる。いや見てないで助けてくださいよ。
「ご相伴にあずかりました。今日から天内様の護衛を務めさせていただく、星影輝と申します。」
ひとしきり辺りを見回した後、俺は話し出す。どうやら10歳程度の子供が流暢に話しているのが予想外だったのだろう、何人かの使用人の目が丸くなっている。
一通りの礼儀作法は、師匠に習っている。あの人結構なんでもできるんだよなぁ。
「まだまだ子供ではありますが、私も護衛として自分の任務を全うしていく所存です。」
「それでは、グラスをお持ちください。」
俺の声を聴いた皆がグラスを手に持つ。
この屋敷に来てから一日でたくさんの、本当にたくさんの不安要素があったけれど、こうして俺のために立派な料理まで料理してくれたんだ。
「それでは皆様ご唱和ください。」
その期待に応えてみたくなるのもおかしくないだろう。
「乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
俺の号令で皆がグラスを持った腕を上に掲げる。ついに宴会が始まった。
「ふう...」
俺がやりきったという感じでため息をつきながら座るが、どうやら天内が不機嫌そうだ。
「どうした、浮かない顔して。」
「貴様が思ったより順調に事を運んでいて面白くないのじゃ。セリフがすっぽ抜けたりしてくれればよかったんじゃがのぅ。」
なるほど...やっぱこいつ後で処す。