更新遅れてすみませんでした。(*_ _)人
では本編をどうぞ。
とうとう宴会が始まると、俺を待っていたのは使用人からの質問の嵐だった。
たくさんの使用人に囲まれながら俺は考える。
どうしてこうなったのだろうか。
「星影様一つ聞いてもいいですか?」
「はい。なんでしょうか。」
事の発端は近くに座っていた、若い女性の使用人だった。
「お願いなのですが、これからする質問には嘘をつかないでほしいのです。」
「...もちろん。嘘はつきません。」
彼女のただならぬ雰囲気を感じて、俺の頭に嫌な仮説が浮かぶ。
━屋敷でも話題になってましたよ。やっと呪術師が来てくれたって。
確かに黒井さんは俺のことが屋敷の中で話題になっていると言っていた。俺はそれをいい意味でとらえていたが実は違うのかもしれない。よく考えてみればそうだ。屋敷周辺の呪霊を祓い、天内の護衛をするという重要な任務。その任に就いたのが10歳の子供だったのだ。俺のことが信用できないのも無理はない。
つまり彼女は俺が呪術師として、天内の護衛として信用足りうる人物かどうか見極めようとしているのだ。
「では、単刀直入に聞きます。」
背筋が自然に伸びる。今からされる質問には間違った答えをしてはいけないと直感した。確かにはたから見れば俺は頼りない子供に見えるかもしれないが、必ずこの屋敷を守って見せる。その覚悟をどうにかして伝えなけれb
「お嬢様とはどういった関係なんでしょうか!」
「「ブフッ!」」
俺と天内がほぼ同時にせき込む。
え?今なんて言った?
「あ!それ私も気になっていたんです!」
「確かに今日初めてあった割には仲良さそうだったしね。」
「昼間には庭で一緒に遊んでいらしたものね!」
「まさかもうお付き合いを...!」
「「「キャー!」」」
周りの使用人たちが一気に集まってくる。
「そ、そんなわけないだろう!!」
天内が顔を赤くして反論する。だが残念、恋バナスイッチが入ってしまった使用人たちにはまったくもって無意味である。むしろ
「そんなに焦るってことはやっぱり...!」
「出会って1日でそこまで...お嬢様も隅に置けませんねぇ。」
「それならお邪魔しましてしまいましたね。お二人でごゆっくり。」
「うわああ!ちょ、ちょっとストップ!?」
天内のオーバーな反応を見て盛大な勘違いをし、あろうことか空気を読み始める始末である。
天内もあまりのテンパり具合にいつもの話し方が抜けてしまっている。どうやらこっちの話し方が素のようだ。
「星影様はお嬢様のどのあたりを好きになったのですか?やっぱり顔ですか!?」
「え、えーっと...」
まずい俺にも飛び火してきた。だ、誰かいないのか!そうだ、黒井さん!彼女に頼めばこの場を鎮めてもらえるだろう。そう思った俺は黒井さんに目線を向ける。
だが、黒井さんは友達の使用人との話に夢中でこちらに気づいていないようだ。
うん、詰みだこれ。
いくつか考えていた解決策を破棄してすべてを受け入れる。心頭滅却すれば火もまた涼しとはこのことだ。
悟りの境地へと行きついた俺は質問の嵐に身を任せる。
この地獄の苦行は俺たちの状況に気づいた黒井さんが場をなだめてくれるまで約30分も続いた。
その時の黒井さんは仏のように後光がさしていたのは気のせいではないだろう。
結局そのあとはこれと言って大きな問題が起こることもなく、宴会は終わった。
料理を食べて、使用人と雑談をして、ときどき天内とガンを飛ばしあって。
なんだかんだ充実した時間だったと自室のベットに倒れこみながら考える。
星影は2年前のあの日を境に元居た学校から転校し新しい学校にいったと表向きには伝えてあるが、実際は師匠の下で呪術について学んでいたのでほとんど学校には行けず友達もできなかったのでこんな風に大人数で騒ぐというのが新鮮だった。しかし、
「はあ...めっちゃ疲れた。」
簡単に言うと星影は疲弊していた。特に精神面が。それこそ屋敷に入った時から計画していた天体観測をあきらめてしまうほどには。
「...まあ何とかなるだろ。」
星影がそう言い放ったのは自暴自棄になったわけではなく確かに本音だった。屋敷に着いたときはかなり緊張していたが、ふたを開ければ優しい使用人たちが迎え入れてくれて当主様も俺のことを認めてくれた。今思えば使用人たちが俺のことを信用していないかもしれないというのは杞憂だったと断言できる。あの時俺に質問をぶつけてきた彼女たちの目に悪感情は全くと言ってなかったのだ。それにさっきこのことを黒井さんに相談してみたら
「考えすぎですよ。そんなことを考える人はこの屋敷にはいませんよ。」
と笑われてしまった。どうやら本当にただの思い込みだったようだ。
それに天内だって表面上では対立しているが裏を返せば気を使わなくていいということであり、その面では助かっている。
「...今日はもう寝よう。」
考えるのに疲れてしまった。これからのことは明日以降の自分に任せよう、そう決断した星影は思考を止め瞼を閉じる。そうして星影の激動の護衛任務一日目が終わったのだった。ただベッドのあまりの寝心地の良さに2日目にして大寝坊をかましてしまったのは余談だろう。