「この四人になるのは随分と久しぶりだね」
我が主はそのように、懐かしそうに言った。
私だけでなく、師匠や教授も何とも言えない表情になった。
500年。
それだけの年月を、我が主は彷徨っていたのだと思うと、やりきれない思いがあった。
「我が君。貴方を遺して死んだ我が未熟を恨んでおいでですか?
私があなたを助けなければ、このような身の上にならなかった筈だ、と」
師匠は我が主に向かって沈痛な面持ちになって言った。
私は、我が主の三番目の従者。
我が主と師匠と教授との出会いは、伝聞でしか聞いたことがない。
そして詳しくも聞いたことも無かった。
ただ、昔師匠は我が主を助け、教授は彼を教え導いた。
……私は、我が主の従者で最初に死んだのだ。
私の方こそ顔向けできなかった。
「お前を恨んでいたのなら、魂を魔剣に保存していなかった。
……そうだろう?」
「我が君……」
師匠は髭面を感極まって歪ませていた。
それを見やると、我が主は教授に目を向ける。
「教授、僕はお前の願いも叶えてやれなかった」
教授と師匠の関係も、割と謎だった。
教授は優れた魔術師だった。
基本、魔術師と言うのは野蛮でイカレた人種だという。
実際我が君の従者の一人に魔術師が居るが、そいつはそれがもう極まっていた。
教授のように物腰が柔らかで、他者に教えるのが向いているのは珍しいらしい。
「いえ、我が望みは不老不死の獲得。
死後とは言え、貴方は確かに契約を果たしてくれた」
そう言ってから、教授は物憂げに首を振った。
「とは言え、悪魔は望み通りに願いを叶えない……。
ただ、それだけのことだったのです。
貴方のせいではない。私が愚かだったのです」
不老不死、か。
実際になってみると、実感が無い。
私と言う存在は何も変わらないからだ。
「……赤錆」
「はい」
我が主が、私を見た。
「もう一度、お前に会えてよかった」
「はいッ」
私は熱くなった目頭を隠すように、頭を下げた。
「さて、そろそろ仕事をするか」
我が主は一通り労いを終えると、闇夜の向こうに目を向ける。
そう、我々は今、あの謎空間でもそこに有る城砦に居るわけではなかった。
§§§
生きるためには食わねばならない。
それが分かってから、もう一つ分かったことが有った。
「あ、悪魔だ!! 本当に現れた!!」
私達は、私達を望む誰かの前に現れることが出来る、と言うことだった。
「そうだ、僕は『赤い文字の悪魔』。
お前は僕に何を望むんだい?」
我が主は、召喚者に対してそのように名乗った。
最初の召喚に、我が主は私達最初の三人を伴って顕現した。
『粗末な魔法陣……恐らく素人でしょう。地脈の流れや時間帯、星座や日付から考えて、我らが呼び出されたのは、ただの偶然かと』
念話の魔法、いや我が主という主従関係を通じて、教授が私達にそう伝えてきた。
『偶然で、悪魔を呼び出せるものなのか?』
『多分、僕らの霊的ランクが低いからだと思う。
ウィジャ盤をしてたら動物霊が憑依した、みたいなものさ』
師匠の疑問に我が主が答えた。
教授もそれに頷いて見せた。
『もしかして、私達って悪魔として雑魚なんですか?』
『だろうね!!』
笑った我が主の声に、私は絶句した。
『多分、こっちでやられても、あの場所に戻るだけさ』
我が主は楽しそうだった。
いやいやいや!! それはつまり神聖魔法とかで攻撃されたらマズいってことじゃないの!?
私がそれを伝えたら。
『それならそれで良いじゃない。
本当に永遠の存在なんて、面白くも無い』
我が主はただただ笑っていた。
それは、私の知らない彼の顔だった。
周囲の人間から悪魔呼ばわりされ、暗く私達以外を信用していなかった生意気なガキでしかなかった彼は、その五百年という歳月で随分とふてぶてしくなったようだった。
「聞いているのか!!」
「聞いているよ」
我が主は目を細めて召喚者の青年に言った。
「かつて婚約を交わした幼馴染が、町長の息子に無理やり奪われたんだろ?
だから腹いせに結婚式を台無しにしてやろうと、僕らを召喚した。
なにか違うところはあるの?」
「そ、そうだ……」
正直な話、それを聞いて私はそんなもんか、と思った。
もっと深刻なことに、悪魔になんて頼らないか。
「……気が乗らないなぁ」
我が主は、顔を逸らしてそんな風にぼやいた。
同感だった。
「なぜだ!! 俺はお前らの召喚者だぞ!!」
「お前も男なら、婚約者ぐらい自分で取り戻したらどうだ?」
師匠が冷淡に青年に言った。
「それが出来たら、悪魔になんて頼らない!!
あいつの父親は聖騎士の団長で、そいつ自身も将来有望。
騎士団からも沢山参列するし、俺が乗り込んでいったって……」
「なるほど……」
そんな情けない話を聞いて、なぜかニヤリ、と我が主は笑みを浮かべた。
なんだか嫌な予感が……。
それは私だけでなく、師匠や教授も感じたようで、私たちは顔を見合わせた。
「良いだろう、お前の願いを叶えてやるよ」
「本当か!?」
「勿論、その対価はお前の魂だ。良いよな?」
青年は我が主の要求にたじろいだが、小さく頷いた。
「あの娘と添い遂げられないのなら、死んでるのも同然だ!!」
その意気込みがあるなら自分一人でやれよ、と私は思わなくも無かった。
その後、召喚者から今夜決行だと聞いた私たちは作戦を練ることになった。
「さて、どんな風に滅茶苦茶にしてやろうか?」
楽しそうだな、この人。
「我が主よ、教会勢力とことを構えるのはマズいのでは?」
「お前は相変わらず頭が硬いな」
我が主に苦言を呈する師匠。
しかし我が御主人は青年の居なくなった部屋の本棚に近づいた。
「これを見てみろよ」
その中の一冊を捲り、開かれたその内容に目を落とすとそれを師匠に投げた。
「……これは、まさか?」
「そう、その通りだよ」
師匠ではなく、教授が意味深なやり取りをする。
いや、私達にもわかるようにやってよ。
「どういうことですか、教授?」
「これは聖書です。しかし、私の知る内容とは異なる。
恐らくですが、我々は我々が知る世界とは全く異なる異世界に呼ばれたのでは?」
「なるほど。ではなぜ言葉が通じる?」
「それは分かりません」
無学な私はただ二人の会話を黙って見ているほかなかった。
ただ、それを言いだしたら、なぜ我が主は別世界の文字を読めたのだろうかと言う根本的な問題が立ちふさがるのでは?
「課題は増えたが、ひとつはっきりしていることが有る」
我が主は、実に禍々しい笑みを浮かべていた。
「僕たちは、好きに暴れても良いってことさ!!」
我々三人は、あるいはようやく実感したのかもしれない。
私達の知らない、五百年という歳月が、如何に我が主を変えたのかを。
「ところでさ」
夜に結婚式を行うなんて、そう言う文化なんだろうかと召喚者の決行の合図を待っていると。
「僕らってちゃんと悪魔的な邪悪なオーラとか出てるの?」
「そこ、こだわるところなの?」
私は思わず思ったことを口に出してしまった。
「お、ようやくお前らしくなったな、赤錆」
「……」
正直、遠慮していた。
我が主は姿こそ、昔のクソガキ同然だったけど、いや本質的に全く変わってなかったのかもしれないけど、どこか遠くに感じていたのだ、私は。
私は、恐る恐る師匠を見た。
主従関係を重視する師匠は、昔結構言葉遣いで怒られたものだ。
「我が主の望むようにしろ」
その師匠の言葉に、私は力が抜けたような気がした。
「それでさ、オーラよオーラ。
このまま結婚式場に殴りこんで、僕たちを見た連中はどう思う?
ガキとオッサンとジジイとザコが来たってなるだけじゃん」
「ザコって私のことか、おい」
「僕ら悪魔だよ。ここは僕らのホームグラウンドじゃないし、一目で悪魔だって分かる格好とか無いの?」
無視された。ふざけんな!!
「我らには悪魔の角もコウモリの翼も、尻尾もありませんからなぁ」
我が主の無茶振りは慣れたモノ。
教授は顎に手を当ててこんな下らない話に真面目に応対していた。
「あ、良いこと思いついた」
い、嫌な予感がする。
「僕らって今、肉体があるわけじゃないじゃん?」
「ええ、恐らくエーテル体として顕現しているのかと」
「じゃあ姿形も自由自在なんじゃないの?」
「おそらく仰る通りかと。しかし、容姿の大幅な変化は自己認識やアイデンティティに影響し、内面まで影響を及ぼす可能性が……」
「おい赤錆、悪魔っぽくなれ」
「ちょ、ふざけんなよ!? 今、教授が懇切丁寧にそれマズいって説明してるんじゃないのか!?」
ああ、そうだ。こうだった。
いつも私はこのクソガキに主従関係を盾に良いように遊ばれてたんだ!!
「分かったよ、お前がそこまで言うならいいよ」
我が主はやれやれ、と溜息を吐くと。
「誓約の魔剣よ!! 契約に従い、我が従僕の姿を悪魔っぽく変貌せしめよ!!」
こいつ、誓約の魔剣を取り出しやがった!!
誓約の魔剣は、私達が我が主と主従関係を締結した時に使用されたモノ。
私達は、これを持ち出されては逆らえないのだ。
「そもそもっぽくってなんだよ、っぽくって!!
その中途半端にふわっとした物言いはってあああぁぁぁ!!」
生えた。
生えてしまった……。
なんかにゅっと生えたんだけど……。
「これは……」
「うーむ、興味深い……」
師匠と教授の視線が痛い。
「なんだよ、これ……」
私は涙目になって耳の上に生えた捻じれたヤギのようなツノに触れた。
それだけじゃない、背中には実用性皆無のちょこんとしたコウモリの翼と、尾てい骨辺りからよくわからない黒い先端が鏃のような尻尾が生えていた。
「あっはっは!!
似合ってるよ、赤錆!!
でも悪魔っぽいっていうより、悪魔の仮装しただけにしか見えないね」
「しばくぞ、このヤロウ……」
「我が主よ」
見かねた師匠が、口火を切った。
「外見や雰囲気などに惑わされず、悪魔にしか出来ぬ所業を行えば良いのではないでしょうか?」
「それもそうか」
納得するなよ、こいつ!!
「あ、そうだ赤錆。
暇だし試しに飛べるかどうかやってみろよ」
ふざけんなよお前!!
飛べた。ちょっと気に入った。
§§§
かーん、かーん、と鐘の音がなる。
結婚式場は大きな教会で、町の中心地近くにある立派な建物だった。
「世界が異なっても、結婚式は教会という概念は普遍的なモノなのでしょうな。興味深い……」
教授は知的好奇心の塊だ。
言われてみればそう思った。
夜に行うと言う違いはあるもの、結婚と言う契約を神の御許で行うと言うのはどこにでもある文化なのかもしれない。
さっきから続々と参列者が集まり、彼らは祝いの席だと言うのに寸鉄を帯びている。
騎士団やら教会の権威やらを示そうとしているのは明白だった。
「そろそろいいタイミングだ、始めろ!!」
そろそろ中で新郎新婦が夫婦の誓いを立てている頃だろう。
そのタイミングを見計らって、召喚者が出てきて決行を指示してきた。
「さて、諸君。派手にやろうか」
我が主に付き従い、我らは教会へ向かった。
「我が騎士よ、やれ」
「御意に」
師匠が頷くと、彼は鞘から剣を抜いた。
ただの剣ではない。翡翠のような美しい色合いの──魔剣だ。
「我が魂の半身よ、嵐を巻き起こせ!!」
師匠が頭上に掲げた魔剣の刀身に、風が渦巻き始める。
それは加速度的に規模を拡大し始め、夜空の雲を薙ぎ払う。
教会の外にも参列者は居る。
異変に気付いた者達が騒ぎ出すが、もう遅かった。
「魔剣“サイクロンウェーブ”よ、災厄を齎すのだ!!」
竜巻の化身と化した魔剣が、振り下ろされる。
たったそれだけで、荘厳で立派な教会が
より正確に言うなら、教会は空高く打ち上げられバラバラになって原型が無くなってしまった。
「あの位置なら破片などでこの町に被害は起きぬでしょう」
「そのような不始末はせんよ」
教授と師匠のやり取りは軽い。
師匠の魔剣の恐ろしさはよく知っている。
あんな竜巻を巻き起こしていながら、教会以外には全く被害が及んでいない。
師匠の力量もあるが、あの魔剣は本当に細かな威力の調整が利くのが最大の利点だと彼は言っていた。
「流石、SRの魔剣は派手だねぇ!!」
そして我らのご主人様はご満悦だった。
召喚者なんて後ろの方で腰を抜かしていると言うのに。
「見ろよ、新郎新婦のアホ面を!!」
教会と言う外側が無くなって、教会の中に居た人間は全員呆気に取られていた。
そして、襲撃に遭ったと分かった参列者の騎士たちは、すぐに臨戦態勢へと移行した。
「ふ、ははは!! すごいぞ、悪魔ども!!
あいつらの結婚式を滅茶苦茶にしてやったぞ!!」
これには召喚者もご満足いただけたようだった。
「カープ!!」
そして、その時である。
臨戦態勢の騎士たちをかき分け、ウエディングドレス姿の新婦が出てきた。
「これ、あなたの仕業なのね!?」
「そ、そうさ、俺は悪魔と契約したんだ!!
お前は俺の婚約者なんだから、当然だッ!!」
「子供の頃の口約束じゃない!?」
新婦の表情は、召喚者の少年に対する怒りで満ちていた。
「やっぱり、こんなことだろうと思ってたよ」
我が主は半眼で召喚者を見やった。
「ま、契約は契約だ。もうちょっとやっとく?」
「悪魔よ、騎士団の面子も潰してやれ!!」
「オッケー!!」
軽い……。
こんな奴に結婚式を滅茶苦茶にされる新郎新婦も気の毒だが、我が主も我が主である。
「悪魔を殺せ!!」
そして剣を抜いた騎士たちが突撃してきた。
「行け、赤錆」
「一人で!?」
まあ、私も人間じゃなくなったわけだし、生前より強くなったかもしれない。
「我が剣の錆にしてくれる!!」
私は意気込んで、生前も使っていた剣を抜いて突撃した。
「ホーリーパニッシュ!!」
「ぎゃっふーん!?」
が、神父らしき人物の神聖魔法らしき閃光で即刻返り討ちになった私だった。
そりゃあ居るよな、そこ教会だったんだし。
「……露払いも出来ないわけ?」
「剣の腕前はお前とどっこいだっただろ!!」
地面に倒れ伏した私は抗議の声を上げた。
やっぱり神聖魔法はこの不死身の身体に多少なりとも効くらしい。
「二人とも、蹴散らせ」
「「御意」」
我が主の命令に、師匠と教授は従った。
竜巻の魔剣が騎士たちを蹴散らす。
魔法の爆発が連発され、師匠の刺客を埋める教授。
騎士達も礼服だけとは言え、それなり奮闘したと言えるだろう。
だが、相手が悪かった。
「こんなモノか」
師匠は魔剣を納めた。
騎士達は全員倒れ伏していた。
「逃げろ、ローラ!!」
「イヤよ、貴方を残して逃げるなんて」
例外は、新郎新婦だけだった。
「ああいうの見てると、白けるよね」
それが結婚式をぶっ壊した張本人の言葉か?
「どうした悪魔よ、アイツも殺すんだ」
「契約は結婚式を滅茶苦茶にするまでだよ。
あとは自分でやったら?」
憎しみから血走った眼をしている召喚者に面倒そうに対応する我が主。
「あっそうだ、こう言うのはどうだろう。
おいお前、聖騎士なんだろ? 新婦を助けてほしかったら、決闘をしろ」
「な、なんだと!?」
「赤錆、出番だ」
「おいふざけんなよ、お前……」
新郎にそんなことを持ち掛ける我がご主人。
私としてはたまったもんじゃない。
「我が主の命令だ。やれ」
「はい……」
師匠にそう言われては仕方がない。
「ローラは俺が守る!!」
素直に、いいなぁ、と私は思った。
新郎が真っすぐな青年なのは、剣を交えてすぐにわかった。
才能も有り、それに胡坐をかかずに努力をしたのが分かる。
それだけに可哀想だった。
まともにやったら、多分私は勝てなかった。
私は三年程度の実戦経験しかなく、彼は幼少の頃からずっと鍛えていたんだと思う。その差は歴然だった。
ただ、今の私は人間じゃなかった。
ぱりん、と剣戟に合わせて受け止めた彼の剣が、砕けた。
彼の剣は錆びていたのだ。
「なに!?」
「ごめん」
私は新郎を剣の峰で殴った。
彼は悶絶して倒れ伏す以外出来なかった。
あのボマー女が自在に爆弾を出せるようになっていたり、私が悪魔っぽい仮装ができるようになっていたように。
どうやら、私は相手の武器を錆びさせることができるようになっていた。
「え、うそ、勝てたの?」
「あんたは私を何だと思ってるんだ!!」
この結果を心底意外そうに見ていた我が主に抗議する私。
「そんな、アーケン!!」
そして、新婦は呻き声をあげる新郎に駆け寄った。
「さあ、悪魔よ、アーケンを殺せ!!」
「あのさ」
我が主は喚き立てる召喚者の足元に、地面に落ちていた騎士たちの剣の一本を蹴った。
「手を汚すなら、命令するんじゃなくて自分でやれよ」
意気地なし、と我が主は言外に言ったような気がした。
「止めて、彼を殺すなら私を殺してからにして!!」
新婦は泣きながら倒れた新郎の前に出た。
「ふ、ふざけるなよ、お、お前言ったじゃないか!!
あの時将来結婚しようって、う、う、うあああぁぁぁ!!」
二人の固い愛の前に、己の惨めさを思い知った召喚者は叫び声を上げて足元の剣を広い振り上げた。
新郎新婦の新たな門出は、血の惨劇によって終わろうとしていた。
「えい☆」
斬りかかろうとした召喚者を横から足を引っかけた『悪魔』さえ居なければ。
「な、なにをする!?」
「見ていて飽きたから、そろそろ魂を貰うね」
私は、先ほどの教授の言葉を思い出した。
悪魔は望み通りに願いを叶えない、と。
「ちゃんと結婚式は滅茶苦茶にしてやったし、文句は無いよな?」
「い、いやだ、死にたくなぃ」
「……」
この期に及んで命乞いをする彼に、我が主は目を細める。
「な、なにが起こったんだ!!」
「とにかく、この場に居る全員拘束しろ!!」
その時である、衛兵らしき完全武装の集団が駆けつけてきた。
「もういい、帰ろう」
「よろしいのですか、我が主」
「こんなのの魂を喰らっても腹を壊すだけだよ」
師匠は御意のままに、と頭を下げ、教授はどこか微笑ましそうにしていた。
決闘をしたら新婦を助けてやると言っていたし、我が主は多分初めから新郎新婦はに手を出す気はなかったのかもしれない。
こうして、私達の初仕事は無報酬で終わった。
「それで、私達の維持コストはこれからどうするの?」
翌日の集会で、今回の顛末は全員に共有された。
従者の一人からこのような不安が出るのも当然だった。
「それについては、考えがある」
我が御主人は、ニヤリと笑った。
「“魔剣”だよ」
「魔剣ですか?」
そもそも魔剣とは、単純に魔法の剣の事ではないらしい。
いつだか教授が語っていた。
「なるほど、魔剣とは魂の宿り、物質的死を迎えた後に、宿った魂に共鳴して現れる物品の総称。
我々の糧としてこれ以上の物はないでしょうね」
ダークエルフの魔女さんが感心したように唸った。
生憎馬鹿な私には付いて行けない。
「そして僕は人間に魔剣を発現させることもできる。
次からは、魔剣を望む者の前に現れるとしよう」
とにかく、私達の行動方針は固まったようだった。
ファンタジー世界の住人なのに、赤錆の戦闘力は一般人の域を出ません。
従者たちの中でもほぼ最下位でしが、実はそもそも戦闘が出来ない連中も多いと言う。
赤錆ちゃんのイメージAIイラストは、8月5日の活動報告に載せてあります!!
次回はそのあたりを描写していきます。
ではまた、次回!!
どの従者のエピソードの掘り下げを見たい?
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序列一位、総長
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序列二位、教授
-
序列三位、赤錆
-
序列四位、二世
-
序列五位、グルマン