暗殺教室 孤独な捨て子の物語   作:rixk

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はい。

どうも読者の皆様、完全に投稿遅れました。 大変申し訳ございません。
一応初期に定めた【二週間以内に一度は投稿する】という期限は守れたので一安心です。

前置きを書く時間があまりないので、本編どうぞ!



11話 追憶Ⅱの時間

 

 

 

『──これはあなたの為なの』

 

声が聴こえる。 どこかで聴いたことのある懐かしい声が。

 

(······誰?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──どうか良い人に拾って貰えますように······』

 

目の前の女性が涙を流す。 月光で表情は見えないが、身に纏う雰囲気にはうまく言葉にできない繋がりを感じ取れる。

 

(何を、言って····?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──さようなら、。 ······いいえ、蓮霧』

 

月明かりに照らされながら、母親(・・)は背を向けて去っていく

 

(····っ! 待って、待ってよ···!)

 

手を伸ばそうとし、身体が動かないことに気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「独りに····しないで······」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「······ッッ!!」

 

(今の、は······)

 

「はぁッ、はぁッ、はぁッ」

 

まずは身体を動かせることに安堵し、次に自身の状態を確認する。 身体中冷や汗まみれで息も荒い、文字通り最悪の目覚めだ。

 

「·····最悪だ。 まさかよりによって一番忌まわしい記憶を呼び起こされるだなんて···········!」

 

(──····落ち着け、落ち着け······)

 

「俺は狂人、俺は狂人、俺は狂人······。 大丈夫だ、大丈夫······」

 

呼吸を整え、動揺した心を落ち着かせる。

 

····はぁ、最近ずっとこんな調子だ。 集会のあった日から、定期的に過去の悪夢(記憶)を繰り返し見る羽目になっている。

 

せめて、明日──いや、日付が変わってるから今日か──からの修学旅行中くらいは見ることがないといいんだけど······。

 

過去の夢を見た日は決まって精神が不安定になる。 何故って? ···当然だろう?

見たくもない、思い出したくもないと思っている忌々しい過去を何度も見せられてるんだ。

 

····さっきのは、俺が生みの親に捨てられた日の記憶。

ずっと昔、一歳になる誕生日の夜の記憶だ。

昔からずっと視てきた悪夢。 長らく視ていなかったから油断していた····。

 

あの日、母が何を思って俺を捨てたのか、夢の中での言葉にどんな意味が込められているのかは分からない。

 

······尤も、捨てられた理由の方は明白だが。

 

「······価値がないから捨てられたんだ。 だから俺の生は無意味なものでなきゃいけない······」

「そういう運命なんだ····。 俺のこの苦しみは避けられない。 どれだけ足掻いても、全ては虚しく掻き消されるだけ····」

 

自分に言い聞かせるように呟き続ける。

 

「ふふふ、あはははは!」

 

(赦しも、情けも、存在価値すら必要ない。 俺は、自分の意思でこれを望んだ)

(····だから、この寂しさも孤独も、俺が望んだことなんだ──)

 

必死に狂気を取り繕い、なんとか心を落ち着かせる。

 

·····さて、まだ深夜の2時だが、もう眠る気になれないな。 ここ数日は朝に目覚める事が多かったからなんとかなっていたが。

 

幸い、時間を潰す手段は幾らでもある。 荷物の整理、再確認。 荷物のチェックに······

 

(あれ? 思ったよりもやることないな?)

 

······生憎と、今日は刀を握る気分にはなれないし、ナ。

 

(えーっと、刀と小太刀と····ナイフは20本しっかりあるな。 トランプもちゃんと53枚。 簡易メンテナンスも済ませたし、あとは······)

(あぁそうだ。 必要ないとは思うけど、念のため変装セットも持って行っておくか)

(····さて、財布ヨシ! 着替えヨシ! 武器一式ヨシ! ついでに変装セットもヨシ! オーケー荷物確認! さてこれからどうしよう····っと、うん?)

 

そうして荷物の整理と確認が終わってしまい、どうしようかと考えようとしたところ、都合良く京都の観光辞典──····間違えた修学旅行のしおりが鞄にあるではないか。

 

(そういえば組み立て紙工作金閣寺ってのがあったな。 ····暇潰しにはいいかもしれない)

 

 

◁50分後▷

 

(····想像よりしっかりしてたな)

 

今、俺の机の上にミニチュアの金閣寺が置かれている。 無駄に細かい所まで凝っているが、あまりこだわりがなければ作る手間はそこまで掛からない。 そして俺のように時間をかければその分クオリティが上がる。

正直、たかがしおりのおまけにするには惜しい逸品だ。 それこそ子供向けの歴史本とかに付録として付けたら相当売れるんじゃないか?

 

さて、と。 まだ3時か····。 まあいい、しおりのページ数は驚異の1344ページだ。

幾つかのページは切り取ってあるが、これを読み返してれば時間なんざすぐに過ぎ去る。 ·····正直気が滅入るが。

····でも、これだけページ数があるなら、どうせ途中で寝落ちするだろう。

 

 

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(······ここは····?)

 

気が付くと町外れの廃工場内に立っていた。

 

手には血の付着した木刀が握られており、隣には同じく血の着いた木刀を持つ刃が、辺りには傷だらけの不良が7人程転がっている。

 

(この感覚····、まるで過去の自分に意識だけが憑依しているような······ッ!?)

 

不意に視界にノイズが走り、風景が変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は黄昏時の住宅街。 所々が汚れた木刀と鞄を持ち、歩いている。

 

(······今度は帰り道、か。 状況から考えるに、あの後の······)

 

そんなことを考えている内にも、過去の俺は歩みを進める。

 

(こうして第三者の視点から見ると滑稽だナ。 この後には悲劇しか待ち受けていないというのに····)

 

この日は俺の誕生日。 でも、少なくともこの日、俺が祝福されることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また場面が飛んでかつての自宅前。 ····あぁ、本当に厭になる。

この日をこのような形で繰り返すのは何度目だろうか。

 

そんな内心と裏腹に、身体は前へ足を踏み出す。 玄関の扉を開け、誕生日の祝福を心待ちにしながら廊下を進む。

 

 

 

······リビングの扉を開けた刹那、頬に痛みが走る。

 

(····やはり、この痛みは何度味わっても慣れないな)

 

この日、この瞬間、俺の全てが変わった。 こうなったのは、この日の放課後に刃と二人で行った掃討戦が原因だったはず。

確か、隠れてた奴が撮影した映像を理事長だったか校長だったかに提出したんだったっけ····?

 

(······まずい、夢の中だからか、記憶が曖昧になってきた)

 

『あんたみたいな子は私たちの子供じゃない!!』

 

これが、二度目。 俺が親に捨てられた二度目の日だ。奇しくも一度目と同じ、7月16日。

······思えば、誕生日ってのは俺にとって呪われた日だ。

完全な偶然だが、生みの親も育ての親も俺を捨てた日は同じ。 誕生日という本来喜ぶべき日に、二度も捨てられた。

 

 

〔そう、か····。 最初から、居場所なんてなかったんだ〕

〔俺が積み上げてきたものは全部無意味なものだった····──〕

 

過去の俺の内心が聴こえてくる。 今なお俺の心を満たし続ける、悲嘆と絶望に満ちた聲がする

 

『──フフッ····フフフフフ····アハハハハハ!!』

 

表情が歪に歪み、嗤いの声が発せられる。 今も俺の精神を蚕食し続けている、狂気に満ちた嗤い声が聞こえる。

 

「····知ってるさ、そんなこと」

「道端に捨てられていたのを運良く拾われただけ。 血の繋がりも何もない、ただの他人だ。 そうだろう? ····里親さん?」

 

······待て、おかしい。 何故喋れる? 今の俺は精神だけが過去に憑依したような状態だったはず。

なら何故、どうやって今言葉を発した? 今の言葉には、間違いなく俺の意思が宿っていた。

 

(··········あれ? 今は、いつだったっけ······?)

 

自己の認識が曖昧になると同時に、再び視界が暗転した。

 

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「はぁッ、はぁッ、はぁッ····。 今のは、一体····?」

 

二度目となる最悪の目覚めを味わい、陰鬱な気分で時計を確認する。 ······7時か。 余裕で間に合う時間だな。

精神を落ち着かせる時間をあまり取れないのが気がかりだが。

 

とりあえず着替えよう。 荷物の整理は済んでいる。

 

(さっきのはなんだったんだ····? 夢だと自覚していることから考えると明晰夢か?)

 

着替えながら、先程の事象について考察する。

 

(····いや、だが夢の中での事象には干渉できなかった。 過去の追体験という観点から見ると、テスト前から視るようになった回憶の夢に近い)

 

「······多分、考えた所で答えは出ないだろうな。 やめだ、やめ。 考えるなら、過ぎた事よりこれからの事だ」

 

思考を中断し、今日からの修学旅行について考える。

 

(······修学旅行、なんともないといいんだが······)

(ま、無理だろうナ。 平穏に過ごすには恨みを買いすぎてる)

 

もし、今までの戦いが全て正当防衛だったなら気にかける必要はなかったんだろう。 でも、あの日からの戦闘は俺から仕掛けたものがほとんどだ。

 

(····いつか、必ず報いを受ける時が来る。 せめて、それまでは、この愚かな生を謳歌しよう)

 

······あー、そういえば結局あまり寝れた気がしないな。 まぁ、最悪新幹線で仮眠を取ればいいか。

 

 





どうも皆様、今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

さて、今回は過去編パート2でした。 ようやく次回から修学旅行に入れます、長かった····!(主にこの回を書き終えるまでが)

正直ここまで苦戦するとは思ってませんでした。 書いて書き直してを繰り返しながら、『次回は過去編やる』って宣言した過去の自分を恨む日々にやっと終止符が打てます····!

では、次回はなるべく早く完成することを願って、締めの挨拶とさせて頂きます。

皆様また次回で会いましょう!!
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