暗殺教室 孤独な捨て子の物語   作:rixk

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どうも皆様、隔週投稿作者です。
今回から修学旅行も本番、蓮霧君がどんな旅をするのか、是非お楽しみくださいまし。

ちなみに作者の最後の修学旅行は小学生です。
京都に行ったことがない作者はどう観光させればいいのか分かりません☆

前置きはこの辺で本編どうぞ!





13話 旅行の時間 二時間目

 

 

 

◁ AM 9:30 ▷

 

さてさて、本日執り行われる暗殺旅行、最初に決行するのは俺達一班だ。 正直な話、さしてやる気のない蓮霧君だが、失敗しても後続の連中に任せられると考えれば幾分か気が楽になるってもんだ。

 

「おぉ~! 窓がないから凄い迫力!」

 

で、現在地は嵯峨野トロッコの列車内である。 暗殺実行まで後少し、皆どこか落ち着きがない。

 

・・・・俺? 俺は来る途中で買ったレッドブル片手にゆったりエンジョイしてるよ。

さっきも言った通り、あまりやる気がないし成功するとも思ってない。 ゆえに皆よりも落ち着いて周りを見れる。

 

「これだけ解放感があれば酔いませんし、時速25km/hとは速いですねぇ」

 

んで、俺の隣に座っている殺せんせーは殺せんせーで、八ツ橋片手にいかにも俗っぽいことを言っている。 皆は緊張してるってのに、呑気なものだな。 いや、俺が言えたことではないか。

 

「マッハ20が何言ってるんですか。 あ、俺にも八ツ橋(ソレ)一つください」

 

「構いませんよ。 ・・・・ところで、なぜ蓮霧君はレッドブルを?」

 

「・・・・お気になさらず。 ただのやけ飲みなので」

 

「そ、そうですか・・・・」

 

受け取った八ツ橋を頬張りつつ、外に広がる景色に目を向けると、保津峡の絶景が広がっている。

 

(はぁ、こんな状況じゃなければ、もっとゆっくり眺められたんだろうけど。 ・・・・さ、確かそろそろだったはず)

 

『鉄橋の上で少しの間停車します。 保津峡の絶景が一望できますので、どうぞゆっくりご覧下さい』

 

思ったそばから時が来た。 アナウンスと共に列車がその場で静止する。 計画ではここが決行地点だが、果たして上手くいくかな?

 

「あ、見て見て殺せんせー! 川下りしてる!」

 

「どれどれ・・・・? おお!」

 

倉橋が殺せんせーに話しかけ、川を下る船に注意を向けさせる。 狙撃のタイミングは船を見に身を乗り出した瞬間だ。

 

さすがの俺も、ちまちまと食べ進めていた手を止め、景色を眺めつつ視界の端で殺せんせーの様子を捉え続ける。

 

川の方から微かに銃声が聴こえ、一筋の弾丸が殺せんせーの脳天を目掛けて飛んできたのが見えた。 がしかし、殺せんせーに弾丸が届くことはなく。

 

なんということでしょう、変わらず船を見続ける殺せんせーの手元には、二つの八ツ橋とその間に挟まるライフルの弾丸が。

 

「おや、八ツ橋の間に小骨が。 危ないこともあるもんですねぇ」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべながらこちらに振り向いた殺せんせーに対し、皆一斉に視線を外して知らんぷりをする。 ・・・・だが、俺は一つの違和感を感じ取っていた。

 

(・・・・いや、おかしくない? 八ツ橋はさっき殺せんせーが持ってたので最後だったはず。 もう一つの八ツ橋はどこから・・・・・・────)

 

そう考え、ふと手元を見ると、さっきまで持っていたはずの八ツ橋が消えていた。 さっきの早業に対する驚きで落としたのかと考え足元を見てみるも、それらしいものはどこにもなく・・・・・・。

 

「────殺せんせー? 片方は俺の食べかけなんですけど、何しれっと盾代わりに使ってるんですか~??」

 

「え。 ・・・・・・ヒ、ヒュ~♪、ヒュ~♪」

 

ニッコリと笑みを浮かべながら問うてみると、殺せんせーは冷や汗をかきながら視線をそらし、口笛を吹き始めた。

 

「・・・・特に問答してないけど問答無用! おやつの恨みィ!!」

 

「おいバカやめろ!」

「流石に公共の場で抜刀するのはまずいって!!」

 

即座に抜刀し斬りかかろうとするも、向かいに座っていた前原と磯貝の二人掛かりで抑えられ、強制的に席に座らせられた。

 

その後八ツ橋を返され、殺せんせーはおろか後ろの席にいた倉橋や片岡も含めた五人に宥められてると、列車が再び進み始めた。

それはつまり、作戦の失敗を意味しているわけで・・・・。

 

「・・・・この恨み、旅館に戻ったら晴らさせてもらいますからね。 覚悟しておいてください」

 

そう言い捨て、缶をあおって一気にレッドブルを飲み干す。 冷えた炭酸とカフェインで心を落ち着かせて、再び流れ始めた景色を眺めながら、列車の揺れに身を任せることにした。

 

 

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「では、先生は次の班のところへ向かいます。 何かあったら連絡して下さい」

 

そう言い残して殺せんせーは飛んで行った。

 

「みんなお疲れ。 はい、昨日のスイーツのあまり。 スプーンはプラスチックのでいいよね?」

 

作戦が失敗し、どこか暗い雰囲気を醸し出す皆に昨日別でとっておいた人数分のスイーツを配って回る。

 

「・・・・ありがとな、蓮霧。 にしても、お前は特にヘコんでないのな」

 

「ま~ね。 狂人はちょっとやそっとじゃへこたれないのヨ」

 

「・・・・・・今はお前のそのメンタルが羨ましいよ」

 

「・・・・・・そんなにいいものじゃないよ。 俺だって望んでこうなったわけじゃないし、俺のメンタルは不安定な感情を抑制してるだけ。 言うなれば砂上の楼閣ってヤツだ」

 

そう、普段から昔のように明るく振る舞っているものの、今やこの明るさは己を欺く為に作った仮初めの紛い物に過ぎない。

いっそ躁か鬱、どちらかに傾倒できれば楽なのだろうが、内心の虚無に身を委ねてしまえば、それこそ本当に壊れてしまうだろう。

 

かと言って、昔のような明るい性格にも戻ることもできない。 なぜなら、俺は過去を忘れ去って笑うことも、過去を受け入れて日常を取り戻すこともできなかったから。

・・・・・・結局、何も選べずに停滞し、今も中途半端な狭間で苦しみ続けている。

 

それだけではない。 やれ復讐だの、やれ仇討ちだので不良との戦闘が起こることも多い。 不意打ちされないよう周りの視線や気配にも気を配っているのだから、尚更心労は溜まっていく一方だ。

 

「安定して見えるのは不安定さを抑えてるからであって、俺自身はずっと不安定なまま。 ・・・・みんなは、俺みたいにならないようにね」

 

本心から出た言葉を心のままに告げると、みんな真剣な面持ちで頷いた。 どうやら、また少し感傷的になりかけていたようだ。 尤も、悲哀の涙はとっくの昔に枯れ果てたがな。

 

「・・・・コホン。 さ! まだまだ旅行は始まったばかり! 鬱屈した気持ちを切り換えて、思いっきり楽しも~う!!」

 

「「「お、おーう・・・・?」」」

 

「・・・・無理に合わせなくていいんだよ? 空元気って体力使うんだから」

 

 

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そうして皆であちこち観光して楽しんだ。 途中からは共に旅をする同行者も増え、賑やかな旅だと割り切って楽しむことに。

 

清水寺に、金閣寺銀閣寺、他にも近江屋跡地だったり、比叡山延暦寺─── ─は、滋賀県だから違うか。 その他にも有名所をあちこちと。

 

んで、昼には通りかかった店で郷土料理を囲み、そうして今に至る。

 

「あ、土産屋だ。 ねぇ皆、折角だし今のうちに買って帰るお土産でも見繕っておかない?」

 

「お、いいねそれ。 賛成!」

 

ふと視界に入った土産屋に反応し、一つ提案をしてみると、岡野を筆頭に女子組が同意し土産屋へ入ることに。

 

店内は思っていたよりも広く、そこそこ人はいるものの狭さは感じられない。 みんな欲しいものや見ておきたいものはまばらだろうからと、集合時間を決めて半ば自由行動のようになった。

 

俺はというと、土産を渡す相手はいないので、自分用の菓子を少し見て回り、この後使うことになる木刀を見繕い始めた。

 

「あれ? 蓮霧君、まさかとは思うけど木刀買うの・・・・?」

 

「そのまさかだヨ、倉橋」

 

木刀を何本か手に取って自分の好みに合いそうなのを吟味していると、近くを通りかかったらしい倉橋が話し掛けてきた。

 

「・・・・しおりに"木刀は熟考して買った方がいい"って書いてなかったっけ」

 

「もう既に五本くらいあるから今更だヨ、今更」

 

「五本!? そんなにあって何に使うの!??」

 

「えーっと、稽古用に二本、遊び用に二本、あとは侵入者撃退用に一本で合計五本だネ」

 

横目で同行者達の動きを見張りつつ、十本ある刀から自分に合わないと思ったものを棚に戻す。

刀選びにおいて重要視するのは重さ、長さの二つ、突き詰めれば質量や重心に帰結する。 もちろん俺の持論だから、コレを参考にするくらいならちゃんと調べるように。

 

「うーん、それじゃ、邪魔しないでおくね」

 

そう言って倉橋は他の土産を見に去って行った。

 

さてさて、大体三分ほど持って比べ、候補として二本まで絞り混むことができた。

片方は短めで軽く、扱いやすい。 もう片方は一本目よりも長く、その分重い。 が、それ故にリーチと威力においては一本目に勝る。 ・・・・正直どちらも捨てがたい。

だが、流石に二本買うと帰りに嵩張るので、どっちか選んで買わなければならない。

 

(うーむ、悩ましい。 どっちも俺好みの理想的な重心バランス。 威力を取るか、小回りの良さを取るかだよなぁ)

 

幸い、同行者達はまだ何も行動を起こしていないし起こす様子もない。 もうしばらくはゆっくり考えられるだろう。

 

・・・・・・刹那、視界の端で黒い影が素早く動くのが見えた。

黒い影は倉橋のいる方へ走り、羽交い締めにしてカウンターの方へ。

 

「金を出せ! このガキがどうなってもいいのか!!」

 

(・・・・強盗か。 油断したナ、同行者に気を取られすぎた)

 

しかしまぁ、なんというか随分とベタなトラブルだな。 いや、”旅先で強盗事件に巻き込まれるのがベタであってたまるか!”、とは思うが。

さて、特に意味はないがひとまず観察する。 武器はナイフのみかな、少なくとも銃の類いは所持してなさそうだ。

・・・・気付けていたら注意くらいはできたのだろうか。

 

いや、俺には関係のないことだ。 俺が原因で呼び込んだ厄災ならばいざ知らず、今回はいっさい因果関係がない。

俺が何かするまでもなく、その内解決するだろう。 どうせ誰かが通報してるだろうし、俺に無関係な事象なのだから放っておこ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<お前は誰かを守るために力を使うことのできる人間だ>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────・・・・・・チッ)

 

集会の日に一方的に告げられた刃の言葉が、突如として脳内に浮かんできた。

 

"自分の原点(ルーツ)を見失うな"、だっけ? その原点(ルーツ)に意味を見出だせないってのに、それに沿って動くだなんて、ある意味・・・・・・、すごく残酷なことだ。

 

(・・・・・・あぁでも、たまには風化して色褪せた下らない正義感で動くのも、悪くないかな。 ・・・・流石に一介の中学生が対処できる事象を越えてる気はするけれど)

 

とりあえずとして脳内シミュレーションは完了。 距離は目測で約10メートル、この距離なら一秒もかからずに詰めれる。 後は機を伺うとしよう、必ず動くチャンスは来る。

 

「さっさとしやがれ! 俺は気が短けぇんだ!!」

 

レジのカウンターでは、外道がなにやら吠えている。 少しみんなの様子を確認すると、みんな緊迫や恐怖が混ざったような表情をしている。 正義感の強い磯貝や片岡なんかは今にも救出のために走り出しそうだ。

 

さて、俺はいつでも動ける。 木刀は威力とリーチのある刀身が長い方を選択し、逆手に持って見えないよう体の後ろに隠す。 まだ会計してないが、事態が事態だ。 使わせてもらおう。

 

「テメェ等も余計なコトすんじゃねぇぞ! 俺はナイフ(コレ)でいつでもこのガキを殺せるんだ!!」

 

威嚇のためにナイフを俺達客がいる方向へ向け、隙ができた。

 

(・・・・今だ!)

 

まずは接近、縮地による視覚の錯覚を利用して相手の懐まで潜り込む。

 

「──ッ!?」

 

突然接近されて動揺しているようだが、何をするにも拘束を解かなければ。

 

「ッラァ!」

 

逆手で持った刀の柄で鳩尾に体重と勢いを乗せた突きを叩き込む。

強盗は痛みと衝撃で腕の力が緩み、軽く後ろに後退する。

 

(さて、次だ)

 

そもそもの目的は制圧ではなく救出だ、今ならやれる。 事態が事態だ、許してくれと心で念じ、倉橋の肩を左腕で抱える。

 

「頭が高いぞッ!」

 

倉橋を抱えた腕ごと左半身を後ろに引き、強盗の顎目掛け逆手で刀を振り抜く。

 

「ガッ、ァ」

 

木刀で人間の急所の一つをぶち抜かれ、更に顎に衝撃を与えたらしばらくは動けなくなるはずだろう。 ま、警戒は解かない方がいいだろうが。

 

「怪我はないか?」

 

「う、うん・・・・」

 

「そう。 ならよかっ────!」

 

人質にされた倉橋が無事かどうか確認していると、背後から呻き声と同時に強盗が起き上がる気配がした。

おそらく当たり所が悪かったのだろう。 はたまた執念か。

まぁそれを考えた所で気絶しなかったという結果は変わらない。 対処しなければ。

 

(・・・・まだだ、反射で振り向くのは三流以下。あと二歩は引き込め。 耳を澄ませろ)

 

ナイフを片手に近付いてくる気配がする。 刀を順手に持ち換えて構え。

足音が、一歩、二歩────

 

(────ここだ!)

 

「そこで寝てろ!!」

 

振り向きながら全力で刀を振り抜く。

 

「がァッ!!?」

 

今度は確実にクリーンヒットし、軽く吹っ飛びながら仰向けに転がっていく姿が見えた。

 

「まったく、無粋だね。 今、囚われのお姫様を助け出した感動的なシーンなんだから邪魔をするなヨ」

 

刀を回して右腰にエア納刀し、冷たく見下ろして言葉を発する。

さすがに三回も木刀で殴られたら、痛みで動けないようで。

 

今は磯貝、前原、片岡の三人が強盗を取り押さえてくれてる。 あの様子ならもう大丈夫だろう。

なら、俺がやることではない気もするが倉橋のメンタルケアでもしておこうか。

俺よりも矢田や岡野辺りに任せた方が絶対いいだろうが、今倉橋に最も近いのは間違いなく俺だ。 ここで俺が放置して追撃や清算に行こうものなら・・・・・・。

・・・・・・いや、トラウマが触発されそうな事は考えないのが吉だ。

 

・・・・コホン、いくら普段から訓練やらを受けていても、結局は中学生、精神も心もまだ未熟。

自ら争いに身を投じる俺やカルマならいざ知らず、こんな事件に巻き込まれてなんともない方がどうかしているというものだろう。

・・・・ただし、もちろん俺にメンタルケアの知識はないから完全に過去の経験頼りになる。

 

「さて、大丈夫・・・・そうには見えないな」

 

軽く倉橋の様子を見たが、まだ少し震えている。 さてどうしよう、今も抱き寄せたままだし、とりあえずは昔やったことがあるのと同じようにやってみるか。

 

「・・・・怖かっただろ? 憔悴してる時は、人の温もりが一番だ。 落ち着くまでこうしてるから、深呼吸なり素数を数えるなり、普段心を落ち着かせる時に使う方法を試しておいて。 ・・・・もちろん、俺にこうされるのがイヤだったら突き放してくれて構わないよ」

 

そう言うと、左腕で軽く抱き締め、後は何もせずにいることにした。 こういう時は、何もせずに寄り添われるだけでも十分に救われる。 ・・・・少なくとも、俺はそうだから。

 

大体一分くらい経った頃、どうやら倉橋も落ち着いたようで、震えも止まってる。

 

「落ち着いたみたいだね。 じゃ、俺は木刀の精算を済ませてくるから、友達とゆっくりしているといい」

 

「・・・・うん。 ありがとう、蓮霧君」

 

「礼なら、俺に丁度合う木刀を置いておいてくれたこの店に言ってくれ」

 

(・・・・っと、おや?)

 

遠くからサイレンの音が聞こえてきた。 おそらく店にいる誰かが通報したのだろう。

・・・・何はともあれ、木刀の精算をしておこうか。

 

「店員さん、この木刀はいくらですか?」

 

レジにいる店員に問うと、3000円と返ってきた。

 

「わかりました、ではこれで」

 

財布から五千円札を取り出し、トレーに置く。

 

「あぁ、お釣りは店の商品を勝手に使ったお詫びとして受け取って下さいな」

 

 

 

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「はぁ、災難だったナ」

 

あの後、やって来た警察により強盗は連行され、俺達は当事者として簡単な事情聴取を受けた。 今は男女で軽く離れてそれぞれで会話している。 人質にされた倉橋には、少し落ち着く時間が必要だろうとの計らいだ。

 

「だな、まさか強盗に出くわすとは・・・・」

 

「蓮霧がいてくれてよかったよ。 あの場で即座に救出と制圧を実行できる奴、そうそういないぜ?」

 

「ま、伊達に戦い慣れはしてないってね。 後はそうだなぁ、何故かしおりに"買い物中に強盗と遭遇した時の対処法"なんてのがあったのよナ。 ファイリングしてあるし見てみるか?」

 

そう言いながら鞄からファイルを取り出し、切り取っておいたページを差し出す

 

「うわっ、スゲェな! 相手の武器とか人質の有無とかで変わってくる対応が事細かに書いてある!!」

 

「おまけに"蓮霧君であれば、ナイフ持ち一人程度なら人質がいても対応できます"って前置きの後に、シチュエーション毎にどう動くのがその場で最適かまで・・・・・・」

 

読み終わったのかページが返されたので、再びファイルに挟んで鞄に戻す。

 

「というかさ、制圧した後の対応がやけに手慣れてたよな」

 

「確かに。 何の躊躇いもなく抱き締めて軽く頭撫でてたもんな、正直意外だった。 お前なら矢田辺りに任せてそのまま放っておくと思ってたもん」

 

「流石にそこまで薄情じゃないサ。 それに、あれはあくまでも昔やったのと同じことをしただけだし」

 

「・・・・昔にも今回みたいなことがあったのか?」

 

「これ以上は言えないヨ、残念ながら」

 

「・・・・そっか、わかった。 ところで話は変わるんだけどさ────」

 

"これ以上言えない"、この一言であっさりと引き下がってくれるあたり、やっぱりみんな人が良い。

 

「────お前さっき倉橋のことサラッと"お姫様"って言ってたよな?」

 

「・・・・ふむ、そんなこと言ったか?」

 

「言ってたって! なぁ?」

 

「言ってたな」

「言ってた言ってた」

 

前原にさっき発言について追求されないようにとぼけてみたが、磯貝と木村にも同調された。 ・・・・これは言い逃れできそうにないな。

 

「ま、蓮霧君はその場のノリと勢いで、心にも無いことを口走るタイプだからネ。 そういうこともあるさ」

 

「・・・・それはそれでどうなんだ。 まぁ、ある意味お前らしいっちゃらしいけど・・・・」

 

「さっ、あっちがあとどれくらい時間を要するかは分からないけど、いつでも行けるように準備しておこう」

 

「それもそうだな。 ただ待ってるだけってのもあれだし」

 

言い逃れができないなら適当に誤魔化せばいい。 普段の俺を知ってれば納得できそうなことを言い、即座に話題を逸らす。

 

(────さて、そろそろあっちも片付けないとな)

 

次の移動のために準備を始めた友人達を尻目に、どうやって班から離脱するかの算段を考え始めた────

 

 

 

 

 







はい、後書きです。

前置きにもあった通り作者は京都に行ったことがないので、修学旅行編はトラブルマシマシ争い主体で進めます。

平和な旅行じゃうちの子退屈しちゃうからね、シカタナイネ。

他には特に語ることもないのでここいらで締めさせていただきます。
ではでは皆様また次回!





それと、前回のアンケートにご回答いただいた皆様、誠にありがとうございます。 結構このままでいい派が多くて正直驚きました。
一応は様子見と称して、アンケート設置から一ヶ月後にあたる12/21までは置いておきます。

ではまた、再来週に会いましょう!

タイトル及びあらすじの変更は

  • 行った方がいい
  • 今のままでいい
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