どうも皆さん、投稿日が近づいて大慌てで書き上げるタイプの作者です。
実際今回の約七割は土、日、月の三日間で書いた内容になります。
頑張れば三日でここまで書けるんだなって驚きました(笑)
それでは本編、始まります
「・・・・・・此処でいいかな?」
一言呟き、ポケットからトランプを取り出す。
「此処なら人目に着くこともない、戦闘音は大通りの喧騒に搔き消される。 こんなところに来るのは相当の暇人か物好きくらいかな」
静かに微笑み、背後に集った五つの気配へと振り返る。
「キミ達も、そう思うだろう?」
おもちゃの刀に手を掛け、少しばかり威圧してやると、気圧されたのか、人影は狼狽えた。
さて、今がどんな状況で、何があったのか────、
それを説明するには、ちょいとばかし時間を遡る必要がある。 なぁに、遡ると言ってもせいぜいほんの数分程度だ、そう身構える必要はないさ。
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◁ 数分前 ▷
「・・・あ」
「ん? どした蓮霧?」
土産屋を後にし、次の目的地を相談しながら適当に移動してる最中、俺はある重大なことに気が付いた。
「・・・・・・さっきの土産屋に財布忘れた。 取ってくるから先行っててくれ!」
「あ、ちょ、おい!」
「目的地で合流するから、決まったら連絡しておいて!!」
そう叫びつつ来た道を走って引き返す。
「・・・・行っちまったな」
時間にして僅か数秒ではあったが、蓮霧の姿がかなり小さくなって漸く皆思考が追い付いた。
「・・・・だな。 にしても財布忘れるなんて、アイツも結構抜けてるとこあるんだ────」
「待って。 確か蓮霧君、木刀のお金払った後にちゃんと財布仕舞ってたはずだよ」
前原が軽く茶化そうとしたが、それを遮るように倉橋が声をあげる。
「・・・・なるほど、あの場で一番蓮霧に近かった倉橋が見たなら正しいだろう。 それに正直、今のアイツが忘れ物するとも思えない」
「言われてみれば確かに・・・・」
続けて磯貝と矢田が、どこか納得したような表情で頷く。
「でも、なんでそんな嘘を言う必要があるってんだ?」
「そうそう、何か用があるならそのまま言えばいいと思うんだけど」
「そうなんだよな・・・・、目的が分からない。 なにか言えない事情でもあるのか・・・・?」
しかし、木村と岡野が疑問の声をあげ、皆思考の渦に呑まれ始める。
「・・・・・・あれこれ考えててもしょうがねぇな。 悪りぃ、俺アイツの様子見に行ってくるわ!」
「あ、おい! 前原!!」
「・・・私も!」
「え、陽菜ちゃん!?」
僅か十数秒、その間に考えても埒が明かないと判断した前原が駆け出し、追従するように倉橋も走り出した。
「・・・俺達も追うぞ!」
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◁ 場面は変わって蓮霧Side ▷
(ふぅ、ひとまずは離脱成功、かな)
来た道を引き返し、ある程度進んだ所で一度呼吸を整える。 離脱のためとはいえ、一度皆を撒くのに思ったよりも速く移動してしまった。
同行者・・・・いや、もうこう呼ぶ必要はないな────、
────俺を付け狙う不良五名、全員付いて来れてない。
ちなみに、財布を忘れたというのはもちろん嘘だ。 そもそも俺はそんなヘマやらかせない。
ただ、もし皆がそれに気付けたとしてもう俺を探すことはできないだろう。 何故なら土産屋を出た後、複雑で見通しの悪い道を通るように誘導しておいたから。
いくつかの曲がり角で別方向に曲がれば追跡はできないだろうさ。
まあ、それで狙ってくる高校生まで撒いてちゃあ身も蓋もないんだが・・・・。
「チィッ! アイツどこ行きやがった!」
「おい、いたぞ! 一人だ!」
っと、無事に追い付いてくれたようで一安心だ。 とはいえまだそこそこ人の往来があるな、もう少し移動しようか。
「あのガキ、また逃げやがった!」
「さっさと走れ! じゃねぇとまた見失うぞ!!」
なにやら後ろで騒いでいるが、ここでガラの悪い高校生が中学生に話しかけたら一瞬であたりの人に注目されるだろうに・・・・。
さて、今度はしっかり追えるように歩いて移動する。 で、どこかに戦闘に発展してもバレなさそうな場所はーーーっと。
(あ、いい感じに道幅があって薄暗い路地発見! ここを戦場とさせてもらおう)
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◁ そうして冒頭に戻る ▷
「さて、ここまで来て聞くまでもないとは思うけど、一応。 一体俺に何の用かな、おに~さん達?」
「昔テメェには世話になったんでな、その礼に来たってワケだ。 なぁ、"椚ヶ丘のパープルシャドウ"さんよ」
目の前の男から発せられた言葉・・・というよりかは単語に思わず真顔になる。 たぶんここに皆がいたらなんともいえない表情で沈黙するんだろうな~とか思いつつ────、
「・・・・そのクソダサい二つ名はやめてくれないか? 俺には他の二つ名があるだろう、"紫の剣影"とか────」
「アニキ! コイツ自分から"紫の剣影"とか名乗ってやすぜ!」
「・・・・お前、自分からそういうの名乗って恥ずかしくねぇのかよ?」
────異名を訂正しようとたらヤベーヤツを見る目に変わった挙げ句、哀れみの視線まで向けられた。 やめろ、その可哀想な人を見る目を今すぐやめろ。
「────少なくとも"椚ヶ丘のパープルシャドウ"とかいう長い上にダサい呼び名で呼ばれるよりはマシだろ!」
・・・・・ハッ、つい叫んでしまった。
「・・・コホン、それで、礼って何のこと? 俺はお前たちのことなんて知らないんだけど」
一度咳払いをし、改めて問い掛ける
「・・・・・・は?」
不良達のリーダー格と思われる男が間抜けな声を出す。 だって本当に知らないんだもん。
「テメェ、ふざけてんのか?」
「俺は至って真剣だよ。 過去にお前等を蹂躙したことがあるとして、俺はそれを一切覚えてない」
「今年の四月、早朝、心当たりくらいあるんじゃねぇか? あの日そっちから来て、遊んでやるだの浅はかだの、散々煽り散らかしてくれやがってよぉ!!!」
ふむ、四月の早朝か・・・・。 あー、もしかして俺がE組行きを宣告された日のアイツ等かな? でも、あの時先に襲い掛かって来たのはそっちだったような・・・・、いや、どーだろ。
あの日の俺は悪夢を見て少し荒れてたはず。 そもそも言われるまで思い出しすらしなかった時点で記憶はアテにならない。
「あまり大きな声をだすんじゃない、大通りにまで響くかもしれないだろうが。 コホン、お前たちのことは知りもしないし興味もない。 ・・・・他に何か言いたいことはある?」
「なんでだよ・・・! 俺は、俺達は、あの日からずっとテメェに復讐する日を心待ちにしてきた! 今日ここであの日の屈辱を晴らしてやろうと思ってたのに、なんでテメェは覚えてねぇんだよ・・・・!」
はぁ、何を言うかと思えば。 ・・・・・・実に他愛ない。
「・・・・じゃあ一つ聞くけどさ、君達は、今までに、意識・無意識問わず、無造作に踏み潰してきた雑草の数と種類を正確に覚えているか? あるいは今までに蹴り飛ばした石の数と形状は? 答えることができるか?」
「そ、そんなこと覚えてる奴いるわけねぇだろ!!」
俺の問いに、取り巻きの一人が反論してくる。
「あぁ、その通り。 そんなことを一々覚えておく奴はいない。 ・・・・それと同じだよ」
一呼吸置き、手元で適当にトランプを弄りながら語り掛ける。
「俺にとって、お前らみたいな雑魚──・・・・、いや、愚者かな? まぁいいや、・・・・──はそこらの雑草や路傍の石ころと差ほど変わりない。 皆等しく、覚える意味も価値すらもない、ただのゴミだ」
「ア、アニキ! コイツヤベぇッスよ!!」
俺の言葉を聞き、取り巻きはすっかり萎縮してしまったようだ。 瞳には怯えが宿り、声も震えている。
・・・・そのまま逃げてくれれば楽なんだけど。
「・・・・怯むなァ! こっちは五人もいる、相手はたかが一人だ!! 野郎共!やっちまえ!!!」
リーダーがそう声高に叫んだのを皮切りに、取り巻き共が向かってくる。
「そのたかが一人に負けたのをもう忘れたの? 何度やっても同じことだよ」
コイツ等は一度蹂躙してる、今回も殲滅できるはずだ。 ────何故なら今の俺はあの時よりもよっぽど強いのだから。
「先手は譲ってやる。 ほんの気まぐれだ」
「ッ・・・・! ナメんなァ!!」
まずは小手調べ。 ま、三十秒でいいだろう。 にしても、つくずく単調な攻撃だな。
「ってェ・・・!」
避ける際に拳をトランプの縁でなぞってあげるだけでこのザマだ。
「ほらほら、どうしたの? そんな単調な攻撃じゃあ、殴る度に切り傷が増えるだけだよ?」
軽く皮肉ってやったら更に逆上し、更に攻撃が単調になった。
・・・・まだ三十秒には早いけど、仕方ない。
「ごめんね~、飽きたから少しだけ本気を見せてあげる。 お前達にはそれで十分だ」
左手でトランプを五枚構え、敵全員の顔に飛ばして牽制し、鞄を蹴り飛ばして落下した中身から木刀をキャッチする。
「じゃ、サヨウナラ」
姿勢を低くして構え、縮地で接近し前方を薙ぎ払う。
今の薙ぎ払いで三名ほど膝をついたので、そのまま一回転し顎をぶっ叩く。
「まずは三人。 口ほどにもないネ」
「ハッ! 所詮アイツ等は雑魚だ。 こっからは俺と俺の右腕が相手してや────
「御託はいいんだよ、さっさと吹き飛べ無礼者」
木刀を顔面に向けて全力で投げ、接近して回し蹴りで壁に吹き飛ばす。
「ア、アニキ!?」
「なぁに、死んじゃいないさ。 この程度で死ぬほど脆くない。」
隣まで移動し、肩に手を置いて優しく語り掛ける。
「ヒッ・・・・」
「で、どーする? 最後まで抵抗して苦しみながら意識を刈り取られるか、大人しく投降して一瞬痛いだけで済まされるか・・・・・・」
「う、うわあああああ!!!」
優しく語り掛けてあげたというのに、半狂乱になりながら殴りかかってきた。
「・・・・なるほど、そっか。 じゃあ遠慮なく・・・・」
「────グッ、待てよ」
「・・・・!? 痛った」
軽く避けてカウンターで沈めようとしたが、不意に左から聞こえた声に気を取られ頬に一発食らってしまった。
「まだ立ち上がれるなんて、思ったよりも頑丈なんだね。 いや、それとも手心が過ぎたかな?」
「ハッ、知るかよ。 ・・・・俺が時間を稼ぐ。 お前はコイツのダチを探して人質にしろ。 そうすればまだ勝機は────」
「それで内緒話のつもり? バッチリ聞こえてるんだけど」
「「・・・・ッ」」
とうとう表情が絶望に染まり始めた。 まるで悪魔でも見たかのような
「ダメだよ。 俺のような無価値な人間のいざこざに、価値ある者を巻き込んではいけない」
「う、うるせェ! テメェの仲間が巻き込まれんのはテメェが悪ィんだ!!」
「んー? 何勘違いしてるのサ」
「・・・・勘違い?」
「アイツらが俺の仲間? 笑わせるなよ。 偶然同じクラスになり、修学旅行で同じ班になっただけ。 仲間でも、ましてや友人でもない。 他人か、せいぜい良くても知り合い止まりだ」
・・・・・・だって俺は、家族すらも他人と定義しなくてはならないのだから。
「それじゃあ、こっちも暇じゃないし、終わらせようか」
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よし、終わった終わった。 さて、どうやってみんなの所に戻ろうか・・・・。
みんなの現在地もわからなければ、目的地の連絡が来てるわけでもなく・・・──── \prrrrrr/ ────ん?
「お~い、キミの電話だよ? 出た方がいいんじゃ────って、俺が動けなくしたんだった。 ごめんごめん」
軽く笑いながら言葉を投げかけてやると、聞こえたのか恨めしそうな視線を向けてきた。
「代わりに出てあげるから、感謝するように」
\pi/『よぉ、そっちの調子はどうだ? 電話に出れたってことは椚ヶ丘のパープルシャドウには勝てたんだよな?』
「・・・・・・・・・・」
ねぇ、何でみんなわざわざソレをピックするの? 他にも色々あるのは知ってるんだけど。
というかこの声、どこかで聞いた覚えが・・・・。
『こっちはもう女を拐った、お前等も遊ぼうぜ? 今の場所は送っといたからそこ集合な』
あぁ、そうか。 よ~くわかった。
「久しぶりだね、去年の七月ぶりかな? まだ懲りてなかったんだ」
『・・・・誰だ?』
「状況から考えて"椚ヶ丘のパープルシャドウ"以外に誰がいるの? 本人かはちゃんと確認した方がいいよ~?」
いや、自分でこの異名言うのなかなかに羞恥心が・・・・。
『チッ、アイツ等負けやがったのか・・・! しかもお前、まさかあの時の剣士か?』
「そーだよ、二人組の紫髪の方。 あぁ心配しないで、今の俺はキミ達にそれはもう感謝しているんだ」
『・・・・感謝?』
何かに焦っていたのが一変、電話口からは困惑の声が聞こえてくる。
「そうそう。 お前も疑問に思ったんじゃないか? 何故、あの日拐われた家族を救出するためにお前等を殲滅した正義感溢れる剣士が、こんな不良に成り下がっているのか」
『まぁ、そうだな。 だからこそ"椚ヶ丘のパープルシャドウ"がお前だって気付いて驚いたわけだ』
「パープルシャドウはやめろ。 ・・・・コホン、俺はあの日、お前達に教えられたんだ。 人助けはただの自己満足で無意味なもの、綺麗事は何も生まない、そして俺の命に価値はない」
『・・・・そこまで卑下する必要はねぇんじゃねえか・・・?』
またまた電話口から困惑の声が聞こえてくる。
「俺は事実を述べているまでだよ? まぁ、そういうわけで・・・・、俺にこの事実を気付かせてくれたお前達には心底恩義を感じているワケだ」
『そ、そうか・・・・』
「というわけだから、感謝の意思を込めて、キミ達に協力してあげよう!」
『・・・・本当か?』
「本当だよ。 剣士は礼儀礼節を重んじるモノだからネ。 今からそっちに向かうから、また後で!」
そう言って電話を切り、目的地を確認する。
さて、移動しながら軽く考察といこうか。
・・・・昨日新幹線で遭遇した奴らと同じグループである以上、茅野や神崎が狙われていた可能性もある。
まぁ、見知らぬ女がどうなろうが知ったことではないんだが、もし知り合いなら目覚めが悪い。
一応、本気でヤバイと感じたら阻止しよう。 あくまでも、利己的にね────。
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・・・・此処か。 閉店し、放棄されたビリヤード場。 確かに隠れるにはうってつけだな。
とりあえず変装しておこう。 まぁ制服から私服に着替えて、さっき道中で買った狐面を着けただけだが。
変装セットは持ってきてあるけど、あの姿が今後敵対する恐れのある不良にバレるのはリスクが大きい。
パーカーのフードもちゃんと目深に被って、声質をちょっと中性的にチューニングして、っと。 じゃ、行きますか。
カッ、カッ、と音をたてながら廊下を進む。 静かで寂れた廊下には音がよく響き、先にある半開きの扉からは声が聴こえる。
「今回お招きした特別ゲストだ。 ツレ共はやられちまったが、お前等みたいな良い子ちゃんならあの方一人で十分だろ」
「あの方・・・・?」
「それはいささか、ボクを買い被りすぎだと思うヨ?」
扉を開け、声に反応するように言葉を返す。 中に入ると縛られた状態の茅野と神崎が、そして不良と対峙する四班のメンバーが並んでいた。
前半は概ね予想通り、後半は・・・────・・・あぁ、そういやしおりに書いてあったっけ。
「誰? アンタ。 コイツらの仲間ならキッチリ処刑するけど?」
開口一番、まずこちらを睨んできたのはカルマだった。
「随分と気が早いネ。 一度頭を冷やしたらどう? 氷水なら持ってるけどいる?」
「見た感じ俺等とタメっしょ? アンタがコイツらに手を貸す必要性があるようには思えないんだけど?」
挨拶代わりに軽く煽ったけど、スルーされた。 正直さっさと戦わないと裏切りに踏み切れないから乗ってほしかったんだけど・・・・。
「ボクにも事情があるんだ。 恩人には恩返しをするのが礼儀ってものでしょ?」
そう言いつつ、まずは先制攻撃としておもちゃのナイフを投げる。
「いきなり好戦的だね、人の事言えないんじゃない?」
「ボクは至ってクールだよ? ただ、ほんのちょっと戦闘狂なだけでね!」
懐から取り出したおもちゃのナイフを指の間に挟み、爪のように扱って襲いかかる。
当然カルマは完璧にタイミングを合わせてガードし、カウンターを仕掛けてきた。
一歩引いて回避し、宙に右手のナイフを全て放って最初に落ちてきた一本を蹴り飛ばす。
「っぶないな!」
「アハハ! やっぱり放り投げた武器に視線が釘付けになる様は猫みたいで面白いねェ」
一度軽く距離が離れ、しばしの膠着状態に陥る。 しかし、それもそう長くは続かない。
「お前らァ! この方に続くぞ!」
「は? 何言ってんのキミ」
「っづぁ!?」
巫山戯たことを宣う男の頬を一枚のトランプがなぞり上げ、紅い鮮血が垂れる。
「人の愉しみを奪わないでくれるかなぁ? キミ達全員ボクに勝てないんだから大人しく眺めててくれない?」
その一言で辺りの人間が皆動きを止める。 これで余計な事をされる心配はないだろう。
「なに? アンタ、コイツ等の仲間じゃなかったの?」
「ん? そーだよ。 恩があるから協力してる。 さっき言わなかった?」
「なら、なんで今攻撃したの? 仲間なんでしょ?」
「別に今時フレンドリーファイアなんて珍しいモノでもないでしょ? あれ、何かボクの言ってることにおかしいところでもある?」
「ハッキリ言って異常だと思うけど? フレンドリーファイアってそうそう発生し得ないんだよ?」
「んー、そう言われてもなぁ・・・・」
そもそもこの状況が何よりのフレンドリーファイアだし・・・・、まあ正体バレしたくないから黙っとくんだけどさ。
「そんなことより楽しもうよ! キミも最近対等に闘える相手がいなくて退屈してたでしょ?」
「その口ぶり、まるで俺の事知ってるみた────ッ!!?」
左手のナイフに回転を加えながら投げ飛ばすと、慌てて身を捩って回避した。
「争いの最中で考え事なんて随分余裕なんだね!」
「チッ、大人しくさせないと何も聞けなそうだね!」
そう呟き、カルマも再び構えに入る。 しかしまぁ、相変わらず相手を見下したような驕った目をしているケド。
ボクもボクでポケットから再びナイフを────
「はい、そこまで」
入口から声が聞こえると同時に、ボクのナイフとトランプが全部回収されポケットに押し込められた。
「殺せんせー!!」
「遅くなってすみません、この場は渚君達に任せ、他の場所をしらみ潰しに回っていたので」
ようやくこの場を収めてくれそうな人が来てくれた。 まぁ予想よりは遅かったがナ。
「で、何その黒子みたいな顔隠し・・・・」
「暴力沙汰ですので・・・・、この顔が暴力教師だと覚えられるのが怖いのです」
国際指名手配犯が今更世間体を気にすんなとツッコみたい・・・・! でもそれ言ったらボクがクラスメイトだってバレかねないから言えない・・・・・・!
「先公だとォ!? ふざけんな! ナメた格好しやがって!!」
不良共はそう叫び、鈍器になりそうな物を手に殺せんせーの方へ向かって行った。
(・・・・さて、もう潮時かな)
適当に近くを通りそうなヤツがこっちに来るタイミングに合わせ、回し蹴りを横っ腹に叩き込む。
「ガァッ、テメ、裏切りやがっ────」
「生憎と、いつまでとは言ってないんでね。 キミ達が勝手に早とちりして、最後まで手を貸すと勘違いしてただけだよ」
周りを軽く見回すと、他の連中も殺せんせーにひっぱたかれて膝をついている。
「屁理屈じゃねぇか・・・・!」
「何言ってるのさ、強者っていうのはいつの時代も道理を曲げられるんだ。 いい教訓になったんじゃない? 立場の不明瞭なヤツを信用しきっちゃいけない、ってネ♪」
そもそも今のボクには、意志らしい意志も信念らしい信念もない。 ま、だからこそこうして利己的に行動し、てきとーに物事を流してるワケだけど。
「ケッ、エリートは先公まで特別製かよ・・・・! テメェも、あの剣士も! 俺らのことバカ高校だって見下してんだろ!?」
「エリートではありませんよ。 確かに彼らは名門校の生徒ですが、学校では落ちこぼれとして扱われ、クラスの名称は差別の対象になっています」
・・・・ふむ、もうここですべきことはなさそうかな? あとは殺せんせーと四班が解決してくれるだろう。
「ですが、彼らはそこで様々な事に前向きに取り組んでいます。 決して君達のように、他人を水底に引き摺り込むようなことはしない」
・・・・・・引き摺り込みはしないまでも、水底を荒らしてる奴はいるんだけどねぇ・・・・、主にボクとか。
「学校や肩書など関係ありません。 清流に棲もうがドブ川に棲もうが、前へ泳げば魚は美しく育つのです」
・・・・随分とまぁ、いい事を言うね。 ずっと停滞してる身としては耳が痛いケド。
「さぁ私の生徒達よ、彼等を手入れしてあげましょう。 修学旅行の基礎知識を、体に教えてあげるのです」
殺せんせーがそう言うと、いつの間にか不良達の背後に回っていた皆が一斉にしおりを頭に叩きつけた。 ボクが言えたことじゃないけど容赦ないなー・・・・。
「あーあ、前会った時に”相手を見極める眼は養った方がいい”って忠告してあげたのに・・・・。 ホント、学習しない奴等だネ」
神崎達の拘束を解きに行った皆の横で、目の前で気絶する不良に呆れた視線を落とす。
さて、ボクもそろそろ戻らないと────
「待ちなよ、どこ行くつもり?」
半開きの扉を開け、その場を去ろうとしたらカルマに呼び止められた。
「・・・・お友達の救出に行かなくていいの? 随分薄情なんだね」
「あっちには渚君も杉野もいるからね。 アンタには聞きたいことが山ほどあるんだ」
「そっか。 残念だけど、キミと問答できる程ボクもヒマじゃないんだ。 人を待たせてるんでね」
そう言い残し、その場を去る。 カルマも事前に告知なく離脱はできないだろう。 ・・・・あいつもなんだかんだで常識と節度はちゃんと弁えてる側だから。
さて、ここから近い観光名所は・・・・、祇園辺りか。 よし、メールしとこ────うわ、皆から10件ずつメール来てる・・・・。
えーっと、【道に迷いました。 祇園にいるから拾いに来てくださいお願いします】
・・・・うん、コレでヨシ!
じゃ、変装解いて、ダッシュで向かって待ちますか。
はい、後書きのコーナーです。
修学旅行はもうあと一話続きます。
では、今回は投稿日(12/19 12:00)が近いので作者による一人語りはなしです。(現在12/18 19:56)
・・・・・・そもそも需要がないって?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
それではまた次回!
タイトル及びあらすじの変更は
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行った方がいい
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今のままでいい