でも正直週イチ投稿にした方がいい気持ちもあり・・・、しかし基本遅いからすぐ破綻すると確信できてしまう悲しみ・・・。
あ、前回誤字修正くださった方ありがとうございます!
それでは本編、行ってみよ~!
片岡の件があった翌日、事件は起きた。
「おい皆来てくれ! プールが大変なことに!」
教室に駆け足で入った来た岡島の叫びを聞いて皆でプールへ行くと、そこには惨状といえる光景が浮かんでいる。
ベンチが粉々に砕かれ、大量のゴミが捨てられている。
「・・・メチャクチャじゃねーか!」
「ひどい、誰がこんなこと・・・」
「ビッチ先生がセクシー水着を披露する機会を逃した!」
ビッチ先生のことはどうでもいいとして、こんな無意味なことをするのは部外者ではない。
で、こんなことをする奴には心当たりがある。
ここに不満を持ち、しかしその不満の源である殺せんせーを殺そうともせずここから脱却する気すらない停滞した奴ら────寺坂組だ。
そちらを見るとニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。
「あーあー、こりゃ大変だ」
「ま、いーんじゃね? プールとかめんどいし」
「・・・・・・」
その様子を見ていると、その視線に気付いた寺坂がこちらへと近付いてくる。
「・・・ンだよテメェら、まさか俺等が犯人だとか疑ってんのか? くだらねーぞその考え」
「あったり前じゃんよ! こんな無意味に物に当たることしかできない臆病者なんて君達くらいしかいないだろー?」
「んだと蓮霧テメェ・・・・・ッ!」
逆上して突っかかってくる寺坂に対し、後ろに回した右手の指先で左の小太刀を鞘ごとはたき落とし、蹴りあげて左手でキャッチし軽く振り下ろして首元に添える。
「ほら、やっぱり臆病者だ。 戦意も、闘志も、本気で立ち向かう勇気もないから、こんな予備動作まみれで鈍い攻撃すら避けられない」
「ッ・・・・!」
「やめなさい、寺坂君の言う通りです。 犯人捜しなどくだらないからやらなくていい」
いつの間にやらこの場にいた殺せんせーがそう言うとマッハでプールを元通りにした。
「これで元通り! いつも通り遊んでください」
「「「「「はーい!」」」」」
ちなみにそれを見た寺坂組はなんとも滑稽な表情を浮かべて去って行った。
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時間は飛んで昼休み、教室にはえらくスタイリッシュでワイルドなデカブツが鎮座していた。
「どーよ蓮霧! バイクっていいもんだろ!?」
「そうですよ蓮霧君! 君もクルマばかりではなく他のモータースポーツに目を向ければ新しい世界が広がります!」
「・・・ま、それもそうですなぁ」
ハイテンションな吉田と殺せんせーに挟まれ俺もちょいとばかし目を輝かせていると、何故だか朝より期限の悪そうな寺坂が入ってきた。
「・・・・・何してんだよ吉田」
「あ、寺坂・・・。 いやぁ、この前コイツとバイクの話で盛り上がっちまってよ。 うちの学校こういうの興味あるやつあんまいねーから。 蓮霧も四輪車派だから若干温度感噛み合わねぇし」
「ヌルフフフ、丁度プールの廃材があったんで作ってみました。 先生は大人な上に漢の中の漢、こういった趣味も一通り嗜んでます」
「俺も元々はバイクに興味なかったんだけど、話してるうちに面白そうって思うようになってねぇ」
「しかもこのバイク、
「アホか、抱えて飛んだ方が速ぇだろ」
まるでコントのようなやり取りにクラスが笑いで満たされる。
そんな中、寺坂はまた居心地悪そうにこちらへ近付いてきて足に力を込め廃材バイクを蹴り倒そうと───
「はいストップ。 何しようとしてるの? いつからお前は人が楽しんでる物を無遠慮に壊せるほど偉くなったワケ?」
───したのを見て左手で刀を抜き、逆手で床に突き立てて寺坂の蹴りを止める。
地面に突き立てられた刀と寺坂の足を見てバイクの模型を蹴り倒そうとしたのだと察したクラスメイトたちも俺に続くように彼を非難する。
「・・・チッ、てめーらうるせぇな。 ブンブンブンブン虫みてぇに・・・。 駆除してやるよ!」
叫ぶようにそう言いながら殺虫スプレーを床に叩きつける。
「寺坂君! やんちゃするにも程ってものが・・・!」
「触んじゃねーよモンスター。 気持ち悪りーんだよ、テメーも、モンスターに操られて仲良しこよしのてめーらも」
「何がそんなに嫌なのかねぇ、気に入らないなら殺せばいいじゃん。 折角それが許可されてる教室なのに」
「何だカルマ、テメーも俺にケンカ売ってんのか? 上等だよ、だいたいテメーは最初から───」
そう言いながらカルマに近付いた寺坂はカルマに顔を鷲掴みにされて沈黙させられた。
「ダメだってば寺坂。 ケンカするなら口より先に手ェ出さなきゃ」
「ッ・・・! 放せ! くだらねぇ・・・」
そう吐き捨て、寺坂はこの場から去って行った。
「・・・なんなんだアイツ」
「さぁ? 騒ぐだけの猿のことなんて、理解しようとするだけ時間のムダだ」
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◁
プールの水が入る沢、そこで寺坂竜馬は一斗缶を踏みながらそこから流れ出る液体を眺めている。
(地球の危機とか、暗殺のための自分磨きとか、落ちこぼれからの脱出とか・・・。 正直なところどーでもいい、その日その日を楽して適当に生きたいだけだ)
その足で山の奥へ進むと、手を叩く音と共に彼に労いの言葉がかかる。
「ご苦労様。 プールの破壊、薬剤散布、薬剤混入。 君のおかげで効率良く準備ができた。 はい報酬の十万円」
(・・・だから俺は、こっちの方が居心地がいいな)
そこには白装束の男・・・シロ。 そして木の枝には触手を持つ改造人間、堀部イトナがいた。
「また次も頼むよ。 何せあのタコは鼻が利く、外部の者が動き回ればすぐ察知してしまう。 だから寺坂君、イトナの性能をフルに活かす舞台作りを君のような内部の人間に頼んだのさ。 もう一人内通者がいるが、彼はまだ表立って協力できる状態になくてね・・・・」
そんなシロの言葉を聞きながら、寺坂竜馬は目の前に降り立った堀部イトナをじっと見る。
「・・・なんか変わったな。 目と髪型か?」
「その通りさ寺坂君、なかなか目敏いね。 髪型が変わった、それは触手が変わったことを意味する。 前回の反省を活かし、綿密な育成計画を立てて、より強力に育成したんだ」
シロは寺坂竜馬の疑問に答えると、今度は対面する寺坂竜馬の話題にシフトした。
「寺坂竜馬、私には君の気持ちがよくわかるよ。 あのタコにイラつくあまり、君はクラスで孤立を深めている。 だから君に声をかけ協力を頼んだ。 安心しなさい、私の作戦通りに動いてくれれば、すぐにでも奴を殺し奴が来る前のE組に戻してあげよう。 その上お小遣いも貰える、良い話だろう?」
そう言われて彼が手元の紙切れを眺めていると、堀部イトナがその目を覗き込んだ。
「な、なんだよ」
「お前は、あのクラスの赤髪の奴や紫髪の奴より弱い。 馬力も体格もあいつらより勝るのに、なぜかわかるか? ・・・お前の目にはビジョンがない、勝利への渇望も意志も手段もない。 目の前の草を漠然と食ってる牛は、牛を喰い殺すビジョンを持った狼には勝てない。 ビジョン・・・・・それだけでいい・・・・・・」
堀部イトナはそう言いながら踵を返し、山の樹海へと消えていった。
「・・・なんなんだあの野郎相変わらず! 脳ミソまで触手なんじゃねーのか!!?」
うぐ・・・、深夜に大声を出すな・・・。 うるさいし脳に響く・・・・・。
「ごめんごめん、私の躾が行き届いてなくてね・・・。 仲良くしてくれ、なんせ我々は戦略的パートナーだ。 クラスで浮きかけている今の君なら、不自然な行動も自然にできる。 我々の計画を実行するにあたって適任なんだ。 決着は・・・今日の放課後だ」
そう言いながらシロは袖から一丁の拳銃を取り出し、寺坂竜馬に手渡す。
「これは銃ではなく我々に合図を送る発信機。 皆がプールで
「・・・ああ」
シロから作戦を聞いた寺坂竜馬は"これで清々する"とでも思ってそうな不敵な笑みを浮かべて山を下りて行った。
「・・・・・・・さて。 いるんだろう? もうここには君と私しかいない、もう出てきても大丈夫だよ」
呼び出しがかかったので草木を掻き分けてシロの前に姿を現す。
「どうだい? 君から見て彼らはどう映った?」
「・・・それに答える前に、一つ聞かせてくれ。 ホントにさっき言ったのであの触手生物を殺せると思ってるの?」
「まさか。 その程度で落ちるほど奴は甘くない」
「ふーん、じゃあどうするつもりかな?」
「・・・ふむ、君には言っておこうか。 寺坂君に渡した拳銃はプールの堰に仕掛けた爆弾を遠隔で起爆させるスイッチさ。 彼が引き金を引いたらプールにいる生徒達が険しい岩場に流されるってワケだ。 私の計算では7~8人死ぬから、奴は水に入って助けなきゃいけない」
あの触手生物をどう殺すのかと問うと、なんとも非人道的な回答が返ってきた。 ボクは合理的かつ確実な作戦だと思うけれど、確かにこれを正直に話そうものなら寺坂竜馬は受け入れないだろう。
「なるほどねぇ。 随分とまぁ、面白い」
「・・・それで、君の問いに答えたんだ。 私の質問に答えてもらおうか」
「ボクから見たカレらについてだっけ? そうだね、まず寺坂竜馬だけど・・・カレがどう動こうと、最後には必ず非難されるだろうね。 あの触手生物はあのクラスに随分と馴染んだけど、そんな変化を受け入れられないカレは、殺せたとしても手元には金と虚しさしか残らない」
「・・・私とおおよそ同じ結論だ。 だからこそ彼は駒として適任だった。 じゃあ、イトナはどうかな?」
「カレか。 カレはどうにも"強さ"にばかり執着してるように見える。 力で得られる強さだなんてまやかしでしかないのにね。 カレが手にしたのは"強さ"なんて崇高なモノじゃない。 自他共に破滅をもたらすだけの"チカラ"ではあっても、ね。 そもそも、大事なのは"強さ"の先に"何を求めるか"だ」
「ックク、イトナがここにいなくてよかったね。 あのイトナが聞いていたら、今頃君を殺そうと飛び掛かっていただろう」
「ボクとしては別に構わないよ。 結局カレは触手に振り回されてるだけの器でしかないんだ、意思を持つボクには敵わない」
堀部イトナは"彼"が断じた通り、ただ力任せに攻撃するだけの機械あるいはそれ以下のお人形だ。
・・・だが、ボクは違う。 ボクは、意思を持つ"人間"だ。
「いやはや、頼もしいね。 君がもっと私達に協力してくれれば奴を殺すのも幾分か楽になってくれるんだがね」
「・・・ま、ボクの目的を果たした後なら構わないよ。 今回は協力できないけど、キミ達の作戦が成功することを祈っておいてあげよう」
「・・・そうかい。 まあ私達の邪魔をしないのなら好きにしたまえ。 ・・・そうだ、これを渡しておこう」
そう言いながらシロは袖から何らかの錠剤を取り出して渡してくる。
「・・・これは?」
「昼間、寺坂君がスプレーを撒いただろう? アレは奴にのみ効くスギ花粉みたいなものでね。 君にも有害だからそれの解毒剤みたいなものだ」
「・・・・・そう、ならありがたく貰っておくよ」
「クックッ、それじゃあね。 次に会うときにはもっと協力的になってくれていることを願っているよ」
「あぁ、もちろん。 創造主サマのご期待に応えられるよう精進するサ」
それを聞くとシロもこの場を後にする。 ・・・ボクもやることは特にないので錠剤だけ飲んで今日は帰ることにしよう。
・・・帰り道にふと覗いたプールの水面には、三日月の光と共に淀んだ紅の瞳が浮かんでいた。
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「・・・・・グスッ、うぅ・・・」
翌日、現在は昼食の時間なのだが、どういうわけかさっきから殺せんせーが泣き続けている。
いやしかし、涙にしては随分粘っこいとは思っているが、何か悲しい出来事でもあったんだろうか。
「何よ、ずっと意味もなく涙なんて流して」
「いえ、目ではなく鼻なので鼻水です」
「紛らわしい!」
どうやらアレは涙ではなく鼻水らしい。 にしては量がやけに多い気もするが・・・。
「どうも昨日から体の調子が少し変です。 夏カゼですかねぇ・・・・」
そんな殺せんせーを見ていると、ドアが開く音と共に今日一切の姿を見せなかった寺坂が入ってきた。
「おお寺坂君! 今日は登校しないのかと心配してました! 昨日君がキレた事ならご心配なく! もう皆気にしてませんよね? ね?!」
「・・・う、うん・・・・・。 汁まみれになっていく寺坂の顔の方が気になる・・・」
寺坂の顔は殺せんせーの鼻水で見る間にドロッドロのべっちゃべちゃになっていく。 どうしよう、今の荒れに荒れてる寺坂のことだからまた昨日みたいにキレるだろうしマズくないか?
「・・・・・・おいタコ、そろそろ本気でぶっ殺してやンよ。 放課後プールへ来い、弱点なんだってな、水が」
てっきりキレ散らかすと思っていたのとは裏腹に、寺坂は殺せんせーのネクタイで粘液を拭き取るとそう宣言した。
「てめーらも全員手伝え! 俺がコイツを水の中に叩き落としてやっからよ!!」
その傲慢で勝手極まりない命令に皆食事の手を止め沈黙する。
「・・・・寺坂、おまえずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。 それをいきなりおまえの都合で命令されて、皆が皆"ハイやります"って言うと思うか?」
「前原に同意。 昨日まで散々文句と不満で騒ぎ立てるだけだった臆病者が、一体どういう風の吹き回し? ハッキリ言うけど、君には皆の意思を強制するだけの権限も、立場も、信用も、何一つとして持ち合わせてないよ?」
「ケッ、別にいいぜ来なくても。 そん時ゃ俺が賞金100億独り占めだ!」
言いたい事だけ言うと寺坂は教室から出て行った。
「なんなんだよアイツ・・・」
「正直もうついてけねーわ」
今までつるんでた吉田と村松ですら匙を投げだすほど。
クラスの皆も次々に不参加を表明している。
「皆行きましょうよぉ~」
「うわ! 粘液に固められて逃げれねぇ!!」
いつの間にか床一面に広がった殺せんせーの鼻水が足元を覆ってしまい、皆身動きが取れなくなっている。
「せっかく寺坂君が殺る気になったんです。 皆で一緒に暗殺して気持ち良く仲直りです」
「「「まずアンタが気持ち悪い!!!」」」
うわぁ・・・、とうとう粘液が顔全体を覆ってそういう敵モンスターみたいになってる。 なんだろうな、泥沼とかにいそう。
さて、まぁとりあえずだ。 もちろん俺は、考えるまでもなく不参加────
"もし寺坂竜馬の作戦が、作戦に従う者が死ぬリスクのある危険なモノだったら"
────・・・・・・俺も行くか。 今のアイツは何をしでかすかわかったもんじゃない。
・・・自暴自棄になって他者を傷つけた者が求め辿り着く
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「よーしそうだ! そんな感じでプール全体に散らばっとけ!!」
放課後、寺坂の指示でプールに配置される。
水着なので装備は刀二本と小太刀二本だけ。 ・・・さすがに水着にトランプとナイフは仕込めないからね、仕方ないね。
「疑問だね、僕は。 蓮霧も言ってたが、君に他人を泳がせる器量なんてあるのかい?」
「うるせー竹林! とっとと入れ!」
「フヒィ!」
疑問を唱えた竹林の弁もどこ吹く風、一切の容赦なくプールに蹴り落とし再び俺達を見下ろしている。
「なるほど、先生を水に落として皆に刺させる計画ですか。 それで君は先生をどうやって落とすんです? ピストル一丁では先生を一歩すら動かせませんよ」
寺坂の背後に出現した殺せんせーはニヤニヤと笑いながらそんなことを言っている。
それを聞いた寺坂は自身の右手に握られているピストルを見つめ、殺せんせーに向けて構える。
「・・・・・覚悟はできたかモンスター」
「もちろんできてます。 鼻水も止まったし」
「ずっとテメーが嫌いだったよ。 消えて欲しくてしょうがなかった」
「ええ知ってます。
その余裕そうな殺せんせーの口ぶりに対し、寺坂は苛立ちの表情を浮かべながら引き金を引き───
───刹那、すぐ近くで一際大きい爆破音が鳴り響いた。