暗殺教室 孤独な捨て子の物語   作:rixk

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はい、どうも。
モチベの低下に伴い一ヶ月近く更新すっぽかしたドアホです切腹します()

・・・と、まあ流石に切腹は冗談としてですね、実際問題としてモチベの低下は紛れもない事実です・・・。
頭では色々考えられてもそれを出力する気力が湧かないみたいな・・・ね。
闇堕ちまで到達してある種の満足感みたいなのを得てしまったのやもしれませぬ・・・・・。

ま、今後どうなるかは作者のやる気次第ってことで本編行きましょっか。
・・・・・一応、作者としてはここで失踪したら後味が悪すぎるって感覚はある、とだけ・・・・・



30話 狂刃(クルイバ)の時間

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

E組校舎の保健室にて。 ベッドに寝かされてる寺坂とカルマを見た面々は皆一様に沈黙し、保健室には屋根に打ち付ける雨音のみがこだまする。

 

「・・・・ひとまず処置は完了しました。 傷跡や火傷の痕も残りません、あとは目を覚ますのを待つのみです」

 

その殺せんせーの一言である者は胸を撫で下ろし、ある者はホッと息を吐く。 だが、依然として皆の顔には緊迫とした様が浮かんでいる。

律を経由して蓮霧と彼らの会話は全員が聞いていた。 しかし殺せんせーがカルマと寺坂を治療するために戻らざるを得なくなり、蓮霧の足取りや手がかりは途絶えてしまった。

 

「・・・・速水、こうなっちまった以上、話してくれないか? お前とアイツの間に何があったのか」

 

蓮霧がプールから去った後、カルマの指示に従い幾名かで蓮霧の現住居、御剣家邸宅に訪れた。 そこには真っ二つに切断された扉や焦げたような斬撃痕のある扉があり、一度蓮霧がここに来ていたということを裏付けることにはなったがしかし蓮霧の姿は見つからなかった。

 

「・・・・・わかった」

 

・・・私はそう一言、絞り出すように呟くと、皆にあの子との間に隔たりができた出来事を話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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───きっかけはある日の帰り道。 7月14日、丁度私の誕生日の夕暮れのこと。

蓮霧と帰路を辿ってると、数人の高校生に行く手を阻まれた。 その時は蓮霧があっさりあしらって返り討ちにした。

その翌々日、7月16日・・・蓮霧の誕生日。 その日、サプライズで蓮霧の誕生日を祝おうと一足先に帰る途中、私は一昨日の高校生に攫われた。

 

・・・・・目的は蓮霧への復讐。 私を人質に使って蓮霧のことを一方的にいたぶろうと企んでた下劣な連中だった。

・・・・・ただ、それ自体はさしたる問題じゃない。 そもそも、あの程度の連中が相手なら私の弟は私に危害が加わらないように制圧することなんて造作もない。

 

だから、ここまでならちょっと苦い思い出くらいに収まってた。

 

・・・勝てないことを見越していたのか、それとも咄嗟に思いついたのか、あの連中は蓮霧に攻撃されたことを学園に通報したらしい。 その話が両親に伝わり、"蓮霧が他校の生徒に暴力を振るった"という話を聞いた親が帰って早々に一言、"あんたみたいな子は私たちの息子じゃない"、と。

 

それを聞いた蓮霧は絶望と失望の混ざった表情(カオ)でこう言った。

 

『・・・・・あははッ、知ってたよ。 全部ぜーんぶ、憶えてる。 13年前の今日、どこかの道端で拾われて今日まで育てられてきてたんだって。 ・・・・・でも、結局どれも"家族ごっこ"だったみたいだね・・・・・』

 

そう言い残すと俯いて雨の降る外へ逃げ出し、私は突然のことに動揺してあの子の後を追うことができなかった。

 

その場で親を問い詰めると、私と蓮霧には血の繫がりがないこと、蓮霧が言ってたことはどれも合っていることを教えられた。

 

それと後から聞いてわかったことだが、両親はあたかも"蓮霧が唐突に道行く高校生を攻撃した"と取れるような内容を聞かされていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「・・・・・とまぁ、これが全容よ。 こうして蓮霧は私達との関わりを絶って、私たちも罪悪感と気まずさからあの子を避けるようになって、そして・・・・・謝りたいと思った頃にはもう修繕できない程にすっかり溝が深まってた・・・」

 

一緒に過ごした過去を、楽しかった思い出を懐かしむように短くため息をつくと、静かに話を聞いてくれた皆に向き直る。

 

「・・・けど、私よりもよっぽど蓮霧の方が苦しくて、寂しい思いをしてたはず。 ・・・・・あの子は、独りでいることが何よりも辛くて、信頼してる誰かに甘えるのが大好きで、ちょっと依存体質で・・・でも、誰かを守ろうと動くことのできる優しい子なんだもの」

 

「・・・・・ケッ、それで病んで死にたがってるってワケか」

 

「・・・いや、多分殺されたがってるってのが正確だと思うよ。 そんなに優しい奴なら、自分から他人を攻撃した自罰感情で動いてるだろーし」

 

「・・・けどよ、蓮霧って並大抵の相手なら一方的に蹂躙できる程度には強えぇだろ? それはアイツもわかってるハズだし、けど手加減したりってことはない。 そんなんじゃただ自罰感情で壊れてくだけだってのがわからないとも思えねぇ」

 

「もしくは、それが目的なのかもね。 生きる意味がないから死にたくても、自罰感情がそれを邪魔してくる。 ならいっそ、その自罰感情で自身を壊せばいい。 ・・・アイツなら、こう考えても不思議じゃない」

 

「・・・なら、早く探さないと」

 

カルマも寺坂も目を覚ました、ここで時間が潰れてる間にも蓮霧は死に場所を求めて彷徨ってるはず。 急がないと。

 

「あ、待て! 速水!」

 

蓮霧を探すため、足早に保健室から出ようとすると磯貝に呼び止められた。

 

「これ、速水が持っててくれ」

 

「これって・・・」

 

磯貝から渡されたのは蓮霧が落としていったカーボン製の刀。

 

「・・・けど、カルマが持ってた方がいいんじゃない? 私よりも戦い慣れしてるだろうし・・・・」

 

「いや、俺じゃアイツは止められないよ。 ・・・これは俺の感じた感覚だけど、アイツと対峙した時、辛そうだった。 ホントはこんなことやりたくないはずなのに、一度裏切った自責で自分の心に蓋をしてるんだ。 それをこじ開けられるのは、アイツの家族である速水さんだけ・・・・・でしょ? 殺せんせー?」

 

「ええ、彼は"自分が暴走したら、止めることができるのは姉か、剣聖と呼ばれる旧友の言葉だけだ"、と。 ・・・・速水さん、改めて確認です。 彼と話し合うには、まず彼のココロを偽る虚飾の仮面を剥がさなければなりません。 そのために、彼と戦い打ち破る覚悟はありますか?」

 

「・・・はい!」

 

迷いも、躊躇いもなかった。 もう、蓮霧と向き合うことから逃げたりしない。

 

「・・・ええ、わかりました。 では、彼のところへ行きましょうか」

 

「つっても殺せんせー、アイツの居場所なんてわかんねぇじゃねぇか」

 

「そうでもありませんよ? 人は精神的に追い詰められた時、無意識に過去の出来事や思い出に縋ってしまうものです」

 

「・・・・・! まさか・・・」

 

一つだけ、心当たりがある。 全ての始まりの地、蓮霧が私を助けた廃工場・・・・・。 きっと蓮霧は、そこにいる。

 

「・・・その感じ、心当たりがあるんだな、速水?」

 

「うん。 皆はどうする?」

 

「・・・ま、行くよな?」

 

「・・・なんだかんだ、彼に助けられた場面も結構多かったしね」

 

「いっぺん引っ叩いて正気に戻してやんねーとな!」

 

「・・・・・私も、蓮ちゃんには何回も助けてもらったのに、なんにも返せないままこんな形でお別れだなんて嫌だもん」

 

私の問いかけに対し、クラスメイト達は口々に同意と取れる発言をする。 蓮霧はちゃんと皆から必要とされていたんだと思い、少しホッとした気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そうして、私達は大雨の中郊外にある廃工場へと辿り着いた。 錆び付いて重い扉を開けると、そこには地面に横たわる数多の不良と思しき者達が転がっており、奥では返り血でところどころが赤く染まった蓮霧が、怯えながら後退りする不良を壁際へと追い詰めていた。

 

「ッ、蓮霧!」

 

そう呼びかけると蓮霧は動きを止め、しかしこちらを向くことなく目の前で怯える不良に一言こう言った。

 

「ねぇ、君たち。 今来た奴等を追い返せ」

 

ひどく冷酷で底冷えするような、とても冷たい声だった。

いつかの梅雨の日に聞いたのと同じ、敵意と殺意に満ちた声。

 

「な、なんで俺達がお前の言うことを聞かなきゃいけな───」

 

そう口答えした不良は、最後まで言葉を発することはなかった。 無言で接近した蓮霧に腹を膝で蹴り上げられ、浮いたところに回し蹴りを叩き込まれて壁に激突し、倒れて動かなくなった。

 

「・・・・・・わかるか? 今の奴は見せしめだ。 君たちも、そこらに転がる屍の一つになりたくはないだろう?」

 

「「ヒッ・・・・」」

 

「さて、と。 二度は言わない。 俺は君たちになんて言ったか、忘れたとは イワセナイヨ?」

 

「「は、はいィッ!!」」

 

怯えながら蓮霧の命令に従った二人の不良が一目散にこっちへ向かってくる。 その目には激しい恐怖と僅かな安堵が宿っている。 恐らく私達を追い返せば助かるからと、その安堵だろう。

 

「「皆、下がって!」」

 

そう叫びながら前に出て、同じく前に出たカルマとそれぞれ片方ずつこっちに来た不良を沈める。 それを見るまでもなく音で判断したであろう蓮霧は変わらず冷酷な声音でこう呟いた。

 

「・・・・・・使えない奴め」

 

「・・・蓮霧、戻って来てくれないか? カルマが言ってたろ? 誰もお前を責め立てるつもりなんてないって。 たとえお前が自分を赦せなかったとしても、俺達はお前のことを受け入れる、仲間として。 ・・・・・だから───」

 

「・・・・・俺言わなかったっけ? "死にたくないならもう俺に関わるな"って」

 

皆を代表してクラスの意思を蓮霧に伝える磯貝の言葉を遮り、蓮霧は自分の発言内容がちゃんと伝わらなかったのかと言わんばかりに問いかけてきた。

 

「・・・・・あぁ、確かに言ってた。 けど───」

 

「うん、わかってるならいいんだ。 じゃ、さっさと帰ってくれ」

 

「・・・蓮霧、俺達は目の前で苦しんでる仲間を放っぽって日常に戻れるほど薄情じゃな───」

 

「はぁ~~~、君たちさぁ、何か勘違いしてない? "死にたくないなら帰れ"っていうのは親切心で言ってるんじゃない、帰れと命令してるんだよ、俺は。 そもそも、君たちがここに来た時点で君たちの役目は終わっているんだ」

 

相変わらずこちらに背を向けたままそう話す蓮霧の言葉に、皆がどこか恐怖のような感情を抱き始めてきたとわかる。

 

「そういうワケだから、さっさと帰ってくれない? そうしたらここで静かに最期を迎えられるから、さ。 ま、帰らないって言うなら、君たちを殺して精神的な死を迎えるだけだけど。 どっちに転ぼうが今日がこの生命(いのち)の終焉だということに何の変わりもないんだ」

 

今、蓮霧は明確に"殺す"と口にした。 そしてそれが口だけではないとわかってしまう程に、今の蓮霧はいびつに歪んだ狂気で染まっている。

 

「そんなの、受け入れられるワケねぇだろ・・・! お前だって俺達の仲間で、友達だろうが! 友達が死ぬのを"ハイそうですか"って納得するとでも───」

 

「・・・はぁ、うるっさいなぁ。 諭すだけの偽善者が、俺の理解者を騙るな。 口を開けば気にしてないだの咎める気はないだの、心配だの友達だのと・・・・・。 そんなのお前らの主観だろ? そんな他者の考えなんざどうでもいいんだよ、俺は俺の意思と決定で俺自身の総てを決める」

 

そう面倒くさそうに言い放つと、ずっとこちらに背を向けていた蓮霧がようやくこちらへ振り返った。

・・・・・その蓮霧は、別れてから1日すら経ってないというのにとても様変わりしていた。

雨で濡れた髪、光を失った左眼、そして何よりも異質な点は、右眼が血の様に赤黒く濁っていることだ。

 

「・・・・・大体さぁ、君達が立ち去る俺を傍観した時点で・・・話し合う余地なんて・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ないんだよ

 

そう冷たく告げ、蓮霧は私達に敵意を向けてくる。

 

「・・・・って、その表情(カオ)は・・・・

 

 

 

 

 

 

───君たち、俺の過去を聞いたな?」

 

「・・・・・うん、私が話した」

 

「・・・そっか。 ・・・それで? 俺の過去を聞いた上で、君たちは俺にどんな感情を向けるんだ? 同情? 憐憫? それとも口先だけの理解や共感か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───・・・・反吐が出るな」

 

今までよりも一段と禍々しい声でそう言い、一歩、一歩とこちらへ攻撃意思を持って歩いてくる。

私は皆の前に出て、蓮霧の刀を抜刀し両手で握って上段に構える。

 

「・・・・・俺がここに来て大体三ヶ月、思えば色んな事があったなぁ。 楽しかった日々、共に過ごした思い出・・・・」

 

右手で刀をクルクルと回しながら、左手を大袈裟に空へ向けて伸ばし、今度は至って普段と同じような雰囲気で喋りだす。

 

「けれど、そんなものもうどうでもいい。 でなければ・・・・・」

 

そうして瞳を閉じ、思い出を懐かしむように語ると再び澱んだ瞳を開く。

 

「『───でなければ、なぜ()()はここに立っているというんだい?』」

 

そう言うと同時におもちゃの刀の切先をこちらに向け、殺意で威圧してくる。

その威圧感に耐え、私も蓮霧の方へと足を進める。 すると微かに蓮霧の瞳が揺らいだように感じた。

 

(・・・・今、声が二つ聞こえた・・・・・?)

 

一瞬、気のせいかとも思ったが、蓮霧と何らかの声が"私達"と言ったことを考えるときっとあれは気のせいじゃない。

 

・・・つまり、今の蓮霧は何者かに扇動されている可能性がある。

けれど、あの突き放すような物言いや攻撃意思を持つまでに時間を要したこと、そして語調こそ強いがあくまでも私達を帰らそうとしていることから、まだ蓮霧自身の意思やココロは残っている。

どうにかしてそれを表層まで引き摺り出して自覚させれば、きっと蓮霧の本音を聞けるはず。

 

「・・・・・蓮霧、話を聞いてもらう為にも、少し手荒に行くわよ」

 

「ふーん、いーよ。 どうせムダだけど・・・・・もしこんな状況になってなお俺が大事だなんて巫山戯たことを言うつもりならさ、止めてみせてよ。 ね、"お姉ちゃん"っ♪」

 

 

 

 

 

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