今回は少し短めです、前回の続きなのでご容赦ください···
···え? それにしては投稿頻度が同じ?
・・・それでは本編どうぞ!
学級崩壊によりビッチ姉さんが退出し、静かになった教室にて
皆も頭が冷えたようで、各々が投げた私物を回収している
こうして床を見ると、みんな結構荒れてたなぁって
とりあえず、俺も黒板に刺さったトランプを回収
····今更だけど、黒板に穴空けたんだよな·····どうしよ
「蓮霧、さっきはありがとな」
黒板の件で悩んでると、先刻まで何人かと話してた磯貝が唐突に感謝の言葉を投げ掛けてきた
「え、俺なんか感謝されるようなことした?」
「俺達のために、先生に怒ってくれただろ?」
「あー、ね。 ま、気に入らない教師に噛みつけるのは不良の特権だからね」
「······ただ、あれは俺がイラついたから口答えしただけだよ。 そもそも、俺は"人のために"ってのが何よりも嫌いなんだ」
····人を助けることは嫌いだ
そんなのはただの自己満足にすぎない、その場では感謝されたとても、人はいつしか恩義を忘れる。いや、それは別にいい
そもそも自己満足に感謝を求めるコトが可笑しな話だ
····でも、誰かを助け、守ることで捨てられるなら、上辺だけのお友達ごっこに興じていた方がよっぽど有意義だろう
「蓮霧·····?」
「何かな?
「····いや、話は変わるんだけどさ、授業なくなっちまっただろ? みんなで暗殺バドミントンやろうと思うんだけど、お前もどうだ?」
そう言う磯貝の顔は何故か引き攣っていた 俺は笑顔で聞き返しただけなのに、おかしいね
「遠慮しておくよ。 一人だけ武器の扱いに慣れてる奴が参加すると、ゲームバランスが壊れかねない」
「···そうか、参加したくなったらいつでも来いよ」
「おう」
そうしてみんなはテニスコートへ向かって行った
「んじゃ、俺も鍛練に励むとするかね」
(今回は·····うん、投げナイフをメインに練習しようそうしよう)
目的を定め、教室を出て校舎裏に向かう
『なんなのあのガキ共!』
職員室の前を通りかかると、中からビッチ姉さんの不満の叫びが聞こえてきた
(ビッチ姉さんはビッチ姉さんで荒れてるなぁ)
(まぁいいや、とりあえず、俺は俺の目的に従って動こう)
烏間先生がどう宥めるのか気にはなったが、折角の隙間時間を有効活用しない手はないので無視して通り過ぎる
(さてさて、いつもの場所に到着っと)
流れるような動作で的を貼り付け、タイマーをセットし、ある程度の距離まで離れてナイフを構える
ちなみにこれらのナイフは、百均のびっくりナイフをベースに刃が動かないよう固定したものとなっている
(本数30本、制限時間30秒で何本投げられるか、そして何本命中するか·····)
(速度と精度のチェックにはこれがちょうどいい)
「いざ、スタートッ!」
~30秒後~
「······まあまあ、かな」
投げられた本数は15本、命中したのは4本という結果に終わった
「やっぱり速度と精度はトレードオフだなぁ」
「とりあえずメモっておこう [取り出しやすさ◎、収納性◎、瞬間的な牽制○、安定性△、精度△、威力✕] っと。 ほぼほぼトランプと同じ内容だねぇ」
(この内、安定性は練習を繰り返せば上げれる。威力に関しては······そもそも牽制用のサブウェポンに威力を求めてはいけないのでは?)
(いや、まずは真っ直ぐ水平に飛ばせるようになろう。 威力とかはまた考えればいい、まずは安定性だ)
「よし、精度や速度は後だ、反復練習開始!」
おおよそ20分程度だろうか、そのくらいの時間が経過し、軽い休憩を取る
(····視線を感じる)
ナイフを回収しながら校舎の方の物陰を軽く見やると、こちらの様子を伺うビッチ姉さんと烏間先生がいた
(あぁ、なるほど。 烏間先生の目的は、ビッチ姉さんに俺達がどう暗殺教室と向き合っているか見せること、かな)
(····ま、俺には関係ないしどーでもいいケド)
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「····アイツは」
烏間に連れられ、裏山でテストを作るターゲットを見た後、校舎裏に連れられたイリーナが見たのは、生意気にも自分に口答えした少年が一人でナイフ投げの練習を行う姿だった
「彼は現状、この教室で最も戦闘力に秀でていると言えるだろう」
「訓練で俺に攻撃を当てたのもいまだに彼一人だけだ」
「刀の素振りでも小太刀の連撃でもなく、投げナイフの練習···?」
「一応言っておくが、彼が俺に攻撃を当てたのは刀だ」
「じゃあ、なんで·····」
「彼の言葉を借りるなら、"戦闘は初見殺しの応酬"だそうだ。 だからこそ刀以外にも使える武器を増やし、それらを組み合わせて戦う方法を取っているのだろう」
「先日まで精鋭部隊にいた人間に攻撃を命中させる程の剣術と状況に対応するための機転。 そして、アレらのほとんどが我流だと言うのだから才能も一級品だ」
「我流···!?」
「ああ。 もっとも、なぜあれほどの剣技を身に付ける程に修練を積んだのか、なんのために身に付けた力なのかは、本人が語らない限りわからないがな」
『そもそも俺達は平和な国に生まれた一介の学生に過ぎない』
少年の放った言葉が、イリーナの頭の中で反芻する
平和な国に生まれた一介の学生に過ぎないと言っていたにも関わらず、なぜ自分一人で技を磨き、自分の意思で力を身に付けたのか、なぜ力を身に付けようとしたのか
······なぜ平和な国で力を求めたのかが彼女にはわからなかった
その場で様子を見ていると、休憩を取るようでナイフの回収を始めた
その際、一瞬こちらを一瞥したが、興味なさげに視線を戻して、再び回収に戻った
「さて、次は校庭に行く。 ついて来い」
再び烏間に連れられて校舎裏を離れる
その際も、イリーナの頭には少年の言葉がずっと響いていた
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「ふぅ、おしまいおしまい。 そろそろ戻るか」
一通りの鍛練を終わらせ、ナイフやトランプを懐に納めて教室に歩みを進める
先生方は休憩中に去っていたようで、再開する頃にはいなくなっていた
(そうだ、次の授業は··【英語】····What? なんで英語の次に英語があるんですか??)
(いや、英語の授業は二種類あるけども、なんで今日は連続であるんだ殺せんせー····)
はぁ、さすがにまた暴動が起こることはないだろうけど··
またダメなら烏間先生に直談判かなぁ。 俺はあの人面白いし別にいいんだけど
(っと、着いた着いた。 切り換えないと)
気持ちを切り換えて教室に入る
もうみんな戻ってきていたようで、各々談笑や読書をしている
俺も席に戻り、イヤホンを取り出してユーロビートを────聴こうとしたらビッチ姉さんが入ってきた
また自習だとか言い出すかと思ったが、何やらチョークで黒板に英文を書き始めた
「you are incredible in bed!」
書いた英文を読み上げ、『
「「「ユ、ユーアー インクレディブル イン ベッド」」」
「アメリカで暗殺したとあるVIPのボディーガードに色仕掛けで接近した時、彼が私に言った言葉よ」
「意味は『ベットでのキミは凄いよ····♡』」
おいおいおいおい何言わせてるんだ俺達中学生だぜ?
「外国語を短時間で身につけるには、その国の恋人を作るのが手っ取り早いってよく言われているわ。 相手の心や気持ちを知りたくて、必死で言葉を理解しようとするの」
ほ~ん、なるほどねぇ
「私は仕事上で必要な時··この方法で色々な言語を身に付けてきた。 だから私の授業では、私の経験に基づく外国人の口説き方を教えてあげる」
··こういうのを聞くと、やっぱりこの人もプロなんだなと実感できるね。 にしても、さっきまでの傲慢さが驚くほど消えている。
「プロの殺し屋直伝の仲良くなる会話のコツ、外国人と話す時に必ず役立つはずよ。」
「ただ、私が教えられるのは実践的な会話術だけ。 試験や受験に必要な勉強はタコにでも教わりなさい」
これは、面白くなってきたね
実践的な英会話術ってのはやれグローバル化だのなんだのが進んでいる現代未来で絶対に役に立つはずだ
それを抜きにしても、日本語に応用すれば日常で活用できるだろう
「もしこれでも私を先生と思えないのなら、諦めて大人しく出ていくわ。 それなら文句ないでしょ···?」
「··あと、悪かったわよ色々と」
「ククッ」
「「「「「あはははは!」」」」」
俺が軽く笑ったのを引き金に、教室が笑いで包まれる
「さっきまで殺すとか言ってたのに」
「すっかりしおらしくなっちゃって」
「俺の言葉が響いたのかな~?」
「お、ありえるねそれ」
「なんか普通に先生になっちゃったな」
「もうビッチ姉さんなんて呼べないね」
「考えてみると、先生に対して失礼な呼び方だったよね」
「だな、呼び方代えないとな」
「あ、アンタ達····!」
ビッチ姉さんが感涙してる···けど、多分新しい呼び方は··
「じゃ、ビッチ先生で」
ま、予測可能回避不可能というか案の定というか
あらら、狼狽えてる
「ね、ねぇキミ達、この機会にビッチから離れてみない?」
「ほら! 気安くファーストネームで呼んでくれていいのよ?」
「もうビッチで固定されちゃったしな~」
「ビッチ先生の方がしっくり来るよね」
「やっぱビッチ先生だな!」
「よろしく、ビッチ先生!」
「授業始めようぜ、ビッチ先生!」
クラスメイト達の笑い声の中、ビッチ先生の叫びが一際響く
(··ククッ、また
また一人、今度は正真正銘プロの殺し屋がE組の一員として馴染み始めていく様を眺めながら、更に愉快になっていくであろうE組の未来に思いを馳せ、授業の始まりを待つことにした