テスト前だし今回は第二の刃の時間じゃないのか、と思ったそこのアナタ
作者もそうするつもりでした。
そのつもりだったんですけど、今まで主人公の背景描写をサボりすぎてたので、ここらで少し蓮霧君の掘り下げをしとこうかなと。
というかこういうのはもっと序盤にやるべきでは? なぁ過去の私よ聞いてるか?
まぁ過去を嘆くのにあまり尺を使うのもアレですし、ここまでにしておきましょう
では前置きも程々にしまして、本編どうぞ~
「「「さて、始めましょうか」」」
刃ちゃんとの会話で不安定になった精神をなんとか落ち着けて教室に戻り、席に着いた俺の耳に入ったのは、何故か分身して待ち構えていた殺せんせー達の一言?だった
「中間テストが迫ってきました」
「そうそう」
「というわけでこの時間は」
「高速強化テスト勉強を行います!」
ご丁寧に分身一人一人がそれぞれそんなことを喋り、全員の机の前に移動する
「先生の分身が一人一人マンツーマンで」
「それぞれの苦手科目を徹底して復習します」
そうして俺の前にも来たわけだが、なんか色々おかしい
「なんで俺はNARUTOなんだよ!?」
どうやら色々おかしいのは俺だけではなかったようで、寺坂が元気に吠えている
「落ち着け寺坂、大声をあげると体力を使うぞ?」
「余計なお世話だ! つかお前はお前で志々雄真実じゃねえか!?」
そう。 何故か俺の前にいる殺せんせーは包帯に鉢金という志々雄スタイルなのだ
「ヌルフフフ、君たちは苦手教科が複数ありますからねぇ。 特別コースです」
····そーなんだよねぇ。 応用力に特化してるから、基礎の知識が点数に直結する理科や社会が苦手。
あ、鎌倉から幕末までの日本史はそこそこできるよ? 好きだからね。 じゃなきゃ武器に刀をチョイスしない
そんなこんなで殺せんせーの特別授業が始まった。 内訳は国語六人、数学八人、社会三人、理科四人、英語四人、NARUTO一人に志々雄一人
しかし相変わらずこの先生は教えるのが上手い
相手が理解しやすいよう、趣味や特技に応じた比喩を使ったり、一人一人に合わせた学び方を徹底している
例えば俺の場合、応用力があるからととにかく基礎を覚えることに比重が寄っている
隣のカルマなんかは学力に合わせて先の範囲まで教えられてるし
「···殺せんせー、ここの覚え方のコツとか──!?」
そんな勉強の最中、わからない箇所を聞こうと前を向くと、突然殺せんせーの顔がグニャリと歪んだ
「「「「カルマ君! 急に暗殺しないでください!! それ避けると残像が全部乱れるんです!!!」」」」
「「意外と繊細なんだこの分身!?」」
今日もE組男子のツッコミ担当二大巨頭、渚と前原がツッコミを入れる
いやまぁ、分身つっても結局高速移動Lv99なわけで、物理的に増えてるわけじゃない。 一つ歪んだらその状態で動かなきゃいけないわけだから、ね
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その後の授業も滞りなく終了。 HRも終わり各々帰りの支度をしたり駄弁ったりしてる
俺は蜂を押し付けた詫びとしておだわ····岡島にラーメンを奢る約束をしているので、早速話し掛ける
「やほ~、おだわ····岡島」
「お前また間違えかけただろ!?」
「間違えなかったんだからいいだろ?」
「そんなことより行くぞ、約束だからな」
「お、おう」
「折角だし他にも誰か····あ、磯貝。 お前も来るか? さすがにサイドメニューやトッピングまでは無理だけど、一杯なら奢るぞ」
「お、俺も着いてっていいか?」
野郎二人で行くのは味気無いと思い、俺と話してくれる数少ない人間である磯貝を誘おうと声をかけると、近くにいた前原も着いてくると言い出した
「お前の分は奢らないが構わないか? 前原」
「なんでだよ!?」
「お金がないんだ」
「親に小遣い貰えばいいだろ」
「····俺には俺の事情があるんダ、あまり追及しないでくれたまえヨ」
「──ッ! ····あぁ」
少し声のトーンを落として殺気を出すと、前原は少し萎縮して首肯した
「ならよし、それじゃ早速しゅっぱーつ!」
三人を引き連れて山を下り、町へ向かう
「そういやお前ら、腹減ってるか? 俺はまだだが」
「俺もまだあんまり」
「俺も」
「俺も」
「オッケ、んじゃどっかで適当に遊ぶか」
と、いうわけで飯の前にゲーセン行ったり、適当に買い物したりして時間を潰した
レースゲーやってたら何故か岡島がストレートでハンドル滑らせて壁に刺さってたのは笑った。 いやストレートでスピンってどうやったらできるんだよ器用だなアイツ
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程よく日も傾き、みんな程よく腹も減ってきた頃、近場にあった適当なラーメン屋に入る
「なるべく安めな組み合わせだと助かるなぁ··って」
一応懇願したが願いは虚しく。 三人前+トッピング二つ+サイド一つで合計2700円··貴重な日銭ががが
食券を購入し席に着く
店員さんに食券を渡し、あとは提供されるまで雑談だ
「そういや、蓮霧は修学旅行の班どうするんだ?」
「しゅうがく、りょこう····?」
「その様子だと決まってなさそうだな」
「俺みたいな狂人と組もうとする物好き、そうそういないだろ」
「お前さえ良ければ、俺等の班来ないか?」
「前言撤回おったわここに。 正気か? 磯貝」
「自分で言うのもなんだが、カルマとは別ベクトルの爆弾だぞ? 俺」
「爆弾って···· タブーに触れなければ特に問題ないだろお前は」
「いや、そうじゃなくて。 ここ一年、八つ当たりやら憂さ晴らしやら実戦稽古(口実)やらで大量の不良を一方的に蹂躙してるからさ」
「ま、あちこちで恨み買ってるワケだヨ。 向こうで他の修学旅行生とかに絡まれると面倒だろ?」
「そういうわけだから、仮病で留守番するくらいの心持ちでいたんだが····」
「そんなこと一々気にすんなって! どうせお前、他に誘ってくれそうな奴カルマくらいしかいないだろ?」
「····して」
「?」
「どうしてそんなヒドいこと言うのぉ····?」
「····え?」
「··泣くぞ? 進学校の生徒が公共の場で周りの目を無視して泣きわめくぞ? いいのか? いいんだな!?」
「待て待て待て待て!? 俺が悪かったからやめろ!!」
「わかればよろしい」
「あ! お前今の嘘泣きだな!?」
前原とそんな茶番を繰り広げていると、注文したのが完成したらしく店員さんがお盆に乗せて持ってきた
「「「「いただきます」」」」
「で、本当にいいのか?」
各々ラーメンを啜りながらさっきの話に戻る
「「おう」」
「····少し考えさせてくれないか? テスト明けくらいには決めとくからさ」
「あぁ、ゆっくり考えてくれ。 また修学旅行が近くなったら聞くよ」
「そうしてくれると助かるヨ。 じゃ、麺が伸びる前に食っちまおう」
その後、食事も終わりそろそろ解散の時間
もちろんしっかりスープまで飲み干した。 完食完飲、ダイジ
「ふぅ、美味かったナ」
「あぁ」
「だな」
「んじゃ、解散かね。 岡島は明日の昼飯奢るから帰りにコンビニでも寄ってこう」
「というわけで、皆様また明日~♪」
岡島を引き連れて帰路に着く
通り道にあったコンビニで明日の食事を奢り、岡島とも別れて家に戻る
(あとはシャワー浴びて寝るだけだナ)
(······自分の
思い出すのは、今日刃ちゃんの言っていた内容
(いや、やめておこう。 これを考えてると、また悪夢を見ることになりそうだ)
(さっさと寝るか、精神を落ち着けたい時は寝るに限る)
鍵を開け、家に入り
荷物を放って洗面所に向かう
シャワーを浴びて部屋着に着替え、少し早いが布団を被っておやすみなさい
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····················
··········夕焼けの射し込む住宅街を一人の少年と一人の少女が歩いている
見たところ姉弟のようだ、さながら姉に依存する弟と弟を溺愛する姉、と言ったところか
会話に耳を傾けると、どうやら姉は剣道部の稽古で帰りが遅くなった弟をずっと待っていたらしい
「お姉ちゃんさ、いつもわざわざ待ってなくていいんだよ?」
「はぁ、待ってないと拗ねるでしょ」
「······それはそうだけどさぁ。 弟としてはもっと有意義なことに時間を使って貰いたいわけですよ」
「蓮霧と帰るこの時間は有意義なものだと思ってる」
「····むぅ」
「膨れてもダメ」
姉弟の会話はそこで止まる。 だが、空気は軽く表情も明るい
おそらく、静寂すら日常の一コマとして楽しんでいるのだろう
──でも、そんな平和で穏やかな日々は長く続かない──
姉弟の進む方向から複数の足音が聞こえてくる
「そうだ聞いてよ凛姉、今日刃ちゃんがさ──
──ん?」
姉弟の前に、おおよそ四人の人間が立ち塞がる
おそらく高校生だろう。 見るからに不良という雰囲気を持った、物騒な空気が漂っている
「おにーさん達、通れないからどいてもらってもいいかな?」
「断るって言ったら?」
「回り道でもするよ。 住宅街だから道は幾らでもある」
「じゃ、行こっか」
姉弟は踵を返し、その場から立ち去ろうとする
「まぁそう焦んなよ、折角だし俺等と遊ぼ──グギャ!」
肩を掴もうとしてきた取り巻きAに対し、右手の鞄を振り回して顔面に一撃入れる
「「「なっ!?」」」
「一つ····いや、二つアドバイスをあげよう」
「一つ、相手の実力を推し測る審美眼を養った方がいい」
「蓮霧、審美眼の使い方間違ってる」
「······コホン。 二つ、帰ったらターゲットの備考欄に"戦闘に長けた重度のシスコンが護衛をしてる"と書き連ねておくといい。 ····もっとも、無事に帰れればの話だがな──!」
鞄から小太刀を取り出し戦闘態勢
「····気付いてたのか」
「ここ数日、帰り道を誰かに尾けられてる気配があったんで、ね」
「お姉ちゃんはいつも俺の帰りを待ってくれてるから、それが続いていれば諦めてくれるかと思ってたんだけど」
「お前らみたいな美しい姉弟愛を見てると、台無しにしてやりたくてムシャクシャするんだよ」
「随分と悪趣味だね、まぁ、やってみるといい」
「野郎共! かかれェ!」
「····お姉ちゃん、俺の間合いから離れないでね」
片方の小太刀を鞘から抜き、一人ずつ捌く
片や独学でずっと剣と向き合ってきた剣聖と対等に刃を交える実力者、片や技も知識もないただの暴力
····力の差は歴然だ
「どいつもこいつも遅すぎるよ、欠伸が出るね」
時間にして僅か数分、たった五分すら経たないうちにリーダー格と思われる、左目の横に傷のあるオールバックの男を残し、不良達は全滅した
「····さて、あとはお前だけだ。 どうする? 逃げれば追撃するし、もし闘ってもお前じゃ勝てない」
「····ッ、これで終わりだと思うな!」
そうしてリーダー格の男はスマホに手を伸ばし──
「痛ッ」
──しかしスマホは弾かれた
「ざ~んねん。 お仲間は呼ばせないよ? それじゃ──」
「ヒィッ!? い、嫌だ! や、やめてく」
「──サヨナラだ」
顎に全力を込めた一撃をいれて意識を刈り取る
小太刀を鞘に納め、投げた小太刀も回収し同じように納刀。 鞄に仕舞って凛姉に向き直る
「さ、帰ろっか。 凛姉」
「······うん」
そうして姉弟は再び帰路に着く
──これはまだ始まりに過ぎないと、この時の姉弟はまだ知る由もなかった──
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意識が覚醒する感覚····
どうやら夢を見ていた、らしい
(······今のは、本当に夢だったのか? 夢にしては現実味がありすぎた。 まるで····──
──まるで、過去の出来事を追体験するような、そんな感覚だった)
「······懐かしい、な。 あの頃は楽しかったねぇ。 確固たる居場所があって、お姉ちゃんが····家族がいた」
「ホント、あの頃はよかったヨ。 生みの親に捨てられた幼子を····。 道端で拾われた、血の繋がりがない俺を愛してくれる家族がいた」
(····でも、あの頃のことを思い出すと忌まわしい記憶も呼び起こされる)
(何故だろうね、近いうちにさっきの続きを····あの日の出来事を追憶するような、そんな気がする)
(理屈や理論ではあり得ないはず、なんだけどね)
アレだけは···· ──あの日の記憶だけはもう見たくない、二度と思い出したくない
······はぁ、なんだかユウウツになってきた。
でも、テスト前にサボると殺せんせーが絡んできそうだしなぁ
····仕方ない、行きますか
ふぅ····あ、読者の皆様今回も最後までお読みいただきありがとうございます
いやぁ、なんだか過去の話は不穏な雰囲気ですねぇ。
······終わり方が中途半端? 核心に触れてない?
えっと、書いてたら想像以上に長くなりそうだったものでやむを得ず引き延ばすことにしました
次の追憶回は修学旅行前にやるつもりです。
ちゃんと書くので許して····ユルシテ······。
それはそれとして感想とかあったら是非とも下さい。 作者が喜んでモチベが上がります
ではでは皆様、また次回~♪