前回作者の都合で延期になった第二の刃の時間です
一度書き上がった後、なんか違うなと修正を繰り返してたら三連休が終わってた作者でございます
ではでは本編、始まります
「さらに頑張って増えてみました。 さぁ、授業開始です」
「「「「「···········」」」」」
(((((増えすぎだろ·····)))))
······さて、まずは状況を整理しよう
まず、俺はユウウツな気分を無理矢理作ったハイテンションで誤魔化しながら登校してきた
次に、教室に入った
······そしたら殺せんせーと殺せんせーの分身が教室の約1/3を埋め尽くしていた
で、冒頭のセリフに戻る
(····ワケがわからない)
そうして授業が始まった、いやそうしてじゃないが
というか今日の授業全部高速強化テスト勉強って····気合い入ってんなぁ(遠い目)
····改めて見ると分身しすぎて所々雑になってるし。 なんか雑すぎて別キャラになってる所もある
当然、俺も例外ではなく、、、
えーっと、昨日と同じ志々雄分身に、
····もしかして十本刀コンプリートしようとしてらっしゃる? 俺も本校舎では"天剣"って呼ばれてるし、これで四人集まったワケだ
····ってやかましいわ!
脳内でセルフノリツッコミをしつつ、あまりにもやる気満々な殺せんせーに質問を投げ掛ける
「殺せんせー、昨日の放課後に何かあったんですか??」
正直、そうでもないと昨日と今日のやる気の差は説明がつかない
「いえ、何もありませんよ」
····あコレ絶対嘘だ、目が泳いでるし。 何かあったんだな、まぁ俺には関係ないが
「そっすかぁ。 ····ところで殺せんせーや、せめて他のキャラにしてくれません? ホウキ頭は兎も角、志々雄に加えて宇水と安慈が目の前にいるのはプレッシャーが····」
「まぁまぁ、蓮霧君も瀬田宗次郎みたいなものですしいいじゃないですか」
「やっぱり俺が"天剣"だから十本刀で揃えてるんじゃないですか!」
などと、殺せんせーと茶番を繰り広げながらも手は進める。
殺せんせーが増えた影響か、昨日よりも進みがいい。
いやホント、ペースがかなり良くて····──
──何故かテスト範囲の先まで進んでるんだよなぁ
「ちょっと待て!?」
「にゅや!? いきなりどうしたんですか蓮霧君!?」
「何でテスト範囲の先までやってるんですか!? いや流れでやった俺も俺ですけど!」
「ヌルフフフ、蓮霧君の"応用"は紛れもなく、素晴らしい才能ですからねぇ。 今のうちに先まで基礎を固めておけば、君の才能も相まってこの先の勉強を大分楽に進めることができるでしょう」
「そう、ですか」
····なるほど、殺せんせーの考えはわかった
····ただ、先に進むならまずは"今"がしっかりしてなければいけないだろう
「じゃあ、一つ質問を」
「えぇ、何でも聞いて下さい」
「殺せんせーから見て、俺の持つ"応用の才能"だと、今回の中間テストでどの程度までの応用問題に対応できると思いますか?」
「そうですねぇ、今回のテスト範囲の基礎は粗方抑えましたし···· 範囲内の応用問題なら、9割の点数を安定して取れるでしょう。」
ふむ、9割か····
「では蓮霧君、三時間目は先生の作った応用問題メインの小テストをやってみましょうか」
そうして休み時間明け、早速五教科分の小テストが机に用意される
····うん、殺せんせーの言った通り、ここまでに詰め込んだ知識の応用問題で構成されている。
さてさて、では始めるとしましょうか
国語、数学、社会、理科、英語と順番に解いていく
簡潔なテストなのも相まって、見直し含め一教科平均約十分で終わったが、小テストにきっかし一時間分の授業を費やすこととなった
というか、殺せんせーなら一時間でピッタリ終わる問題量に調整してそうだな、と
「お疲れ様です。 休み時間の間に採点しておきますので、また四時間目に」
そうして殺せんせーは去っていく
いや、凄いな。 あの人だって疲れてるだろうに、休み時間をテストの採点に当てるとは····
いや、よく見たらちょっと息切らしてる。 やっぱり疲れてるようだ
休み時間も終わり、四時間目。 うん、殺せんせーも相当疲れてきてるな、かなり分身が乱れてる
でも授業はちゃんとやるし暗殺はしっかり避けるんだよな····スペックお化けだよ、ホントに
さて、小テストの方だが殺せんせーの言った通り、全教科で90点以上を取れている
しかし理科はまだ甘いな、社会については歴史の比率が大きいから助かってる節がある
ということで四時間目は、小テストで間違えた箇所の分析及び再復習がメインで行われた
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四時間目も終わり、昼休み
殺せんせーもすっかり疲労困憊の様子で、椅子に寄り掛かって団扇を二つ扇いでいる
「今なら殺れるんじゃ···?」
ぜぇはぁ言いながら死にそうになってる殺せんせーだが、これで殺せたら今まで苦労はしてないだろう
「····えーっと、お疲れ様です···?」
とりあえずねぎらいの言葉を投げ掛けておく
「な~んでこんな一生懸命先生をするんかねぇ」
「ヌルフフフ、全ては君たちのテストの点数を上げるためです」
なんともそれらしいことを言っている。 が、多分それは本命じゃないんじゃないか?
「そうすれば生徒たちは私を尊敬の眼差しで見つめるようになり、評判を聞いた近所の巨乳女子大学生も····ヌルフフフ」
····なんだろう、猛烈に前言撤回したくなってきた
というかそれを生徒の前で言ったら誰も尊敬の眼差しで見ないのでは?
「そうすれば先生は命を狙われる心配もなくなり良いことずくめ」
もしそれが本命ならさっきのが本音であってほしい
頼むからせめてそれっぽいことくらいは言ってくれ
「····いや、勉強の方はそれなりでいいよな」
「····だよね」
(··うん?)
不意に聞こえた呟きから皆の方を見ると、ほぼ全員が暗い表情をしていた
「なんてったって、暗殺成功すれば賞金100億だしなぁ」
「100億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だろ?」
(····ほう?)
「にゅや!? そういう考えをしてきますか!」
「俺達エンドのE組だぜ?」
「テストなんかより、暗殺の方がよっぽど身近なチャンスなんだよ」
(······愚かな)
「なるほど、よく分かりました。 今の君たちには、暗殺者の資格がありませんねぇ」
殺せんせーの顔色が✕印を浮かべた紫色に変わる
「全員、校庭に出なさい。 烏間先生とイリーナ先生も呼んで来てください」
殺せんせーに従い、学級委員磯貝が先生方を呼びに行き、他の全員は校庭へ向かう
校庭に着くと、殺せんせーは徐にサッカーゴールや朝礼台をどかし始めた
殺せんせーが校庭の備品一式をどかし終える頃には磯貝も戻り、先生方も含めた全員が校庭に集まった
「さて、イリーナ先生。 プロの殺し屋として伺いますが、貴女はいつも仕事をする時、用意するプランは一つですか?」
「····いいえ、本命のプランなんて、思い通りにいかないことがほとんど。 不測の事態に備えて、予備プランをより綿密に作ることが暗殺の基本よ」
「ま、アンタの場合規格外すぎて、予備プランが全部狂ったけどね。 見てらっしゃい、次こそ必──「ヌルフフフ、無理ですねぇ」
う~ん、この状況でもしっかりと煽りよる
「では次に烏間先生。 ナイフ術を生徒に教える時、重要視するのは第一撃だけですか?」
「····いや、第一撃はもちろん最重要だが、次の動きも重要だ。 強敵との戦いにおいて、第一撃は高確率で躱される」
「その次の第二撃、第三撃をいかに高精度で繰り出せるかで勝敗が別れる」
ビッチ先生と烏間先生の答えを聞き、殺せんせーは満足そうに微笑んだ
「結局、何が言いたいん──「先生方のおっしゃる通り。 自信の持てる次の手があるから、自信に満ちた暗殺者になれる。 対して君たちはどうでしょう?」
前原の問いを遮り、そう言葉を紡ぎながら殺せんせーはその場で回転を始める
「"俺達には暗殺があるから勉強はそれでいいや"。 そう考えて勉強の目標を低くしている。 それは劣等感の原因から目を背けているだけです」
少しずつ回転の速度が上がっていき、殺せんせーの像が曖昧になってきた
「もし先生がこのE組から逃げ去ったら? もし他の殺し屋に先生が殺されたら? ····暗殺という心の拠り所を失った君たちには、E組の劣等感しか残らない」
回転を続ける殺せんせーの周囲に風が集まっていき、少しずつ竜巻が形成されていく
「そんな危うい君たちに、先生からの
やがて殺せんせーが形成した竜巻は天へ昇る程の大規模なものとなり、その中心部から大きな声が聞こえてくる
「第二の刃を持たざる者は、暗殺者を名乗る資格なし!!」
竜巻が収まり、砂煙が晴れて眼前に広がったのは、平坦で雑草一つない、完璧に手入れされた校庭の姿だった
「校庭に雑草や凸凹が多かったので、少し手入れをしておきました。 先生は地球を消せる超生物、この一帯を平らにするなど容易いことです」
「「「「「······ッ」」」」」
眼前で繰り広げられた凄まじい光景に、その場の全員が息を呑む
「君たちが自信を持てる第二の刃を示すことができなければ、相手に値する暗殺者はここにいないと見なし、校舎ごと平らにして先生は去ります」
····この先生の言葉に偽りはなさそうだ。 その気になればたかが木造の校舎、数秒もせずガラクタに変えられるだろう
「······第二の刃、いつまでに···?」
皆が押し黙る中、渚が口を開く
「決まっています、明日です」
(明日、か)
明日は件の中間テスト、大方クラス全員が高得点を····ってコトだろう
「明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい」
殺せんせーが発した一言に皆が驚きの表情を浮かべる
「君たちの第二の刃は既に先生が育てています。 本校舎の教師たちに劣るほど、先生はトロい教え方をしていません」
「自信を持ってその刃を振るってきなさい!!」
「「「「「······」」」」」
殺せんせーの宣言を聞いて尚、皆の顔は陰ったままだ。 まぁ、無理もない
何せ数週間前まで落ちこぼれとして非難、嘲笑の対象にされてきたんだ。 でも、それとこれとは話が別だろう
「はぁ···· 腑抜けしかいないのか此処は」
「····蓮霧?」
速水さんが何やら心配そうな視線を向けてくる
「揃いも揃って、自分達の発言がいかに浅ましく愚かしいか、誰もわかってないようだな」
「んだと? 蓮霧テメェ、俺らと違って成績がいいからって調子に乗ってんじゃ──「だってそうだろう?」
俺に噛み付こうとしてきた寺坂の言葉を遮り、言葉を繋ぐ
「よく考えてみろよ。 殺せんせーの暗殺ってのは、文字通り地球を救い、全人類の未来を守った英雄になれることを指す」
「でも、たかが学校のテストにすら意欲的に取り組む気概の無い半端者が、そんな偉業を成し遂げられるわけないだろ?」
「更に言うなら、もしお前らが暗殺に成功したとして、だ。 地球を救った英雄が、学生としての学校生活を怠惰に過ごしていた愚か者だなんて、それこそお茶の間の笑い者になるんじゃないか?」
「····まさかとは思うけど、本気でそんな巫山戯たことを考えてたわけじゃないよね?」
「「「「「··········」」」」」
俺の発言に、皆一様に口を閉ざす
「····どうした? 文句でもありそうな目だナ」
「····当然だろ」
「····いくらなんでも、言い方ってもんがあるよね」
「ククッ、それでいい。 文句があるなら俺を下せ。 俺よりもお前らが、自分達の方が優れていると証明して見せろ」
「その暁には、暴言だろうが暴力だろうが、どのような扱いであろうと受け入れてあげようじゃないか」
皆の目に確かな敵意と殺意が宿る
そうだ、これでいい。 これで皆が持つ"己への劣等感"を"悪への敵対心"で上塗りできた
(やはりいつの時代も、必要悪を担うのは狂人の仕事だナ)
「····せいぜい足掻くといい。 今のお前らごときじゃあ、俺の踏み台にすらなり得ない」
まぁ、カルマは間違いなく脅威となるだろうが···
ただ、それをここで言う必要はない
さて、不本意ながらこれで、俺も真剣に臨まなくてはいけなくなったわけだ
····願わくば明日のテスト、皆が喜ばしい結果で終われることを祈るとしよう