転生する術式を持つ少女がいろんなキャラの地雷になる話 作:おにい
透が高専に住みだして数か月が経過した。
この期間で透がしたことと言えば仲のいい友人と言える呪術師を数人作った事と反転術式で数人の命を救ったくらいだ。
透が高専に来た当初に思っていた"禪院透"の代わりに何かをしなければいけないような事態は発生していない。
というのも五条悟が忙しすぎるのだ。
これに関しては高専に来る前から五条悟は他の呪術師と比べて多忙であったが、高専に来てからの稼働は異常と言える。
各地で一級相当の呪霊の発生が急増し、中には準特級ともいえるレベルの呪霊もいる。
そうなれば五条悟を動かすしかないのだ。
日本という国に特級の呪術師は五条悟と
そして、呪術師として動かせるのは五条悟のみだ。
九十九由基という人間は自由奔放で所在が分からない。
そうなれば自然と五条悟の負担は増える。
「今日も退屈ですね……誰か遊びに来てくれないでしょうか……」
五条透は高専にある五条悟と一緒に暮らしている部屋でソファに腰掛けて天井を見上げながら呟いた。
五条悟の任務中は透は部屋から出ることを許されない。
これは五条悟と夜蛾正道の二人が決めた事である。
五条悟と透の部屋には強力な結界が張られている。
五条悟と夜蛾正道、そして高専上層部の人間を除いて、結界の中に足を踏み入れると対象を拘束し、自動で警報が高専全体に発せられるという結界だ。
過保護すぎて流石の透も少し引いていた。
「こっそり出るのは……ダメですよねぇ……」
透は一人の時間が苦手なので過去に数度、勝手に結界から抜け出て高専の中を歩き回った。
その際に色々と事件を起こしてしまい、それ以降は結界の対象に透自身も含まれて、透が結界から許可なく出た場合は五条悟が文字通り飛んでくる。
透ならばこの結界に手を加えて、バレないように脱出することはできるのだが、五条悟に迷惑が掛かるのが嫌なのでしない。
そうして部屋の中で大人しく退屈に過ごしている透。
暇すぎて天井のシミを数えようとしたところ、玄関の扉がコンコンと叩かれる。
「……透さんは居ますか?」
玄関の向こう側からは透が聞いたことのない女性の声がする。
透は顔を玄関の方に向ける。
「私は五条悟のお友達です。透さんに是非お会いしてみたくて来ちゃいました」
「えっ、悟兄様のお友達ですか! 今開けますよ!!」
一瞬怪しんだ透だが、悟のお友達という言葉に一瞬で警戒を解いた。
そして、玄関に駆けていき鍵を開けた。
いくら何でも危なすぎる行為だが、そもそもこの部屋の前にやってくるには高専の用意した厳重な結界をいくつも越えなければいけない。
部屋の前にいる時点で高専に認められた人間の可能性が高い。
禪院甚爾という例外は居るが、今の透が知るわけもない。
するとそこには狐の仮面をした黒髪の女性が立っていた。
女性は扉が開くと透の方に顔を向けた。
透よりも身長が高く、正確ではないが160㎝くらいだろう。
黒のロングヘアーで細身だ。
「初めまして、透さん。私は五条悟さんのお友達で
仮面の女性は伏黒と名乗り、軽く会釈をした。
仮面で顔は見えないが、声から微笑んでいることが分かる。
透は一瞬だけ仮面に疑問を持ったが、よくよく考えれば自分も目隠しをしている。
そもそも呪術師が変な格好をしているのは珍しい話ではないので無視した。
「初めまして! 私は悟兄様の最愛の妹の五条透です!」
「ふふ、元気ですね。もし良かったらお部屋に入っても?」
「もちろんですよ! 悟兄様のお友達なんて初めてです! お話聞きたいです!」
そう言って透は伏黒を部屋に招き入れた。
※ ※ ※
透が伏黒を部屋に入れてから、伏黒は五条悟の昔話を透に聞かせた。
五条悟も断片的に昔の話をしてくれることはあったが、詳しいことを聞こうとしても誤魔化されるため詳しく昔の話を聞かせてくれる伏黒に透はすぐ懐いた。
「──それでですね。その時に悟さんが言ったんですよ。『よくそれで一級になれたな……コネ?』って、酷くないですか?」
「悟兄様は強すぎますからね。あの方を基準にされたら困りますよね……。あっ、すみませんお茶もお出ししてないですね!」
透はそう言って立ち上がった。
「そんな気を使わなくても大丈夫ですよ? あ、紅茶が好きです」
「紅茶ですね! わかりました!」
伏黒も透と似てマイペースな性格のようで会話のテンポが良い。
それもあってか、透はこの一時間足らずの時間で伏黒を友達認定していた。
「紅茶をお持ちしまし……た……」
透は早く話の続きを聞きたくて急いで紅茶を台所から持ってきた。
小走りで伏黒の待つ場所に向かうと──伏黒の横顔が見えた。
仮面でほとんど見えない。
だが、額の一部がチラリと少しだけ見えた。
その額には──透のよく知る縫い跡が見えた。
(羂索……)
昔、共に日本中を旅した旧友にして義理の親子と言える関係になっていた羂索という少女と全く同じ額の縫い跡に透はひどく動揺していた。
透は驚きのあまり、足を止めて伏黒のことをじっと見ていた。
「ありがとうございます……ん、どうかしたんですか?」
「い、いえ……その……」
伏黒は急に様子の変わった透の姿に首を傾げていた。
「あっ、もしかして気づいちゃいましたか?」
「ッ!?」
透はさらに驚いて手に持っていたティーカップを落としてしまう。
そんな透の姿を見て「勿体ないですよ?」と飄々と言う伏黒。
「実は私、伏黒じゃないんですよ……実は私……」
伏黒を名乗る謎の女性は狐のお面を外した。
すると、そこにある顔に……透は見せたこともないほど怒気を含んだ視線を向けた。
「──
そこには、頭に縫い跡がある──
──禪院透の姿があった。
感想で言っていた「透の体を羂索が乗っ取る展開はないです」というのは嘘です。騙されましたね。
以前、透の見た目を質問されたので詳しく書こうと思います。
【禪院透】
160cm。
髪は黒のストレートロング。光に反射すると少し紫っぽい。
瞳の色は赤茶色。瞳の種類は猫目。
目の形はタレ目。
性格と反して目にハイライトがないのがデフォルト。
胸はBカップ。
スレンダーで肋骨が少し浮き出ている。
全体的に猫っぽい。
高専の制服でどこも改造していない。
赤色か黒色のチョーカーをしている事が多い。
頭に縫い目がある。
イラストの参考にしたいという方がいらしたので楽しみに待ってます。縫い目忘れないでくださいね。