ULTRAMANベムラーになったので光の戦士を目指す事にした 作:エドアルド
吹き飛ばされ、グルジオライデンのライデンデストロイキャノンに狙われた俺の後ろに少女がいた。
白い髪の毛に耳より低めの位置で結い上げるツインテールのカントリー・スタイルという髪型をしている。
こんな場所で女の子が泣きじゃくっている。一瞬の思考の停止の後体は動いていた。
少女を守る様に立ち上がりリミッターを解除する。
ベムラーとしての俺の機能の一つ、リミッター。それはエネルギーの過剰利用を抑制し体への負荷を軽減する為の機能、それを解除する。
リミッター解除と同時に体からは過剰なエネルギーが放出され陽炎のように揺らめき赤く染まる、体の青いラインと胸のカラータイマーも赤く輝く。
過剰なエネルギーは俺の体を蝕む。
この状態は三分しかもたない。だがそれで良い。
全身から放出される体を蝕むエネルギーを俺は手元に集めていく。とる構えはスペシウム光線と全く同じしかし、それはスペシウム光線では無い。
赤いエネルギーと反対に深い青色に染まったエネルギーが混じり合いスペシウム光線を超えるエネルギーを溜め込む。俺が耐えきれない程に。
俺の腕に罅が走る。ポロポロと腕の欠片が散る。しかし、止めはしない。
背中の子供一人守れずに何がウルトラマンか。何が光の戦士か。例え体が砕けようとも激痛に苛まれようとも、誰かを守る為に命を惜しむ事などしない。
(俺よ、ウルトラマンになると決めたあの時の覚悟はこの程度で折れる程柔くは無いはずだ!)
かつて空想だった、憧れだった、理想だった、あの戦士達をこの矮小な身で目指すならばこの程度乗り越えて見せろ。
「セラスティウム光線!!」
俺のセラスティウム光線とグルジオライデンのライデンデストロイキャノンが放たれたのは同時だった。
空中で二つの膨大なエネルギーは衝突する。
二つのエネルギーは拮抗する事なく俺のセラスティウム光線が押され俺自身もジリジリと後退する。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
俺は自身を鼓舞する雄叫びと共に更にエネルギーをセラスティウム光線に注ぎ込む。それに比例して俺の腕は更に罅割れていく。
だがそれで良い。守る為ならこの程度安いものだ。
セラスティウム光線がライデンデストロイキャノンを押しとどめた。
そして衝突していたエネルギーはついには大爆発を起こした。
あたりは土煙に覆われ衝撃が襲う。
しばらくすれば土煙は次第に晴れていき無事な姿のグルジオライデンの姿を露わにする。
反対に俺は左腕を消し飛ばされ右腕も微かに手の原型を留めているだけになっていた。
だが、俺はやりきった。背後にいる少女は傷一つなく無事であった。
しかし、危機は去っていない。グルジオライデンは五体満足でナイガーも傷一つ折っていない。逆に俺は満身創痍。
だがそれは折れる理由にはならない。まだ守るべきものがあるのだ、帰るべき場所があるのだ。
「ガキなんぞ守って勝手に死にかけになりやがった!そのままトドメをさしちまえ、グルジオライデン!!」
ナイガーの言葉と共に再びグルジオライデンはライデンデストロイキャノンをチャージし始める。
ライデンデストロイキャノンにかかるチャージはおおよそ2秒。その間にライデンデストロイキャノンの発射を止める。
俺は過剰放出され続けるエネルギーを推進力に変え一瞬でマッハ10、ウルトラマンの飛行速度のおよそ2倍を叩きだし、残った右腕の拳がグルジオライデンを地に付ける。
ナイガーはグルジオライデンの手から転がり落ちて地面に激突する。そんなナイガーの目の前に俺は降り立つ。
「ひ、ひぃぃぃぃ!?な、なんなんだよお前、死にかけの癖に!?」
死にかけ確かにそうかもしれないだけど――
「ウルトラマンの本領発揮はカラータイマーが赤くなってからだ」
「意味わかんねぇよ!!」
ナイガーは俺から遠ざかろうと破壊光線を放つがエネルギーを纏わせた右腕で弾く。
そしてそのまま右腕でナイガーを貫いた。
「あ、がァ……カヒュ」
ナイガーが死んだ事を確認するとナイガーの持っていたルーブジャイロ擬きを手にする。そしてルーブジャイロ擬きにセットされているクリスタルを外す。
そうすればグルジオライデンの体は光の粒子となって消え一人の少女が現れる。
俺はその少女の元へ歩いていく。その少女の歳の頃は15程だろうか、褐色の肌にボロボロの民族衣装のようなものを着ている。
少女を右腕だけで上手く抱き抱えると白髪の少女の元に向かう。
白髪の少女の方は先程のセラスティウム光線とライデンデストロイキャノンの爆発の余波の影響か気絶していた。
二人を並べるように寝かせて倒れ込む。
幾ら本体にダメージは行かないとはいえ、疲労は溜まるし痛みも感じる、少々無茶をしすぎたようだ。
俺は二人を視界に収めたまま目を閉じた。守れたという達成感と共に。
主人公は常人の皮を被った覚悟ガンギマリ野郎です