今回はあのフレーズでお馴染みの妖怪が登場します。
「え…クビ、ですか…!?」
ある事務所で3人の男性がショックを受けていた。
「歌はヒットしないしつまらないし…ハッキリ言ってお前らには歌の才能がない」
「そんなっ!?」
「そこをなんとか!」
3人のリーダー格の男が土下座をしてクビにしないようお願いする。
「…なら一度だけチャンスをやる」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。三日後、お前らには我が事務所が主催するライブに参加してもらう。そこでウケなかったらお前らにはここを出ていってもらう。それでいいか?」
「はい!」
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「…とは言ったものの、中々良い歌詞が思い浮かばない…」
あれから二日経ち、リーダー格の男は河原で項垂れていた。
この男はコーラスグループ、”ザ・ビンボーズ”のリーダーなのだ。
しかし、ビンボーズは全く売れず、事務所からもクビを切られそうになっていたのだ。
「やっぱり、俺達には才能がないのかな…」
「ぺったら、ぺたらこ、ぺったっこ~!」
「なんだ…?」
どこからか不思議なフレーズが聞こえてきて、男は耳を澄ませる。
「ぺったら、ぺたらこ、ぺったっこ~!」
「ぺったら、ぺたらこ、ぺったっこ…何だか気持ちいいフレーズだな…これは良い!さっそくこれを歌にしてみよう!」
男はこのフレーズをメモして帰っていった。
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ある日の事、俺は猫娘と一緒にお出かけ(猫娘にとってはデートらしい)をしていた。
「あっ!ザ・ビンボーズだよ!」
「ザ・ビンボーズ?」
街中の家電量販店のガラスケースの中に置いてあるテレビを見てみる。
『ぺったら、ぺたらこ、ぺったっこ~!』
テレビには3人組のコーラスグループが映っていた
「鬼太郎知らない?このグループが歌う”ぺったらこ”が今凄く流行ってるんだよ」
「へぇ~…」
この歌、どっかで聞いたことがあるような…。
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俺は家に帰って父さんを茶碗風呂に入れていた。
「ねぇ父さん。ぺったら、ぺたらこって歌に聞き覚えない?」
「それは…さら小僧の歌ではないか。それがどうしたんじゃ?」
そうだ!確かさら小僧が歌ってるのを見た事があったぞ!
「それがさ、ザ・ビンボーズっていうコーラスグループがさら小僧の歌を歌ってるのを街のテレビで見たんだよ」
「なんじゃと!?それは大変じゃ!」
「何が大変なの?」
「さら小僧は自分の歌を勝手に歌われるのを酷く嫌っておる。もしその事がさら小僧に知られれば…」
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「今日も大盛況だったな~!」
俺と父さんはビンボーズがいるというテレビ局の楽屋前に来ていた。
楽屋の中から話し声が聞こえてくる。
「ああ!ぺったらこさえあれば俺達は無敵だぜ!」
あの人達、人の気も知らないでさ…。
「ザ・ビンボーズの人達ですか?」
俺は楽屋の中に入る。
「な、なんだ君は?」
「あなた達が歌ってるぺったらこはさら小僧って妖怪の歌なんです。さら小僧に知られたらただじゃ済みませんよ?」
「…ハハハハーッ!おかしな事を言うお嬢ちゃんだ!」
「この科学の時代に妖怪だって?ダーッハッハッハー!」
「笑い事じゃありませんよ!真面目な話なんです!」
「お嬢ちゃん!これ以上デタラメ言うと人を呼ぶぞ!」
これ以上は不味いな…!
今日の所は引き上げよう…
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次の日、俺と猫娘はまたお出かけ(猫娘にとってのデート)をしていた。
『次のニュースです。ぺったらこで大ブレイクしているザ・ビンボーズが昨夜から行方がわからなくなってるとのことです』
俺は家電量販店のテレビから聞こえてきたニュースを聞いて立ち止まる。
「ビンボーズが行方不明に!?」
「そうみたいだね…」
「やっぱり、さら小僧の歌を勝手に歌ったから、さら小僧が怒ったのかな…?」
「たぶんね…」
正直なところ、攫われたのはあの人達の自業自得だと思う。
でも、だからと言って見捨てるのは俺にはできない!
「猫娘。父さんも連れてさら小僧に会いに行ってみよう」
「うん。それでこそ鬼太郎だね!」
俺達は家にいる父さんを連れてさら小僧がいる河原へと向かい始めた。
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「鬼太郎。さら小僧は300年以上も生きている妖怪じゃ。一筋縄で行く相手ではないぞ」
「うん。だから何とか交渉してみるよ」
俺は川に小石を投げる。
それに反応してさら小僧が川から姿を現した。
「おう!鬼太ちゃんじゃねぇか!目玉のおやじに猫娘も!」
「こ、こんにちは!」
「さら小僧。君に聞きたい事があるんだけど?」
「聞きたい事だぁ?生憎俺は忙しいんだよなぁ~」
「まぁそう言わずにさ。ほら!近くにおいしい饅頭屋があるからそこでゆっくり話そ?」
「饅頭か…悪くねぇな!案内しろ」
そう言って川から上がって来たさら小僧を連れて俺達は饅頭屋にやって来た。
「あ、そういや俺、金持ってなかったわ。鬼太ちゃん、代わりに饅頭代払ってくれよ」
「はぁ!?何で鬼太郎が払わなきゃ…」
「しょうがないな…わかったよ」
「ちょ、ちょっと鬼太郎!」
「さら小僧と戦わずにビンボーズを助ける為だよ。背に腹は代えられないって…」
「うぅ…」
渋々っぽいが猫娘は納得してくれたようだな。
とはいえ、財布がすっからかんになっちゃった…
「うんめぇ~!」
「ねぇ、さら小僧ってぺったらこの歌をよく歌ってるよね?」
「ああ、あれは俺だけが歌う事を許された歌だ。それがどうしたんだ?」
「最近ザ・ビンボーズっていうコーラスグループがそのぺったらこの歌を歌っててさ、今行方不明になってるんだよ。君が連れてったんじゃないの?」
「ん~…知らねぇな…」
こいつ、明らかにシラを切ってるな…
正直イラっときてるけど、ビンボーズを助けるためだ。我慢しないと…
「なぁ、俺久しぶりに街に行ってみてぇんだけどよ、案内してくれよ」
俺達はさら小僧に言われるがまま街に向かっていった。
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さら小僧に街を案内した後、俺達はさら小僧の住処である河原まで戻ってきた。
「ねぇさら小僧。あんたビンボーズの居場所知ってるんでしょ?いい加減白状してよ」
「猫娘の言う通りだよ。ビンボーズを連れ去ったのは君しかいないんだからさ」
「知らねぇもんは知れねぇよ」
「こ、この!」
「落ち着け猫娘!」
父さんが猫娘を宥め、さら小僧の目の前に降り立つ。
「さら小僧よ。確かにお前の歌を盗んだあの人間達にも非はある。しかし、だからと言って人間を攫うのはやりすぎじゃ。だから解放してやってくれんかの?」
「うるせぇな!」
「ふぎゃ!?」
こ、こいつ!父さんを踏みつけやがった!
「父さん!」
「よ、よせ鬼太郎!わしは大丈夫じゃ!」
「で、でも…」
「目玉の分際で俺に説教か?だいたい前からテメェも鬼太郎も気に食わなかったんだよ!正義の味方面して人間共を助けてよぉ!中には救いようもない人間だっているのにさ!ホント、お前もこの目玉も大馬鹿だな!」
…こいつ、今なんつった…?
「なんだその顔は?なんか文句でも…フギャッ!?」
俺に殴り飛ばされたさら小僧は痛さで転がり回っていた。
「き、鬼太郎…?」
「私の事を悪く言うのは構わない…けど、父さんの事を悪く言うのは…絶対に許さないっ!!」
「鬼太郎…」
「こ、このアマァ…!もう許さねぇ!」
そう言ってさら小僧は物凄い勢いでこちらに向かってきた。
俺はさら小僧の両手を掴み、取っ組み合いをする。
「そりゃ!」
「うわっ!?」
「「鬼太郎!」」
さら小僧に投げ飛ばされた俺は川の中に落ちてしまった。
川の中にはさら小僧の仲間であろう大勢の妖怪がおり、俺に襲い掛かって来た。
「体内電気!!」
俺の技、体内電気で妖怪達は気を失い、水面に浮かんでしまう。
やっぱ水に電気は効果抜群だな…
「やるな鬼太郎!」
「あんたもね、さら小僧…!」
それにしても、さら小僧はやっぱとんでもない強さだな…さっきも思いっきり投げ飛ばされたし…何か弱点は…あ、もしかして…
俺は妖怪オカリナを取り出し、ある妖怪を呼び寄せる。
「あれって…」
「つるべ火じゃ!」
呼んだのは火の姿をしている妖怪、つるべ火だ。
「つるべ火!さら小僧の皿の上に行って!」
俺の指示を聞いたつるべ火はさら小僧の真上に移動する。
「ち、力が入らねぇ…」
思った通りだ!
あいつは河童みたいに頭の皿が乾くと元気がなくなるんだ!
「霊毛ちゃんちゃんこ!!」
俺は霊毛ちゃんちゃんこでさら小僧を拘束する。
「やったね鬼太郎!」
「うん。父さん、大丈夫?」
「ああ。鬼太郎…わしの為に怒ってくれてありがとう。とても嬉しかったぞ」
「父さん…」
父さんの言葉に思わず照れちゃった…
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その後、さら小僧の案内でビンボーズの人達が閉じ込められている隠れ里まで行き、ビンボーズを助け出した。
「酷い目にあったなぁ…」
「鬼太郎さん。助けてくれてありがとうございます!」
「どういたしまして。あなた達もこれに懲りたら他人の歌を盗まずに自分達で頑張ってくださいね」
「はい!」
「頑張ります!」
俺達はビンボーズと別れ、ゲゲゲの森へと帰っていった。
この前『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観に行ったんですがまぁ中々エグイ内容でしたね。
でも人の姿をしていた頃の目玉おやじと水木さんの関係性や家族愛がとても良かったです。
ちなみに第一話を少し加筆修正しました。
映画の要素を少し書き足しましたので是非見てみてください!