「ここか…」
俺と父さん、透明人間状態のユメコちゃんは一反木綿に乗ってユメコちゃんのお母さんの実家があったという村までやって来ていた。
ユメコちゃんのお母さんの話だとこの村にはもう誰も住んでいないらしい。おかげで村中が朽ち果てていて建物もボロボロになっていた。
「ユメコちゃん、怖くない?」
「ううん!空を飛んでるだなんて夢みたい!」
ユメコちゃんって結構肝が据わってるんだな…
普通妖怪に乗って空を飛んでると怖がっちゃう人が多いのにな。
「!」
妖怪アンテナが反応してる!
あの大きな屋敷に反応してる…
「一反木綿!あの屋敷に降ろして!」
「コットン承知!」
俺とユメコちゃんは屋敷の入口で降ろしてもらう。
「一反木綿とユメコちゃんはここで待ってて」
「待って鬼太郎さん!私も行く!どうして鏡爺が私の身体を奪ったのか知りたいの!」
う~ん…そうは言っても危ないしなぁ…
「鬼太郎。連れていってあげたらどうじゃ?何かあればお前が守ってやればいい」
「父さんがそう言うなら…わかった!私から離れないようにね?」
「うん!」
俺達は屋敷の中に入って鏡爺を探し始める。
屋敷の広間に着くと妖怪アンテナが反応する。
反応は広間に置いてあった鏡からだった。
「鏡爺、そこにいるの?」
俺は鏡爺がいるであろう鏡に話しかける。
「来たか小娘…!」
鏡に鏡爺の姿が現れて俺を睨む。
「鏡爺、どうしてユメコちゃんの身体を盗んだの?」
「お前には関係のない事じゃ!」
「そんな事言わないでよ。出来れば君とは話し合いたいんだ。ユメコちゃんもそれを望んでるしさ」
「…その言葉に嘘はないな?」
「うん」
「…わかった。わしの話を聞いてくれ…」
鏡爺は俺達に語ってくれた。
50年も前、この村は活気に溢れていた。
村にあったのはこの鏡だけだったらしく、大勢の女の子が使っていたみたいだ。
特にお
でも、いつしか村人達は次々と街に移り住んでいき、お花ちゃんも大人になって村を出ていったみたいだ。
鏡は誰にも持っていかれることはなく、何年もこの村に放置されていたらしい。
次第に鏡爺は使うだけ使って、用が無くなれば物を捨てていく人間達に怒りを覚えていったとの事だ。
そして、何でもユメコちゃんがお花ちゃんにそっくりだったので身体を奪ったらしい。
「わかっておる…君がお花ちゃんじゃない事は…お花ちゃんが子供だったのはもう50年も昔の事じゃし…」
「…鏡爺さん!もしかしたらそのお花ちゃんって…」
「ぐふっ!」
ユメコちゃんが何か言おうとしたら弾丸のような物が飛んできて鏡爺を射抜いてしまった
おいおい!大丈夫かこれ!?
「鏡爺さん!」
「大丈夫!?」
俺とユメコちゃんが駆け寄ってみたけど鏡爺は胸を抑えて苦しんでいた。
「がっ!?」
「鬼太郎さん!?」
突然俺は鏡爺に胸ぐらを掴まれて壁に投げつけられてしまう。
その際父さんは俺から放り出されてしまった。
「くっ…鏡爺…?」
「う、うぅ…!」
何か、様子が変だ…これって暴走か!?
もしかしてさっきの弾丸で!
「うぉぉぉぉぉーーー!!」
躊躇してる場合じゃないか…!
「リモコン下駄!!」
俺はリモコン下駄を飛ばしたけど鏡爺に払われてしまう。
「うわっ!?」
鏡爺は俺の上に馬乗りになってポカポカと殴り始めた。
「体内電気!!」
「ぐぉぉぉぉぉぉーーー!!」
体内電気をまともに喰らった鏡爺は痺れてしまっていた。
このまま追い打ちをかけてやる!
「もうやめて!!」
するとユメコちゃんの静止する声が聞こえてきた。
「鏡爺さん!もうこんな事はやめて!お花ちゃんが…おばあちゃんが悲しんじゃうわ!」
「えっ…?」
お、お花ちゃんが…ユメコちゃんのおばあちゃん!?
「ユメコちゃん!それホントなの!?」
「うん…私、思い出したの…おばあちゃんが話してくれた事を、大事にしていたって聞いた鏡の事を…」
「お花…ちゃん…」
鏡爺が呟く声が聞こえてきた。
「鏡爺さん!お願い、目を覚まして…!」
透明だから見えないけど、ユメコちゃんは涙声で鏡爺に問いかける。
「あ…あぁ…!」
ユメコちゃんの問いかけを聞いた鏡爺は涙を流していた。
「今じゃ鬼太郎!鏡爺の邪気をちゃんちゃんこで取り除くのじゃ!」
「OK父さん!」
俺は霊毛ちゃんちゃんこを鏡爺に被せる。
「邪悪なる力よ、鏡爺から消え去れ!」
ちゃんちゃんこの力で鏡爺から邪気が消え、鏡爺の身体を射抜いていた弾丸が出てきて粉々になった。
「鏡爺さん!」
「…ユメコちゃん、それに鬼太郎。すまない事をしてしまったな…」
「気にしなくても良いよ。君は邪悪な力で暴走してただけなんだし」
「鬼太郎…いや、鬼太郎ちゃん!ありがとうな~!」
鏡爺は号泣してしまった。っていうか鬼太郎ちゃんって…
「待っとれユメコちゃん!すぐ身体を返してあげるから!」
すると鏡爺は鏡の中に入っていく。
するとユメコちゃんの身体が現れた。元に戻ったって事だ!
「やった~!元に戻った~!」
「うわっ!」
突然ユメコちゃんが俺に抱きついてきた。
「ちょ、ユメコちゃん…」
「助けてくれてありがとう、鬼太郎さん…もう少しだけ、このままで良い?」
「い、いいよ。ちょっと恥ずかしいけど…」
(鬼太郎さん…暖かい…)
2日後、俺は猫娘とユメコちゃんと一緒に街に出かけていた。
あの事件の後、鏡爺は骨董屋に売って外が一望できるショーケースに置いてもらった。
鏡爺、気に入ってくれてると良いけどな…
「鬼太郎さん、この前はありがとう!」
「どういたしまして!」
「ムゥ~…」
「猫娘さん?」
「…鬼太郎!ちょっとユメコちゃん借りてくね!」
「あ、ちょっと!」
猫娘はユメコちゃんを連れてどこかに行ってしまった…
どうしたんだろ?
猫娘とユメコは人気の少ない場所までやって来た。
「猫娘さん、どうしたの?」
「…ユメコちゃん、正直に答えて」
「鬼太郎の事、好きなの?」
猫娘の問いにユメコは啞然とする。
ユメコは深呼吸して、口を開く。
「…うん。私、鬼太郎さんの事が好きなの///」
「…LOVEの方、だよね?」
「うん…やっぱり変よね?女の子が同性に、それも妖怪に恋しちゃうなんて…」
「ううん!そんな事ないよ!恋する気持ちに妖怪も人間も、女の子同士だからって関係ない!あたしだって、鬼太郎の事が好きなんだもん!」
「…私、鬼太郎さんの事、好きでいて良いの?」
「うん!だけど、これだけは言っておくね。鬼太郎の恋人になるのは、このあたしだよ!」
「猫娘さん…私だって、鬼太郎さんの恋人になりたい!」
「じゃあ、今からあたし達はライバル同士だね!あ、でもユメコちゃんとは友達でいたいから、仲良くしようね!」
「うん!」
猫娘とユメコは握手し、微笑みながら向き合っていた。
その頃、ある屋敷では…
「ヘヘヘッ!この銃凄いですね!撃っただけで妖怪が狂暴になって暴れさせることが出来るなんて!」
「当然だ。このわしが金をつぎ込んで作ったのだからな」
朱色の大きな顔の妖怪が銃を眺めており、着物を着た老人の妖怪は笑みを浮かべていた。
「それにしても、ゲゲゲの鬼太郎か…噂通り甘ったれた小娘だったな」
老人の妖怪は立ち上がる。
「行くぞ、
「はい!ぬらりひょん様!」
ぬらりひょんと朱の盆は屋敷を出ていった。
その後、屋敷は爆発し、跡形もなく消え去った。