「はぁ…お腹空いたなぁ~…」
「すまんな鬼太郎…お前にはもっとたくさん食べさせてやりたいんじゃが…」
「大丈夫だよ父さん…」
俺は空腹になりながら街を歩いていた。
今の時代は高度経済成長期真っただ中だからな…物価の上昇が激しくなってきて、中々食べ物を買う事ができなかった。
なんて考えてると俺の目の前に車が停車し、車の中から男の人が出てきた。
「失礼ですが、あなたはゲゲゲの鬼太郎先生ではないでしょうか?」
「そうですけど…あなたは?」
「私は国防大臣の秘書をしている者です。大臣が折り入ってあなたにお願いがあるそうなんです」
国防大臣から直々にお願いって、凄いことじゃないか!
とにかくまずは、大臣さんに会って話を聞かなきゃな…
「わかりました!大臣のところに案内してください」
「そうですか!では車にお乗りください!」
「やぁ鬼太郎くん!待っていたよ!」
大臣秘書に連れられ、ある屋敷の一室に案内されるとそこにいたのは国防大臣だった。
秘書さんは部屋から出ていき、この場にいるのは俺と父さん、大臣さんだけになった。
「まぁ、ケーキでも食べながら話しましょう」
「ありがとうございます!」
やった!久しぶりにまともな食べ物にありつけたぞ!
「それで鬼太郎くん。これを見てもらいたいんだ」
大臣さんは懐から手紙を取り出して俺に見せてきた。
「”吸血テストの結果、あなたの血液は私の口に合う事が証明されました。近日中にまた採血に参らせていただきます。吸血鬼エリート”…」
「どうだね?退治してもらえないだろうか?これは私個人の為ではない。こんな吸血鬼を野放しにしていたら、日本国民全てが血を吸われてしまうんだ!」
この大臣さん…自分が危ないっていうのに日本国民の事を心配してる…
よし!信じてみよう!
「わかりました!手ごわい相手かもしれませんが引き受けましょう!」
「ありがとう鬼太郎くん!」
「ところで大臣さん。図々しいかもしれませんが…ケーキをおかわりしてもいいですか?」
「うむ!お安い御用だ!」
「あぁ~!どこかに妖怪を雇ってくれる物好きはいないかねぇ…」
町の公園でねずみ男が新聞を読んでいた。
するとねずみ男は新聞に書かれている不思議な文字を見てハッとなる。
「こりゃ妖怪語の広告だ!”求む秘書。ただし妖怪語を話せる方のみ”よーし!さっそく面接に行くぞ!」
ねずみ男は町に行き、面接場所である喫茶エリートにやって来た
「確か秘書が欲しい人はギターを持った男前だって書いてあったけど…ややっ!」
ねずみ男は椅子に座っている少し顔が大きい男を見つける。
男の手にはギターが握られていた。
「あの~…もしかしてあなたが妖怪語の求人を?」
「…」
男はギターを演奏し始めるとねずみ男が陽気に踊りだしてしまう。
他の客が不思議そうに見ていると男は演奏をやめる。
「あれ?俺一体何を…」
「…よろしい。月給10万円で秘書をお願いします」
「じゅ、10万円!?」
「私とあなたは気が合うようです。これからよろしく頼みますよ」
「へへっ!こちらこそ!」
ねずみ男と男は握手をする。
この男こそ、鬼太郎が退治すべき男、吸血鬼エリートである…
ねずみ男はエリートに連れられ、山奥にあるエリートの屋敷にやって来た。
その途中、吸血コウモリに襲われかけるがエリートが新しい秘書だと言うとコウモリ達は飛んで行った。
「ではねずみ男くん。一杯どうかね?」
「あの、それって…」
「人間の生き血だよ」
「えぇっ!?い、今はいいです!」
「そうか…こんなにおいしいのに…では」
エリートはコップ一杯分の血をゴクリと飲み干した。
「やはり人間の生き血というのは最高だ」
(こいつ、吸血鬼だったのか…)
「では、さっそく仕事の話に移ろう!これは吸血プランだ。読んでみたまえ」
ねずみ男はエリートから渡された吸血プランを読んでみる。
プランには著名人の名前がぎっしり書かれていた。
「有名人ばかりですね~」
「有名人の血じゃないと新鮮さがありませんからねぇ。偉い奴を征服する快感は堪らないですよ…?」
「そ、そうですか…」
「それで、今回のターゲットは国防大臣だよ。先日血を頂いたら堪らなくおいしかったからね」
「へ~…でも、一回襲ってるなら大臣は鬼太郎をガードマンに雇ってるかも…」
「鬼太郎?それは誰だね?」
「鬼太郎をご存じないのですか?」
「私は20年間、美女の血を求めて世界中を旅してたのだ。1ヶ月前に帰国したばかりだから日本の事情はよく知らない。それで、鬼太郎とは何者なのかね?」
「鬼太郎は太古の昔に存在した幽霊族最後の生き残りです。滅茶苦茶可愛い顔に反して滅茶苦茶強くてすぐに人間の味方をする生意気な小娘ですよ!」
「ほう…それで、その鬼太郎とやらは美女なのかね?」
「そりゃもう!親友の俺が言うんですから!」
「なるほど…少し興味がわいたよ。私に鬼太郎の性質を教えたまえ」
「性質?良いですけど何故?」
「鬼太郎の性質を元に曲を作って、そのメロディーでおびき寄せるのだよ…」
エリートはそう言って、不気味な笑みを浮かべた…
「よし!異常なしっと!」
俺と父さんは大臣さんの家で見張り番をしている最中だ。
「やぁ鬼太郎くん!ご苦労様!」
「あ、大臣さん」
「鬼太郎くん。今日はガードマンを5、6人増やすから君はゆっくり休みなさい」
「良いんですか?ではお言葉に甘えて」
俺は大臣さんのご厚意に甘え、寝る事にした。
…どこからともなく不思議なメロディーが聞こえてくる。
しばらくすると布団の中で眠っていた鬼太郎が起き上がり、部屋を出ていった。
そう、鬼太郎はエリートの音楽催眠にかかってしまったのだ
そうこうしている内に鬼太郎はエリートとねずみ男の元までおびき寄せられてしまう。
次の瞬間、鬼太郎はエリートに頭を殴られ、気絶してしまった。
「鬼太郎!」
「さぁねずみ男くん!彼女を縛り上げるんだ!」
「は、はい!」
気絶した鬼太郎はねずみ男によってロープで縛られてしまった。
「悪いな鬼太郎…」
「おぉ…こうして見てみるとこの少女はかなりの美女だ…いや、かなりなんてもんじゃない!まさに1000年に1人の美女だ!早く別荘に連れて帰ろう!」
「は、はい…」
エリートの手に落ちてしまった鬼太郎…はたしてどうなってしまうのか…?