一瞬ババアが何を言ってるかわからなかった。しかし、お構いなしにババアは話を続ける。
「まあ、アンタが落第しようが進級しようがアタシには関係ないんだがね西村先生に懇願されたからわざわざ警告したのさね。感謝するんだね」
ババアのセリフが右から左へと抜けていったがそんなことはどうでもいい。落第・・留年・・ヤバイっ!
「が、学園長、どうにかなりませんか!?」
「そんなこと知らないさね。自業自得だよ」
「お願いします。どうかご慈悲を!」
僕は流れるように土下座をした。まさかババアに土下座をする日が来るなんて予想もしなかったよ。すると鉄人がため息をついた。
「吉井、頭をあげろ。それについて1つお前に条件がある」
「条件?」
なんだろう?肉体労働や奉仕活動ならいくらでもやってやるけど。
「その条件とは、進級試験でAクラスに入ることだ」
「え、Aクラスぅぅぅ!?何言ってるんですか鉄人!無理に決まってるじゃないですか!」
「西村先生だバカ者!とにかくこの条件をクリアできなきゃ進級は認められん」
「そ、そんな・・・」
僕はがっくりと項垂れた。Aクラスってさすがに無理だよ・・。
「まったく、ホントならお前は留年なんだよ。これまでの問題行動や成績を考えればね。けど温情として条件を出してやったんだ、礼が欲しいくらいさね」
「あ、ありがとうございます・・」
「フン、アンタぐらいの頭下げられたって嬉しくないさね」
人がせっかく頭を下げたのになんて言い草だ、僕は思わずババアをぶん殴りたくなったが進級のチャンスをもらえたのは確かだから僕は拳を解いた。
「わかったらさっさと教室に戻って勉強でもしな。これだけチャンスを与えたんだ。落第したら承知しないよ」
「はい、失礼します」
僕は学園長室を出て教室に向かった。
「えっっと、ここがこうなって・・」
というわけで僕は今図書館で勉強中だ。ここなら静かだし余計な邪魔も入らないからね。けどさっそく詰まった。今は僕の苦手な数学をやってるけど全く分からない。やっぱり雄二とかに協力してもらおうかなぁなんて思っていたら後ろから声をかけられた。
「そこ、間違ってるわよ」
「えっ?」
いきなり後ろから声をかけられて驚いて振り返ったらそこには。
「秀吉、じゃなくて木下さん?」
「また間違えたわね」
「ごめんなさいっ」
木下さんの眉がピクピクと動いてる。僕は反射的に謝った。こういう場合、絶対お仕置きされるからだ僕の経験上。僕の謝罪の言葉を聞いて木下さんはため息をついた。
「まぁいいわ。いつものことよ。それよりも勉強してるのね」
「あはは、ちょっと事情があってね」
まさか、落第するかもしれないからなんて言えないよね。
「まぁいいわ。事情は把握してるしね」
「え?」
どうして木下さんがそんなことを知ってるんだろ?これは雄二達にも言ってないのに?
「何故って顔ね。理由は簡単、高橋先生と学園長に頼まれたからよ」
「頼まれた?何を?」
「吉井くんの教育係よ」
「えぇ!?で、でもどうして木下さんが!?」
「ここ図書館だから静かにね。まぁ色々あるのよこっちにもね」
色々ってなんだろ?でもこれは有難い。正直言って1人じゃお手上げだったし。
「それじゃちょっと失礼。・・・・ふむ、ここ途中の式が違うわよ」
「えっと、ここのこと」
「そう、ここは・・・」
木下さんは丁寧に教えてくれた。教えるときに木下さんの顔が近くまで来たときふわりといい匂いがしてドキドキしたのは内緒だ。
「・・ってことよ、わかった?」
「えっぁ・・う、うんありがとう」
つい顔をそらしてしまったけど、仕方ないよね。
「あと途中で申し訳ないけど、この模擬試験やってみてくれない?」
「へ?いいけど、どうして?」
「今の吉井くんの実力を知りたいのよ」
「あぁ~わかったよ」
というわけで数学を切り上げて木下さんが持ってきたテストを貰ってやってみるけど、どうしよう・・・ほとんど分からない。