木下さんとの勉強が始まって2週間。
この2週間で一生分勉強した気分だ。そして彼女は意外にスパルタってことも分かった。だってこの2週間で中学3年分の内容を叩きこまれたんだから。思い出すだけでも身震いがする。木下さんは怒鳴ったり殴ったりはしないけど視線が怖い。あの有無言わさない雰囲気、まさに蛇に睨まれた蛙みたいだ。けど褒めてくれたときの笑顔は綺麗だった。美波や姫路さんとも違う見惚れるくらいの笑顔だった。それだけでも勉強に身が入るってものさ。自分ながら現金なものだと思うけど。
さて、そろそろ行くか。
「おう、明久。帰るぞ」
帰り支度をしていた僕に隣から声をかけられた。声の主は雄二だ。その後ろには秀吉とムッツリーニもいる。雄二達には勉強のことも進級のこともまだ伝えていない。だって絶対バカにされるしそれに、なんでか知られたくないとも思っていた。なぜだろ?
「どうした明久?」
「あ、いや、何でもないよ。それとゴメン、今日も用事があるんだ」
「そうか、それにしても最近多くないか」
「あはは、ゴメンね」
笑ってごまかした僕は逃げるように教室から出た。
「なぁ、最近アイツの様子おかしくねぇか?」
オレは後ろに居る秀吉と土屋に言った。
「確かにのぅ」
「・・・(コクリ)」
やっぱりこいつ等もそう思ってたか。最近あのバカの付き合いが悪い。放課後になると1人でどこかに消えるし誘っても断れる。前ならこんなことはねぇ。
「もしや、女かのぅ」
「アイツがか?それこそありえねぇよ。」
「・・・仮にそうなら抹殺」
土屋はそういうと懐からカッターナイフを数本取りだした。まぁアイツが処刑されようがどうなろうがどうでもいいがやはり気になる。もし仮に、数万いや数億の確率でそうならこんなおもし・・ちゃんと祝福してやらなきゃな。
「雄二よ、顔が思いっきりニヤけておるが」
「気にすんな。それよりムッツリーニ、頼むぜ」
「・・・任せろ」
そういって教室から出て行った。クククッ、さぁてどういう結果になるか楽しみだぜ。
土屋に調査を依頼して2日、ようやく結果が出た。どうやらホントに女子と会っているようだ。それ自体は面白いからいいがそれより内容が気になる。
「木下姉の勉強だぁ?」
「・・・(コクリ)間違いない」
コイツが言うなら確かなんだろうが何故木下姉の勉強?しかも俺らにも知らせず?
「秀吉は知ってたか?」
「いや、初耳じゃ」
秀吉もこの結果に驚いてるようだ。一体どうなってんだ。あのバカが急に勉学に目覚めるわけねぇし、ましてはあの木下姉にわざわざ教えを請う理由もわからねぇ。・・・だめだ、いくら考えても答えが出ない。こりゃぁやることは1つだな。
「む、どうするのじゃ雄二」
急に立ち上がったオレに秀吉が問いかける。
「どうするってそりゃぁ決まってんだろ」
オレは振り返って答えた。
「あのバカに直接聞くのさ」