二課との初めての出会いから1週間。
この周辺のノイズの出現率は相変わらず高い。
「まぁ、ここまで高ければ、何か可能性はあると思うがな」
「その原因を知っているの?」
「その周辺の記憶は、残念ながら、ほとんどないからな」
キャロルが、そう言っていた。
その言葉には確かに納得はした。
さすがに災害と言われているノイズが、ここまで現れ続けるのは怪しい。
そう考えれば、確かに誰かの陰謀があるかもしれないけど。
「今は、その手掛かりがないからなぁ」
そう、俺はなんとか悩みながら、歩いている。
そんな道中、街の中に見えたのは、どこか不機嫌そうな表情をしている子だった。
「ここら辺では見ない顔だなぁ」
すると、俺の視線に気づいたのか、その子がこちらを見る。
「なんか用か?」
「えっ」
俺の視線が何か鬱陶しかったのか、こちらを睨んでいた。
「いや、特に用事はないけど、見かけないなと思っただけだから」
「そうかよ、それは悪かったな」
そう、舌打ちをしながら、彼女は俺の方から視線を逸らせる。
同時に、俺はどこかで見た事があると思い、首を傾げる。
彼女は、周囲の光景を見て、どこか苛立ちを隠せない様子であった。
その様子は。
「そうか」
その様子には、見覚えがあった。
それは、俺が会ったばかりのキャロルそっくりだった。
彼女は記憶を無くし、周りが敵だと思っていた。
だからこそ、その目は、どこか似ており、そして、放っておけない。
「……なぁ、この街って、まだ来たばかりなのか?」
「えっあぁ、それがどうしたんだ?」
「だったら、案内しようか? いやぁ、実はこの前、俺の家族に食べさせようとした名物をうっかりと零しちゃってな。
それを買いに行くけど、もしも、腹が減っていたら、一緒に行かないか!」
「はぁ、誰がそんな『ぐぅ~』っ」
「腹、減っているようだな、よし、行こう!」
「あっ」
彼女の答えを聞く前に、俺はそのまま案内を始める。
歩いている間、どこか行こうとしたが、周りで、何か気になった様子で、見ていた。
「ほら、ここだ! おすすめのお好み焼きのふらわー!」
「はぁ、ここが?」
「そう、なかなかに美味しいから」
そう、俺はそのまま彼女をふらわーに案内した。
周囲の様子に対して、未だに警戒しているが、店の中に入った時のソースの香りで、腹の音を鳴らしていた。
「それじゃ、注文するけど、何かある?」
「……なんでも良いよ」
「それじゃ、今日は俺の奢りだから、じゃんじゃん食べちゃって」
そう言いながら、目の前にいる彼女に注文して届いたお好み焼きを渡す。
それに対して、クリスは戸惑いながら受け取っていた。
「お、おい」
「ん? ああ、気にしないで。お金は大丈夫だから。それに、一人で食べるより誰かと食べた方が美味しいと思わない?」
「……そういうもんか?」
クリスは不思議そうに首を傾げつつも箸を取り、お好み焼きを食べ始める。
(うーん……この娘ってやっぱりお嬢様なんだろうか?)
かなり綺麗な銀髪に、服もどこか高級そうだ。
そう思いつつ、同様に箸を取ったのだった。
そうして、食べてみると、やはりふらわーのお好み焼きは絶品だ。
「ん、美味しいだろ?」
俺が聞くと、彼女は少し戸惑った後こくりと頷いた。
「ああ、確かに美味いぜ」
そう言って笑う彼女の表情はどこか嬉しそうだった。
そんな様子を見ていると自然と口元が緩んでしまう。
(やっぱり誰かと食べる食事は良いもんだよね)
そんなことを考えていると、いつの間にか皿の上のお好み焼きは無くなってしまっていた。
そして、彼女の方を見ると。
「えぇ」
「あっ、なんだよ」
見ると、口の周りがお好み焼きのソースでかなり汚れている。どうやら食べるのに集中しているうちに付いちゃったらしい。
(まあ、仕方ないよね)
そう思いながら、ポケットからティッシュを取り出し、そのまま口まわりを優しく拭いてあげると恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
「ほら、これでよし」
そう言って俺は微笑むと、彼女は
「なっ、なっ、いきなり何をするんだ!」
「えぇ、だって、口の周りが汚れていたんだからさぁ」
「そういうのは、渡したら良いだろ! なんでわざわざお前がやるんだよ!」
「うーん、なんとなく?」
と、適当なことを言って誤魔化す。実際はキャロルの時の癖が出てしまったのだが、ここは言っても仕方ないだろう。
そうして、ふらわーで一通り買い物を終わる。
「それじゃ、次はどこに行く!」
「別に、今日は良いよ」
「えっ、良いの?」
「あぁ、お前には、帰る所があるんだろ」
そう、彼女は俺が持っている持ち帰り用のお好み焼きを見る。
それが、何か寂しそうに。
「まぁ、そうだけど、そっか、少し残念だ」
それに対して、彼女は何も答えなかった。
「それじゃ、また今度、遊ぼう!」
「……今度」
「あぁ」
それに対して、彼女は何か、驚いた様子だった。
「……そうだな、あたしも、しばらくはここにいるから」
「そうか、それじゃまたって、そうだった」
俺はそのまま立ち去ろうとしたが、ある事を思い出して、立ち止まる。
「なんだよ」
「名前」
「あぁ?」
「名前、聞いていなかった! 俺は一ノ瀬悠仁!」
「……雪音クリスだ、じゃあな」
それだけ言うと、雪音はそのまま、立ち去っていった。
「さて、俺も」
そんな考えをしていた時だった。
『ホッパ! ホッパ!』
「えっ、ノイズが!?」
ホッパー1が何かを感じたように叫んだ。
「だったら、すぐに行かないと」
俺はそのまますぐに近くの建物の影に入ると共に、ガッチャードライバーを手に取り、そのまま腰に巻く。
「「
俺がすぐにでも変身を行った瞬間、隣で聞こえた音。
それと共に、互いに見てしまった。
既に変身をした状態であるが、その腰にあるのは明らかにガッチャードライバー。
「「……ええぇぇぇ!!!」」
互いに知らない間に、隣で変身をしていた事で、俺達は互いに叫んでしまった。
「嘘だろ、こんな所で、他のガッチャードライバーの所持者に!」
「俺もだよ、というよりも、なんで、こんな所で! まさか、俺を狙ってはないか」
「ホッパー1が、近くでノイズが現れたって言っていたから、変身して、すぐに急いで向かおうとしたんだ」
「えっ、お前も? というよりも、もしかして、お前が噂の仮面ライダーなのか?」
「そっちは、俺は知らないけど」
そう、話していると、どうやら互いに目的は同じような気がした。
「……互いに詮索すると、面倒だし、時間がない。ここはとりあえず」
「あぁ、ノイズが最優先!」
その言葉と共に、俺はすぐにゴルドダッシュを呼び出す。
「さぁ、乗って!」
「えっおぉ、というよりも、ケミーを実体化出来るって、嘘だろ」
そう言いながらも、ゴルドダッシュに乗ってくる。
「そう言えば、名前は?」
「あぁ、俺か? 俺はユウゴッドだ!」
「そうか、だったら、急ごう!!」
それと共に、俺達はゴルドダッシュを走らせ、真っ直ぐと向かう。