新たな始まり
ルナアタック、フロンティア事変、そしてゼインの侵略。
数多くの災害と対峙してきた二課は、日本政府から国連へと出向し、S.O.N.G.として、再編成された。
それは、俺達にも大きく関係しており、S.O.N.G.を通して、俺達、仮面ライダーの存在も明らかになった。
「全く、こういうのは面倒で仕方ないんだがな」
「まぁまぁ、こうして給料も出るし、俺達の事は一応は極秘なんだから」
俺とキャロルは、S.O.N.G.に対しては外部協力者という扱いであった。
それは、俺達以外の仮面ライダーに対しても同じであった。
「しかし、ここ最近ではやはりケミーが現れにくくなったか。何よりも、レベル10のケミーが未だにな」
「レベル10のケミーって確か」
その単語を聞いて、思い出すのは、今はS.O.N.G.の方で預かっているアサルトパンツァーにシークンが持つビートルXなどが該当するのだろう。
「既にお前も知っているが、レベル10のケミーは本来ならば制御は出来ない。シークンの奴も、ビートルXを完全に使いこなしているのかと言うと、そうでもない」
「そうなのか」
それには、俺は驚きを隠せなかった。
フロンティア事変の時のシークンの動きは見たが、かなりの速さで動いているのは記憶に新しい。
「ガッチャードライバーは、本来はレベル1からレベル9までのケミーで錬成する。
そして、レベル10は、それぞれが各属性において最強の存在であり、その力は「桁違い」と評されるほど強大だ」
「それはつまり、ビートルXはホッパー1の頂点という訳?」
「そういう事になるな」
「それじゃ、アサルトパンツァーはどの属性なんだ?」
それと共に、俺はふと疑問に思い、尋ねる。
「さぁな、ケミーの中には偶然で生み出された奴もいる。同じ属性であるが、全く異なるケミーもいる」
「そうか。でも、レベル10のケミーは一体、どんなのがいるんだろう!」
「…ふむ」
すると、俺を見たキャロルは、笑みを浮かべる。
「どうしたんだ?」
「いや、ケミーの掟にはレベルナンバー10を支配してはならないというのがあるが」
そう呟いている時だった。
ふと、俺達が歩いていると、誰かが目の前でこけた。
何やら黒いフードを被っているようだけど。
「んっ、大丈夫か?」「ちっ、何をしているんだ」
そう言いながら、俺がその子を起き上がらせる。
すると、こちらを見たその子の顔を見て、俺は驚きを隠せなかった。
「えっ、キャロル」「…何を言って」
その子の顔は、キャロル。そう間違える程にそっくりだった。
すると、その子もまた、キャロルを見て、驚きを隠せなかった。
「キャロル。やっぱり、生きていたんですね」
そう、その子は涙を流しながら、見つめていた。
「知り合いなのか?」
「…さぁな、知らない奴だ」
キャロルはそう言いながらも、その子から目を離さなかった。
それと同時だった。
俺達の足元で、銃弾が何かが襲い掛かる。
俺はすぐに二人を抱えて、その場から避けると同時に撃った相手を見つめる。
「誰だ!」
そう、俺が見つめた先。
そこにいたのは、俺達にとっては見覚えのある人物だった。
「ヴァルバラドっ」
ルナアタックの時に一緒に戦ってくれた味方だ。
だが、その様子は、明らかにおかしい。
「キャロル、ヴァルバラドは」
「あぁ、明らかに正気ではない」
そうしていると共に、その手にはヴァルバラドの武器であるヴァルバラッシャーを構えていた。
『ガキン!MADWHEEL!ゴキン!』
「えっ!」
それは、二度目の驚きだった。
シークンが、ヴァルバラドが怪我をしていた事もあって、借りていたマッドウィール。
それもまだ、戻っていないはずだ。
何よりも、感じたのは。
「あのケミー、変だ」
「変だと?」
「なんというか、ホッパー1達のような意思がなくって、なんというか、これは、あの時の俺達と似た感じがする」
ルナアタックの時に、俺が悪意に捕らわれた時と似ている。
そんな悪意で、あのケミーにはあふれていた。
「鉄鋼」
『ヴァルバラッシュ!TUNE UP! MADWHEEL…!』
鳴り響いた音と同時に、ヴァルバラドの右側がモンキーレンチの部分に、禍々しい赤い目が埋め込まれていた。
「レプリカケミーっ」
その正体を、この子は知っているようだ。
「まったく、本当にこういう事ばっかり起きるな」
そうしながらも、俺はすぐにガッチャードライバーを腰に巻く。
「行こう!ホッパー1!スチームライナー!」
HOPPER1!STEAMLINER!
「変身!」
ガッチャーンコ!スチームホッパー!
鳴り響く音声と共に、俺は仮面ライダーへと変身する。
「まさか、彼が、仮面ライダーっ」
それに対して、驚きを隠せない様子だった。
「行くぞ、ヴァルバラド!!」
それと共に、俺は真っ直ぐに走り出す。