歌姫と錬金術とライダー   作:ボルメテウスさん

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闇から生まれたケミー

 ガッチャードへと変身した俺は、その手にガッチャートルネードを持つ。

 

 こうした、対人での戦いは久しぶりだ。

 

 同時に、全身から冷や汗でガッチャートルネードにも伝わる。

 

 しかし、この戦いから逃げる訳にはいかない。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

 俺は、その脚に力を籠め、跳ぶ。

 

 一瞬で、ヴァルバラドへと接近する程の距離であり、その手に持ったガッチャートルネードを振り下ろす。

 

「ふんっ」

 

 ヴァルバラドは、その手にあるヴァルバラッシャーで受け止める。

 

 俺の方が力が上回ったのか、ヴァルバッシャーを押し返す事が出来た。

 

 だが、ヴァルバラドもただでは押し返されない。

 

 即座に反撃に転じる。

 

 今度はヴァルバッシャーを横薙ぎに振るう。

 

 咄嵯に、後ろに跳び下がる事で回避する。

 

 ヴァルバラドは、追撃を行う事無く、そのまま構える。

 

「ふんっ」

 

 それと同時に、ヴァルバッシャーの先端から紫色のビームがこちらに向かって発射される。

 

 慌てて、ガッチャートルネードを盾に防御する。

 

 その刃が直撃から受ける熱衝撃と衝撃を跳ね返す事でそれを相殺する! 

 

「うわっ……!」

 

 しかし、連続で放たれるビームは、一発の単純な威力に比べれば少ないが、それでも油断ならない。その連環のビームに思わず吹き飛び床に倒れる。「くっ!」

 

 早く体勢を立て直す。

 

 そんな俺の焦りなど関係ないとばかりに、ヴァルバラドは更にビームを放ち続ける。

 

 それを防ぐため、俺は再びガッチャートルネードを盾にし、防御を試みる。

 

 鳴り響く金属音! ガンガンと鈍い音が響く! ヴァルバッシャーのビームの威力は凄まじく、ガッチャートルネードで受け流して弾き返すも、その度に手が痺れる。

 

 それでも何とか攻撃を防ぎきり、再び攻撃に移る。

 

 ヴァルバラドもそれに合わせて武器を振るう。

 

 俺とヴァルバラドは一進一退の攻防を繰り返し続ける。

 

 こうして戦っても、やはりヴァルバラドの方が力は強い。

 

 ならば。

 

「メカニッカニ! ゴルドダッシュ! 力を貸してくれ!」

 

MECHANICHANI! GOLDDASH! 

 

ガッチャーンコ! ゴルドメカニッカー! 

 

 俺はすぐにゴルドメカニッカーへと変身する。

 

 先程と比べたら、スピードは多少落ちるかもしれないけど、パワーは完全にこちらが上だ。

 

「はあぁぁ!」

 

 俺はそのままガッチャートルネードを振り払う。

 

 ヴァルバラドはそれを予測していたように、素早く後退する。

 

 その隙に俺は一気に畳みかける! 

 

 ヴァルバラドは、すぐにこちらに向けてビームを放つ。

 

 しかし、こちらは先程とは違い、防御力が上がっておりダメージはない。

 

 そして、俺の両腕には既にレールガンがあり、そのレールガンをヴァルバラドに撃った。

 

 レールガンの弾丸は、ヴァルバラドが放つビームとぶつかり合う。

 

 レールガンを打ち合いながらも、俺のバックパックから無数のミサイルが一斉にヴァルバラドに向かって行く。

 

「ゴルドメカニックにあんな能力が」

 

「イチイバルの装者と共鳴した結果だ。それよりも、なぜお前は、そこまで知っている」

 

 そんな俺の様子を見ていた少女は、俺の様子を見て呟いた言葉。

 

 それに対して、キャロルは睨み付けるが、それに構っている暇はない。

 

 お互いに撃ち合いが続く中、俺はヴァルバラッシャーを構えている隙を狙って一気に接近を試みる。

 

 しかし、ヴァルバッシャーでこちらの動きを予測したのか、俺が接近する前に距離を離されてしまう。

 

 そんな状態が続きながら、俺達は戦闘を続ける。

 

 俺はレールガンを撃ち続け、一方でヴァルバラドは俺に接近してこようとする素振りを見せる時があれば離れて狙いを逸らすなどの防御行動に移る事があるため迂闊に距離を詰められない状況が続いていた。

 

「だったら、ここは一気に勝負をつける!」『ガッチャーンコ! ゴルドメカニッカーフィーバー』

 

 同時に巨大な金色のカニのワイルドモードとなり、そのままヴァルバラドに接近する。

 

 ヴァルバラドはすぐに対抗しよつとしたけど、ハサミで両腕を拘束し身動きが取れなくなる。

 

「はああぁぁぁ!!!」

 

 その隙にライダーモードに戻り、その重量を乗せた強烈な踵落としをヴァルバラドに食らわせる。

 

 その一撃は完全に決まり、ヴァルバラドは倒れ込んだ。

 

「なんとかなったのか」

 

 そう考えていると、ヴァルバラドの変身に使っていたマッドウィールが飛び出る。

 

「っ」

 

 そこから感じたのは、紛れもない負の感情。

 

 それに対して、俺は確かに恐怖を感じた。

 

 だけど、同時に疑問に思っていた。

 

「手伝ってくれるのかっ」『パイレッツ!』

 

 そんな俺の疑問に対して、パイレッツもまた飛び出る。

 

「挑戦してみる価値はあるよなぁ!!」「まさか、あの馬鹿!」

 

マッドウィールパイレッツ

 

 俺はすぐにそのマッドウィールを掴み、そのままパイレッツと共にガッチャードライバーに装填する。

 

「うおおおおぉぉぉ!!」ガッチャーンコ! マッドパイレーツ! 

 

 鳴り響いた変身音と共に、俺の身体に蝕んだのは強烈な悪意。

 

「ウィール!」

 

 それらは、俺の身体に染みこんでいくような感じがした。

 

 だけど、その悪意が何か、俺は探るように手を伸ばす。

 

「闇から生まれたからっ、それに従っているのかっけど!」

 

 そのまま、俺は真っ直ぐ手を伸ばす。

 

 それはマッドウィールの意識のように思える。

 

「だけど、それはやりたい事なのか!!」

 

 それに対して、マッドウィールの叫びが止まる。

 

「暴れたりするだけじゃない、俺達と一緒に、探そう」「パイレッツ!」

 

 それと同時だった。

 

 それまで暴走していたはずのマッドウィールが止まる。

 

 同時に、その色は先程までとは異なり、俺達の知るマッドウィールとよく似た色へと変わる。

 

「はぁはぁはぁはぁ」

 

「暴走が収まった」「もしかして」

 

 そのまま俺が変身を解除すると同時に見ると、そこには俺達の知っているマッドウィールがあった。

 

「レプリカケミーが、本当のケミーと同じように」

 

「ケミーはケミーだからね、偽物も何もないよ」

 

「だとしても、まさか、ダインスレイフの欠片から造られたのに」

 

「ダインスレイフだと、どういう「本当に、想定外ばかりですね」っ」

 

 同時に聞こえた声。

 

 見ると、そこには、またキャロルと似た容姿をした人物がいた。

 

「キャロル。お前、何人兄弟なんだ」

 

「さぁな、俺が知りたい所だよ」

 

 そうしながらも、警戒を強くする。

 

「どちらにしても、関係ありません。キャロル、あなたが生きていたら、私としても困りますからね。だから」

 

 そう言った奴は、懐から何かを取り出した。

 

「あれは、なんだ」

 

 俺はそれを見ると同時に、寒気を感じた。

 

 それは、マッドウィールの時とは比べものにならない程の感覚。

 

 同時に、ヴァルバラドの懐あったカードケースから飛び出たのは、レプリカケミー達だった。

 

「それにしても、想定外でしたよ。まさかレプリカケミーが一体とはいえ、そちら側につくとは。ですけど、問題ありません」

 

 そう言いながら、それを腰へと巻く。

 

ドレッドドライバー

 

「あれは、ドライバーなのか」

 

「マッドウィール?」

 

 それと共に、マッドウィールが振るえているのが分かる。

 

 それは、一体何なのか分からない。

 

 だが、それは、俺も何か分かる気がする。

 

 そうして、見つめている間にも、レプリカケミーの一体であり、俺にとっては馴染み深いスチームライナーだった。

 

 それを、ドレッドドライバーにスキャンし、そのまま装填する。

 

STEAMLINER

 

「っ」

 

 それと共に、俺の耳に聞こえたのは悲鳴。

 

 その声の主が、スチームライナーだと、すぐに分かった。

 

 まさか。

 

「止めろっ」「変」

 

 俺はそのまま手を伸ばす。

 

 だが、そんな動作よりも先に、そいつは。

 

「止めろぉぉぉ!!」「身」

 

 容赦なく、そのドライバーを開く。

 

 それと同時だった。

 

『スチィ──ム』

 

 同時に聞こえたのは、スチームライナーの悲鳴。

 

 まるで、自分の身体の全てを奪い取られるような痛み。

 

 それが、スチームライナーから聞こえ、そいつの周りを走り回った後、焔が身体を包み同時に黒い霧を纏った骨が全身に巻き付き変身が完了する。

 

ドレッド、零式……! 

 

 漆黒のスーツに刺々しいアーマーを纏っており、黄色い鋭い複眼が不気味に輝いており、首回りには黒ずんだ白いマフラーを巻いている。

 

「どうですか、これこそが、私の仮面ライダー。仮面ライダードレッド」

 

 そう、奴は呟く。

 

「一ノ瀬」

 

 それを見ていたキャロルが、俺の方を見る。

 

 だけど、今は。

 

「お前、ケミーのっケミーの命をなんだと思っているんだっ!」

 

「へぇ、ケミーの気持ちが分かるんですか」

 

 それを見て、まるで心底馬鹿にするように言う。

 

「その認識は、滑稽としか言えないなぁ」

 

「お前!!」

 

 同時に、俺は、そのまま走り始める。

 

 それと共に、奴もまた、その手に禍々しい剣を取り出し、構えていた。

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