突然現れたケミーによって、呑み込まれた俺達。
どこかへと入っていったと思われるが、俺達は周囲を見渡す。
「えっと、ここって」
「お腹の中?」
そう言いながら、首を傾げる。
お腹の中というには、あまりにも空間が広すぎる。
なぜと、疑問に思いながら、その異質な空間に目を向ける。
周囲は、赤一色であり、普通ではあり得ない。
「あのケミーは一体何を」
そう考えている時だった。
突然、景色は、変わった。
驚きを隠せない俺達は、そのまま見つめると、そこはどこかのライブ会場。
「これって」
「あの時のツヴァイウィングのライブの」
その光景を、見つめていると、俺達の目の前にいたのはオレンジ色の髪の女性。
容姿だけは見た事あり、身に纏っている物からも分かる。
「あれって、もしかした天羽奏さん?」
「けど、なんで」
そう言っていると、天羽さんはすぐに走った。
その先にいたのは、なんと。
「私」
今の立花さんよりも、少し幼い立花さんだ。
「生きるのを諦めるな!」
必死に叫ぶ天羽さんの言葉。
同時に立花さんは目を見開いていた。
そうしている間にも、場面は切り替わっていく。
辛うじて一命を取り留めた彼女であったが、リハビリ後日常生活に復帰した彼女を待っていたのは、事故当時の状況がきっかけとなった誤解が産んだ迫害。
彼女に対する追及は家族にも及び、それに伴う父親の蒸発など、身に余る理不尽に苛まれる日々。
それらが、映し出された。
「私っ私っ」
そのまま、立花さんは膝から倒れる。
この状況に対して、俺はゆっくりと見つめる。
その日常はあまりにも酷すぎた。
決して思い出したくない事だと思う。
だけど。
「立花さん」
俺はそっと、彼女の手を握る。
それに対して、立花さんは、ゆっくりと見る。
「どう言ったら良いのか、正直に言って、分からない。
けど、立花さんの過去は、つらい事だけじゃないはずだ」
その言葉の直前だった。
先程までの光景とは一転した。
それは、俺達が初めて出会ったあの時の戦い。
そこからの、ここまでの戦い。
多くを振り返るように。
そして、それらは、先程まで見ていた過去の惨劇よりも長く感じる。
「これって」
「・・・そうか、ケミーは、知りたかったんだ。立花さんの事を」
同時にこれまでの戦いが巻き戻り、様々な場面が映し出される。
それと共に立花さんは見つめる。
「誰かを傷つける歌じゃない。戦って救われた。それはきっと多くの人が、立花さんの歌に救われた。だから響の手で今日につながっている」
そう、今、俺達が手を握り締めているのが、その証拠だった。
「・・・うん、そうだね、一ノ瀬君!」
同時に、立ち上がった立花さんは、これまでの表情とは違った。
それと共に、俺もまた立ち上がる。
「お前は、人間を知りたかったんだよね!」
そう、ケミーに話しかける。
それと共に、その光景もまた変わる。
そうして、見た光景は二つ。
一つ目は、ルナアタックの時の光景。
月を押し返そうとした時、そこにはUFO-Xがいた。
二つ目は、フロンティア事変。
その時に、この恐竜のケミーも見つめていた。
「あの時、君達も見ていた」
「だから、俺達に力を貸してくれたんだ」
なぜ、あの時、突然助けてくれたのか疑問だった。
だけど、その光景を見せてくれた事で、俺は疑問を解決した。
そして、その次に見せたのは、ノエル達との戦いだった。
「これって」
「俺の記憶だけど」
そうして、最初に見えたのは、マッドウィールがレプリケミーからケミーへと変わった場面。
そして、ホッパー1がレプリケミーからケミーへと変わった場面。
未だに謎が多い所で、少し巻き戻って、あの時の戦い。
『レスラーGにアントルーパーだと、これは厄介だな』
ゴールドの呟きも再生された。
「これって、何か?」
「あれ?」
その時になって、俺はこの光景に対して、目を見る。
「あっちのベルデバスターは、確かアントルーパーに変身したんだよね」
「えっ、うん」
「それで、タイタンは、たぶん見た目的にはレスラーGだよね」
「あっ本当だ、あれ?」
それと共に、俺達は目を合わせる。
「マッドウィールとパイレッツ」
「レスラーGとアントルーパー」
「「そして、ホッパー1とスチームライナー、もしかして!!!」」
その時になって、俺達は、ある一つの可能性に辿り着いた。