歌姫と錬金術とライダー   作:ボルメテウスさん

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戦え、愛の為に!

 あの戦いが終わり、既に夕方になっていた。

 

 先程までは大きく騒ぎがあったはずの砂浜だが、今は落ち着きを取り戻し、波の音だけが周囲に聞こえる。

 

 その最中、俺はファイクから相談があると聞いて、一緒に座っていた。

 

「……あの時、俺はこれを使う事が出来なかった。未だに足りない物があるのは分かっている」

 

 ファイクはその言葉と共に懐にある物を見つめる。

 

 それは、今回の戦いにおいて重要な物であるが、使いこなす事は未だに難しい。

 

 それが、ファイクの悩みであるのは分かる。

 

「君は、エクスガッチャリバーを早々に使い始めていた。それだけじゃない、仮面ライダーとして、戦う時にも、既に馴染んでいた。君は、一体どうやって、使いこなせているんだ」

 

「それは、正直に言えば、俺にも分からない」

 

 これまでの戦いにおいても、俺がその力を使えたのは偶然に過ぎない。

 

 偶然、その条件が揃っていた。

 

 そう言えば、簡単かもしれない。

 

 だけど、それではファイク自身は納得しない様子だった。

 

「俺自身、何が足りないのか、分かっていなかった。ただ漠然と強くなりたいと思っていただけなんだ。だから、俺は君のように、明確な答えを持ってはいない」

 

 ファイクの言葉を聞きながら、俺もまた考えていた。

 

 ファイクが強くなった理由、そして、何故強くならなければならないのかを。

 

「俺は、何の為に」

 

 その問いかけに対する答えは、今まで見つからなかった。

 

 ただ漠然と戦い続ければ良い訳ではないだろう。

 

「戦う理由を明確にしなければ、ならないかもしれない」

 

「戦う理由、そんなの、決まっているだろ、皆を守る為だ」

 

 ファイクは、そう言う。

 

 それは既に当たり前の事であり、だからこそ疑問を持つ。

 

「どうして、守る為に戦っている?」

 

「だって、そうだろ? 誰かを傷つけるなんて間違っている。それに、傷つく人を少なくしたいと思うのは当然じゃないか」

 

「けど、ファイク、それだけじゃないはずだ」

 

 そう言い、俺はホッパー1を見つめる。

 

「俺も、人の事は言えない。だけど、それ以上にケミーを、友達を傷つけたくない。だからこそ、戦う。

 

 そんな思いをケミー達は感じ取っている」

 

 そう、俺はファイクに問いかける。

 

「ケミーは、人の心に反応する。ファイク、お前の本当に戦いたい理由を思い出さなければ、ケミーは力を貸してくれない」

 

「俺の、戦う理由」

 

「ファイク、自分の本当の気持ちを思い出すしかない」

 

 それと同時だった。

 

 聞こえて来たのは、爆音。

 

 振り返れば、そこには、ゴールドの奴がいた。

 

「なっ」「お前っなぜ!!」

 

「忘れたのか、俺は、奇襲が得意だって!」

 

 それと共に、ゴールドはその手に持つヴェラアックスで襲い掛かる。

 

 俺は、なんとかエクスガッチャリバーで防ぐ。

 

「ぐっ」

 

「一ノ瀬!」

 

 それと共にファイクの叫びが聞こえる。

 

 すぐにファイクも、その手にある物で殴りかかる。

 

 それによって、ゴールドは後ろに避ける。

 

「大丈夫かっ」「ぐっ」

 

 俺はなんとか立ち上がりたかったが、足をぐねっていた。

 

「無理するな、ここは俺が」「お前にそれを使えるのかぁ」

 

 そう、ファイクに対して、ゴールドは笑みを浮かべる。

 

「っ」「それを使えないお前に、俺を倒せるのか!!」

 

 そう言いながら、ゴールドがそのまま攻撃を仕掛けようとした。

 

 だけど、それを防ぐ誰かが見えた。

 

「お前は」

 

「悪いけど、やらせないわよ、ゴールド!」

 

 そこには、マリアさんが立っていた。

 

「おいおい、これは同郷さんがいるとはねぇ、弱いお前が何が出来るんだぁ」

 

「確かにね、弱かった。そう思っていた。けどね」

 

 同時にマリアさんは、俺達を見つめる。

 

「弱さもひっくるめて強くなる。そう、仮面ライダーが教えてくれたから」

 

 そう、既に構えていた。

 

 同時にファイクもまた、何かを思い出したように、立ち上がる。

 

「そうか、単純だったんだ。単純だったから、分からなかった。俺が戦う理由が」

 

 それと共に、ファイクの手元に一体のケミーが舞い降りた。

 

 それは、まさしく、今の彼の心を現すように。

 

「答えは、既に目の前にあった」

 

 そう、マリアさんを見つめるように。

 

 そして、そのアイテムを変形させ、そのままガッチャードライバーに装填する。

 

 「俺の戦う理由!」ビクトリーオン!マーベラスオカルト!

 

 同時に、ビクトリーガントレットを装填し、セットしたカード、ズキュンパイアの力をゆっくりと構える。

 

 「変身!」ガッチャーンコV!ズキュンパイア!V!

 

 身に纏っているアーマーは、全体的にズキュンパイアをイメージさせるような装甲だが、白く染まっていた。

 

 それと共に変身を完了すると共に、ゆっくりと構える。

 

 「なっ、なぜ変身出来たんだ!」

 

 「決まっている、愛だよ」

 

 「なぜっ、そこで愛!?」

 

 それに対して、ゴールドだけではなく、マリアさんも叫ぶ

 

 だけど、ファイクは気にする様子はなかった。

 

 「悪いが、今の俺は、負ける気がしないんだ!!」

 

 同時にファイクは、真っ直ぐと、ゴールドに向かって、走り始める。

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