『ケミーは悪意に触れさせてはならない』
その言葉の意味は分からなかった。
キャロルが、ケミーを集める際の注意点として、よく言っていた。
それが、どういう意味なのか、この時の俺には分からなかった。
だからこそ、今、俺に起きている事も、理解出来ていなかった。
『スチームホッパー!』
「黒い、仮面ライダーさん」
「何が」
そう、エメラルダンが何か言おうとした。
だけど、それよりも早く、俺の身体は動いた。
真っ直ぐと、エメラルダンを殴り飛ばす。
「がっえっ?」
それに対して、驚きを隠せない様子の奴だったが、俺はそれよりも早く、奴の背後に立つと共に、蹴り上げる。
「どうなっているのっ、ケミーの質もっ、強さもっ、私のっ、方がっ上なのにっ」
次々と何かを言っている。
それよりも早く、俺は奴を徹底的に攻撃を行っていく。
これまでにないどす黒い感情が、湧き上がっている。
「仮面ライダーさん!一体っ何がっ」
「遅かったか」
「あなたは」
こちらを呼ぶ声が聞こえる。
関係ない。
今は、目の前の、ケミーを悪用する奴を潰す。
「あなたはっ、あれは一体っ」
「暴走だ」
「暴走?」
「ガッチャードライバーは多重錬成を瞬時に行う事が出来る。それによって、様々な機能を発揮し、ガッチャードの場合はケミーとの融合率を感情によって上げる事が出来る」
「それと、暴走が何の関係が」
奴はこちらに向かって、あの銃弾の嵐を浴びさせる。
だが、そんなのは関係ない。
俺は、そのままガッチャードライバーを操作する。
「奴の怒りが、ケミー達に伝わった。そして、そのケミーの怒りが奴をさらに怒りに変えた。今の奴は、その怒りの事しか目を向けていない、暴走状態だ」『スチームホッパー!フィーバー!』
鳴り響く音声と共に、俺はそのまま走り出す。
低空かつ真っ直ぐと、俺はエメラルダンに向かって、放つ。
「ぐっ、来るなぁ!!」
こちらに向かって、幾度となく攻撃の嵐が襲い掛かってくる。
だが、そんなのは関係ない。
俺はそのまま、その蹴りをエメラルダンに叩き込む。
それによって、吹き飛ばされたエメラルダンは、変身を解除される。
だが、俺は、そのままガッチャージガンを、向ける。
「馬鹿野郎が」
しかし、それよりも先に、キャロルが転移を行おうとする。
それに対して、抵抗しようとするが。
『カマカマァ!』『スケボーッ!』
「っ」
聞こえて来たのは、、ケミーの声。
それと共に視線を向けると、今にも涙を流している立花さんと帽子で、顔を隠しながらも、睨んでいるキャロル。
「俺は」
それと共に、手をだらりと下げる。
「仮面ライダーさんの色が元に」
「・・・俺はこれで帰らせて貰う」
「あっ」
そのまま転移をする前にちらっと見ると、先程までのエメラルダンの姿はもうなかった。
それと同時に、俺は部屋に戻ってきた。
同時に、キャロルはそのまま俺の腹を蹴った。
「お前、何をしているんだ」
その言葉の意味は理解している。
「ごめん、俺、あの時」
「はぁ、まさか、ケミーとの同調率がここまで問題になるとはな」
そうしながら、キャロルは、俺の変身を解除させる。
「お前、自分がかなりヤバいのは分かっているよな」
「あぁ」
見れば、俺の身体はボロボロの状態だった。
「本来のスチームホッパーを遙かに超えた出力と共に、あの攻撃を正面から受けた。
本来だったら、死んでも可笑しくないが、お前をここまで追い詰めたのが、ケミーとの同調率ならば、助けたのも、またケミーとの同調率だ」
「ホッパー1とスチームライナーには悪い事をしたな」
そう、俺は2体に謝る。
「怒りに飲み込まれたら、お前も、ケミーも終わる。
何よりも、あれは、お前の望んだ仮面ライダーなのか?」
「違うよ、だからこそ」
怒りに飲み込まれてはならない。
誰かを傷つけるのではなく、誰かを助ける為に。
俺はこの力を使う。
この痛みと共に、確かに刻み付けた。