風鳴邸での護衛は、失敗に終わった。
守るべき対象を破壊されてしまったからだ。
その最中、ヴァルバラドは、先程の戦闘で使えなかったドライバーを見る。
「何か悩み事か?」
「・・・なんでもない」
「そんな顔をしていないぞって」
それと共に泉は、ヴァルバラドが手に持っているドライバーを見て、驚きを隠せなかった。
「おいおい、これって、ガッチャードライバーじゃないのか、どうして」
「キャロルの奴が作りだした試作品らしい」
「試作品?」
試作品という言葉に対して、泉は首を傾げる。
「奴は、ガッチャードライバーのデータを元に、他の世界で手に入れたファイヤーイグナイターを使える為のプロトタイプとして、これを造りだした。
ついで、あいつ自身もまた専用のドライバーを造る為にな」
「うわぁ、あの子らしいと言えば、あの子らしいけど」
「だが、俺はそれを踏み込む事が出来なかった」
それと共に取り出したのは。
「マッドウィールじゃない?」
「マッハウィール、マッドウィールを強化したが」
ヴァルバラドは、手を強く握り締める。
「俺はこいつを使うのが嫌で仕方ない」
「えっ、なんで」
それには、泉は思わず首を傾げる。
「お前も知っているだろ、これで俺は操られていた。
そんなこいつのがより強い力を得たら」
「また、操られると」
「あぁ、だからこそ、俺は今も、ドライバーではなく、ヴァルバラッシャーだけで戦っている」
それに対して、頷く。
「うぅん、それに関しては、俺はなんとも」
「そう言う意味では一ノ瀬、奴は異常だ」
同時に話題に出たのは一ノ瀬であった。
「奴は数多くのケミーと幾度も合わさり、さらにはレベル10のケミー、さらには異世界の力も躊躇無く使った。奴は、恐れはないのか」
「恐れか、それは分からないけど、今は」
泉が出した言葉は。
「それ以上に今の俺達は守るべき対象がまさしくいるから」
「守るべき対象」
そう言っている時であった。
物音がした。
それは爆発音であり、それに2人は立ち上がる。
「まさか」
「再び来たのか」
同時にヴァルバラドと泉は向かう。
そこでは既に戦闘が行われており、翼とマリアは都牟刈と戦っていた。
「なっ、なんで、まだここに」
「分からない、だが」
翼は既にボロボロな状態だった。
それを見つめると同時に、ヴァルバラドもすぐに構えようとした。
「翼!歌え翼!」
「ですが私では風鳴の道具にも…剣にも…」
そんなボロボロの状態で呟いた一言は、彼らに伝わる。
「ならなくていい!」
それと同時に響いたのは、翼の父である八紘だった・
「夢を見続けることを恐れるな」
その言葉と共に届いた言葉に、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。
「そうだ!翼の部屋10年間そのままじゃない!お前との思い出を失くさぬようそのままに保たれていたのがあの部屋だ!娘を疎んだ父親のすることではない!いい加減に気付けバカ娘!」
マリアの言葉と共に、翼は、そのまま真っ直ぐと八紘へと視線を向ける。
「まさかお父様…私が夢を僅かでも追い続けられるよう風鳴の家より遠ざけてきた…?それがお父様の望みならば私はもう一度夢を見てもいいのですか!?」
それに対しての答え。
真っ直ぐと、翼に向けて投げたケミーカードであった。
「その歌で、あいつに届けろ」
「ならば、聴いてください!」デュオケミー!ジャマタノオロチ!
鳴り響く音声。
それと共に。、その姿は変わる。
その身体には、八つのオロチの頭部を模した装甲が頭部・胸部・両肩・両手・両足が装着され、まさしく伝説に出てくるような姿であった。
「・・・ならば」
その姿を見ると共に、ヴァルバラドもまた立ち上がった。
「例え、この身がどうなろうと、風鳴翼の夢を叶える」マッハウィール! イグナイト!ダイオーニ! イグナイト!
それは、先程までの恐れはまるでなかった。
覚悟を決まったヴァルバラドも、またゆっくりと構える。
「その為に、お前達の力を借りる、変身!」ガッチャーンコ!バースト!ヴァルバラド!
鳴り響く音声と共に、ヴァルバラドの姿は変わる。
その容姿は、以前のヴァルバラドから進化しているのが見える。
頭部の左右非対称のデザインは変わらず、オッドアイの複眼が追加。レンチを模した角は大型化している。
ゆっくりと、そのまま構える。
真っ直ぐと、眼前にいる都牟刈へと構えた。