「ここが深淵の竜宮?」
「だだっ広いデース!」
調と切歌は、聖遺物や危険物が大量に収容されているという海底の施設に興味津々と言った様子で周囲を見渡している。
そこには人の気配はまるでない。
施設維持の為に電力は回ってきているが、警備員が常駐している訳ではないのか人の匂いが全くしない。
その異様さに、ここが海底の施設であるという事を嫌でも実感させる。
「ピクニックじゃねーんだ。行くぞ」
物珍しそうに周囲を見る後輩2人を、クリスが軽く叱り先へと進む。
同時に、その後ろにいる人物にも目を向ける。
「お前も、余計な事をするんじゃねぇぞ」
「分かっているわよ、本当に君は警戒するね」
そう、クリスは、その先にいる人物であるマーヤを睨む。
今回の任務において、どのような状況か分からないが、それでも最重要防衛の地点という事もあり、マーヤと飛渡の2人がいる。
「そんなに荒れて、どうしたんだ?」
「別に?」
「まぁ彼女は、一ノ瀬が来ていないから、不機嫌なんでしょうね」
「あぁ、なるほどね」
一ノ瀬のドライバーは現在、とある実験に使われている。
その作業とは。
「それにしても、キャロルちゃんの記憶を呼び起こすなんてねぇ」
それは、かなり無茶な作業であった。
「記憶の鍵となるのがエクスガッチャリバーにエルフナインちゃんを使って」
それは、ガッチャードライバーにある二重錬成の応用。
キャロルにとっては消された記憶だとしても、エルフナイン、そしてエクスガッチャリバーのエネルギーとして使われたオートスコアラー達の記憶。
それらを融合する事で、取り戻そうとする。
ある意味、無茶な計画であった。
「ガッチャードライバーの錬成機能を利用してねぇ、本当に正義の「黙ってろ」あぁ、怖い怖い」
そう、マーヤの言葉を遮ると共に前に進む。
それに対して、マーヤも後ろについていく。
「なんというか、本当に怖いデスねぇ」
「そこの所、どう思います、飛渡さん」
「・・・いや、俺に言われても、困るけど、どちらにしても、奴らが何を目的にしているのか」
それと共に、クリスの眼前には人影が見える。
「あいつは」
「ファクトの奴かっ」
「まさか、こんなに早く」
それと共に、その視線の先にファクトの手元には一つの聖遺物があった。
「あれは」
「ヤントラ・サルバスパ、まさか、それが目的か」
「間に合わなかった!?」
「まだです! ここから持ち出させなければ!」
「そうデース!」
「!」
最悪、破壊してでもその手に聖遺物が渡る事だけは避けねばならない。
だからこそ、それを取り戻す為に、全員が同時に向かった。