「クリス先輩」
「大丈夫でしょうか」
先程の戦いの1件もあり、雪音を心配する暁と月読。
それと共に飛渡は。
「雪音」
「なんだよ」
「お前は基地に戻ってろ」
「なんだって」
それと共に言われた言葉に、雪音は振り返る。
「さっきの戦いで味方を撃ちそうになったお前は、こいつと同じぐらいにやばい。
だったら、いない方がマシだ」
「てめぇに言われる筋合いはねえ」
「一ノ瀬の奴に向けていたとしてもか」
「っ」
その言葉に、雪音は止まる。
「飛渡さん、それは幾ら何でも」
「悪いが、この中では俺が一番年長者だ。何よりも、緊急事態なのは分かっているはずだ、行くぞ」
「・・・でも」
そうしている間にも飛渡は、すぐにその場を去って行く。
それと共に、雪音は。
「あぁ、たく」
その場で座り込んでしまう。
「あいつの言う通りだよ」
同時にその言葉が深く突き刺さった。
自分でも理解出来ていた。
自分が不甲斐ない事に。
「本当に嫌な事を言う男ね」
「お前はついていかないのかよ」
「さっきの変身でかなり力を使ってね、やっぱりファンタジック属性のケミーを使うのは無理したわ」
それと共に、マーヤもまた座る。
「こうして話すのは結構久し振りだねぇ」
「お前とはそんなに話してないだろ、第一、あたしを殺そうとしたのは今も忘れていないぞ」
「それを言うならば、お互い様でしょ、さっきの後輩に当たりそうになっていたし」
マーヤの言葉に対して、雪音もまた言い返さなかった、
事実だから。
「本当、あのムカつく男とずっといたのに、あの頃からあんまり変わっていないね」
「だったら、どうなんだよ」
「だって、そうじゃない。私なんかよりも恵まれていて」
そう、マーヤは本音を言うように見つめる。
「捕まった後も、私は力を求め続けた。貴方達よりも上層部がね。だからこそ、こうして余計な事を喋らないように首輪もつけられているしね」
「そうかよ」
「それに比べたら、雪音さんはなんで変わろうとしないのかなぁ」
「どういう意味だよ」
そう、マーヤの言葉に雪音は睨む。
「あの頃と変わらない、世界の残酷な部分しか見ていない。暖かいと知っていても、それを遠ざけるように」
「・・・あぁ、そうだよだからだよ、残酷な世界がみんなを殺して本当の一人ぼっちになってしまう!」
トラウマを思い出すように、雪音は俯く。
それと共に、本音を吐露する。
「羨ましいよ、今のクリスちゃんには、ひとりぼっちになると思える程の人がいて、私にはもういないから」
その言葉、これまでのマーヤから出たとは思えない一言だった。
「お前」
「クリスちゃん、変わりなよ、そんな考えに固まるような自分から。変わらなかった、私の代わりに」
その一言と共に、渡されたのはとあるパーツの一部。
「お前、これは」
「私からの餞別だよ、それとも、一ノ瀬君に格好悪い先輩としての姿を報告されるつもりなの」
その一言と共に、雪音はため息を吐く。
「上等だよ、このまま終わってたまるかよ」
同時にゴルドダッシュを取り出す。
「だから、もう1度、力を貸してくれ、ゴルドダッシュ!」『ダーシュ!』
そんな雪音の言葉に合わせて、ゴルドダッシュの掛け声。
同時に、そのままケミーライザーに新たなパーツを装着すると共に。
「変身!」デュオケミー!ゴルドダッシュ!
同時に、その姿は変わる。
これまでのゴルドダッシュの力を身に纏ったクリスの姿から一身。
かつて、身に纏ったネフシュタンの鎧を沸騰させる白い姿でありながら、新たな姿。
「行くぜぇ!!」
その雄叫びと共に、召喚したゴルドダッシュに乗り込み、そのまま走り始める。
その行く先は、別れた後輩達の元に。