「準備は出来ているな、キャロル」
「問題ない」
その日、俺達は迫る戦いの準備を行っていた。
この日の為の準備は既に終えている。
ここから、どのような強敵が現れるのか分からない以上、準備は入念に行う必要がある。
「ケミー達も既に準備は出来ているぞ」
「あぁ、それじゃ、始めるぞ!」
それと共に、俺達はそのまま周囲を見渡す。
「いらっしゃいませぇ!焼きそばはいかがですかぁ!!」
「いや、お前達、何をしているんだ」
そう、俺達が屋台を開店すると同時にクリスがこちらをジト目で見ていた。
「何って、屋台だよ」
「いや、屋台って、お前、夏祭りに一緒に来れないって、まさかこれが理由なのか!」
そう、クリスが叫んでしまう。
だけど、俺達にとっては死活問題なんだ。
「現在、俺達の家は俺だけじゃなくて、キャロルに加えてエルフナイン。
さらにはケミー達の食費という問題がある。
さすがにこのままではヤバいと感じて、弦十郎さんに頼んで、この店を出店出来るようにしたんだ」
「あぁ、それは少し分かる。響って、結構食べるから」
「私も分かります」
「未来!?」「調!?」
そう、俺が言っていると、共感してくれたのか、一緒に来てくれた未来ちゃんと月読さんも頷く。
そして、飛び火をして、響と暁さんが驚く。
「それにしても、焼きそばって」
「ふふっ、ここの焼きそばを舐めない方が良いぞ、とりあえず、一つどうぞ」
「おっおぉ」
そのまま、俺は焼きそばを一つ渡す。
すると、恐る恐るとクリスは焼きそばを食べる。
「なっ、これっ美味いじゃないかよ!」
「だろぉ、俺達の力作だぜ」
俺はそう言いながらも、頷く。
「本当に、一体どうやって、作って」
そう、クリスは、屋台の中を見る。
そこでは。
「カマカマァ!」「ローズ!」「バーニング!」
カマンティスの鎌によって、次々と斬り裂かれていく具材。
そして、フレイローズの炎によって焼かれる焼きそば。
そして、最後にはちょっとピリッとしたバーニングネロのエキス。
それらが合わさって、完成されたのが俺達の特製焼きそばだ。
「ケミーを使って、料理をしてやがる!?」
「言っただろ、俺達の力を合わせているって」
「だとしても、駄目だろ!」
「そう言われても、ほら」
そう、俺はそのまま指を指した。
そこにはブリザンモスの氷を使って、かき氷屋を開いている泉の姿が。
「いや、泉!何をしているの!」
「何って、バイトだよ!海外にいる翼さん達のライブの為にも、ここで稼いでおかないといけないだろ!」
「正直に言って、かき氷は反則だろ」
「その前にケミーを使う自体が反則だろ!」
そうは言うが、この夏祭りでは、結構ケミーを使った出店が多いぞ。
「・・・それじゃ、一つ聞くぞ」
「なんだ?」
「あいつの店は一体何なんだ」
それと共に、俺達が見つめた先。
それはマーヤの店。
だが、そこにあったのは。
「世界の寄食屋台」
「ふふっ、いらっしゃい」
そう、怪しげな笑みを浮かべるマーヤ。
「おい、お前、寄食って、一体何なの」
「そうねぇ、ちょっと変わった料理という感じかしら。
日本で言う所のまぁ、納豆のような物ね」
「へぇ、そうなんだ、ちょっと気になるね」
響は、そう言いながら売られている物に興味を示す。
「良かったら、一つあげるわ。とっても面白いわよ」
それと共にマーヤが差し出したのは、卵だった。
「卵?」
「えぇバロットというフィリピン料理よ」
マーヤはそう言い、卵をこちらに差し出そうとした時、キャロルが乱入した。
「キャロル、いきなりどうしたんだ」
「・・・お前、相当趣味の良い店をしているようだな」
そう、キャロルはマーヤを睨み付けている。
「えぇ、良いじゃない」
「ついでに、他にどんなメニューがあるんだ」
「三聴、カース・マルトゥ、ロッキー・マウンテン・オイスター」
「よし、お前達、夏祭りの想い出を綺麗にしたいんだったら、食うわ」
キャロルの言葉はおそらくは事実だろう。
「・・・どうする」
「もうすぐ、花火だなぁ」
そうしながら、俺達はその場を去る事にした。
夏休みはまだ、続く。