「ガッチャードイグナイターはしばらく冷却しなければならないからしばらく使うな、分かったな」
「はい」
あの後、キャロルと合流した俺達は、そのまま熱くなったガッチャードイグナイターをなんとか持ち帰る。
かなりの高熱を放っている事もあり、普通の方法では持って行く事が出来ない為に、ケミー達と協力しながら、なんとか持ち帰る事が出来た。
しかし、ガッチャードイグナイターのオーバーヒートが終わるまでには、しばらく時間がかかるようだ。
「それにしても、なぜ錬金術師達は2度も一ノ瀬ばかりを狙うように戦ったんだ」
「まぁ、考えられる可能性としては、こいつが一番性能実験を行うのに都合が良いからだろうな」
キャロルは、まるで当然という態度で呟く。
「都合が良いと言うと?」
「これまで、お前達が遭遇した錬金術師を見る限りでも、まずはヴァルバラドのドライバーを元に造り出されたと思われるタイプのドライバー。そして、俺達のドライバーを元にして造られたタイプの2種類が既に確認されている」
「まぁ、それらを聞けば、分かるけど」
「何よりも、こいつにはまだ奥の手が一つ残っているからな」
「奥の手って、確か」
「どちらにしても、奴ら自身の性能テストを行うには、一ノ瀬が一番適任という訳か」
そう言われてみれば、納得出来るのか?
「だけど、それを言ったら、キャロルの方は襲わないのか?
その、キャロルと同じドライバーを持っているから、それにヴァルバラドも」
「私もヴァルバラドも基本的に出てくる事は少ない。何よりも事件を起こせば高い可能性で出てくるお前を狙うのは必然だろ」
確かに、それはそうだが……。
「それで、これからどうするんだ?」
「どちらにしても、こちらから奴らを見つけ出そうとして無駄足になるのは避けたい。
何よりも、この場所での目的はバルベルデ共和国より持ち帰った機密文章を解読するまでの護衛だ」
護衛か……。
俺は少し考える。
未だに錬金術師が一体どのような手を使うか分からない。
その状況で、万全じゃないガッチャードで、どこまで対抗出来るかどうか分からない。
「一ノ瀬、気負いすぎるなよ」
そう、キャロルが声を掛けてくる。
「まぁ、なんとかな」
俺はそれに対して曖昧な返事をする。
正直に言えば、今回の相手は強敵だと思う。
それに、これまでの相手も同じだった。
そして、ここから対抗出来るかと言えば難しい所だが、やれるだけやるしかないだろう。
そんな俺に対して、心配そうに見つめてくる視線に気づかず。