国土安全保障の要である風鳴機関本部はそのほとんどが崩壊していた。
それに対して、風鳴訃堂は怒りを隠せない様子で、通信していた。
「お前の所に所属しているガッチャードという仮面ライダー。
そのドライバーと変身者を今すぐに、こちら側に寄こせ」
「この本部は確かに崩壊は彼が招いたかもしれない。だが、それは錬金術師からの襲撃をこちらを守る為に戦った結果だ。
何よりも、あの規模の攻撃からここまでの被害に抑えられた彼の功績は大きい。
そんな彼を、引き渡す理由などない」
風鳴訃堂からの要求に対して、弦十郎は正面から断っていた。
親子と言える彼らと共に、その場にいた全員が同意だった。
それと同時に、キャロルは立っていた。
「悪いが、俺も一ノ瀬も、あくまでも協力者だ」
「キャロル君」
「これまでは一ノ瀬がお前達を気に入っているからこそ協力しているんだ。S.O.N.G.以外に協力するつもりはないし、もしも無理矢理にするんだったら、俺が相手になるぞ」
それはある意味、脅しであった。
現状、キャロルは錬金術師と戦う中でも重要な立ち位置である。
貴重な情報源と言える彼女がいなくなれば、錬金術師との戦いに勝利する事は出来ない。
だからこそ。
「ちっ、良いだろう。
だが、次はないと思え」
「その時は、敵になるからな」
互いに決して味方ではない事を宣言するように、通信は終わる。
「キャロルちゃん、その」
「・・・あくまでも、俺が敵対するのは奴だけだ。まぁ、もしも戦う時になったら、容赦はしないがな」
「だが、私達にそのような事はしない。何よりも」
「あのお人好しがそうはさせないだろうな」
そうしながら、キャロルは未だに眠り続ける一ノ瀬の事を考えていた。
「・・・だが、現状危険な状態は続いている。
こちら側の最強戦力であった一ノ瀬君の力の大半は」
「あぁ、ガッチャードイグナイターはあの戦いに巻き込まれ故障。さらにはエクスガッチャリバーもまたテンライナーの力に耐えきれずに。
例え一ノ瀬が復帰しても、おそらくはこれまでのように戦う事は出来ない」
「だったら、俺達にもあのガッチャードイグナイターを開発してくれ!それを使えば」
「無理だ」
キャロルは、そう宣言した。
「ガッチャードイグナイターは、俺の知識、そして他の世界にいた桐生戦兎の知識によって誕生した代物。全てがガッチャード専用にカスタムされている。
ヴァルバラドライバーのように1から造れれば可能かもしれないが、今はそれを造る時間もない」
「だったら、どうすれば」
そうしている最中。
「・・・現状、俺達に残された手としては、これしかないかもしれないな」
ファイクが、その言葉と共に取り出したケミー。
それは。
「ファイヤマルス」
「ファンタスティック属性とコズミック属性。
これらのケミーによるスーパー化ならば、錬金術師に対抗出来る」
「確かに可能性はあるな、だが、その負荷はあまりにも大きいぞ」
「だとしてもっ」
それと同時に、エルフナインは立ち上がる。
「もしかしたら、手があるかもしれません!」
「エルフナイン」
それと共に、エルフナインが立ち上げたデータ。
「マリアの?」
「アガートラームのエネルギーベクトル操作です。これまでケミー達によって、シンフォギアの適合係数を上げてきました。
その中でも、特に大きな成果を出したのが、響さんのガングニールとマリアさんのアガートラームです」
「それはつまり、アガートラームの特性を利用すれば、これらの属性を負荷なく使えるという事ね」
「えぇ、おそらくはファイヤーガッチャードとは別の強化アイテムが出来ます。ですが、その為には」
「・・・覚悟は出来ているわ、これからの戦いに、それが必要ならば」
それと同時にマリアもまた覚悟を決めた様子だった。
「なら、そっちはお前達に任せる」
「キャロルちゃん、一体どこに」
「お前達と似た方法だよ、まぁ、こっちは一ノ瀬の頭の中だけどな」
「あいつの、なんで?」
それに対して、クリスは思わず問いかけてしまう。
「一ノ瀬は、これまで多くのケミーと融合してきた。
そして、前回の戦いでは、特に多くのケミーと融合した。
だが、最も融合した回数の多かったケミー」
「最も多く融合したって、確か」
「ライダーの力が宿ったって!」
同時に頷く。
「仮面ライダービルド、桐生戦兎の力だ」
それに対して、一同は驚きを隠せなかった。
「いや、それは分かるけど、なんで桐生戦兎なんだ?」
「あの世界に転移した奴らは、既に桐生戦兎の戦いの記録は見ているはずだな」
「まぁ、覚えているが」
「その最中、今回のアイアンガッチャードと良く似た状態の姿があった」
「えっ、良く似ているって」
首を傾げる最中で、キャロルが出したのは。
「ハザードフォーム。圧倒的な戦闘能力を得る代わりに、変身者に負担をかける姿だ。私は、アイアンガッチャードに関して似ている部分が多い」
「それじゃ、もしかしてハザードフォームを克服したみたいに新たなアイテムを開発するのか!」
「最も、肝心のエクスガッチャリバーがなければ、今の所は情報だけだがな、けど」
それと共に頷く。
「もしも、錬金術師の奴らが来たら、なんとかする。
だから、安心してくれ」
そう、彼らからの言葉を聞き、キャロルは笑みを浮かべる。
「本当に、あの馬鹿のおかげで少しは安心して研究出来るようだな」