「バラバラな方向にするように、マルガムを差し向けたのは、やはり戦力の分散の為か」
そう、ケミカルは、グラヴィスに対して問いかける。
それに合わせるようにグラヴィスもまた現れる。
「えぇ、君ならば既に理解していると思いました。同時に、今の現状では私に敵わない事も分かるはずですね」
グラヴィスは、そう、ケミカルに問いかけるように、その手に持つグラヴィスシューターの銃口を向けていた。
「あぁ、そうだな、けど、それはこれまでだったら」
「ほぅ、対抗手段を用意していたと」
「勿論」
その言葉と共にケミカルは既にドライバーに新たなケミーカードを装填する。
それを合図に、その姿が変わる。
「ジーン? 聞いた事のないケミーですね」
「あぁ、他の世界の仮面ライダーの力だからね、他の世界の仮面ライダー達のケミーの数字は多くは5。だからこそ、仮面ライダー同士の力を合わせるのに最も優れているのが一ノ瀬ならば、俺はその中でも最も多くの仮面ライダーの力を使う事が出来るだろう」
同時にケミカルは、その手にはガッチャージガンを構えていた。
「だからこそ、ここで、あなたと戦うのが俺なのは、適任だ」
「そうですか、ならば、実験してみましょうか」
その言葉が合図だった。
2人はまるで重力が解放されたように動き出す。
互いに重力の方向を変えながらの移動であり、しかし、その速度は速い。
そして、互いの武器から放たれるエネルギー弾は互いにぶつかり合う。
それと同時に2人は跳び上がる。
「ふんっ」「くっ」
重力を操作する事で、2人はそれぞれの動きを封じようとする。
だが、それを防ぐ為に、ケミカルは自らの体を加速させていく。
そして、グラヴィスも自らに掛かる重力を強くしていく。
それにより、両者の動きが鈍り始める。
「だけどっ」
重力下だろうと、銃から放たれる銃弾の速度に変わりはない。
そして、その威力にも変わりはなく、むしろ高まっていると言ってもいい。
故に、互いに当たる事は必然と言える。
だが、それだけで、勝敗が決まるわけではない。
両者共に、自らの体に掛かる負荷を耐えきった。
そのまま互いに距離を取りつつ、体勢を立て直す。
だが、先に動いたのは、ケミカルの方であった。
ガッチャージガンからの銃撃を放つ。
だが、それに対してグラヴィスは冷静に対処する。
自身の周囲に重力場を発生させて防御し、更に重力を操作して弾丸を受け流す。
それに対し、ケミカルは銃を構え直しつつ、別の角度へと走る。
「ならば、銃弾を変える!」ゲキオコプター!
鳴り響く音声と共にガッチャージガンは、まるでガトリングガンを思わせる銃弾を砲撃を行う。
それを、グラヴィスは咄嵯の判断で回避に移る。だが、その回避行動に対し、追撃するように、既に構えられていたガッチャージガンから再度発砲される。
それは、相手の移動先を読んでの攻撃だ。
しかし、それでも相手の方が早い。
故に、グラヴィスは自身の周りの重力を強める事により強引に回避を行った。
結果として、直撃は免れる事に成功した。
だが、それが結果的に命取りとなる事を、グラヴィスはまだ理解していない。
「ならば、これならどうなる?」
そう言って、ガッチャージガンを二丁持っているケミカルの姿が見えた。しかも、既に2発目の装填まで終えていたのだ。
「これでっ」
そう、ケミカルが勝利の宣言をしようとした瞬間だった。
「だが、甘い」「っ!」
ケミカルの体制が急に変わる。
それはグラヴィスの重力操作による影響だ。
「なっ……! くそぉぉー」
「惜しかったよ」
その言葉と共にグラヴィスは、そのまま蹴り上げる。
なんとか、防御して、致命的なダメージを防ぐ事は出来た。
それでも、そのダメージは大きく、ケミカルは吹き飛ばされて壁に激突する。
「ぐはぁ!」
「どうした? もう終わりか?」
「まだまだ……」
そう言って立ち上がろうとするも、視界がぼやけていた。
だが、そんな事を気にしている暇はない。
ここで倒れれば恐らく殺されてしまうだろう。
「負ける訳にはいかない」
そうしながらも、ケミカルは立ち上がる。
未だに、戦いは終わっていないからだ。